全く分かり合えない、異世界語は難解な様だ。
18日目 朝 野営 テント前
残念ながら、スキルに「飛行」はなかった、「打ち上げ」も「錐揉み」も「墜落」も無かった。
みんな、ごそごそと起き出し、川で顔を洗っている。
朝御飯は、お魚だ、川から離れると茸になってしまう。
今のうちにお魚だったら魚だ。
「「「やっと森から出られたー!!」」」
草原だ、丘陸だから平原ではないだろう、見通しは森より良いが、遠くは無理だ、千里眼も丘が邪魔で使えない。
此処はやはり飛ぶしかないのだろうか、、、楽しかったし。まあ、打ち上げて、落ちたのだから飛んでないのだが。
そう、飛び上がった後、落ちるだけと言うのが問題なのだ。
昨日もバランスを崩して錐揉み落下していなくても、やはり、墜落したのだ。うん、着地の事何も考えて無かったよ。よく飛んだよねー?俺。
人類はこれから1000年たっても飛ぶことはできないだろう、但し異世界は除く。
着陸をどうするか?
パラシュートを作ればいけるのか?いや、パラシュートはかなりの高さが無いと減速の効果が無い。其処まで高くは上がっていないだろうし、作り方もわからないし材料も無い。
飛行魔法の代わりになるものが有れば良いが、取り合えず着地に役立つもの。う~ん、ステータスを眺めながら考える。
歩行と移動と斤量は離陸用だ、梱包と魔力纏は墜落用だ、うーん、飛行だって移動なんだから補助効果くらいは有るかもしれない、離陸後も必要かも?
あっ、パラシュートが駄目なら、風魔法でエアクッションを造れば墜落の衝撃を弱める事もできる?方向を逸らす事もできるんじゃないのか?
というより空中で使えば、飛行出来ないかなー?うんうん、そうだよ、、、
「おぉーい、遥君ーっ、聞いてるー?」
あれ、エアウォークで駆け上がった?空を?それってもしかして?
「私の話を、聞けーーーっ!!」
をおぉー、吃驚したーっ!なんだなんだ!?私の話を聞け!?銀河の噺家?歌姫ではなく委員長のようだ。空を飛びながら変型は無理だろう。痛そうだよ?
「ちょっと向こうの方で変な気配?がするんだけど、千里眼で見えないかなーって、ずーっと、ずーっと聞いてるんだけど?」
「んー、あー魔物に誰か襲われてる?おっさんとおっさんと、、?鎧と、、弓使いと魔法使い?え~と?もう1人で6人かな?」
「えっ、それって助けなくて大丈夫なの?勝てそうなの?」
委員長は目にも見えない程の遠くのおっさん達を心配している。
俺はおっさん達を警戒している。
魔物に襲われているからと言って、人間だからと言って、好い奴なんて保障は何処にも無い。
魔物に襲われている盗賊を助けて、その盗賊に襲われる。
寧ろ、委員長達が危ないのはそっちだろう。
危険だと知っている上で、なんちゃって達を、全員一致で追放したのだ。
つまり、誰一人として殺そうと行動しなかった。
そして、復讐されてオタ達は逃げた。
向こうは殺そうと、奴隷にしようとしても殺せないのだ。
悪意を持った人間に対して、余りにも甘すぎる。
其れをして良いのは、相手が何をしようと絶対に傷つける事すら不可能な程の実力差を持った者だけだ。
街まで付いてきた最大の理由は、魔物よりも人間の方が危険だからだ。
「遥君助けに行こう。足の速いメンバーで。」
「この距離で走って行っても間に合わないし、盗賊だったらどうすんの?」
見た限りでは、剣のおっさん、槍のおっさん、全身鎧、倒れた馬車の陰に髪の長い弓使い、フードを被った魔法使い、その間にもう一人。身なりは悪くないが、だからと言って人間性なんて解らない、身なりの良い貴族だからって信用なんて出来ない。助ける理由が無い。
対して魔物は狼か犬、犬顔じゃなくて。30ちょっとの群れで、動きから見て連携持ち。一度崩れれば一気にやられるだろう。足の速い数人で駆け付けても、数の差で返り討ちに合うかもしれない。
「遥君。その人たちが悪人で仲間を傷付けようとしたら私が殺します。でも、悪人かどうか解らないなら助けてあげたい。でも、私達には無理なのなら、お願いしますあの人たちを助けて下さい。」
まあ、そう言うんだろうなー。解らないからと言って全ての人を疑うなら街なんて行かない方がいい、人に会う意味が無いからだ。
それでも甘いなりに覚悟してるんだろう、どうなるかは解らないが後悔せずに反省出来る様にしてやれば良いんだろう。其の為に付いて来たんだし。
「じゃあ行ってくるよ?警戒はしておいて。どんな時でも。」
「うん、こっちは絶対守るから、お願い。」
この距離を走って行っても間に合わない。だが昨日の移動、歩行、魔力纏、斤量のカルテットで駆ければ間に合うかも知れない。間に合わないかも知れない?
