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もしも鉄の棒を加熱して叩いたら蒸気機関になってたって言うなら明日からオタさんって呼ぶよ。

52日目 昼 オムイの街




 其処で見たのは恐ろしい光景だった、最早何の言葉も出ない程の驚愕だった。もういやだ。


 「遥君だ!良い所に来てくれたよ、鍛冶場から出せないんだよ?大き過ぎて。」


 「アイテム袋に入れてくれないかなー?川で出して欲しいんだよ。」


 「お前ら何で刀作りに来て蒸気船造っちゃったの?テーブル作ったら椅子はまあ良いよ?何で刀に蒸気機関が必要だったんだよっ!どんなに手順を間違えても刀は蒸気船にはならないよ?鉄をハンマーで打ってて蒸気船になったら寧ろ凄いよ!絶対にワザとだよねー?確信犯だよねー?蒸気機関って魔動で良いのに何で造るんだよ!」


 鍛冶場いっぱいの蒸気船。そりゃあ地下の鍛冶部屋から出せないよ、うん置いていこう。


 「兄ちゃん。置いてかれたら迷惑だって!オムイ様から生産依頼来てるんだよ、鍛冶場使うんだから置いてくなよ!」


 中型の木造外輪船だ、何でテーブル作れないのに船は出来たの?椅子でも作ってたら船にでもなったの?外殻と外輪の要所は鉄工化された鉄甲船だよ?まあ中の蒸気機関も鉄だろう、木造だったら尊敬してしまいそうだよ?


 おっちゃんも何で止めないんだよ?絶対手伝ったよね?だって仕上げが綺麗なんだよ、船って熟練して無いとボコボコの船体になっちゃうんだよ?絶対手伝ったんだよね?関係ない顔してるけど共犯者だよね?


 それから川に浮かべた蒸気船にオタ達を乗せて放流し上空から大量のメテオを降らせたのは言うまでもないだろう。折角魔力節約してたのに一気に使っちゃったよ?沈まなかったんだよ?結界装置使いやがったな!


 安全策の為に結界師の結界魔法を魔石化して簡易結界装置の製造を試してたんだけど未だ実用化できても無いのに蒸気船に積みやがったのだ、メテオ撃たれる気満々だったのだ。もう原子崩壊させてやろうか?


 そして上空に駆け上がった時に森の中でコボたちと追いかけっこしている莫迦達の姿が見えたんだが見なかった事にしよう。どうもあいつ等は異世界に適合せずに魔の森に適合したのだろう、おそらくジョブも野人Aとかになっているだろう。


 鉄や木材の運搬船は俺も考えていたんだけれど鉄甲船って何と戦う気なんだよ?何か焼かれないように対策しているところが余計にムカつくんだよ?しかし未だ大き過ぎて使用できない簡易結界装置を船に積むのはいい考えだ、でもそうやって対策しているところが余計にムカつく!まじムカなんだよ!


 「あ~っ。精神的に何か疲れたよ?お休みって精神を休める為に有るんじゃ無いの?甲冑委員長達は雑貨屋さんかなー?きっとお金も無いのに新製品の鞄に群がってそうな気がするんだよ、何で俺が宿で内職して雑貨屋に納品してるのに、次々と買って宿屋に持って帰って来るの?俺が納品に行った意味は何なの?」


 もう完全にお買い物中毒さん達です。元の世界の生活を追いかけるかの様に、元の世界より幸せになる事に焦る様に、この世界に来た為に失った物を取り返すかの様に。きっとそれくらいしかして上げられない、服とご飯くらいしか無理なんだよ。今は無理矢理必死に楽しむしか出来ないから美味しい物を強請ねだって、可愛い服を買いまくる。もう2か月近くも経ってしまったんだよ、元の世界で暮らしていた日々は。


 寧ろ必死に笑い合っている姿は悲壮な時がある。


 精神的に限界に近かった時なら生き延びる事しか考えられない。


 でも余裕が出来てしまったら思い出す。


 俺達と違って失ったものが多過ぎる。


 男子は良いんだよ?だってオタ達はずっと異世界を夢見て元の世界にいたんだよ、寧ろ元の世界で夢現に暮らしていたんだよ。だから問題ない、どっちかと言うと元の世界にいたのが問題だったんだから。異世界に来てやっと本気出すんだから。


