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まだあわてるような時間じゃないが睡眠時間は無いらしい。

50日目  朝 宿屋 白い変人



 「今日は階層主班と通常の迷宮班に分かれまーす。間違っちゃ駄目だよー?特に立ったまま眠ってる遥くーん?起きてても話聞かないのに何で寝ちゃうのー?おーーーいっ?起きろー?」


 ちゃんと聞いてるのに酷い言い草だよ?今日は三つの迷宮の地下50階層巡りなんだよ。うん、聞いてるよ?目を瞑って、意識を無くしてただけだよ?寝てないよ?ちゃんと倒れない様に「木偶の坊」で身体を支えてるから大丈夫なんだよ?ぐううーう?ぐうーう?みたいな?ぐーう?


 「起きてよー、出発するんだよー?ねえアンジェリカさん、どうやったら起きるの?え、えええええぇぇぇぇっ!無理無理無理何でお目覚めのキスなの?ってなんで私がするの?なんでみんな私を見てるの?何でどーぞどーぞなの?無理だから無理だから無理だから、みんな見てるのに出来ないから!ってみんなで後ろ向かないでよーっ!それってしちゃえって事なの?無理だよー?私ヘタレなんだよー?無理なのー。起きてよー!」


 「うーん?騒々しいよ?安眠妨害だよ?睡眠不足はお肌の不倶戴天なんだよ?共に天を戴かないくらい不倶ってるんだよ?戴かないって言うかいただきます?みたいな?」


 「あーーーん、頂いたら駄目なのー!なんでみんなチラ見してるのー?って言うか安眠しないでよー?起きてー!なんで朝からこんな事になってるのー?うえ~ん。」


 おや?委員長が泣いてる、何かあったのだろうか?顔を真っ赤にして涙目だ。


 「よしよし?委員長も寝不足で夜泣きなの?ぐずってるの?お腹が空いたの?さっき朝ご飯食べたでしょ?あれ、食べたっけ?マジで。」


 「なんで私がお腹空かして夜泣きでぐずっちゃうの?あと朝ご飯ちゃんと食べたよ!ボケて忘れてなんか無いよ!って言うか遥君も食べてたから!」


 まったく朝から賑やかしい事だ。静謐な朝の静けさを堪能する事は出来はしないものだろうか?


 「「「あ~あ、ヘタレちゃったよー。」」」


 「裏切り者ー。何で誰も助けてくれないのよー?何でみんなで後ろ向いちゃうの!何なの無理に決まってるじゃない!ヘタレちゃうよ!ヘタレちゃんなんだよー!」


 あれ、朝ごはんは何処だろう?食堂なのにご飯が無いよ?俺はダイエットとか要らないよ?寧ろ脳が栄養不足で働かないんだよ?


    ・

    ・

    ・


 そして目が覚めると迷宮だった?「知らない迷宮だ。」って訳分からないよ?どんな展開をしたら朝起きたら知らない迷宮なの?って言うか此処何処?


 「あ~っ。やっとお目々が開いてるよ~、よく寝ながら歩けたよね~?触られても全然起きなかったし~?」


 「え~と、俺は寝ながら歩いて来たの?そして誰に何処を触られてたの?起きなかった間に何されちゃったの?なんでみんな目を逸らすの?何されたのー!」


 疑惑発覚だよ?油断も隙も在ったもんじゃ無いんだよ、セクハラ疑惑だよ?何されたの、どこ触られたの、犯人は誰なの?どうしてみんな目を逸らしてるの?


 「さーダンジョンだー、みんながんばろうねー?」


 「「「「おーーー!」」」」


 なんか掛け声まで嘘くさいんだよ?疑惑が深まり中だよ、真っただ中だよ。ダンジョンより疑惑の方が深そうだよ。


 「この階に隠し部屋があるよ。っていうか何階なの?ここって。」


 「ここはまだ1階だよ?入ったばかりだよ。隠し部屋が有るのって深い所じゃないの?」


 あれ?今迄にダンジョンの20階層より上で隠し部屋何か見た事無い気がするんだけど?ましてや一階って?でも確かに隠し部屋だ、変な所に有るけど間違いない。


 ダンジョンの入り口の壁を押す。

 

 「えっ!そこって入って来た入り口だよ? いきなり入り口に隠し部屋なの?」


 中には小部屋が一つ。其処には宝箱が無くて代わりに本がポツリと置かれている。本?これは河原や公園の茂みにポツンと発見されるという伝説のHな本なの?異世界だとダンジョンの中なの?だが異世界のお姉さんは美人率がとても高いのだ、これは期待できるのかも!


