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禁断の書とか禁書って言われると格好良いのにタイトルに難がある。

47日目  夜 宿屋 白い変人



 追い出された? みんなは食堂で会議している。


 どうやら他所の領主だか貴族だかに調べられていたみたいだ。


 まあ、今の所は害は無さそうだけどこの世界で黒髪黒目は目立つんだよ。


 そして、黒髪黒目は俺だけじゃないから巻き込む危険がある。仲間であるからには狙われる危険だって高いだろう。


 この国にいなきゃいけない訳じゃ無いし、遠くに行って目立たない様に暮らせば良いだけなんだけど逃げるみたいでそれもムカつく。ムカ着火ファイヤーだ、ムカ着火インフェルノだと言っても過言ではないだろ。


 俺だけなら国どころか洞窟だけでも良いくらいだ、だが何故かひきこもりなのにひきこもりが禁止されているんだよ? 甲冑委員長さんと二人っきりの洞窟生活は、それはそれでとても良い物だろうが駄目人間になっちゃいそうな気しかしない、だってジャグジーだよ? 泡泡ボディーなんだよ? すっごいんだよ、マジで!


 でもレベル上げにも装備の強化にも迷宮巡りが一番効率的だ、ダンジョンアイテムは集めておいた方が良い。


 取り敢えずはこの街が安全なのだろう、他所の領主とか貴族とか面倒そうだしメリお父ーさんみたいな良い変人では無いかも知れない。


 辺境のダンジョンが無くなるまではこの街が拠点だろう、ここがお家に一番近い街だし?せめて日帰りジャグジーだけでもね~?


 「俺を調べるってやっぱり隣町? 遠いけどお隣さん? って言うかお隣の領地なんて一個しか無いんだよ? 絶対そこだよね?」


 この辺境領って奥は魔物の森でそれ以外の周辺は高い岩山で囲まれている、ぶっちゃけ広大な孤立地帯。お隣の領地には左右を岩山に囲まれた細い路一本だけで繋がっている。その先にお隣さんの何とか領があり更に先には王都がある、つまり路はそこしかない。あとは魔物の森と崖だけなんだから、だから物資が不足して貧しかったのだ。


 要は隣街が通行や物資に税金をかけて利益を奪っている、でもそこを通らないと売買できない。だからやりたい放題出来るだろう。そして今までもやりたい放題してきてこれからもやりたい放題する気なのだ。


 だからこの街が気になってしょうがない、何かが有ればすぐに調査する。何せ辺境のお金を掠め取って繁栄している領地だから。


 この展開は隣の領地と揉めちゃうのだろうか? 揉め事なのだろうか? 揉むのは好きなんだけど揉め事は面倒だ、揉み事なら大丈夫だからすぐ行くよ! 揉んじゃうの、それって何処に行ったら良いの!? 隣の領地? 揉めるの? いや揉めそうだ? あれ?


 まあ領主どうしで何かしているだろうし情報が無いから手出しも出来ない、何かされたら動けばいいだろう、でも単独行動はとらない様にさせないと。


 戦闘なら女子達も問題ないだろう。怖いのは搦め手だ、毒、催眠、傀儡、罠って……あれ? 俺の得意分野? まあ得意なんだから対策も出来るだろう。搦め手も得意だし足を絡めるのも大好きだ、マジで。


 「うん、取り敢えず商業活動で制作活動だ。対策になってお金になってスキルが上がって言う事無しだ。今晩も働くのかー?にーとなのに休みが無いよ?」


 雑貨屋のお姉さんがようやく仕入れて来てくれた異世界の本。


 小説は無かった。


 だが禁書が有った。


 辺境だからこそ焼かれる事無く残れた書物。禁断の書、名は「ハァウ トゥウ 魔道具!」誰だよ禁書にこんなタイトル付けた奴! いや作者なんだけどさー? ハァウが発禁? それともトゥウがいけなかったの? 


 でも内容は至極真面だ、魔道具やスキル装備の材料や作り方がぎっちりと書き込まれ効果が詳しく説明されている。危険な辺境や装備が不足する貧しい街や村が救えるであろう内容、実際に紙面も魔物避けや戦闘の補助効果に多く割かれ、生活用品も充実している。敢えて悪用出来そうな物は載せていないみたいだし、これって危険な異世界では絶対的な推奨本で発禁になる意味が分からない? エロも無かった? なんで禁書?


