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第176部分 茸販売網の拡充が茸で済んだ?


53日目 朝 宿屋 白い変人 



 逃げられた。やっぱりまたお金をばら蒔いていたんだよ?アンジェリカさんがいるからバレるんだよ?って言うか同じ宿だから宿代ないとばれるに決まってるんだよ?


 村を見つけたらかぼちゃしか無かったらしい、他の農産品が病気で全滅してしまったそうだ。そしてまた全部買い占めたんだよ、これから先の収穫分まで買っちゃってるんだよ?異世界で先物取引なんだよ!初めて行った村で信用取引しちゃってるんだよ?大量の小麦と薬用の茸、その他食材に有り金全部で何年分ものかぼちゃまで予約買いしちゃってるんだよ?それで宿代を持っていなかった、また無一文で帰って来たんだ。


 もう村だけで何個目だろう?二桁はいっているんだよ?無茶苦茶だけど怒れない、その村もかぼちゃ以外食べる物が無かったそうだ、前のお芋の村と同じ貧しい村で病気の薬すら無かったらしい。白菜だらけだった村と言い流通できていないから貧しく苦しい村から大量買い付けをする、その度に莫大な金額が投資されているんだよ。そして怒れない理由のもう一つはそれで莫大な収益を上げている、雑貨屋さんを中心に遥君の大量買い付けで物流ができ始めている。でも莫大な収益も全部使ってしまう、領主様が心配していた通りだ。たった一人で辺境を豊かに変えている、だから本人が貧乏だ。だってまた宿代ツケてたんだよ!没収されるのが嫌でまた隠してたんだよ、何で毎日何百万エレも入って来て宿代の1万エレが払えないの?3人分で特別サービス価格なんだよ?もう常習犯さんだよ?


 最初は魔石の販売代金の2割をみんな生活費と予備費で集めていた。そして副委員長BさんCさんと遥君が破産した。初日で。


 3人だけ3割になったんだよ。それでも次の日には副委員長Bさんと遥君が破産した。懲りてなかった。4割になった。


 それからも毎日欠かさずに、一日たりとも休むことなく破産して帰って来る遥君。お金を持ってるのを見つけては没収するけどまたやっちゃう。


 食費は全員で等分だけどデザートは販売してるんだよ?それでお洋服も売って、武器も装備も売ってる、多分女子の稼いだお金は全部遥君に流れている、だって雑貨屋さんも遥君の資金源なんだよ。


 男子だって結構ぼったくられている、縞ニーソを10倍の金額で売っていたと言う尾行っ娘ちゃんの情報も有る。小田君!


 毎朝凄い金額を受け取ってる。ダンジョンの収入だって断トツだから普通に毎日数百万は稼いでいるはずなんだよ?もしかするともう一桁上も充分あり得る。


 でも破産してお小遣いで宿代を払ってる、時々物々交換で払ってたりするみたいだ。桶払いって何?


 盛大に稼ぎ莫大に使い膨大に稼ぎ無限に使い果たす。


 多分他にもいっぱい収入は有る、きっとあの武器屋さんもそうだ。だって急激に大きくなっているもん。でもそれも使ってしまっている。


 だって辺境は広いんだよ、そしてついこの間まで貧しかったんだよ?それがこんなに一気に豊かになる訳が無いのに、なっちゃってる。


 帳簿を見ても女子達はみんな何だかんだ言って稼いだお金は全部遥君に流れてるんだよ?お洋服と美味しいご飯で独占販売状態なんだよ?はっきり言って私達の稼ぎだって莫大な金額になってるんだよ、だって毎日誰も辿り着けない迷宮の中層まで潜っているんだから?それでも足りていない。多分自分の為の物なんて何にも買った事が無い。


 誰かが落ち込んでいれば美味しいご飯を用意し、その村が困ってたら有り金まではたいちゃう。誰かが悲しんでたら新製品のお洋服が出て来る、その生地の買い付けに行った町が困ってたらまた全額投資しちゃう。どれだけ儲かったって貧乏だよ?どんなに内職しても足りないよ?辺境全部ってすっごく広いんだよ?沢山の人達がいるんだよ?凄い勢いで豊かになってても全部になんてすぐには届かない、でもそれは一人がしょい込む様な事じゃ無いんだよ!