ならば、賭けだ。
さっき思い付いたが出来るかどうかは解らない。しかし間に合うだろう、何せ一瞬だ。
駆けながら魔力纏で身体を強化、斤量魔法で重さを消し駆ける、移動魔法を掛けたまま、風魔法を纏い、空を駆ける。昨日は打ち上がったと思い込んでいたが駆け上がっていたんだ、じゃなきゃエアウォーク何てする筈が無いんだから。
本当に一瞬だ。移動と風を纏い空を蹴り加速する。速度は何処までも上がり千里眼で見ていたはずの光景が瞬く間に目の前に現れる。って言うか止まれないんだよ?10匹以上の狼を巻き込んで超低空で落下する、衝突する、絡まり、転がり、吹き飛び、爆散する。そう言えば止まる方法考えて無かったよ。
「えーと、大丈夫?」
「「「「いや、、、そっちが大丈夫か?」」」」
うん、大丈夫そうだ。狼達は大丈夫そうじゃない半分以上が動かない、集団狼身事故だ。
目に見えない距離を数秒で駆け抜けたんだから時速4桁は確実だろう。
10Kmを10秒だったとしても時速3600Km、ほぼ音速。
マッハ超えちゃってる、ソニックブーム付きだったんだろうか?
軽く10Km以上あったし10秒も掛かってない。
そりゃあ、ぶつかったら死ぬよね狼さんも、破片になって吹き飛んだ狼さんの破片にぶつかった狼さんも破片になって死んでいる、ただ吹き飛んでいった狼さんも虫の息だ。衝撃波だろうか?土煙も上がっている。
ウィンドカッターで生き残りをしとめ、おっさん達に近付く。
「怪我は無い?ポーションいる?茸味だけど?」
怪我は無かったようだ、俺が一番の大怪我だったようだ。衝突事故の張本人だ。茸ポーションは不味かった。
・
・
・
「あらためて礼を言わせて貰う、助かった、ありがとう。あのままだと確実に全滅だった。おれは、このパーティーのリーダーでオフタと言う。仲間も助けて貰った、ありがとう」
「兄ちゃん、感謝する。もう駄目だとおもったぜ、オムイの街に行くんだろう?絶対礼をするからな。俺はガテク、酒もおごるぞ」
おっさん達は、頭を下げ礼を言ってくる。
全身鎧や後衛3人は馬車の後ろで治療しているようだ、おっさん2人も様子を見に行った。やはり街があるようだ、オムイの街。
オ、、フ?、、おっさん達もその街から来たようだ、ただ、俺には情報を聞き出す話術が無い、委員長達の女子力に任せよう。
女子達も走ってこちらに向かって来ているが、まだ掛かりそうだ。まだ遠いのに、、、千里眼使ってないのに、、、この距離で揺れているのが解るだと?、、、この距離で睨まれました。
「さっきのグリーンウルフが群れで商人を襲っててな、冒険者ギルドに依頼が出たんだよ。数は6~8って情報だったんだが、、、30以上居たなありゃあ、間違いなく死んでたわ。」
「37匹だな、一匹ビックグリーンウルフって言うのが居たぞ、ほら、最初に破片になったでかい奴。」
「マジか、ビックグリーンウルフだと一匹でもやばい、ギルドの馬鹿はなんて依頼出しやがったんだ。」
槍のおっさんがオコだ、ゲキオコだ。まあ、ギルドの情報を信じて全滅しかかったんだ、ぷんぷん丸もしかたないんだろう。
