今迄の人生経験からも、異世界経験からも考えられることは一つだ。
50日目 昼 ダンジョン
この先は地下題50階層、このダンジョンの階層主が居る階層だ。だからこそ問題を残したまま突入は出来ない、全員の意思を確認する必要が有るだろう、此処が最後の話し合いができる場だ。その先は修羅場なのだから。
「さて問題は階層主を殺してお昼にするか、お昼にしてから階層主を殺しに行くか?どっちが良い?どっちでも良いんだよ?どっちでも時間が微妙なんだよ?でも階層主を殺しながらお昼を食べるのは消化に良くなさそうだからお勧めできないんだよ?みたいな?」
うん、微妙に昼食の時間が合わないんだよ?規則正しい食事時間は大切なんだけど戦闘しながらのお食事は消化に悪いんだよ?なのに何故ジト目?
「え~と、遥君的には階層主戦の問題点は昼食の時間なんだね?あと階層主さんを殺しながらお昼を食べるのは消化に好い悪い関係なくお勧めできないんだよ!」
「「「あ~戦闘前の緊迫感が、緊張感が消えていく、消え去っちゃったよー?」」」
まったく成長期における食事の重要性を軽視し過ぎなんだよ、人体は食事によって摂取された栄養で構成されているんだよ?ご飯はとても大事なんだよ?栄養不足は体を壊す事と同義なんだよ、戦闘の前だからこそお食事の計画は大事なんだよ?
「空腹のまま運動は良くないけど、食べてすぐも良くないんだよ?でも筋肉を成長させるには運動後の30分以内の食事が効果的なんだよ?ほら、大事な事じゃん?階層主よりよっぽど大事な事じゃん?俺悪く無いよ。」
「あれ?ちゃんとした真面目な話に聞こえるよ?健康管理の話になっちゃってるよ?でも階層主を殺しながらお昼を食べるのは消化に良くないとか言ってる人の健康管理ってどうなのよ?どうなんだろう?」
「聞いちゃ駄目だよ!そうやって騙して誑かしちゃうんだよ、遥君は。納得しちゃうとその度に常識が破壊されていくんだよ、何故か言っている事は正しいけど内容は正しかった事が無いんだよ。だから真面目に話を聞いちゃ駄目なの。」
普通、言っている事が正しかったら内容は正しいと思うよ?それに騙して誑かしちゃうってそんな事した覚えが無いんだよ?だって騙して誑かすような人って毎晩泣きながら内職していないと思うんだよ?だから騙したり誑かしたりしない真面目な勤労男子高校生なんだよ。きっと絶対にマジで。
多数決により昼食決定でした。
「ちなみにお昼ご飯は親子丼さんだよー?みたいな?だから親子丼さんを持ったまま階層主を殺しながら親子丼さんを食べるのは消化に良くないと思うんだよ?的な?」
「「「直ぐにお昼ご飯!ずっと親子丼さんに会いたかったんだよ!」」」
満場一致で決定しました。
「う~、卵がとろとろして鶏肉がほわほわしてるよ!玉葱もじゅくじゅく?そしてご飯がほくほくで美味しいんだよっ!」
「あ~、迷宮でお昼に親子丼さんが食べられるなんて幸せ~。もう私遥君のパーティーに入るー!」
「「「裏切り者ーっ!女の友情よりも親子丼さん取っちゃうの?うん、私も入る!」」」
「気に入って良かったよ?お昼とはいえお外でかつ丼はちょっと重いかなーと思って?謎の鳥肉で親子かどうか怪しい丼にしてみたんだよ?みたいな?」
「「「かつ丼も食べたい!でも親子かどうか怪しいって言う重くて複雑なドロドロの家庭問題を親子丼さんに持ち込まないでー!」」」
だって親子関係どころか種族関係すら明らかにされていないんだよ?家庭問題を飛び越えて種族問題に発展するかも知れないんだよ?だってお肉は謎の鳥肉でも卵が不明なんだよ?買う度に色や大きさが違うんだよ?実は謎卵なんだよ?
ちなみに晩御飯はカツレツなんだよ?もうソースも作ってあるんだよ?衣を付けて揚げるだけだよ、謎野菜と茸のサラダも準備済みなんだよ、ドレッシングもマヨネーズも準備万端なんだよ。みんな夜のうちに仕込んでおいたんだよ、異世界で生きて行くのって大変なんだよ。マジで。
あと「ぼっち」はパーティー組めないからね?ちゃんと自炊しようね?最近みんな女子力が戦闘力とか魔力とか攻撃力に変わっちゃってるからね?女子力さんはほぼ無くなりかけてるよ?
さてお腹もいっぱいだし一休みしたら地下第50階層の階層主戦だ!って言うか最終階層の迷宮王さんみたいだ。気持ちを切り替えないと危険だよ?でもまたお洋服会議が始まってるよ?未だなんか作らせる気なの?異世界って魔物よりもレベルの壁よりも内職による過労死の方が危険なんじゃないの?
