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美人女暗殺者さんなら全部溶かして触手さんでも許されるかもしれない。

54日目 夕方 偽迷宮前の城



 謁見室用の部屋まで案内して帰ろうとしたら側近の人に止められてる?あれっ撃退したらお仕事終わりじゃ無いの?もう誰も出て来ないよ、期待しても全裸のおっさんも出て来ないんだよ?期待してるの?側近の人だけは俺と同じまともな人だと思っていたら一番ヤバい人だったの!逃げよう、危険が危ない!


 「シャリセレス王女閣下。此方が謁見の間になるそうです。むさ苦しい所……って違うからね!何の文句も無い立派な謁見室です。ありがとうございます、最高ですよー!遥君の作った謁見の間に文句なんて一欠片も無いからね?ね?」


 「いや怒って無いから。不満があるんなら手直ししようかと思っただけなんだよ?何で伯爵と王女が脅えるの?リクエストとか有ったら直すよ?罠とか付けてみる?」


 確かに不用心だったかもしれない。敵の間者が通されるとしたらここになる筈だ、暗殺者対策が必要だ、美人女暗殺者さん用の罠もきっと必要に違いない。そしてきっと美人女暗殺者さんだったら全部溶かしても怒られないだろう、触手さんも許されるかもしれない。おっさん用は落とし穴で充分だよ、出て来なくて良いし。


 「罠を付けるんですか!また溶かされちゃうんですか!許して下さい。ごめんなさい。酷い事しないで下さい。溶かさないで下さい。ごめんなさい。酷い事しないで下さい。許して下さい。ごめんなさい。エロい事もしないで下さい。許して下さい。ごめんなさい。ごめんなさい。…。」


 怒られた?


 (ポヨポヨ!)


 叱られた?


 あれ?手直しのリクエストを聞くと王女っ娘が脅えて怒られるの?リフォームが嫌いなのだろうか、まさか新築派の手の者か!いや?でもここ新築なんだよ?うん、さっき建ったばっかりなんだよ?建ちたてほやほやの新築物件さんなんだよ、何がいけなかったか分からないが俺は悪くないだろう。悪かった事が無いんだし?


 「先ほどもお伺いしましたがこの見事な城塞はオムイ様のお城ですよね、どうして其処の…遠方の方にお伺いを立てているのですか?そして話し方が砕けて砕け散ってしまっていますよ?此方の遥様と言われるお方は偉い方なのでしょうか?エロい方だったらめんなさい。エロい事しないで下さい。許して下さい。ごめんなさい。ごめんなさい。…。」


 「謝られている様に見せ掛けているけれどエロい方とか言われてるんだよ?羅神眼で見つけて即座に甲冑委員長さんに服を届けさせて、スライムさんに壁になって貰ったから誰にも見られなくて済んだんだよ?即座に行かせたからドレスがエロいのは気にしたら駄目なんだよ?まあ確かに今晩そのドレスでエロい今晩を一晩中がオールナイトだったりする予定だったのは秘密なんだよ。ふぃーぶぁーみたいな?」


 「やっぱり私がこのエロいドレスを着せられたのって今晩このドレスでエロい事を一晩中でオールナイトでされちゃったりする予定だったのですね?誰に秘密なんでしょう?ごめんなさい。エロ事しないで下さい。ドレスでエロい事を一晩中は許して下さい。ごめんなさい。エロい事は駄目なんです許して下さい。ふぃーぶぁーされちゃうの?ごめんなさい。ごめんなさい。……。」

 

 甲冑委員長さんが王女っ娘をポンポンしてあげながらジト目でこっちを見てる。いや俺何にも間違ったこと言って無いよね?ちゃんとフォローしきっていたよね?あとメリお父ーさんも溜息ついてないで何とかしてくれないかなー?これを見られたらめちゃ怒られそうなんだよ?冤罪で有罪で罪人扱いなんだよ。