馬車も駄目そうだ、馬死んでるし、車輪捥げてる、一応倒れてるのを起こしたが、置いて行くしかないだろう。
「馬車を楯に攻撃する積もりだったんだが、ビックグリーンウルフがいたんなら無理だな、くそっ!」
「あ~、大損害だな。飲み屋のツケどうしょう?」
結局、荷物は6人で手分けして持ち帰るらしい。
知らない人間にアイテム袋を見せるわけに行かないので、黙って、見てる。
暇なので、串に体力茸を刺して、炙って塩をして渡す、大した怪我は無くてもダメージも疲労も有るだろう。そんなアナタに茸ドーピング!怪しい通販を始められそうだ。
「美味しいー、こんな茸初めてかも。何か、元気になってきた?」
「うまい、これ体力茸だろっ!こんな貴重なもん、、ありがとうな」
「えっ!?本当に回復してる?HP茸って言う奴なの?」
「体力茸!?本当だ!痛みが無くなった!ありがとう、少年。命まで救って貰い、感謝の言葉も無い、ありがとう」
皆さん、茸に大満足だ。実は貴重な物らしい、あんだけ生えてるのに。
おっさん2人以外は、みんな若い女の子だった。
全身鎧までモデルさんですかっ?って言う位の西洋美女だった。
後ろで弓矢撃ってた美女なんてエルフさんだっ。
よし、おっさんは敵みたいだ、倒しても問題ないだろう。
「ちょっと!遥君!何でかな?今攻撃モードに入ろうとしなかった?どうしてオフタさんとガテクさんをジト目で見てるの!!」
怒られた?流石は本家ジトさん。一発で攻撃モードを見抜いてきた、委員長のジト目は伊達じゃない!
「おー、やっと追いついた?おつかれ?」
「いや、私はさっきから居たよ?一応警戒してたよ?」
うん、ちゃんと俺の後ろでおっさん達を警戒していた。全身鎧さんがお礼を言いながら手を握って来た時には殺気まで飛ばしていた、俺の警護をしていてくれたのだろう。何か殺気が俺の方に来たような気がしたが?気のせいだろう。
街は川沿い有る様だ、ちゃんと有った。オタ理論は正しかった、とりあえず狩るのは止めよう。
オムイの街、、何て覚え難そうな名前だ、きっと街に着くまでに絶対忘れるだろう。
おっさん達の名前も覚え難そうな名前だったと思うが、憶えてないから良いだろう。
全身鎧の西洋モデル系美女は、アーケミーさんだそうだ、ケミーでもアミーでも良いらしい。アケミさんだと、スナックで働いていそうだ、通おう、高校生は入れるだろうか?
「きゃああぁ、凄い美人さんだ!まじエルフさんだ!動く美術品だー!」と、何故かJKに大人気のエルフさんはキリキルさん。古文の3段活用の様な名前だ。
全身鎧さんも、「キャアー、カッコイイ!握手して下さい。」と、JKのモテモテだ、宝塚のノリなのか?
後の二人は魔法使いと聖術師のイェブギィークさんとゲヴェンティエさん。
どちらも可愛い系だが無理、絶対無理。憶える所か、発音で無理。実際パーティメンバーもイブとティーと呼んでるから、みんな無理だったのだろう。
正副委員長達と話しながら歩いている、俺にはおっさん2人?女子が24人もいるのにおっさん2人?
