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罠は毎回引っ掛かるけど罠なんだから手遅れだ。

 

51日目 夜 ダンジョン



 最凶の脅威の大迷宮を殺した、最大の恐怖の魔の森も殲滅した、最悪の戦争も封印した、最後の問題である迷宮も殺し回っている、順調だと思ってしまった。異世界の危険は何とか出来ていると思ってしまった。


 慢心だ。いつの間にかこれなら俺が弱いままでも辺境を安全にすればその間にみんなが最強になるだろうと高を括っていた。だが、もしあのまま委員長達を連れて60階層に行っていれば誰か死んでいた、守りに入れば全滅も有り得た。異世界は相も変わらずに最悪のままだった。


 迷宮皇王コンビだから殺し尽くして守り抜けた、守る事が出来ないから殺し尽くしたのだ。守備対象がたった一人だからできた。


 あれは危険だ。未だに原子崩壊以外の殺し方が思いつかない、つまり他のパーティーだったら死んでいた、全滅だった。


 やはり探索は49階層までだ、それ以降はLv100を超えてからじゃないと無理過ぎる。みんなLv100になれば急激に強くなるはずなんだがそれでもLv100の迷宮王なら全員でも危ないかも知れない、そしてサンド・ジャイアントの様な特殊な迷宮王もいるかも知れないなら拙すぎる。


 考えても今の所は対策が無い、そしてお腹が空いた。異常な空腹感、魔力切れだとしたらあの原子振動はかなり危険だ。無限に尽きないのかと思ったほどの魔力バッテリーを持っていて魔力が無くなるなら暴走寸前だと言う事だ、暴走寸前の魔法を無理矢理押さえつけて制御していた為の魔力切れだ。っていう事は切れたら暴走してたんだね?封印しよう、ヤバ過ぎるよ。


 「ありがとう。助かったよ、街に帰ったらご褒美あげないとね?まあお洋服とご飯だけど?って言うか何時だろう?まだお店開いてる時間なのかなー?みたいな。」


 今日はご褒美は必要だろう、だって普通なら魔物だらけの階層の中で動けないとか迷惑以外の何物でもなかっただろう。それでも守り抜いてくれたのだから、俺だったら蹴るだろう、間違いなく踏むだろう、自信がある。うん、ご褒美だ。


 「あっ!ちゃんと魔石になったよ、砂粒サイズの魔石の海だったらどうしようかと思ってたんだよ?もうスコップ用意しちゃってたよ?危うく男子高校生がスコップ持って砂遊びを始めて通報されて事案発生だよ?マジで。うん、そんな奴いたら俺も通報するよ。」


 Lv60の迷宮王の魔石だ、大きいし透明感がある。きっと高価過ぎてこれも買い取り拒否されるんだけど魔力バッテリーになってくれるから良いだろう、今日だって空っぽまで使い切ったんだから有るに越した事は無い。それに魔道具造りにも魔石は必要なんだし装備の見直しにも魔石はいる、せめて脱出できる装備を作らないと委員長達がヤバい、まじヤバだ。あのまま一緒に来てたら死んでいただろう、冗談では無く確実に。


 「あれっ?ドロップ品だよ、サンド・ジャイアントは真っ裸の砂の巨人だったのだから装備品は無かったよ?裸族だったよ?裸族っ娘おいてきて良かったよ、危うく裸族対決が始まる所だったよ。あれ?裸族対決なら裸族っ娘が勝ちそうだ!サンド・ジャイアントを倒すには裸族っ娘の裸族力が必要だったのか!ってどんな力だよ、裸族力って!」


 宝石かな?宝石だったら強欲さんが欲しがりそうだよ?


 「えーと?「魔核の宝具 魔核作成操作」って何で態々(わざわざ)ダンジョンまで魔物を殺しに来て魔物造っちゃうんだよ!それ魔物が減らないじゃん!迷宮殺した意味無いじゃん!何しに来てるのか訳分からないじゃん!ジャンバラヤじゃん!あっ、明日はジャンバラヤにしよう!せっかくケチャップ作ったんだしジャンバラヤだよ、海老さんがいないんだけどジャンバラヤさんだ。」


 とにかく帰ろう。お腹が空いてるし、それに宿では腹ペコたちがずっとハンバーグを待ち構えているんだろうから。 



 「ただいまー、って言うかご飯だよ!お腹空いたんだよ、待てないからハンバーグを捏ねながら帰って来てたんだけど、我慢できなくて街の中で焼きながら帰って来たよ?マジ焼きたてのハンバーグさんなのだよー!」


 「「「お帰りー&いただきまーす!」」」


 やはり腹ペコさんで待ってたみたいだ、何故宿の食堂で腹ペコで待ってるんだろう?一瞬で平らげてお替りの列が続く。そして何故看板娘もお皿を持って待ってるんだろう?宿の宿泊客に労働させる従業員さんなんだよ!そして当然のように尾行っ娘も並んでる。みんな美味しそうにハンバーグ定食を食べている、俺は焼くのが忙しくてハンバーガーなんだよ?そのハンバーガーすらも次々に奪われて行くんだよ?


