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2つが3つになったからと言って強くなったとは限らない。


51日目 昼前 ダンジョン



 みんなはLv90からレベルが中々伸びなくなっている、おそらくLv99の期間はかなり長くなるだろう。だがLv100を超えれば急激的に強くなるはずだ。


 そしてLv100から先が有るんだよ、魔物はLv100迄でも人間は超えられるんだよ。恐らくそこから迷宮と戦えるようになるんだ。


 だから今は無理して戦うべき時では無いのは委員長達だ。何故ならこれから確実に強くなることが保証されている。最強へと至る。


 その点俺はLvは関係ない。Lv100になる事など在りえないからだ。魔物の森の魔物を狩り尽くし全滅させて、ゴブリン・エンペラーまで倒してもLv10越えだった。一生掛けてもLv100なんて届かない。時間的問題よりも経験値的問題だ、魔物の森の魔物を狩り尽くし全滅させてLv10ならばLv100迄になる程の魔物がいるとは思えない、世界中の魔物を一人で狩り尽くしたとしても足りないだろう。


 大迷宮の下層を皆殺しにして、迷宮を潰して回ってもLv20にも届かないのにLv100迄の膨大な経験値が有る訳が無い。其処まで魔物だらけなら世界はとうに滅んでいるはずだ。


 不死の甲冑委員長や寿命不明のスライムさんなら何時いつか届くのだろうが俺には寿命がある。限りある時間の中では届く事はないだろう。人族なんだから、本当だよ?ちゃんとステータスに書いてあるんだよ?


 何のためにこの世界に来たのかなんて知らないが、意味が在るかも知れないんだよ?


 爺は確かに言っていたのだから。魂の波長と総量が合ったと。波長は分からないが総量はこの世界の連れて来られた43人分の総量だ、すでに30人しかいない上に一人は外れだ。既に総量の70%を切っている、総量が必要量だとすれば69・76744186%しか残っていない。


 為らば29人だけでもLv100を超えさせなければいけない。足りるかどうかなんて知らないが総量の人数が減った分を質量で補うしかない。


 何のためにこの世界に来たのかなんて知らないが、意味が在るかも知れない。だとすれば総量を上げなければ為せない事が有るかも知れないのだ。そして、俺はレベルが上がらないから適任なんだよ。序盤だけ最強の攻撃力特化型のモブなんだから。


 そしてこの世界に来た事に意味が在るかも知れないならば迷宮が関係する可能性は大きいはずだ、だったら迷宮で戦わなければならない。迷宮の中で戦わなければならない。迷宮の中なら階層ごとに倒していける、しかも1種類だけなら対処は簡単だ。だが迷宮が氾濫しLv100の迷宮王が大量の多種の魔物の群れを率いて来たら勝てない。迷宮の中で各個撃破できると言うのはこちらに凄まじく有利なんだよ。外に出られたら拙いんだよ。


 誰かが危険を冒さなければならないならば俺しかいないんだよ。委員長達が失われるのはハイリスクだ、そして勝てなければローリターンだ。


 そして俺は最弱だが豪運で死ににくい、スキル的に殺せる可能性が最も高い。個人的にハイリスクだがハイリターンだ。


 恐らく辺境が最も危険だから此処に転移させられて来たんだろう。


 危険とは魔物の森と大迷宮と他の迷宮達、そして戦争だ。


 既に魔物の森の大発生で村が二つ消えた。


 魔物の森と大迷宮と戦争は今の所は大丈夫だ。後は他の迷宮達、これを封じれば戦争は回避できるはずだ。だが氾濫を許せば辺境の被害は計り知れない、そして武力が弱くなれば攻められるだろう、戦争だ。


 いくら言葉にして説明しても分かってくれないが、これはこの世界に来た時からどうしようもない事なんだよ。



 どう考えても異世界転移なんて最悪なんだよ。本でも異世界に行って戦ったりも苦労したりもせずに平和に暮らす話なんて無いんだよ、大体碌な事は起き無いんだよ。


 「って言うかなんで泣きそうな顔なの?縁起悪いよ!別に死なないから?って言うか今迄でも死んだ事とか一度も無いから?多分?適材適所って言う話なんだよ?俺は委員長達が強くなるまで頑張ったらあとは楽隠居するんだからそれまでの話だよ?多分みんながLv100を超えたら俺は足手纏いになっちゃうんだよ?だから楽隠居なんだよ。楽隠居の為には委員長達が強くなるまで働かなきゃいけないんだよ、だからそんなに大げさな話じゃ無いんだよ?将来的安全策だよ。大丈夫なんだって!だって一番危険で大丈夫じゃ無いのは甲冑委員長さんだったんだから?次がスライムさんだよ?ほら大丈夫じゃん?お洋服代と食費が大丈夫じゃ無いんだけど大丈夫なんだよ?みたいな感じなんだから大丈夫だよ。」