「うーん?やっぱりこっちの固有名詞って聞き馴染みが無いせいか憶えにくいよなー?」
何故だろう?背中に40の睨みを感じる、振り向いたら視線だけで殺られそうだ。
18日目 昼過ぎ オムイの街
ヨーロッパ所か、日本から出た事無いのでヨーロッパ風なのかは分らない。
中世にも生まれてなかったから中世風なのかは分らない。
異世界だって始めてきたから異世界風なのかも分らない。
何ていうか石造り?っていうか石積んだっ。ていう感じの建物だ。
こういう風に造ろうとした訳じゃなく、造ったらこうなった見たいな建物だ。
景観条例で石造りにした訳でも無いだろうって感じの、何か全部石って感じの街だ。
ナチュラル志向な訳でも無いだろう、材料が石と木。それだけの理由だ。
街の人の顔付はほぼみんな西洋人系?西洋の彫刻見たいに彫が深い。イケメンも多い、そんなに彫が深いのが良いなら彫りまくって抉りこんでやろうか!って感じだよ?
美人さんも多い、可愛い系は子供くらいで大人は美人さんって感じだ。とてもとても良い事だ。
おっちゃんたちに連れられて、街の中に入る時にお金がいるみたいだったが、魔石で良い様だったので21人分払っておいた、4個で足りた。小銭でおつりも貰った。
何に使うか解らない魔石がごろごろごろごろアイテム袋に入ってる、4個減ってもなにも代わらない位入ってる、まあ、茸程じゃないけど。
委員長の計画は冒険者ギルドに行って、換金、登録、その後宿。その時々でオタ達に情報を集める。
オタ達が見つかれば、異世界の情報収集も直ぐに終わるだろう。
と、言う訳でぞろぞろと冒険者ギルドへと向かう、道案内しているおっちゃんたちはギルドに怒鳴り込む気満々だ、異世界っ娘達は女子の群れに飲み込まれ同化してしまっている。
黄色い看板、あれかっ?おおぉー、リアル冒険者ギルドっ!って只の建物だ、みんな石造りだし。
おっちゃんたちは我慢出来ずに駆け込んでいった、いい年をして落ち着きが無いなー。
中に入ると、一斉に視線が集まる、俺に?
モテモテ?いや、殆ど野郎だ、お断りだ。
何か感じの悪い視線も多いなぁー、舌打ちも聞こえたぞ?空気悪いやら、感じ悪いやら、顔も悪いやらうざい奴らだ。
何か一番ごつくて、ガラと顔と頭が悪そうな、と言うか間違いなく悪い男達が立ち上がりコッチを睨みながら歩いて来る。
うわー、まじテンプレだ、めんどくせーっ。
あー、あれか?男が一人で女子を何人も連れているのが気に喰わないとかなのか?
うん、俺もそんな奴いたら気に喰わない所の話じゃない、何そいつ?まじムカつく!
うん、ラノベでも新人が可愛い娘連れて冒険者ギルドへ入れば絡まれる。定番で鉄板でテンプレだ。
一人か二人でも絡まれる。
三人、四人いたら絶対だ!
五、六人とか言ったら入ってきた瞬間総攻撃でも良い位だ。
七、八、九人ならもう、ギルドの職員も襲い掛かるだろう。
十人とか二桁って舐めてるの?って街中で説教だ!赦すまじ!
二十四人です、もう国が動くな。もう、人族の敵だ、滅ぼそう!納得だ!?
「おいっ!そこの目付きの悪いガキッ!!」
、、、。
「はっ?今何て言ったの?ゴブより顔と柄と頭と育ちと女運と将来性と人格と性格と根性と性根の悪い。ってか悪すぎて酷いとか惨い迄行っちゃった顔のそこの馬鹿な生き物さん。その酷くて惨くて悪くて、悲しい顔で誰の目付きに文句つけてるの!?」
もう、ゲキオコプンプン丸だよ、この人相の悪さグランプリ受賞見たいな顔の奴に、何で目付き悪いとか言われてんの?
「もう一回言って、、、あれっ?」
ガラと顔と頭と育ちと女運と将来性と人格と性格と根性と性根の悪い酷くて惨くて悪くて悲しい顔の野郎達が床に座り込んで泣きながら震え土下座してる?何なの?人に絡んどいて、何なの?