 莫迦達はもっと問題ない。あいつ等はここの住人だよ、森の中でちょうど良いんだよ。元の世界になんかいたからスポーツして優秀な選手なんてしていたんだ、きっとあのまま元の世界にいれば有名スポーツ選手にでもなって大金持ちになっていただろう。だがきっと帰りたいなんて思っていない、やっと異世界に帰って来たのだから。もうルールを守って安全に戦う戦いなんてしなくなって良くなったのだ、生き死にを賭け全力であらゆる手段を用いて戦えるのだ。元の世界で退屈を持て余していた戦闘民族がやっと真剣に戦えるようになれたのだ。 


 俺は向こうに何もない。未練があるのは本屋さんくらいの物だ、それだけは未練も愛惜も有るし物惜しむ気持ちでいっぱいだ。


 でもこっちには甲冑委員長さんがいる、俺が連れ出したのだ。だから楽しく暮らせて嬉しい事がいっぱいあって幸せになれる様にしたい、元の世界では大事なものも幸せであって欲しい物も笑っていて欲しい人も無くしたくない物もみんなもう何も無い。こっちで良い。スライムさんも付いて来てくれたんだしこっちに未練たらたらだよ。


 でも女子達は違う。


 この世界にいる事に何の喜びも無い。失ったものだけが大き過ぎて、何も求める物も無く連れて来られた。


 お買い物中毒で我儘娘で駄々っ子の無い物強請りで充分だ。充分に頑張っているんだよ、良く精神的均衡が保てているよ?発狂したって暴れ出したって泣きわめいて当たり散らしても何もおかしくない、何とか君みたいに狂わなかったから30人も生き延びられた。狂った方が楽だったのに耐え抜いてる、女子会の友情力は超人級なのだろう。


 だから今晩も内職だ、もう食べられないと思っている物や、もう着られないと思っている服を、16年間の大事なもの達がたった2か月で埋められる訳は無いけれど。きっと絶望したままに森の中で消えていた方が今ほど苦しまなくて良かったのかも知れないけれど、俺が嫌だから助けたのなら苦しみがほんのちょっと減らせるくらいの物を作る位しか出来ないんだよ?笑っていてくれるなら内職だって……もう少し何とかならない物でしょうか?


 「きゃああ!この鞄ってショップで見た事が有る!欲しかったのー!」


 ダニエルさんとボブさんにはバレたら謝ろう、だって俺も欲しかったんだよ、でも布袋装備なんだよ?よくよく考えてみたらお洒落なものを作っても黒マントには似合わない!しかも布袋も木の棒も手放せない!つまり全くお洒落じゃ無い!orz。


 「うーん?ちょっと大き過ぎる?ちょうどいい大きさが無いよー!製作者を呼べー!」


 呼ばないでね、面倒だからいちいち呼ばないで宿で言ってね。あと鞄が大きいんじゃなくて自分がちっこいんだよ?小動物なんだよ、何でちっこいのが大人のコーナーにいるの?


 「あ~っスポーティーな収納量か?可愛くパーティー向けのプチバックか?でもパーティーに呼ばれた事無いよ?組んでるけど!」


 うん。俺も呼ばれた事無いんだよ?でも組んだことも無いんだよ?でもゴブ達とれっつぱーりー!とかしたくないんだよ、あいつ等(オタ莫迦)はしてそうだけど。


 楽しめていると言うか買い占めていると言うか?お休みが少ない理由はお金稼ぎが追い付かないからなのだろう、洋服の為なら魔物さん達を狩り尽くしてしまいそうだ。実は異世界向きの人材なの?適応してるんじゃない?あれ?実は精神的均衡とか関係なくてただの強欲さんとその仲間たちなだけだったの?寧ろ服に関して精神的に大丈夫じゃ無い様だよ。マジで。


いつの間にか100人の方に評価頂いておりました、本当にありがとうございます。こんな小説どころかまともに文章すら書いた事も無いのに魔が差して書いてみた誤字脱字だらけの迷走中のお話を読んで頂きありがとうございます。

もし万が一何かの間違いで気に入って頂けたなら本当に幸いです、お付き合い頂きましてありがとうございます。

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