おしゃべり能力が破壊力とか誰かに蔑まれた気がする。
18日目 夜 宿屋 白い変人 女子部屋
宿屋では四人部屋を五つと、一人部屋を1つで部屋分けをした。
一人部屋は遥君。
女子が四人部屋なのは節約も有るけれど護身の為。
馴れたら二人部屋にしても良いんだけれど、何かあった時を考えると四人は必要だと思う。
全員が気配察知と索敵を習得する事を目標にしているけど未だどちらかが半分、どっちも取れたのは4人だけ。
いや、充分なんだよ。
練習を始めて一週間。前から持っていた人も殆ど使いこなせてなかったのが、今では交代で警戒できるんだから。
「あっ、取れた」とか、言ってポンポン取れる誰かさんがおかしいだけだ。
しかも、お魚が取れた時の方が嬉しそうだった、、、。
「飛べるかと思って?」とか、「飛行、取れなかった」とか言う人がおかしいの、皆頑張ってるの。
そして今日半日だけだったが、皆で手分けして情報収集できた。女子のおしゃべり能力でかなりの情報が集まった。
いきなりギルド中を恐怖に陥れ、誰も口を利けなくなったりしたが犯人を隔離したり。
途中、おしゃべり能力が破壊力の誰かのせいで呼ばれて、摘み出して、そこで説明をし直したり。
特例で魔石の買取をお願いしたのに買い取りカウンターをパニックに陥れた人を正座させたり。
色んなトラブルもあったけど、トラブルの原因は反省してないけど、、、聞き出す内容を事前に纏め、20人で手分けしたから知りたかった情報は大分集まったと思う。
良い情報も、悪い情報も。
良い情報は、この街は比較的安全なようだ。
何故なら、定期的に小田君達が現れているみたいだから。
小田君達は危険や不穏を感じたら其処に近付かない本能を持ってる。
定期的と言う事は、他の街と行き来しているのか、近くに拠点を作っているのかのどっちかだと思う。
これで、島崎さん達も漸く会えるだろう、島崎さんたちは本当に変わった、みんな吃驚しているくらいだ。
でも、ちゃんとお話して分った。
今の島崎さんたちが本当の島崎さんたちだって。
きっと、沢山嫌な事や、辛い事が有ったんだと思う、それで、いつも攻撃的に、排他的に、何時も強気でいた。
そうやって、虚勢を張って自分達を守っていた、怯えていた。
でも、こんな世界で虚勢を張っても誰も助けて何かくれない、それでも、弱みを見せられなかった。
そうして、味方がいない。
森の中で、
魔物がいて、
男子はおかしくなり、
私達は、、、見捨てた。
死ぬ。自分達はもう直ぐ死ぬって、、、、。
そう思って、そんな自分達を助けてくれていたのが、
自分達が酷い事をしていた小田君達だと、
いつの間にか、自分達が嫌な事や、辛い事をしている側になってて、
その、自分達が酷い事をしていた小田君達だったと、
殺されそうになり、逃出すまで、そして、誰にも助けられずに逃亡してしまった。
だから、死ぬ前に謝りたい。
ならば、死ぬ前にありがとうと言いたい。
私達は、、、、信じなかった。
そんな、島崎さんたちの言葉を、
それでも、私達に謝罪をし、
森の中へ、小田君達が行った、森の中へ、、、、消えていった。
本当は、本当なら、そのまま森の中で消えていただろう、、。
戦った事も無い、Lvも1のままの女の子が5人、、、消えていただろう。
誰も救われなかっただろう。
誰もが、心を閉ざしてしまったから。
そして、私達も森の中で、、、消えていただろう。
でも、誰も救われなかったはずの未来は、虐殺された。
魔物の形をした死は皆殺しにされた。
島崎さんたちも。
私達も。
助けられた?救われた?それは、蹂躙だった。
私達の最期が、
私達の絶望が、
私達の死が、
蹂躙された。
目の前で。
「こんなとこで、何してんの?」って。
死なんか、蹂躙すれば良いじゃん?って、
絶望なんて、撲殺すればいいって、
最期なんて、引き伸ばせば永遠だって、、。
そんな事が出来る訳が無い。
誰だって思う。
そう思ってた。
でも、目の前で、
当たり前の様に、
それが普通だと、
やって見せられた。
実行された。
見せつけられた。
出来る訳がない何て言い訳だと。
私達の諦めは、遥君に虐殺されてしまった。
私達は、いつの間にか笑えるようになった。
明日の事を話せるようになった。
楽しい事を考えられるようになれた。
だって、どうせ悲劇なんて撲殺されるんだから。
行き止まりの袋小路なんか爆散されるんだから。
「殺れば出来るよ?」
皆固まってた。
私もだ。
でも、殺っちゃうのだ。
それが、遥君だ。
やっと、島崎さんたちは、小田君に会える。
でも、遥君がいなくなってしまう。
最期なんて、引き伸ばせば永遠になるんなら、
遥君とのお別れなんて、私達が蹂躙すればいい。
今まで散々、自分がしてきたんだから。文句は言わせないよ。
そして、悪い情報は、、、。
18日目終了