 遥君の没収貯金は少しずつ貯まって行ってるけど、渡せば全部使い切るんだよ。自分が食べる分も、宿代も全部。


 食料は一生困らない位持っている気がする、洞窟に帰ればお金はいらない。多分そう考えてる、全くお金に執着していないの!ただ欲しい物が有って、食べたい物が有るからばら撒いちゃうの。全部使っちゃうの。


 いくら怒っても聞いてくれない。


 多分またどこかで貧しい村を見つけたり、誰かが隠れて泣いてたらまた同じ事をする。お金も身も削って何とかしちゃう、これからもずっと女子が誰も泣かなくなるまで、辺境全てが豊かになるまで寝ない気なの?絶対身体に悪いんだよっ!良いわけが無いんだよっ?でもいくら怒っても聞いてくれない。


 最後は「俺悪くないよ?」って言って聞いてくれない。知ってるよっ!みんな知ってるよっ!みんなに悪ぶって「ぼったくったー」とか「大儲けだー」とか言ったってみんな知ってるんだよ?全然悪くなんかないよ。でも何でみんな何でもかんでも救って、助けて、幸せにするのに自分だけほったらかしなの?何でなの?


 私達は良いんだよ、いっぱい遥君からお洋服を買っても、いっぱい美味しい物食べても有り金はたいたって良いんだよ。だって迷宮で稼いだお金を全部使ったってレベルが上がるの、それが冒険者の資産なの、もっと稼げるようになっていくの。だから良いの…良いの?使い過ぎ?


 でも遥君は殆どレベルなんて上がっていない、冒険者にすら成れていない。あれだけ無茶な戦いをし続けてやっとLv21になった、だから冒険者登録だけなら出来る。でもパーティーが組めないから依頼が受けられない、本当は未だにダンジョンに入る許可すら持っていない。


 それなのにダンジョンや魔の森で稼いだ膨大なお金がまったく残っていない、レベルも残らないのに。


 辺境の為に魔の森の伐採も進めている。でもそれは遥君の最大の収入源の茸を減らしているのと同じことだ。本当に何にも残らない。なのに何にも蓄えない。


 実際女子達には目的も目標も無い。その女子達が危険な迷宮に潜り続け一生懸命にレベルを上げ続けているのは強くなって稼ぐ為だけなの、遥君はみんなの身を心配してレベル上げさせようとしてるけどそんなのはついでなんだよ?みんな強くなって稼げる用になる事のために頑張っているんだよ?だってみんな将来養う気満々なんだよ?洞窟に居た時から何も変わってないの、みんな称号に「ひも」って付いても良いから養う気満々なの?


 でもまだまだ時間が掛かるの、Lv100を超えて更に遥君を守れるくらいになるにはすっごく時間が掛かるの。辺境が本当に豊かになるまでだってすっごく時間が掛かるの、領主様達だって必死にやっているの!みんながこれ以上遥君に負担をかけまいって、でもどんなに急いでも追い付けないの。あまりにも凄まじい遥君の速度に、そして膨大な迄の予算と爆発的な生産能力に。


 だって領地一丸で遣っている内政と経済がたった一人の内職とお買い物に追い付けないの?辺境領地の全税収でも予算負けしてるの?全然追い付けないの。


 小田君曰く「遥君一人で国家みたいなもんだよ?武力と生産と流通がとっくに個人レベルから逸脱してるし?」って他人事だった、でも船を用意して何かしようとしている?

 

 柿崎君曰く「遥は追っかけたり目指したりしたら駄目だって?足を引っ張ってやる方が良いんだって?転ぶから。」って言いながら戦闘訓練に明け暮れている。


 女子は錬金や魔術で生産に挑戦してるけど未だハンカチで精一杯、量産なんて夢物語だ。しかも最近何処かに紡績機織りの工房と言うか工場が出来ているらしい、誰?勝手に産業革命始めてるのは?


