ルールは守る為に有るんだからルール内なら問題なくない?
46日目 夜 白い変人 女子会
明日は休日にしました。
お休みです、お休みさせます。女子の寝不足が酷いんだよ?気配察知の上昇も凄いんだよ!気配察知のLvが上がると更に気配が詳しく解って大変なんだよ!この大変な時に振動魔法を教えられちゃったんだよ!もう振動魔法もLvアップしちゃったんだよ!みんな一晩で。もう無理です、お休みです。朝がつらいです。
明日はみんなで雑貨屋さんに行くことにした。アンジェリカさんにも一緒に行こうと誘うとお悩み中だ、女の友情とデートを秤に懸けているんだ、どっちも行きたいみたいで悩んでるみたいだけどどっちでも雑貨屋さんだよ?そんなに悩まなくても行先は一緒だからね?
私達も昨日、今日と迷宮をサクサク進んだし、魔物は遥君達が殆ど倒してたのに等分で魔石を分けてくれた。だから軍資金も充分だしお買い物が楽しみだよ。
「新しい服入ったかなー?すぐに次はいるって言ってたよねー?」
「言ってたけど一昨日だよ、買い物したのって?でも明日はゆっくりお買い物ができるよねー?」
「お洋服も欲しいし、装備も欲しいし、美味しい物も欲しいしでお金が足りないよ?借金地獄に落ちちゃうよ?」
「しばらくは遥君の単独行動は無いからバーゲンもオークションも無い筈だよ?お洋服狙いで大丈夫だよ、多分?」
「うん、美味しい物って言っても遥君の支給品が一番美味しいから洋服、アクセだね!あ、でもあの雑貨屋さんって遥君と提携してるからお菓子とか売り出すかも?」
「「「出しそうだよ!私たち破産だよ?絶対買っちゃうよ?」」」
「明日は遥君がお弁当を支給するらしいよ。アンジェリカさんが何か用意してるの見たって!」
「「「キャアアアッ!甘い物なの?美味しい物なの?太っちゃうの?」」」
「遥君って適当で良い加減なのにまめだよねー?楽しそうに何かしてるんだけど大体がみんなの事だよねー?」
「「「学校ではもっと無口で、怖いのかと思ってたよ?」」」
「別に遥君は変わって無いんだけどみんなの見る目が変わったんだよ。知らんぷりしてるだけのお人好しなのがバレちゃっただけだよ。ずっと遥君のままだよ。」
そう、学校では延々と本を読んでるから話し掛けにくいし無口っぽいけど変わってなんかいない。
「小田君達が言ってたけど、学校で小田君達がいじめられそうだと何故かそこを横切るんだって、そして「邪魔。なんなの?何でそんなに邪魔なの?馬鹿なの?頭に倣って顔まで馬鹿なの?」とか言ってひと睨みで不良君達蹴散らしちゃうんだって、で、知らんぷりでどっか行っちゃうんだって。」
「「「あー。そう言えば偶然みたいだったけど、よくやってたねー。」」」
そう、怖い人に見えるのは何時も誰かのせい。本人は何にも言わないから誤解されるけど。誤解されても何も言わないんだけど。
「そう言えば目立たないのになぜか一番存在感があったよねーっ?」
「うん、体育とかスポーツの試合とかでも地味だったから運動苦手なのかって思ってたよ?」
「あー、それ柿崎君達体育会が昔から言ってたよ。なんか勝てる気がしなかったり、ヤバい気配がするから近づけないって、サッカーでもバスケでも遥君のいない所に追いやられちゃうって。」
「「「それなら目立たないね、本人にやる気も無いんだから。でもそれって競技に参加して無いよね。」」」
野生の勘で避けられてたみたいだ。遥君は子供の頃からルール内なら何でもする。常識なんて無いんだからルールの無い所で戦う。隠れん坊で変装してた人なんて遥君以外で見た事が無いし、鬼ごっこで罠を仕掛ける人も他にいなかった。無敵過ぎだった。