 「この名も無き土地に出来た名も無きお城は俺はいらないから名も無きメリお父ーさんにあげるって言うか押し付けるって言うか?あると便利だよ?名前も有るともっと便利なんだよ?メリメリさんに任せてメリメリ城とかにしちゃう?でもメリメリ城だとメリメリと壊されそうで縁起が悪くてグレてるよ?じゃあメリお母さんに任せてムリムリ城。おおっ、強そうだよ!攻め落とすのも無理無理っぽいよ、もう夫婦げんかでも難攻不落だよ!」


 「やめてー。夫婦喧嘩はいつも負けてるのに城まで渡さないでくれないかな?このお城にたて込まれたら謝りに来た辺境軍ごと滅びちゃうからね?やめてね?あと名前あるから覚えてね、あれだけ言ってるのにメリとムリの2語しか覚えてないよね?私の名前は入って無いんだよ?名前有るんだからね?」


 メリお父ーさんはさっき王女っ娘に無敗の騎士とか呼ばれてたんだけど夫婦喧嘩でいつも負けてる無敗の騎士は騎士に向いて無いんでは無いだろうか、もしかすると夫婦喧嘩で怒られるから八つ当たりで無敗の騎士なんじゃ無いのだろうか。うん、気持ちは良く解る。


 「よく考えたら謁見の間ってメリお父ーさんは良いけど俺達の座る所が無いんだよ?隣りに会議室があるからそこで座って話せば良いよ。どうして俺が帰れないのかは分からないけど帰れないなら晩御飯でも作ってるからお話しててよ。きっとご飯を作らないからスライムさんに叱られてるんだよ。こっちこっち。」


 ようやくみんなで椅子に掛けてお話合いが始まる様だ、どうも異世界では話がこんがらかって先に進まないんだよ。異世界言語の文法がおかしいのかも知れない、だって誰もが俺の言っている事を委員長に通訳させようとするんだよ?


 「…。えっ?」


 「…。これは?」


 やはり謁見の間を友好的且つ開放的にして隣接した会議室でこそ威圧をかけるべきだ。交渉の場で言葉は武器だ、だから黙らせて一気に気圧す。高い天井に精密に並び立つ柱とその中央に並ぶ円卓。取り囲まれる様な錯覚に陥るだろう、デザインによる圧迫面接だ。良い出来なんだよ?誰も褒めてくれないから自分で描写してみてるんだよ?だって誰も褒めてくれなんだよ。


 「まあまあ遠い所をようこそ的な?おかけになってお寛ぎ下さいませ~みたいな?だから立ってないで座ってね?一生懸命作ったんだよ?多分?俺も初めて見るんだけど?」


 そうしてようやく会議と言うか話し合いと言うか情報を聞き出すと言うか謝られて怒られると言うか、始まった。


 結局未だに王国と言うか中央貴族と言うか王国の中枢が辺境を脅しつけようと息撒いているらしい、軍部は無駄と知りつつ命令に従い最善を尽くして壊滅する気だったようだ。お馬鹿さんだ、莫迦より馬鹿がいた。もう異世界には馬鹿とおっさんしかいないのだろうか、何で勝てないと理解して命令を聞くのだろう?守る為に戦いが避けられないと言うならば分かる。だが負ける為に攻めるなんて意味が無い、少なくとも命を懸けるだけの価値が無い。莫迦より馬鹿がいた。うちの莫迦達だってそんな馬鹿な事はしない。死ぬ事に意義すら見いだせずに死ぬ様な馬鹿はいない。


 「遥君。シャリセレス王女が泣きそうだからって言うか実は泣いているから睨まないであげてね?私も怖いから睨まないでね?王女は…シャリセレス王女閣下は最精鋭の軍で壊滅する事によって王国を止めて辺境を守ろうとして下さったのだ、御自身の身と命を持ってして戦争を止めようとされたのだよ。だから頼む、許してあげてくれないか?頼む、遥君。」