 そう、リスクは有るが今迄よりと比べればはるかにましなのだ、普通に考えれば今迄のあれで死ななかったらもう永久に死なないだろうって言う位に今迄の方がヤバかった。


 「Lv100の迷宮王なんて全然まったく今迄に比べれば安全なんだよ?だって最もヤバかった一位と二位がこっちにいるんだよ?三位以下なんて残念賞を出してあげても良いくらいなんだよ?マジで」


 まあ、楽勝は出来ないだろう一位と二位の人達はレベルリセットで弱体化しているんだから。だが少しだけでも俺も強くなっている。


 そうして49階層の「アーマード・カメレオン Lv49」を殲滅して50階層に向かう。


 どうも地下50階層が最下層みたいだ。


 ちなみにアーマード・カメレオンは女子達が全員「気配探知」を持っているのにじっと隠れている心算つもりのまま虐殺されました。バレてるんだよ?


 「約束だからね!私達もちゃんと撤退するから遥君達も危ない事をしちゃ駄目なんだよ!嘘ついたらお小遣いはアンジェリカさんとスライムさんにだけあげちゃうんだからね!」


 いや?その3人の中なら俺が一番無駄使いして無いと思うよ?その二人って強欲と暴食の化身さんだよ?俺なんて怠惰で色欲なだけだから無駄使いしないんだよ?しかも異世界で一番の働き者の怠惰さんだよ?注文出してお洋服買ってお釣りは没収してお小遣い無しって悪逆非道ショッピングだよ?もはや内職ですら無くなっちゃうよ?


 そうして、地下50階層に入る。


 いやな予感だけは当たるものだ。


 「ケルベロス Lv100」。


 Lv100の迷宮王。地獄の番犬。


 オルトロスさんのお兄さんだ、首も一本多い三本だ。


 昔。弟のオルトロスさんは左右の前足で二つの鼻を押えて頑張っていた、死んだけど。


 今。兄のケルベロスさんは左右の前足では三つの鼻を押えきれなかった、死んだけど。


 いやな予感はどうでも良いものだった。


 「え~と?撤退?」


 「「「今から撤退してどうするの!ケルベロスさん死んじゃってるよ!真ん中の頭だけ鼻を押さえられなくて可哀想だったよ、そしてそれってどれだけ強力なお酢なの!もの凄く目も鼻も痛いんだよー!」」」


 迷宮の中が酸っぱいんだよ?目にも沁みるんだよ?鼻も痛いんだよ?鼻水出て来たよ。早く帰ろう、目も鼻も無いスライムさんまで嫌がってるよ。


 Lv100の迷宮王だがワンちゃんだったからちょろかった、強いがそれだけだった。どうやらスライムさんだけが特別な迷宮王だったみたいだよ?まあ確かにエンペラーだったし。ぷよぷよしてたし?


 「スライムさんの完全版クラスの魔物が出てくると思って心配してたのに、「キャン、キャン」って鳴いてたよ?「キャン、キャン」って?」


 スライムさんは何の弱点も持っていなかった事こそが脅威だったのだ。弱点まる分かりのワンちゃんならどうにでもなるよ?お酢さえ持ってれば。


 「絶対に撤退だよ!とか言いながらいきなりお酢を投げつけるって何?あれって有名なケルベロスさんだったよね?出番あれだけ?地獄の番犬さんが地獄の形相だったよ?」


 「でも確かにあれは私達だったら全滅していたね、凄いステータスだったよ?倒せっこなかったんだよ、撤退は正しかったんだよ、撤退自体は。撤退に問題はなかったよ、撤退って言ってた人が問題だっただけだよ。」


 「分かってるんだけどね?うん、でもね?あの「キャン、キャン」で、撤退とかどうでも良くなっちゃったんだよ?「キャン、キャン」で。」


 迷宮王ケルベロスはあの巨体で「怪力」「神速」「跳躍」「回避」「獄炎魔法」持ちの高速型のオールラウンダーだった。みたいだ?


