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掃除、洗濯、磨くのにも汚れ落としにも便利で肩こりにも良い。とても良い。

45日目 昼 迷宮 10F



 ストーン・ゴーレム、硬い石に覆われた巨体のゴーレム。ゴーレムゆえに生命は無い、恐れる事も怯むことも無く機械の様に襲い来る怪力の巨人。命なき頑強な殺戮者が襲い来る。


 一瞬の間。魔纏から転移を纏い、瞬きの間にストーン・ゴーレムを突き、その瞬間に砕き破砕する。屈強であっても石、一瞬ですら充分だ。


 振動魔法。


 「掌握」して「振動」させる魔法。


 10階層の「ストーン・ゴーレム Lv10」に杖を突き入れ、超高速振動で破壊する。一瞬の間に削岩機の様に砕き破砕する。


 「「「凄いよ!その魔法どうしたの!?」」」


 ゴーレム相手に手間取っていた委員会の皆さんも興味津々だ、剣士タイプにはゴーレムは面倒なのだろう。


 だが、振動魔法があればバイブレーション・ソードが出来るかも知れないのだ、剣が耐えられるかどうかが分からないがある意味チェインソーの様に挽き伐れるだろう、衝撃系の技が無いなら有効な筈だ。教えれば戦術に厚みが出るだろう。


 「毎日甲冑委員長さん相手に戦い続け鍛えた魔法だよ、振動魔法に敵は無いんだよ。甲冑委員長さんさえ倒してるんだよ。戦闘以外で。毎晩。」


 そう、毎晩この魔法で戦ってるんだよ、日々頑張っているんだよ。あんまり使うと甲冑委員長さんが次の日まじオコなんだよ。超強力振動兵器を鍛え上げたんだ、破砕はしてないけど精神的に破壊はしてるかも知れない。強力だから。


 「「「、、、。あ~、振動って、、、バイブ機能を魔法で、、、戦ってたんだ~、アンジェリカさんと?振動で?倒しちゃったんだ、、迷宮皇さんを。」」」


 え~、ちゃんと使えたじゃん?ストーン・ゴーレムを一撃で破砕したんだよ?役に立ってるよ、意味も意義も有ったんだよ、対ゴーレムにも。他にもいろいろと。


 「みんなが覚えたらゴーレム倒せるよ?便利だよ?いろいろと便利なんだよ?マジで。」


 何故か顔を真っ赤にして下を向いている委員長達?いやマジ便利なんだって、汚れ落としにも最強なんだよ?お掃除でも、洗濯でも、磨くのにも便利だったよ。肩こりにも良いと思うよ?大きいし?実際この魔法が完成していなかったらマヨネーズは面倒だったろう、卵が不足なんだけど今日の晩御飯には出せそうなんだよ、あんなの振動魔法無しで攪拌とかできないよ、マジ便利なのになんで誰も覚えようとしないの?せっかく取って置きを教えてあげたのに。みんな顔赤いし?


 その後甲冑委員長にボコられて、先を目指す。


 恥ずかしかったらしい?マヨネーズ作りが?異世界ではマヨネーズが恥ずかしいの?隠れて食べなきゃ駄目なの?美味しいよ?手作りだからマジ美味しいんだよ?卵さえ安定供給されればいつでも食べれるんだよ、振動魔法さえ覚えれば?美味しいのが恥ずかしいのだろうか?マヨラー的に?


 そうして、10Fのゴーレムを倒し切り11Fへ向かう。だって、甲冑委員長さんは振動魔法なんか無くても斬っちゃうから、さすがに打ち合いにはいかないけど擦り抜ける様に斬っちゃうんだよ。実は本家委員長と甲冑委員長はスタイルが酷似している、いや、スタイルはどっちも素敵なボディーラインで、「ゲフン、ゲフン」いや?戦闘スタイルの話だからね?違うよ?マジ戦闘の事考えてたよ?今の斬撃は転移できなかったら死んじゃってるから危ないよ?俺の命が?


 んんんっ、そう委員長と甲冑委員長は戦闘スタイルが酷似している、両手剣と二刀流を使う甲冑防御での剣戟戦を主としながら魔法も使える近接戦型のオールラウンダー、力より速さと技を重視し、打ち合うより躱し逸らすスタイルまで一緒だ、素晴らしいスタイル。いや、戦闘スタイルだって。マジで。


 ステータスは委員長の圧勝だ。Lv90越えでSpEなんか四桁に近い、苦手のViTでも700あり打ち合いでも戦える。一方の甲冑委員長は漸くLv20台、委員長と比べると3割~4割程度の能力しかない、打ち合いは出来ない、必ず避けるか受ける必要がある。生まれ変わったせいなのかLvの上りがかなり遅い、かなり遅いのに俺は早々と抜かれてしまったよ?やる気あるの俺のステータス?マジで?