 「オムイ様!」


 メリお父さんは跪き頭を下げる。怒っている俺と泣いている王女様に。


 王国の王女が率いる最精鋭の軍が壊滅して見せて馬鹿貴族に勝てない事を思い知らせようとした、どっちも馬鹿だ。どうせ戦って壊滅するなら相手は馬鹿貴族だ。辺境で自滅したところで王国の損失しかない。莫迦達ならそうする、そしてそれが正しい。莫迦だけど。


 「頼まなくて良いし謝らなくても良いし何にもしないよ?ただ馬鹿にして呆れて蔑んでて怒ってるだけだから気にしないでね?何にもする気無いから、する価値が無いんだよ?死ぬ人間に何かする価値なんて何にも無いんだよ?生きようとしてるから助けたり手伝ったりお菓子あげたりできるけど死ぬ人はどうしようもないから良いんだよ?だからどうでも良いからもう帰っても良い?」


 「愚かであっても是しか無いんです!これしか無かったんです!貴族と争えば国が割れて王族すら割れてしまいます、王国にはこれしか無かったのです。他にどうしろとおっしゃるのですか?どうにもならないではないですか!何処に自ら死にたいものがいると言うのですか!」


 違ったらしい?じゃあお菓子をあげよう。生きていれば、生きているから美味しいお菓子が食べられるのだから。


 「どうにもならない事はどうしようもないんだよ?どうしろとおっしゃるもぽっしゃるも何もどうしようもないんだよ?どうしようもない王国が割れたってどうしようもない王族が割れてしまったってどうでもいいんだよ?だって纏まって無いから纏まれないからどうしようもないのにそれが今更割れてどうだって言うの?割れてるのに割られて砕け散るのが嫌だったら割れなきゃ良いし砕かれるような事をしなければいいんだよ?そんなもの割れない様に守ってどうするの?だから無駄死になんだよ?死ぬくらいなら殺す方が正しいんだよ?だって死んだら死んじゃうんだよ?お菓子だってもう食べられないよ?はいお菓子。これはスイートポテトさんで尾行っ娘曰く甘美味しいんだよ?尾行っ娘も死にに行ってたけど死ななかったから毎日お菓子を食べて笑ってるんだよ。死んじゃってたら食べれなかったんだよ。だから死なんだよ。身を捨てるとか命を懸けるとか王国の為とかどうでも良いんだよ、死んだら終わっちゃうんだから。偶に生き返るみたいだけど?」


 そう。普通死ぬと終わりでどうしようもないんだけど、横でウンウンしてる人は死んじゃったからスケルトンさんだったけど今でも元気に生き返って毎日お菓子を食べていたりする。死んでも死ななかったのだから見習ってほしいものだ。全くみんな誰だって死にたくなんて無かったって言うのに。この辺境の地の底には死しても諦めずに戦い続けた人がいたって言うのに簡単に死なないで欲しいよ。


お読み頂いてありがとうございます。

ブックマーク登録、評価頂きありがとうございます、また沢山の御感想を戴き本当にありがとうございました、活かせるだけの文章が書けるか分かりませんが参考にさせて頂きます。

相も変わらずの修正も手付かずの殴り書き状態で申し訳ありません。


ブックマーク登録を8,000件頂いておりましたありがとうございます、評価も350人近く頂き本当にありがとうございます。(ついこの間ブックマーク7,000件と評価を3000人も頂いて慌てて続きを書いたんですが…夕方に頂いた御感想の返事を書いていたら気付いてまた必死で書き上げました。)


こんな誤字脱字を集めて固めて乱文にしたようなお話をお礼とは烏滸がましくて言えませんがお礼文を書こうと思うと投稿するしかないのでまた投稿させて頂きました、分不相応な評価を頂きありがとうございます。心より感謝申し上げます。

これからも細々と迷走しながら進めていこうと思っております、もし気に入って頂けてお付き合い頂ければ本当に幸いです。

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[良い点] 言葉の羅列が凄い 筒井康隆さんの作品を読んでいるみたい [気になる点] 読み飛ばして読んでいいかな?
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