「はーるーかーくーん!もう駄目だよー、後ろの人達迄泣いてるよー、ギルドのお姉さんまで震えてるよー、もう、睨んじゃ駄目ー!」
あれっ?いや、睨んだよっ、そりゃー?一寸位睨むよねー?何この惨状?何で舌打ちしてた奴とかテーブルの下に潜ってんの?防災訓練なの?俺の目付き災害指定なの!?
もういいよ、なんなんだよ、アイテムのコンタクトちゃんと入れてるよ。瞳が良くなるって書いてあったよ?何この扱い?あの酷い顔で睨み付けてきたのに、ちょっと睨んだら俺が悪いの?なんなの?一体!?
・
・
・
何故か委員長から隔離処置を受けた。異世界虐めだ。
冒険者ギルドの隅っこで、ぼっちだ。
冒険者達も一切コッチ見ない。
各自丸いテーブルに座ってるんだから一人は絶対コッチに向く筈なのに目が合わない。
何かもう、首大丈夫って言うくらい無理矢理に顔を背けてる。
いや、お前等が睨んで来たんじゃん?何で俺悪者?
なんて酷い街だろう、オタ達も苛められて追い出されてるかもしれない。
綺麗な受付のお姉さんも、コッチ見ない。
怖い顔の冒険者さんも、コッチ見ない。
強そうな鎧の騎士っぽい人も、コッチ見ない。
美人な剣士さんも、コッチ見ない。
怪しいフードを被った魔術師さんも、コッチ見ない。
暇だ。
あっ、おっさん達が戻ってきた。
槍のおっちゃんが周りを見回して、訝しむ。
「お待たせって、この異様な雰囲気は何が在ったんだ?手前等まさか俺達の恩人に絡んだんじゃないだろーなー?」
槍のおっちゃんが、周りを睨むが、誰もコッチを見ない。
「、、、何が在ったの?これ?」
「あー、入ってきたら、絡まれて?文句言われて?今苛められてる所?」
なぜか、ギルド中の人が一斉に首を横にぶんぶんと振る。いや、苛めじゃん、これ。
剣のおっちゃんもこっち来た、
「すまないが、少し時間を貰って言いか、グリーンウルフの事で聞きたい事が在るらしいんだ、、。なんで皆遠くを見ているんだ?」
「あー、新人いびり?とか、余所者苛め?的な?」
またも、ギルド中の人が一斉に首を横にぶんぶんと振る。え~、苛めだから、絶対。
「聞きたい事って、俺に?グリーンウルフの事聞かれても、いきなり爆散したから、良く見てないよ?」
「「いきなり爆散って、犯人だよね!当事者だよね!別にグリーンウルフについて聞きたい訳じゃないから。」」
「何か解らないけど、暇だから良いよ。」
お話は2階であるらしい、バーの真ん中を通ったのに、誰とも目が合わないとか、、、。
「連れて来た、はいるぞ。」
「ああー、入ってくれ」
中に入るとおっさん。もう嫌だ、何このおっさん率の高さ。
女の子24人連れて絡まれたのに、周りは皆おっさん。
「オムイの冒険者ギルドのギルド長をやってる、ハキエスと言う。呼びつけてすまない。」
「いや、良いけど、、聞きたい事が在るって聞いて来たんだけど?」
ギルド長のおっさんが頭を下げてきた、なに?グリーンウルフの飼い主。放し飼い?何で謝ってんの?