 「斬撃無効」「魔法回避」「物理回避」「灼熱魔法」「極寒魔法」「超再生」に「牙斬」なんてスキルを持っていた。みたいだ?


 何もしないまま死んじゃったから分からないけど?だがあれは倒せないだろう。撤退は正しかったのだ。俺は間違ってない。


 「多分Lv100で巨大なLvの壁が有るんだよ。だからLv100以上にならないと倒せないんだよ、あのLv100の迷宮王クラスは。あの無効化を超えるのにはLv100以上のステータスが必要なんだよ。」


 「「「でも殺しちゃったんだよね?「キャン、キャン」って鳴きながら首を3つとも落とされてたよね?」」」


 だってワンちゃん系と虫系は得意なんだよ。お酢と殺虫剤で大体解決なんだよ?しかし、今回のお酢は凄かった。催涙弾並みの威力は有ったと思う、みんな鼻水じゅるじゅるだったから。


 (プル~プル~。)


 スライムさんも酸っぱかったみたいだ、拗ねている。口直しに干し肉をあげておこう。


 超再生持ちだから一瞬で仕留めた、俺と甲冑委員長とスライムさんで飛び込んで首を切り落としたんだけど風上でもきつかったのにケルベロスの顔の周りの酸っぱさは凄まじかった!誰だよ、あんな凶悪なお酢造った奴!追加注文だよ!武器屋で売れそうだよ、雑貨屋では売れないだろう。


 ステータスは単体ならミノタウルスより上だったかも知れない、スキルはケルベロスが圧勝だった。


 出来れば委員長に「強奪」させたかったけどあれでも未だ危険だった。


 これはやっぱり戦わせられない、危険すぎる。何故なら委員長達はお酢を持ち歩いていないのだ!不用心だよ?


 「納得はしたく無いんだけど遥君の言ってた事は分かったよ。あれは私達には倒せない、正直Lv100になっても自信が無いんだよ。だから、ちゃんと撤退する。だから遥君も約束を守らないと駄目なんだよ!危ない事はしちゃ駄目なんだよ!」


 他の同級生たちにも50階層禁止を徹底しておこう、莫迦とか何階か忘れて行っちゃいそうだ。あいつ等50も数えられるだろうか?心配だ、知能が。


 階段から50階層を覗いているとケルベロスは魔石になったみたいだ。


 誰も行きたがらないうえに「お酢を撒いた人の責任だよ!」と、押し付けられて酸っぱい部屋に戻る。


 でかいし色が澄んでいる、等級の高い魔石なのだろう。


 そしてドロップは「魔獣の革鎧 SpE 50%アップ ViT 30%アップ 斬撃無効 魔法回避 物理回避 スキル 分身」大当たりだ、回避二つに無効一つだ、SpE50%アップもViT30%アップもどちらか一つでも大当たりだ。そしてスキル「分身」格好良いけど出番が無さそうな技だ、大体今迄にこういう格好良い物ほど出番が無いんだよ。きっともうフラグも立たないよ?マジで。


 そして隠し部屋も有るんだよ、酸っぱいんだよ?涙目で隠し部屋に入る、中も酸っぱい。宝箱の中身は「統率者のリング 指揮 統率 全体効果付与」これは委員長で決まりだろう。指揮と統率も有効だが全体効果付与が激レアだろう、統率する味方全員にに統率者の持つ効果を付与出来るのだ、味方が30人なら30人全員にチート委員長の持つスキル効果が付与される。つまりユニオン全体の強化になる。ただし指揮される全員に委員長の「性豪」と「絶倫」も付与される。


 ただ特殊系は無理なのが残念だ、委員長の「強奪」が付与された状態で戦えば魔物のスキルを覚えられたのに。「性豪」とか「絶倫」とか。みんなで仲間だったのに。


 アイテム酸っぱくなる前に持って帰ろう。目が痛いし。


 協議の結果は「魔獣の革鎧」は貰えた。その代わり女子10人の1人ずつの迷宮アイテム払いで買っていた指輪3個分のツケをチャラにされた。指輪代30個分は大きいが、大当たりアイテムだから安い物だろう。レアな回避二つはありがたいんだよ、マジで。


 「統率者のリング」は全員一致で委員長だ。だって俺に指揮とかできないし俺のスキル付与されたらみんな困ると思うよ? 「操身」とか頭で考えただけで身体が勝手に動かされちゃうよ?「歩術」とか練習しないと転ぶんだよ?戦闘中にそんなの付与されたらかなり困ると思うよ?マジで。


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