「あっちではルールが有ったり常識が求められてたけど無くなっちゃったから目立つんだよ。まあ、この世界でも非常識みたいだけど。」
アンジェリカさんが激しくウンウンしてる。大迷宮での事を思い出しているんだろう。そして迷宮皇を助けちゃった事も。
遥君が非常識に見えない世界なんてあったらそこはとんでもない世界だろう。住人が皆遥君みたいな世界は凄く平和だろう、誰もが怖くて何も悪い事なんて出来ないんだから。一般人が最強最悪な世界には悪者なんてきっと居ないんだろうから。
この世界でだってもし迷宮皇を使役しているなんてばれたら普通は大騒ぎだろう。大変な事になるのだろう。
でもこの街ではもう遥君について回る甲冑さんは馴染んでる、きっと吃驚はしてもそれだけだろう。
だって毎日迷宮皇より大騒ぎな人に大変な目に会ってるんだから。寧ろ付いて回る甲冑さんの方が良い人だってみんな知ってるもん。
この世界でも非常識だから、この世界の常識も変えちゃったんだよ、いつの間にか。きっとアンジェリカさんの為に。無自覚な気もするけど、多分?
「可愛い靴とかブーツとか欲しいよねーっ?」
「うん、足元が弱いんだよ。お姉さんに頼んでみよう。」
もう明日が待ちきれないんだ。アンジェリカさんは可愛い帽子が欲しいって身振り手振りで説明してる。なんだか喋るのよりもジェスチャーの方が上達している?エロいお話は凄い上達してるのに?そればっかり聞かれているからだろうか?心当たりは山盛りだ。
「カバンもだよ!バッグだよ!オシャレさんには必需品だよ!ベージュ色の布カバンしか無いんだよ?」
「「「あ~、確かに。やばいよ、最近丈夫さとか収納量しか考え無くなってたよ?女子力の危機だっ!」」」
沢山いろいろ入荷していると良いなーっ。楽しみで楽しみで大騒ぎだ、街の女の子達も初めてのおしゃれで楽しそうだった。だから遥君はあの雑貨屋さんに入り浸っていたんだ、いっぱい買って、いっぱい売って、それでも足りなくて出資して、建物まで建てちゃって、だってお店のお姉さんが商品の回転率とか在庫商品のディスカウントとか購買層の拡充とか言ってたけど中世位のこの世界で経営学とか経済学を教え込まれちゃってたんだよ?もう、大商会間違いなしで異世界初のデパートになっちゃうんだろう。しちゃう気だから珍しく普通のビルにしたんだよ、きっと増築する気なんだよ、お姉さんに内緒で。
「お化粧品は口紅だけだったねー?ちょっと赤過ぎだったよねー?」
「うん、基礎化粧品までは遠いんだよ、10代の間は大丈夫かなー?」
「基礎化粧品より~っ、遥君みたいに再生とる方が良いんじゃないかなー?お肌再生しちゃうんだよ~っ。」
「「「それだっ!何か遥君の顔がツルツルだと思ったよっ!毎朝スッキリだからかと思ってたけど再生持ってたんだ!」」」
私も持ってるけど黙っていよう、怖いから。16才だから再生関係ないと思うよ?あれは毎朝スッキリの方が原因だと思うよ?
この世界に来てみんな何もかも諦めていたのに。もう手に入らない物ばかりだと思っていたから忘れようとしていたのに。遥君が何とかしちゃうからみんな嬉しそうだよ?きっともっと喜ばせようと何かしているに違いないんだ、アンジェリカさんからの情報でもいろんな材料を集めて暇を見つけては魔法でアレコレやっているみたいだもん、だから明日が楽しみだ。きっと大喜びするようなものが増えてるかも知れないんだから。
「「「おやすみー。また明日ーっ。」」」
みんなが幸せに暮らせているよ、ちゃんと遥君が言ってたみたいに笑って楽しく生活しているよ。ありがとう。