「オフタたちを助けて貰った事、礼を言わせてくれ。ありがとう。今回の依頼は完全にギルドのミスだ。Bクラスパーティー一組では全滅する内容だ。
冒険者パーティーが通り掛ったからと言って、救助なんて不可能だろう。本当に助かった。」
「いや、だから、、救助されたっていうかな?ビックグリーンウルフも、、、壊滅した?この兄ちゃんが」
「!?、ビックグリーンウルフが出た?直ぐに連絡して封鎖をかけよう、、、「だから、壊滅したんだ」、、、はぁ?」
「いや、お前達が助かったのに、何処の誰が壊滅されたんだ?」
「何処の誰じゃない。ビックグリーンウルフもグリーンウルフの群れも壊滅だ」
うん、話が噛み合っていない、まったく、最近の異世界人は報連相も出来ないのか、嘆かわしい。
「おっちゃん達の情報で間違いないはずだぞ?ビックグリーンウルフとグリーンウルフ36匹に襲われてた。で皆死んだ?」
「いや、皆助かったと聞いたぞ?」
駄目だ、全く通じていない。
「ビックグリーンウルフとグリーンウルフ36匹の合計37匹はお亡くなりになりました。」
「お亡くなりになりましたって、、、何故?」
「何故って?何ていうか、おっちゃん達助けに行ったら、ぶつかった?みたいな?」
「はあ?ぶつかったと言うとオフタ達に?」
「いや、おっちゃん達弾け飛んでないから!此処いるじゃん!」
何故だろう?全く分かり合えない?異世界語は難解な様だ。
「本当に?真面目に?話してる?」
あっ、エルフさんだ。やっとおっさん成分が薄まった。
「キリキルか、無事で良かった。今回の件は本当にすまなかった。」
「そっちは置いておいて、ビックグリーンウルフとグリーンウルフ36匹は討伐されました、そこの遥君に。だから、グリーンウルフの依頼は解決済み。以上。」
「、、、?えー、遥君?、、、討伐したのかい?」
「いや、だから、ぶつかったら弾け飛んだ?的な?」
「もう嫌だよ、こいつ等。」
エルフさんが困ってる。エルフさんを困らせるなんて、まったく何ておっさん達だ。
・
・
・
何故か委員長から摘み出された。異世界虐待だ。
冒険者ギルドの隅っこで、ぼっちだ。
呼ばれたから行ったのに。聞かれたから答えたのに。
18日目 夕方 オムイのギルド ギルド長室
最後に、遥君を呼び戻して、確認を取る。
「つまり遥君が倒したという事で良いのかい?」
信じられない話だが、全員の話は一致しているし、オフタはこんな重大な話の時に冗談やうそは言わない。
「倒したと言われても、、、どうやって倒したんだ?たった一人で」
不可能だ、一人で倒す何て事が出来るのは、Sランク以上、Lv100越えの化け物位だろう。
そして、遥君はLv9。レベルの壁すら超えていない、冒険者見習いにも為れない、弱い魔物に辛うじて勝てる位だろう。
「倒したというか、事故的な?衝突したら、弾け飛んだー?何て言うか、良くある集団狼身事故?」
駄目だ、全く意味が解らない。だが、誰も否定しないという事は事実だという事だ。集団狼身事故?良くあるのか?
解った事は、ビックグリーンウルフの群れは討伐された。オフタたちは全員無事だった。遥君が助けてくれた。其れだけで良いだろう。其れだけで充分だ。
集団狼身事故については、本部に問い合わせてみよう。この支部には無い情報だ。
18日目 夕方 オムイのギルド 買い取りカウンター
「F級?の魔石の買取をお願いします?」
何故疑問系?あ、さっきの人だ、丁寧に、丁寧に。
「F級の魔石ですね。大きさや、純度で値段が違うので、此方で鑑定して金額を提示させて頂きますが、よろしいですか?」
「何処に出したらいいの?」
「え?このカウンターにお願いします?」
他の何処に出そうと思っているんだろう?買い取りカウンターなのに、、、。
「?落ちない?」
「えーと?落ちないように真ん中に置いて下さい。」
「?真ん中、、、、?あー、魔法的な何かか!成る程。」
カウンターに魔法的な何か?
