分かっていたはずなのになんでこいつ等に期待してしまったのだろう?
55日目 夕前 オムイの街
さてとても大変珍しくオタ達から良い提案が出された、複合弓その性能の高さもだが複合素材それぞれに魔法が付与できる可能性もある。そして武器作りと内政はこいつ等の方が詳しいのだ、ただ不器用で協調性が無いから無意味なだけだ。あれ?もうそれって存在無意味じゃない?不安を抱えながら武器屋の鍛冶場に降りて行くと不安ではなく不満で不能な不人間だった。そうオタだったよ。
「そうだよ、複合弓はケモミミが正義だ!」
「くうっ!確かにエルフさんのお姉さんが複合弓は邪道な気が!」
「愚かな。幼女に巨大複合弓こそ美学だよ。」
「此処は剣と魔法の世界だよ?複合弓は魔法少女仕様だよ!」
「「「いや。みんな魔法少女だから?「魔法少女になってよ!」って言う前からみんな魔法少女だから。 」」」
どうしてこんな奴らにほんのちょっぴり期待していたのだろう?そうだよ、ゴブに期待するような物なんだったよ。寧ろゴブなら木材位は加工しているはずだよ、棍棒になるんだけどオタよりマシだよ。
「お前等複合弓はどうしたの?愚か者が相手なら、俺は手段を選ばない!って言うかインフェルノ一択だよ?」
木材と鉄板。複合どころかまだ木材の加工も鉄の成型も始まっていないただの木材と鉄板が置いてある。つまり何もしてないんだよ?
「「「違うよ。コンセプトが大事だから会議していたけど決まらないんだよ!」」」
ケモミミと幼女かを決めるのはコンセプトだったらしい。まだケモミミさん何て会った事も無いだろう!会った事無い人用より先ず同級生に作れよ!普通最初は自分の分を作れよ!何でいきなりケモミミなんだよ!
「同級生の複合弓ほったらかしでエルフさん用かケモミミ幼女か決めるどこら辺に概念が入ってたの!妄念と執念しか入って無いよ!怨念でもその頭の中に入れてやろうか!マジで。」
あれ?オタ達が目を見開いてこっち見てる?こっち見んな?何なの?
「「「そうか!ケモミミ幼女という手があったのか!流石遥君!」」」
「もう嫌だ!お家に帰る。こいつ等はやっぱり異世界すら不適合だったよ!もう魔獣どもの世界に召喚されとけよ!魔獣で。」
取り敢えず会話不可能な事が分かったから蹴って踏んで踏み躙ってから設計図を書かせつつ踵を落として大忙しだよ。
「しなる力と反発する力がって…滑車がいるの?弓に?何でいきなり化合弓の設計図なの!いきなり出来るかよ!」
「格好良いしホールドしておく力が半減するから命中率も良いし恰好良いから?」
「うちの女子ってPoW900台とかなのにホールド力半減させなくて良いよね?俺の労力を半減させようよ!しかも恰好良い2回言ったよ、絶対理由それだけだよね!」
片っ端から書かせた設計図を見て行く。この猫耳少女のイラストいるの?弓を詳しく書けよ!出来そうなのは和弓かトルコ弓だろう竹も有るんだが先ずはトルコ弓だ、絞られる内側は堅度が高く圧縮に強い素材を使い引っ張られる外側に伸縮する素材を使う複合弓だ。流線型のW型の形状はリカーブ形状とい言い弓を引き絞った時に反発力が起こる箇所を増やす事で威力を上げているらしい。
「あ~これって弓の外側がゴムで弓の内側がバネの役割なんだ?ハイテクさんなのかな?」
「でも紀元前2,000年以上前からある弓で動物の腱とかを膠で固めていたから雨が降ったら駄目になってたらしいよ?」
無駄知識だ。異世界に召喚されても良いように覚えて来た知識だが無駄になってるよ?だってそれの何処が弓なの?何で弓作ってて木だけ余るの?鉄と革の紐状の物が出来ている、それをオタ達が不思議そうな顔で眺めている。いやどう見ても鞭だから?もうそれ委員長様に渡してお仕置きされて来てくれる?もうつっこむのが面倒なんだよ、何で弓造ってて木を入れ忘れて鞭が出来るなんてことが在りえるの?弓の知識は何のために必要だったの?
そうして試行錯誤しては試作してオタ達に向かって試射して改造しては又試射してみるが死者は出なかった。チッ、あれが「複層結界」か。貫通しきれない。
これだけあれば予備を考えても充分に足りるだろう、どう見ても200以上は有る。どうも最近内職さんが止まらないで暴走しちゃうんだよ?だからきっとレオタードも俺のせいじゃないんだよ?そういう事もあるんだよ?多分。
性能も付与効果も考えれば市販品とは比べ物にならない出来だろう。迷宮の中層クラスのアイテムだってここまでの性能は無いだろう、結局全部俺が造ったから自画自賛で絶賛発売中だよ。
そして今日できた装備で最高の性能がオタ達の造った鞭だったのがまじムカつくんだよ?PoW、SpE、DeXが軒並み50%アップっだったんだよ?魔石付与も無しで。
その後鞭を量産させてみたんだけれどテーブルが出来たらしい?スチールテーブルで表面は革張りだった、それを不思議そうな顔でオタ達が見つめ続けていたからほっといた。なんでこいつ等に期待してしまったのだろう?分かっていたはずなのに。
ちなみに革張りのスチールテーブルは雑貨屋さんで出した途端高額で買われて行った。買われて行くテーブルを不思議そうな顔でオタ達が見つめ続けていた。だってあれ鞭じゃないから武器屋で売れないんだよ?
「ただいまー?みんな揃ってたら弓の販売を始めるよ、試射もしたいだろうから裏庭だよ?的はオタだから死者にしても良いんだよ?ちょっと結界破壊用の矢も作ってみたんだよ。これなら殺れる!」
「「「あっ!オタ君達が逃げた!」」」
全員に弓を支給して狩猟するべきだろうか?いい練習になりそうだ。実戦練習とすら言えるだろう、だが提案したら怒られた?追うのが面倒だったんだろうか?まあ確かに待ち伏せの方が効率的だろう。
「これが弓?不思議な形なんだけど?」
「本当だー。大きさも色々あるんだねー?」
「色までバリエーションがあるから悩む~。」
「高速移動タイプの前衛は小型で後衛弓使いは大型がお勧めだと思うよ?後はパワータイプは大型、連射タイプなら小型?みたいな?」
的は逃げたから的で試し打ちする、これはかなり長距離まで撃てるし初速の速度が凄い。甲冑委員長さんには無しにしよう、モーニングスターよりも危険な気がする。と言うか俺が危険だ!回避できる気がしない!
そして最も心配していた懸案は杞憂だったようで安心した、莫迦たちも自分で放った矢までは追いかけないようだ。良かった良かった?
そうして宿の晩御飯を食べながら迷宮の探索予定と訓練計画の話をしていると尾行っ娘一族の人がやって来てこう告げた。
「王国が戦争を始めるようです。目標は辺境オムイ領、軍は貴族の領軍の連合軍の様です。現在オムイ様にも同じ連絡を届けています、最短で2週間で進軍して来るものと思われます。」
戦争みたいだ?でも無理だと思うよ?