いつの間にか条件が何気に増えている侮れ無い交渉能力は恐ろしい強欲の女子力さんだった。
51日目 昼 ダンジョン
さっさと酸っぱいダンジョンから逃亡し、お外まで出て来てお昼ご飯だ!結局隠し部屋一個だけのしょぼいダンジョンだったがドロップもアイテムも当たりで魔石も高級そうだった、高級過ぎて売れないから俺の買取になるんだけど魔力バッテリーになってくれると思えば良いだけだ。
「出来たんだよー?試作品だけど人体実験だから大丈夫だよー?生パスタって言うか手打ちパスタのナポリタンだよー?でもナポリには無いんだよー?みたいな?若干ナポリタンうどんの疑いも残っているんだけど麺には間違いないんだよ?」
辺境で手に入るのは粗挽き粉だ、デュラム小麦かどうかは分からないけどパンに合わない小麦らしいから試してみたが大丈夫そう?うどんになってるかも知れないがナポリタンうどんも美味しいから良いだろう?
茹でた生パスタをトマトと茸と鳥肉と一緒に軽く炒めてケチャップと胡椒で完成だ。朝に雑貨屋さんで手に入れた格安小麦なので試作品なんだよ?パスタに使われるデュラム小麦はパンには合わないって聞いた事が有ったのでパスタにしてみた。うどんになってたら焼きうどんを作ろう。
「「「パスター!ナポリタン!きゃああっ!いただきまーす。」」」
うん。ちょっとぼそぼそ感があるのは練りが甘いのではなく小麦の質だろう、麺自体の味が弱いから次は卵を入れて捏ねてみよう。
「美味しいよ!ちゃんとパスタだよ!あ~っ、ナポリタンさんにまた会えたんだよ!」
「カルボナーラも食べられるかも!ペペロンチーノさんも大好きなんだけど次はカルボナーラさんが食べたいよ!」
「残念ながらカルボナーラが一番無理っぽいんだよ。未だチ-ズとクリームが手に入らないんだよ。」
ただし「田舎暮らし」に生産方法は載っていた、家畜さえ揃えば乳産業も発達するだろう、でもまだ先なんだよ。
「パスタさんと茸さんの味わいのハーモニーが美味いぞー!って感じだよ。異世界って茸にはずれが無いよね?」
女子の茸好きは何なんだろう?何を作っても茸を入れろと言われるんだよ?中毒化が始まってるの?まあ美味しいんだけど。
まあみんな無事だから良かった。やはりLv100の迷宮王がいる、50階層からは危険だ。
50階層の階層主なら3パーティーのユニオンなら大丈夫だろう。
50階層でLv50の迷宮王が出れば29人の総力戦が必要だろう。
50階層でLv100の迷宮王だったら無理だ。もし勝てても被害が大きい、誰かが死ぬ危険が高い。
「じゃあ昨日のクラゲ迷宮?の続きは俺たちがやっとくから。他のダンジョンの49階層までを手伝ってあげてね?50階層は駄目だよ?マジでマジだよ?」
「「「分かったけど無理しちゃ駄目だよ!危ない事も駄目だよ?約束だよ!今晩はハンバーグだよ!」」」
なっ、何故かいつの間にか条件にハンバーグが増えているだと!恐ろしい女子力だ、流石は強欲さんのお友達だ。侮れ無い交渉能力だった、何気に服の注文票まで渡してきてるよ?傲慢な強欲さん達だった。M65ジャケットが欲しかったみたいだ、なんで異世界でみんなでミリタリーなの?
街に来た頃は大喜びでダボダボのチェニックを着てたのに、異世界っぽかったのに。今じゃ現代にそのまま帰っても違和感ない様な私服だよ?でもLV柄とかGG柄とかの注文は駄目なんだよ?あとナイロンは無理だよ?それは俺に石油を掘り当てて精油業界を作れって事なの?もうガソリンエンジンまでやらせる気なの?女子力(強欲)恐るべし。
「じゃあ入ろうか?スライムさんもちゃんと一緒にいるんだよ。一人でどっか行っちゃ駄目なんだよ。じゃあ出発?みたいな?」
(ポヨポヨ)(コクコク)
いや甲冑委員長さんはちゃんと返事しようよ?最近面倒がって喋って無いよね?みんな身振りで済ませちゃってるよね?一番喋るのは朝のお説教の時なんだよ?
出番も無いまんま50階層まで降りる。
マジする事が無い、スライムさんは魔手が気に入ったのか、対抗してるのか丸っこい体から無数の触手を伸ばして戦っていた、って言うか新技のワイヤーカッターをパクられた。しかも俺より全然上手いよ?防御も魔法も高いのに肉弾戦が大好きだ、捕食攻撃がお気に入りみたいだ。魔物は別腹なのだろう。
甲冑委員長さんは例の如く白銀色に輝き捲くってた。しかし攻撃特化なのにどんな攻撃も受けない、敵の攻撃迄を斬る攻撃特化。
この「使役」と言うスキルは魔物に前線で戦わせて後衛で魔法や補助魔法で戦う魔物使いなのだろう。俺って魔法職なの?でもうちの前衛さんは使役者置いて殲滅に行っちゃうんだよ?帰ってこないよ?魔物使いは無理だろう、誰も俺の言う事聞いてくれないんだよ?