 やはり雑貨屋さんのお姉さんと遥君のコンビは危険すぎる、似た者同士過ぎるんだ。


 これは領主様から聞いたお話。


「昔この街に身体の弱い女の子がいたの、病弱で家も貧しくて寝たきりの女の子。


 でも助けられちゃったの、茸を持った冒険者の人に。お金も払えないのに出世払いだって高価な茸をくれた。


 だから女の子は元気になり、出世払いの為にあらゆる事をした。


 弱かった身体を痛めつける様に鍛えぬき、狂った様に知識を求めたの。


 そして冒険者になった、助けてくれた人の役に立ちたいって、今度は自分が誰かを助けたいって。


 そして女の子を助けてくれた人のパーティーに入った。


 そして危険な魔の森で茸を採っては貧しい人たちに分け与えた。


 そうしてある日そのパーティーは全滅した。


 生き残ったのはその女の子だけだった。


 それも意識も無く瀕死の状態で偶然森の傍で冒険者に助けられた。


 他は誰も帰って来なかった。


 その少女を助けるために、茸を分け与えて貰った人たちが残り僅かな茸を持ち寄った。


 そしてやっと意識を取り戻した。


 その時はすでに僅かな茸を持ち寄った人達は亡くなっていた。


 街中の最後の茸を掻き集めて少女を助け、そして街から茸は無くなっていた。


 完治しない身体を痛めつける様に鍛え、狂った様に危険な行商を始めた。


 装備も何もかもを売り払ったお金で小さな店を造り、商売を始めた。


 そして貧しい人たちに食糧や薬を分け与えた。


 そして不自由になった体を鍛え続けた、また魔の森に行く為に。


 みんなが止めるのも聞かずに装備を集め準備をし続けた。その頃にはもう少女では無くなっていた。


 自分だけが何度も救われ、自分は誰も救えなかった事が許せなかったから。自分自身を許せなかったから。


 そんなある日お店に黒髪の少年がやって来た。


 茸を持った少年が現れてしまった。


 見た事も無い様な膨大な数の茸を持って。


 そして有り金をはたき茸を売って貰った、街中の人を辺境の人を救えるかのような大量の茸を。


 そしてその少年は言ったそうだ。「あげれば終わりだよ?ちゃんと利益を出せるんならこの何百倍でも茸をあげるよ。」と。


 その言葉に嘘は無かった。毎日利益をあげれば次はもっと沢山の茸を渡される。いくら稼いでも払い切れない程の茸をだ。


 そして今はお姉さんになった少女は装備も売ってしまった。やっと必要がなくなった。


 やっと誰かを救えたから、やっと受けた恩に報いられたから。ようやく必要がなくなった。


 そして今もお姉さんは狂った様に稼ぎ、貧しい人たちには分け与え続けている。」


 そのお姉さんが雑貨屋のお姉さんだ。


 だから雑貨屋さんのお姉さんと遥君のコンビは危険すぎる、似た者同士過ぎるんだ。


 きっと全ての人が救われないと許せない人と、誰もが笑っていないと気が済まない人が出会ってしまった。


 きっとあのお姉さんも一文無しだ。聞かなくたって分かる。この街で、下手をすればこの国で最大の商会の経営者。


 でもきっと貧乏だろう。だって毎日ツケで遥君にご飯を注文している、似た者同士過ぎるんだよ。


 そしてそれを心から心配していた領主様がまた怪しいんだよ?伯爵様なのに煌びやかさが欠片も無い。


 質実剛健どころか質素倹約って言う感じがするんだよ?やたらに出て来る「我が身を捨てても」とか「この命で報いれるなら」とか問題発言がオンパレードなんだよ。しかも歴代の伯爵家の当主が代々魔物の森で魔物に殺されてるんだよ?こっちも似た者同士過ぎる危険がいっぱいなんだよ。


 でも伯爵家の人達はオムイ様を守る為に傍を離れない。


 雑貨屋のお姉さんは街中の人達みんなから止められていた。


 だから今日も私達は強くなりに行く。遥君を守って止められるように。傍にいられるくらいに強くなる。


 きっとまた甘やかされちゃうけど絶対追い付く、そして追い抜く。


 強くなって追い越しちゃえば遥君を守って養えるんだから!アンジェリカさんとも約束したんだよ、そしてアンジェリカさんも其れまで絶対に守るって約束してくれた。


 だから今日も迷宮に行く。いっぱい稼いで遥君にお洋服を作って貰って、美味しい物を作って貰う。そしていつか安全な専業主夫に専念させるんだ!


 問題は私達が養えるようになるのが先か、借金で遥君に身売りされちゃうのが先か?一番危ないのは使役されちゃいそうなんだよ?毎朝みんなチェックしてるんだよ?だってアンジェリカさんもスライムさんもとっても幸せそうでみんなちょっぴり羨ましいんだよ。


 

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