 「ハンバーガーだー!懐かしいーよー。最後の買い食いはハンバーガーだったんだよっ。」


 「あー白ご飯もパンも食べたい!ハンバーグが足りないよ!早く焼いてよ!早くしないとご飯とパンが日米問題で貿易摩擦しちゃうよ!」


 「これも美味しいよ~っ?茸のハンバーグは絶品だよ~っ、これ行列のできるお店開けちゃうよ~っ?」


 いや、行列が切れないとご飯が食べられないんだよ?って言うか馬鹿たち何回並んでるんだよ!1分置きに来んなよ!ヘヴィーローテイション過ぎだよ!5人いるから12秒に1莫迦なんだよ!莫迦過ぎなんだよ!お腹が空いたんだよ!


 「どうして100個以上作り貯めしておいたのに俺のハンバーグさんは1個だけなの?何で残って無いの?一生懸命きざみながら迷宮の階段を昇って、捏ねながら歩いて帰って、焼きながら宿まで戻って来たのに?残って無いんだよ?マジで?」


 何故だろう?最後はハンバーグが残って無くてお魚さんを焼いて食べたんだよ?いや、美味しかったけど?


 スライムさんもハンバーガーを10個以上ぷるぷると食べてたよ、まあご褒美だし良いんだけど。


 いじけながらスライムさんを連れてお風呂に行こうと思ったら既に看板娘と尾行っ娘がお風呂に連れて行っていた。ぼっちなんだよ?リアルに。


 さて内職という名の無間地獄だ、地獄は本来罪を清めて天国に行く為の物なのに内職という地獄は罪のない俺に永遠に続く注文票を渡すだけなのだ。天国には行けないようだから自分で天国パラダイスの作成だよ!そう、ニーソだっ!


 メリヤス編み。ようはジャージー生地だ、ジャージー編みだ。ジャージー編みによって伸縮性があるのだが編まなければならないのがネックだった、だが魔手さんがいれば編める。超高速精密編み機だ。


 「異世界でニーソさんに会えるとは、って別にニーソさんにちゃんと出会ったの初めてだよ?よく考えたら初めましてだよ?見た事くらいは有るけどガン見したら事案発生しちゃうんだよ、まあ初ニーソが自分の手作りな男子高校生って充分事案なんだけどさー?」


 練習もかねて最初に学校ジャージを作ってみた。みんな持ってるのを見て甲冑委員長さんが羨ましそうだったんだよ?多分女子会で見て仲間外れな気分を感じてしまったのだろう。ただあの超我儘ボディーさんの長身モデル体型に学校ジャージが似合うのか疑問だったのだが案外とかなり似合ってはいた。本人も大喜びで女子会に着ていったから良いのだろう、でもなんかエロかった?


 そしてニーソを作成してたらつい魔が差してニーソックスさんが量産されていた?そして気付いた時にはストッキングが量産ラインに乗り空を舞っている、ニーソとストッキングが大量に宙を舞う部屋にいる男子高校生はもう駄目だと思うんだよ?何かこう色々とさー?駄目みたいだよ。


 「これは罠なんだ!毎回引っ掛かるけど罠なんだ!「トラップ・リング」と「罠探知」仕事しろよ!でも手遅れだよ?やっちゃったよ!作っちゃったよ!出来ちゃってるよ!いや、履かせるよ?それはもう甲冑委員長さんに履かせちゃうよ?だけど今日はニーソなんだよ。」


 おそらくこの失敗の原因はストッキングの編み込みをあれこれと変えてみて柄付きのストッキングにした辺りで手遅れだったのだ、編み目の濃淡や糸の増減で柄が付けれてしまうのでついつい色んなの作っちゃったんだよ?格子柄からストライプ柄とか?チェイン柄とか?アーガイル柄は頑張ったんだよ?そしたらさ~?作っちゃうじゃん?男子高校生だし、糸も少なくてエコさんなんだよ?だって甲冑委員長に履かせたかっただけなんだよ?何で量産されてるんだろう?


 宙に螺旋を描きながら魔手さん達に次々と編まれては完成していく網タイツさん達が俺の周りを廻っている。反省はしているが悔いは無い。


お読み頂きありがとうございます、昨日から管理ページを見る度に凄まじく総合評価が上がって行くので動揺中のままブックマークも800件まで行きました、本当にありがとうございます。

と言う訳で調子に乗りつつ動揺しながら投稿させていただきます、乱文にお付き合い頂いてありがとうございます。

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