実は他所の戦闘スタイルにあれこれ言える立場では無い。戦闘スタイルが無い、だってステータスが意味解らない。
武技は前衛の遊撃型だ、魔法は後衛が出来るくらい充実してるが転移しちゃうし纏ってしまう、スキルは隠密型で高速移動タイプ、どう考えてもコソコソ突撃な魔法使いだ?戦闘スタイルどころの騒ぎじゃない?魔法を纏って突撃するステルス高速移動型の近接戦魔術師の戦い方なんて意味解らないし想像がつかない。
集団戦に向かない事だけは分かる。連携が取れない戦い方だ、指揮の取りようも無いだろう。一人で突撃スタイルだ、剣豪取れてたし?
3人と言うか3体と言うか?いや俺は人だからね?集団になったが連携戦が出来ない。俺が出来ない。
壁が出来るのはスライムさんだけ、俺と甲冑委員長さんは回避型。
そもそも高速移動戦を得意にする以上防御陣は無い。
みんなで突撃しか作戦が無い。速攻以外の戦い方が無い。
女子に攻守の間が無いと偉そうに言った本人は、間どころか攻しかない。臨機応変に対応どころか突撃しかない。相手に合わせた戦いなんて相手を殺した後に考えるレベルだ。
と言う訳で突っ込んでみる?「メタルホーン・エランド Lv51」エランドはオオカモシカさんと言い張っている牛だ、ウシ目ウシ科のオオカモシカさんだ。メタルホーンだから突き刺す気満々なんだろう、群れで突進までは牛っぽいんだが凄まじい跳躍力で巨体が空から降って来る、角を突き出して降って来る。その跳躍した空中に突っ込み叩き落とす、下には巨大化したスライムさんがお食事中だ。
地表のメタルホーン・エランドは白銀の甲冑さんに薙ぎ払われている。薙ぎ払った序でに、スライムさんの方に弾き飛ばしている。
(ポヨポヨー!)
美味しかったみたいだ、跳ねまわって喜んでいる。もしかするとメタルホーン・エランドのスキルの「跳躍」を捕食しちゃったのかも?まあ美味しくて、食べれば食べるほど強くなるんなら良い事尽くめだ。
さて、降りよう。
そして、52階層で待ち受けていたのは一斉攻撃だった。
灼熱の魔法弾の降り注ぐ怒涛の絨毯爆撃の様な連弾の煉獄の嵐、をお食事中だ。
(ポヨポヨ。)
はら?足りないってよ?追加をじゃんじゃん撃ち込んであげてね?いやー、食費が浮いて大助かりだよ。
甲冑委員長さんは器用に流れ弾の魔法弾をスライムさんに弾いてあげている。親切さんだ。
ありったけの魔法を吸収されてしまった「マギ・マンドリル Lv52」達は巨大な粘体の壁にそのまま捕食されてしまった。今迄マンドリルを見ても何も思わなかったが、こうして見ると魔法職っぽい顔だった。呪術師って感じ?猿だけど。
数はいたんだけどLv52の火魔法では捕食吸収されて終わりだった、スライムさんはようやくLv10超えた所だから火炎魔法とかだったら危ないかも知れない。食べ物には注意しておこう、気を付けないと何でも食べたがるんだよ?
美味しそうならスライムさんが食べ、美味しくなさそうなら甲冑委員長さんが殲滅する。出番が無い。
57階層の「ファントム・ロード Lv57」は美味しくないみたいだからみんなで切り刻んだ、スライムって霊体斬れるんだ?
やはり動物系が好みなのだろうか?でもパペットも食べてたような気が?食わず嫌いなの?
出物は良いんだよ?53階層では「屈強のガントレット PoW 30%アップ DeF 30%アップ +ATT」だったし、ここの57階層なんて「マジック・メイル 魔法耐性(大)物理耐性(中)+DEF」と俺が着けても良いし、オークションを開催しても良いくらいの出物だ。欲しいと言えば欲しいのだが俺は防御力を上げてもあまり意味が無い、攻撃力は良いんだが次元斬があるから無駄ともいえる。やはりオークションで同級生の装備の底上げをした方が良いだろう、女子はお金持って無いけど。だってお洋服買い過ぎなんだよ?また注文来てたんだよ。
何が起こったのかブックマーク登録600件をこえました、ありがとうございました。(もしかしてみなさん荒らし厳禁のおすすめな所にいらっしゃったりするのでしょうか?言語崩壊の方ありがとうございました。いやマジ自演じゃないですよ?誤字脱字が無かったら違う人ですよ?)
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調子に乗ってまた投稿させていただきます、お読み頂いて本当にありがとうございます。