その人は、カウンターの上に袋を引っくり返し、、、た、、、あっ?、、、。」
その日、カウンタの上の魔石の山と、零れ落ちた魔石を拾い集めて鑑定するのに20人の職員が徹夜した。もう、嫌だ、あの人。
18日目 夕方 オムイのギルド
無事、委員長達は冒険者登録も済み、魔石も換金できたようだ。
Lv30越えのチート持ちが20名も登録に来て、窓口のお姉さん達も大騒ぎだったそうだ。
俺は、おっさん達に囲まれてたのに。
冒険者はLv10で見習い。パーティーに入れて貰い修行する。
Lv20で、正式に冒険者になりパーティーを組める。
そして、Lv30、冒険者として個人で動けるようになり、一人前。
つまり、現在Lv9の俺は登録出来ないし、Lv10になってもパーティーに入れないので登録出来ない。
Lv20で登録は出来るが、パーティー組めないので仕事を貰えない。魔石だけ売れる。
つまりLv30に為るまで冒険者には為れない。
そして冒険者では無いから魔石も売れない。
ギルド来た意味無かったよ、絡まれ損だよ、苛められ損だよ、おっさんに囲まれ損だよ。
但し、今日は特別に魔石を買い取ってくれるらしい、おっさん達を助けたご褒美だろう。
買い取りカウンターに行き受付のお姉さんの言う通りにして、、、怒られた?何なの一体?確認したのに?怒られた。
受け取りは明日にしてくれって、泣きながら言われた?えっ?俺のせい?俺が悪いの?
18日目 夜 宿屋 白い変人
冒険者ギルドに宿屋を紹介して貰い、宿に皆で来た。
宿屋 白い恋人?ラブホなの?お土産なの?
女子20名を連れて宿屋とか、そいつ何?まじムカとか思っていたが、ラブホなの?冒険者ギルドは何を思ってラブホを紹介してんの?
まさか、委員長のスキルを見て、委員長ハーレムグループと思われた?、、、、いえ、何でもありません。違うよ、北海道のお菓子のこと考えてたよっ?多分?
ジトさんの鋭さは何ていうスキルなんだろう?
そんな事を悩んでいたら、悩む必要は無くなった。
「宿屋 白い変人」
お巡りさん召喚の時だ!変人だ!しかも白い!挙句に宿屋だ!通報だっ!
「いらっしゃいませー、冒険者ギルドから聞いてます。」
「さようならー。冒険者ギルドを焼いてきます?」
看板娘だ、かわいい看板娘だ。問題は看板だ、問題在りすぎだ。
「待ってー、お兄いさーん。大丈夫です。変なのは名前だけです。冒険者ギルド焼いちゃ駄目です!」
「いや、大丈夫じゃないから。白い変人は絶対大丈夫な人じゃないから。変だと思ってるのに何で名前変えないの?」
看板娘が半泣きで引き止める。確かに冒険者ギルドを焼きに戻るのは面倒くさい。ここから直接撃ち込めば、
「遥君、どうして杖をライフルみたいに構えてるの?何で照準が冒険者ギルドを向いてるの?何で目がゴルゴの人になってるの?女の子泣かしちゃ駄目でしょう!」
「えっ?撃たないよ?撃たないんだけどさー、ほら?あれじゃん、ちょっと、何て言うの、魔を指すみたいな?」
「魔が差しちゃうのなら聞いたこと有るけど、魔を指すって完全に自分の意思で指してるよ。撃つ気満々だよ!確信犯だよっ!」
「えー、だって、委員長「昨日は白い変人の所に泊まったんだ、朝まで白い変人の所にいたんだー」って言える?」
「、、、。撃っちゃおうか?」
依頼が舞い込んだ、依頼料はプライスレスだ。
「だから撃っちゃ駄目ですよー、冒険者ギルドのお姉さん達が良い店だって紹介してくれて、いっぱいお客さんが来てくれて、それで、それで、、、、」
何か、看板娘が泣きながら必死に止めてくる。
「分ったよ、大丈夫、撃たないから」
そう言って頭を撫でてやると、顔を真っ赤にして、
「おとうさーん、お客さんだよー」
と、言いながら宿に戻っていった。
そう、大丈夫。明日、冒険者ギルドに行くのだ。撃つ必要は無い。
何故か女子達がゴルゴの目でこっち見てる?あれっ?