 「え~と、「ノォウ ハァウ 魔道具!」って本当に出版してたよ!深夜の独り言がフラグだったよ!誰も知らないフラグだよ?自分で建てて自分で回収しちゃったよ!あと男子高校生的な期待を返せ!」


 有ったら良いなーとは言ったが何故迷宮の隠し部屋に有るんだよ?だがこのシリーズは発禁本扱いなのだ、誰かがここに隠したのかも知れない。辺境の為に役に立つ本だから見つかって燃やされない様に此処にずっと隠されていたのかも知れない。積もった埃の厚さが時を物語っている。


 軽く目を通した感じでは「ノォウ ハァウ 魔道具!」は「ハァウ トゥウ 魔道具!」の続刊の様だ、次は何だろう?全何巻なの?魔道具作成のより高度な内容と魔法やスキルの理論が事細かに説明されている。タイトル以外は固い本なんだよ、びっしりと書き込まれた文字からは人々に役立つ物を、安全な暮らしをっていう気持ちが滲み出している。そんな立派な本が発禁処分何て社会の損失は計り知れないよ、実際この本にある魔道具だけでどれ程人々暮らしが楽になり、兵隊や冒険者だけでなく行商人達や農村の安全が高まるかを考えれば推奨されこそすれ発禁にするなんて大損失だよ?大損害だよ?これは正に大迷惑だよ。


 「この本って俺が貰っても良いかなー?魔道具の作成本だから読みたいし、作ってみたいんだけど。的な?」


 「「「良いよー。遥君に必要な本だよ、それは。」」」

 

 貰えた。よし、みんなの取り分を見逃さない様にしっかり目を覚まして隠し部屋を探そう。お宝さん探しだ。


 上層の湧いた魔物は惨殺されて出会う前に魔石になって回収されている。なんだか甲冑委員長さんも御機嫌だ、御機嫌に殺戮中だ。このパターンは俺の見せ場が全くないパターンだ、良くあるパターンだ。だってダンジョンの探索に行って最下層まで只降りて上がっただけなんて経験は中々出来ないだろう、だが良くあるんだよ?マジで。


 「あれ?また隠し部屋、ここって未だ5階層だよねー?隠し部屋が多いのかなー?まさかの本屋さんの迷宮!よし!改装して此処に住もう。」


 「本って未だ一冊出ただけだよ?」


 「やっぱりまだ改装は諦めてなかったんだー。」


 「う~ん?立地が微妙だよ~、街からも村からも遠いんだよ~?」


 そうか、まだあわてるような時間じゃない。


 「そうだね、落ち着いて一つずつ確実に、一つずつ物件を見比べないとね。」


 「「「だから迷宮は物件じゃないし分譲もして無いんだよー!」」」


 どうもリフォームがお気に召さないようだ。新築派の手の者の様だ。


 「えー?一から新築は大変だよ?掘ってみないと基礎や地盤が分からないから穴だらけになっちゃうよ?異世界が?」


 うん、やはり迷宮の中で浴びるジト目は一味違うんだよ、しかも3パーティー合同で俺以外は全員女子。ジト目の厚みが違うんだよ。でも毎朝ちゃんと冒険者ギルドによって朝の受付委員長のジト目は浴びて来てるんだよ?ばっちりだよ?記憶も無いのに今日もちゃんと行ってたらしいんだよ?夢遊病の様にギルドに入って、寝言の様に依頼に文句を言ってジト目は浴びたら出て来たらしいよ?マジで?


 「ここだねっ?え~と「レェッツ ゴォゥ 魔道具!」って何で一緒に隠さずに階層ごとに隠してあるんだよ!面倒だよ!って言うか他の本って無いの?あとそのタイトル未だ引っ張るの?」


 三冊目だった。今度のは上級編って感じで難易度が高い物ばかりだし、材料も手に入れるのが難しそうなものが多い様だ?何これ?


 「おっ、洋服も載ってる「マルチカラー・ドレス 魔力で好きな色に替えられるドレス。」うわ~、面倒くさいなーこれって?材料はいらないんだけど魔石の加工が滅茶手間だよこの作り方って?」


 「「「作って!ブラウスとスカートも作って!本あげるから作って!」」」


 これをドレスとブラウスとスカートを21人分?63着作るの?誰が作るの?その人はいつ寝るの?昨日だってオーダーメイドの作成で遅くなったから朝は眠かったんだよ?でも採寸の時は目が覚めてたよ?マジ覚めたよ、特に副委員長Aさんのタイトスカートと副委員長Bさんエプロンドレスは目が覚めた上に羅神眼に焼き付けたよ。メジャーテープが弾かれたんだよ!ポヨンって!それで深夜にお説教までされて睡眠時間が刹那になっちゃたんだよ?あとちっこい小動物はフリンジの付いたウエスタンジャケットにしておいた、なんとウエスタンステッチとフリンジに幻惑効果が付けれたよ。今日の夜に委員長のワンピースを作ったらゆっくりできると思ってたのにさらに面倒なオーダーが増えちゃったよ?スキル「不眠」とか取れちゃいそうだよ?その内誰も寝てはならぬとか歌い出しそうだ、迷惑そうだ。



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