吃驚だよ?真面目な正統派の迷宮王さん戦だよ!なんか普通に戦闘中?迷宮王は変幻自在に超高速で駆ける、剣を振るい、盾で往なし、魔法の嵐を纏う。強いうえに弱点らしい弱点が無い、正統派の迷宮王さん。
って言うか地下第50階層が最下層、迷宮王「スライム・エンペラー Lv100」いやだって超高速で駆けて剣と盾を操って魔法の暴風雨と雷を纏ってるんだよ?マジで。スライムさんの弱点とか知らないよ?初対面なんだよ?
斬撃も殴打も効いていない完全物理無効を持ち、魔法も一切効いてない完全魔法耐性を持ち、甲冑委員長さんと打ち合える剣の腕を持つスライム。
ぽよぽよして可愛い。
ドロドロとかデロデロしたグロスライムじゃ無いんだよ?
ぽよぽよしながら戦ってるんだよ?でもオコなの?なんか不機嫌そう?
黄色くなって雷を纏ったかと思えば、赤くなって火の玉アタックだ?あ~、盾っ娘が吹っ飛ばされちゃったよ?
ぽよぽよしてるけど、滅茶強い。
甲冑委員長と本家委員長、更に後ろから副委員長Aさんが四刀流で掛かっても切り結べる、速さでも対抗できている、しかも変則的な動きで動き、変形して攻撃してるから捉えきれない。
ぽよぽよした丸っこい身体から何本もの剣や盾が取り出されている?空間魔法か無限収納持ちさんみたいだ、何故か余り本気で魔法を使ってこないがあれだけの魔法を使われればレジストしきれない。剣でも魔法でも強い、そして可愛い!
その予備動作の無い素早い動きに翻弄されている。うん、スライムさんに予備動作とか無いし、在っても解らないよ?ぽよぽよしてるだけだから?
これはマジで甲冑委員長さんが本気出さないと無理かもしれないくらい強いんだよ。
そして今は連携攻撃しているから甲冑委員長さんは本気を出せていない。
だが11人の完全な連携連続攻撃を捌き切れている。
ぽよぽよと捌き切り、ぽよんと躱す。
ぽよよんと受けきり、ぷよよんとBさんが揺れる。
「「「、、、。」」」
10人が完全な連携で睨んでる?実は余裕なの?
「何で遥君見てるだけなの?」
「いや?ぽよぽよして可愛いなーって?ぷよよんって?みたいな?」
だってぽよぽよして可愛いんだよ?可愛いんだから正義かも?
「ぽよぽよして可愛いのはスライムさんのお話なのかなー?それとも別のぷよよんのお話なのかなー?」
「スススラスララスライスライスライムさんだよ?スラスライムスライさんに決まってるよ?みたいな?」
「「「スラスライムスライさんって言うのはは何処の誰なの!?」」」
これはこのままだと倒し切れそうにない?ぽよぽよと突撃して来ている、怒ってる?
まあ不法侵入だし怒られても仕方ないけど?ぽよぽよしながら攻撃的?
これだけの技と魔法を持っていて、多彩な変則的行動がとれているのに接近戦?
またぽよぽよとぶつかっていく?剣も魔法も使えるのに?体当たりするの?
何故かぽよぽよとけなげに頑張っているように見える。
何故かぽよぽよと必死に体当たりしてるように見える。
今迄の人生経験からも、異世界経験からも考えられることは一つだ。
そしてこの対処法に失敗は無い。これで解決が不可能な問題はない。
「お菓子食べる?みたいな?美味しいよ?尾行っ娘曰く甘美味しいらしいよ?」
(ポヨポヨ!)
うん食べてる。スイートポテトを持ってきてて良かったよ。やっぱりお腹が空いてたんだ?ああ、ずっとここに独りぼっちだったらひもじかっただろう?あれっ?迷宮王さんってひもじい物なの?
「た~んとお食べ~!的な~?みたいな?」
(ポヨポヨー!)
晩御飯用に用意していたカツレツを揚げては投げ、また揚げては投げる。
「パンも沢山有るよ~?栄養のバランスはスライムさんだから分からないんだよ~?」
(ポヨポヨ~!)
パンもぽよぽよと食べている。
ここで一人でずっとお腹を空かせてたんだ、だから怒ってて攻撃的だったんだ。お腹が空いてて魔法も沢山使えないまま一生懸命体当たりしてたんだよ。
ようやく満腹になったみたいでご機嫌だ?俺の頭の上で寝てるんだよ?寝ててもぽよぽよして可愛い。小さくなってるから大きさも自由自在?
「「「餌付けしちゃったよー!懐いてるよ~?何で気軽に迷宮王さんを頭の上の乗せちゃってるのー!」」」
えっ、ぽよぽよして可愛いよ?マジで。