 ただこの世界の人は文字は読めるんだけど文盲気味だ、識字は出来るから単語や短い簡単な文や数字だけわかる人が殆どらしく本は需要が無いらしい。しかも「ハァウ トゥウ 魔道具!」は要錬金術の本。でもこの世界では錬金術って言うか化学は発達していない処か忌諱されている節さえ有る、発禁はともかく売れなかっただろう。


 これで未だ効果は低い物しか作れないけどアイテム製作が可能になった、って言うか女子達が雑貨屋さんで買った服は全部効果付きだ。きっと洋服を買うのに鑑定とかしていないだろうから気付いて無いと思うけど防御、回避、耐異常の効果がある、全部に付けておいた。ただしダンジョンから見つかる装備品と比べるとしょぼい、それでも武装していない時の気休めくらいにはなる筈だし、この街の冒険者や兵隊さんの装備よりは高い効果はあるはずだ。


 ただ戦闘用より効果の高い耐異常や罠探知が必要になりそうだ、魔石を使った指輪が良いだろう。材料の魔石は売る程あるし等級の高い魔石なら効果も大きい、只難しいし時間が掛かるし面倒くさいから造って無かったんだけど念の為に造って置いた方が良さそうだ。まあ、アクセサリーなら儲かりそうだからいつか造ろうと思ってたんだ。材料費もタダだし沢山売れるからお大尽様だ、頑張ろう。


 「おーっ、色が変わるの? これ売れるよ! 大ヒット商品だよ! 問題はデザイン? 石がある以上デザインが限られるし実用性重視だとシンプルで頑丈で邪魔にならないデザイン?」


 ただ魔石を取って来て売るのでは相場でしか売れないがこちらで付加価値が付けられれば相場を決められるようになる。魔石単体の買値が低ければ販売せずに加工販売出来るのだから安く買い叩かれる事が無くなる。あー、だから禁書にされて燃やされちゃったのかも。


 魔石の最大の産地は辺境だ、他所は安く買い叩きたいだろう。


 その為には辺境に加工技術が有ると困る、恐らく加工技術を独占し利益をあげている。だからこの辺境はこんなに貧しかったんだ、魔石の最大の産地なのに買い叩かれ利益は僅か、その利益すら隣りの領を通る度に掠め取られる。


 そして貧し過ぎて装備すら満足に整えられない為に魔石が取れなくなり不足し始めていた。


 その結果、軍事力不足に陥り魔の森が広がるのを止める事が出来なくて町や村が襲われ人口まで減ってしまい更に貧しくなる。国の政策だとしたら屑なうえに莫迦すぎる、それで儲けても滅びちゃうよ? 魔物増え放題なんだから。


 「いっそジュエルリングで良いか? 食べられないけど豪華そうだし。ただ普段使いで大きな石って~、ああ、石ごとリング型で良いじゃん? 加工出来るんだから古代翡翠指輪的な? あれなら全部石で良いし? 色変えれるんだから売れそうだ! これは御大尽様だ! ひゃっほう? みたいな?」


 大ヒット商品の予感だ、独占商品なうえに付加価値付き。尚且つ色とデザインさえ変えればリピーターも付いてロングセラー間違いなしのロング御大尽様生活だ!


 量産に次ぐ量産、同一種類の大量生産ならば並列思考で一斉制御で一人多重魔法による流れ作業で量産だ、「至考」さんの並列思考が大活躍な錬金と魔法の一人並列の流れ作業だ。


 中々これ程迄に工業化された内職って世の中にちょっと無いと思うレベルの大量生産だ、魔石がベルトコンベアの様に宙に連なり俺の周囲で螺旋を描きながら次々に廻り並べられながら加工されて指輪になって行く。生産速度も慣れればなれる程加速して行き生産数が増えて行く、一人工場さんだよ? 一人工業地帯さんだと言っても過言では無いだろう? でも誰もお給料はくれないんだよ?


 はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る? もう泣きぬれて蟹とたはむるくらい働いてるよ? 勤労男子高校生選手権でも勝ち抜けちゃうよ? 何でお金が無いんだろう? みたいな?


          47日目終了


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― 新着の感想 ―
[一言] やっと「お大臣」が「御大尽」なったけど、今までのはわざとなんだろうか?
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