・
・
・
確かにご飯は美味しかった、久し振りのまともな食事だ。料理だよ料理。
別料金だがお風呂もあって、部屋も小奇麗だった。
うん、名前何とかしろよ。
白い変人とは、この宿の家族が住んでいた街の英雄の名前なんだそうだ、誰だよ英雄に変なあだなつけた奴。
魔物の大量発生で、街が魔物の大群に飲み込まれそうになった時、たった一人で魔物に立ち向かい。街の人を逃がし。皆が逃げきるまで一人戦い続け。その街と、魔物の大群と共に滅びた英雄。
誰も名前を知らない。ただ、白い変人と呼ばれていた男。
その男への感謝と、英雄への賞賛の為にこの名前を付けたそうだ。
本人、めっちゃ嫌がっているだろうなー。寧ろその名前を忘れてやれよ。白い変人って、、。
「私も小さい頃からずっと、お父さんからも、お母さんからも、お爺ちゃんからも、お婆ちゃんからも、白い変人さんの話を聞かされて育ったので、最近変な名前って気
付いたけど、、、それでも。感謝してるし、尊敬してるし、憧れなんです。」
うーん、名前の変更は無理そうだ、幼少期から洗脳されている。
「白い変人さんは皆を逃がしながら、この街は俺の家だから、俺は此処を動かない。俺は自分の家を最後まで守るから、皆は新しい家を造ってくれ、幸せな家をな。
って言いながら魔物達と戦い続けたそうです。だから、私達の新しい家を、幸せな家にしようって、だから名前は「白い変人」って、、、」
ああ、最後のが無かったら良い話しだ。
その名前じゃなかったら伝説だ。
名前の変更は諦めた、諦めたら宿屋は終了だよって言われても変えないんだろう。
一人部屋だ、のんびりだ。
Lvが9に上がっていたよなー、今のうちにステータス
NAME 遥 人族
AGE 16
Lv 09
Job --
HP 120 (14UP)
MP 122 (15UP)
ViT 118 (13UP)
PoW 117 (13UP)
SpE 118 (15UP)
DeX 116 (14UP)
MiN 130 (16UP)
InT 134 (18UP)
Luk Max(限界突破)
SP 177
武技 「杖術 Lv6」「回避 Lv5」「見切り Lv5」(Up)「魔力纏 Lv6」(Up)
魔法 「温度 Lv4」「移動 Lv6」「斤量 Lv5」(Up)「梱包 Lv5」「四大魔法 Lv5」(Up)「木魔法 Lv4」(Up)「雷魔法 Lv3」(Up)「氷魔法 Lv2」(Up)
スキル 「健康 Lv3」「敏感 Lv3」 「体操 Lv4」「歩行 Lv6」「使役 Lv3」「鑑定 Lv5」(Up)「千里眼 Lv5」(Up)「気配察知 Lv6」(Up)「索敵 Lv6」(Up)「魔力操作 Lv6」(Up)「気配遮断 Lv5」(Up)「隠密 Lv5」(Up)「隠蔽 Lv4」(Up)「地図 Lv5」(Up)「集中 Lv6」(Up)「物理耐性Lv4」(Up)「魔力回復 Lv5」(Up)「体力回復 Lv5」(2Up)「並列思考 Lv3」(Up)「直列思考 Lv3」(2Up)「疾駆 Lv1」(New)「空歩 Lv1」(New)
称号 「ひきこもり Lv4」「にーと Lv3」「ぼっち Lv4」「魔導師 Lv5」
Unknown 「報連相 Lv3」(Up)「器用貧乏 Lv3」「木偶の坊 Lv3」
装備 「樹の杖?」「布の服?」「皮のグローブ?」「皮のブーツ?」「マント?」「コンタクト?」「窮魂の指輪」「アイテム袋」 「腕輪 PoW+1% SpE
+1%」(New)
やはり、飛行は無いが「疾駆 Lv1」が有った。これって、速く動いた方の意味なのか?突撃的なほうの意味なのか?どっちだろう?使ったのはどっちもだ。
そして、「空歩 Lv1」、エアウォークだ、NBAの神様だ、空中戦が出来るなら焼き鳥が食べられる。
ステータス的には、魔法職になりつつあるようだ。InTとMinが130を超えている。
この世界の魔法職は魔物に突撃戦をしているものなのだろうか?
突撃戦をしているのに魔法職が上がって行くのだから、そう言う物なのだろうか?
後衛からの突撃魔法使いかー、怖いな異世界。