 だから委員長は真剣に見続ける、迷宮皇の剣技を。元だけど。


 その技と動きを学ぼうと、盗もうと、手に入れようと観る。


 自分と何が違うのかを学び、自分にない物を盗み、強さの片鱗でも手に入れようと学び盗る。


 仲間を守れる力を、襲い来る死をを殺す力を、何度も苦しみ倒されそれでも強さを諦めないのだ。


 俺の技は誰もいらないみたいで無視されてるけど?まあ、それはそうだろう、俺だって甲冑委員長の技の方が良いよ?だって色々彼是やってるけどさー?異世界に来てからずっと突っ込んで殴る、一瞬で突撃?それだけしか技が無い、後ろから殴ろうと、袈裟に斬り捨てようと、一緒くたに薙ぎ払おうと、全部突っ込んで振ってるだけの同じ技だよ、ほかに何にも出来ないんだよ、実は。だから先に殺す。相手が構える前に殺す、相手が振り下ろす前に殺す、相手に斬られる前に殺す、相手に見つかる前に殺す、相手が出会う前に殺す、相手だと気付かれる前に殺し尽くす、だって俺には守る力は無いから殺すんだよ。誰も守れないから相手を殺しているだけなんだよ、俺が盾職をしても瞬殺されるんだから、吹っ飛ばされる前に即死しちゃうんだよ、俺のステータスでは。


 だから誰も学んでも意味の無い技なんだよ。そして、甲冑委員長も無限の様に技を繰り出し勉強になるけど、究極と言える技量に魅せられるけど、守れないんだよ。俺と一緒で。


 学ぶのは良いけどこんな風にはなっちゃいけないんだよ、だから迷宮皇の剣技は儚げで美しいんだよ。幻の様な剣舞なんだよ。それなのに何で俺のは脆いのに見苦しいかは考えなくて良いよ?俺も知りたく無いんだから。マジで。


 勇者や英雄の学ぶべきは盾っ娘なんだよ?いつもいつも吹っ飛ばされてるけど、いつもいつも敵の攻撃から誰かを守って吹っ飛ん出るんだから。HPとViTを充分に持ちながら高いSpEとDeXは素早く味方への攻撃を遮り、受け流して身に付けて来た技術なんだよ、あれこそが撃ち合える強さなんだ。吹っ飛ん出るけど。 


 これほど迄に強く美しく優しいのにそれでも闇に囚われ迷宮皇になってしまったアンジェリカさんや、殺す事しか出来ないから同級生まで殺してきた人殺しの俺の様になっちゃいけないんだよ?俺たちは守れないから、俺たちは誰も守れないから、殺す事しかできないんだから、殺すだけの技なんだから。英雄や勇者になる力を持っていないんだから。こんな風になっちゃいけないんだよ。


 だから振動魔法を憶えた方が良いと思うよ?マジ便利だよ?


 うん多分今日は甲冑委員長無双で終わるパターンだよ、俺このパターンよく知ってるもん。委員長達に技を教えようとしてはいるんだけど無理な事も分かっている、何より自分の戦い方の脆さも知っているのだろう、だから業と甲冑で攻撃を受けて見せたりしているけどそれで剣が鈍ってしまっている。やはり今日の夜にでも女子達に振動魔法を教えておこう、この世界の戦いでは何より打ち合いの強さこそが必要なんだから。だってウエポン・スキル自体がそういう風に造られているんだよ、打ち合い潰し合い叩き合うように。俺たちは邪道なんだよ。


 誰かが楽しそうにハンマーでゴーレム達を粉砕し爆砕しているように見えるが気のせいだろう。あれは杖を持った大賢者のはずなのだから。きっと揺れている気がするのものも気のせいだ。気になるけど気のせいだ、見たら殺られるんだろう。罠だ!


 恐らくこのままのペースだと20階層まで行けないし、委員長や副委員長達の練習にならない、盾っ娘だけが頑張っている。受け流しと間合いの詰め方を徹底的に教え込まれている。ゴーレムが振り切る前に歩み込み受け流し、体を崩して打ち付ける。うん、盾っ娘は今日だけで見違える動きだ、そしてこれこそが覚えなきゃいけない戦い方なんだよ。せっかくのみんなはチートなんだから。


 帰ったら女子達は振動魔法の特訓で決定だ。深夜は俺が振動魔法の特訓だ、朝まで振動させよう。



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[一言] 振動魔法は万能なり…
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