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頭おかしいんだから。同じだった時点でそいつも頭がおかしい。

11日目 洞窟

 


 朝食は今日も、異世界風 旬のキノコと薬草の乾肉(保存食)和え炒め 、たまにウサギの塩焼き異世界風。


 飽きたよ。


 未だに謎能力の検証も進まず、主力の杖術 Lv5は「えっ、それ杖術?」って感じだし。


 兎にも角にも情報が欲しい、情報満載のオタク達は町を目指して行ってしまったし、ドロドロ不穏状態のクラス集団にも関わり合いたくない。


 あいつ等にこの素敵我が家モダンセンチュリー風を発見されでもしたら、我が物顔で乗っ取ってくるに決まっている。


 オタ達の扱いを聞いた感じでも間違いないだろう、係わって良い事が有るとも思えない、異世界やスキル、モンスターの情報はオタ達が教えたことしか知らないだろう。


 街を探すのが無難だろうが、常識も文化も分からない人達と上手くやれる自身がない、ぼっちなめんなよ、もうLv3だぜ(ドヤ)


 やはり一番は「命を大事に」、確実に身を守れるように強くなる。他の転移者と比べてもLvが低い、恐らく上がり難いのだろう。「器用貧乏 Lv1」「木偶の坊 Lv1」のせ

いでLv1からこれだからLvが上がり必要経験値が上がっていったらと思うと恐ろしいものがある。


 しかし今まで見た転移者はLv11、オタ達でもLv16でステータスも得意系は3桁に入ったと言っていた。160~70位だろうか? 俺のLvが今のまま上がるとすればLv10で120~150、Lv16まで行けば下手すると200は行けるのではないだろうか? ゲームの様に段々上がり率が下がる事も考えられるが、Lv5まで見ても同じか寧ろ少しだが増えている様な気がする。


 ステータス以外でもLv16で異世界にきて一週間もずっと戦闘を押し付けられていたオタ組がゴブリン5匹に手間取っていた、魔力切れ状態と前衛が1人しか居ないと言うあの4人編成にも問題が有るとは言えLv16のチート持ち4人がだ、しかも後ろからゴブリン2匹の襲撃にやられかかっていたのだ。Lvよりも実戦なのだろうか?


 他の異世界人や現地人を鑑定すれば少しは比較検討できるのだが異世界人や現地人が襲ってこないとも限らない、相手より強くても罠に嵌められる事も有ると言う。


 オタ達も奴隷化の魔法やアイテム、魅了、強奪、即死のスキルが異世界で最も危険だと言っていた、耐性が無いと毒や睡眠でも詰むらしい。


 どうやら人間の方が危険なようだ、もうひきこもってにーとにぼっちして行くしか無いのだろうか?


 しかしオタク達はそれでも街に行った、そこがどれほど危険であってもだ。そう、なぜなら男子高校生だから! ありがとうございます、只の女の子目当てです。


 そこには奴隷ハーレムなケモ耳やエロフな美少女と合法ロリなドワーフっ娘が待っているらしい……あいつらJKから逃げて来た筈なのだが? まあがむばれ?



 森の奥か~、なんちゃって達を見掛けてから奥の方へは行っていない。オタ達に話を聞いてからは尚更だ。


 ただ、あの状態でオタ達が抜けている。


 なんちゃって達も魅了と傀儡は封印されても、他のチートスキルが有るかもしれない。それに暴力に訴えればオタ達がいない今危険な状態になっているかもしれない。


 あんな奴らどーでも良い。とは言え、いくらぼっちだったとは言え同じクラスだ、無事でいて欲しいくらいの相手はいる、まあ気になるのは5~6人? 他はどうでも良いかもしくは「びねばいいのに」だ。


 特になんちゃってとビッチ達はコボルトを嗾けても良い位だろう。むしろ齧られろ! マジ痛いぞ! 経験者談です。


 一度見に行ってみるべきなのだろうか? オタ達も委員長の事だけは気がかりな様子だった、美人さんだし。


 うむ、この辺りは茸ばかりだ、種類は多いが茸ばかりだ。


 森の奥には違う食材もあるのだろう、そのついでに様子を見ればいい。


 食材集め、訓練、実験、ついでに偵察? 移動して地図の情報を広げるのも有りだろう。



 今日の予定、森の奥。拠点が河原なら川上に行けば良いだろう、なんちゃってに遭遇した辺りに拠点が在るのだろう、あいつらは拠点から離れないと言っていたしあの先だな。川上か~、魚取れないかな?雷魔法まじ欲しいっス。


 川沿いの森の中を歩いて行く、流石に川辺は見つかる危険があるし食料も見つからない。


 そろそろ、この辺りだと思うんだが食べ物無いなー? 食べ尽くされたのか?


 ゴブは其れなりに居るが全く問題ない。マジで弱い。


 5,6匹の群れでいるので警戒していたが、Lv3~4で遅い上に力も無い。


 鍛錬のつもりで打ち合ってみたが力負けしないゴブなど相手にもならない。杖術の練習にもならないちょろさだが杖術だと言ったら杖術だ、異論は俺も有る。



 そしてコボルト、相変わらず犬みたいな顔しやがって。魔力を纏い直し近づいていく。ん? Lv2と3?


 あ~、オタ達の情報は本当だったわ。ゴブよりちょっと強い、Lv3~4の雑魚ゴブよりもちょっとだ。


 流石に速さはあるが、ただ真っすぐに突進してくる。お前はゴブか? しかも足を止めて棒で攻撃してくる。これ練習相手にいいなー。


 コボルト2匹と打ち合いながら気付いた。こいつらスキルがほとんど無いんだ。道理で連携もしてこないはずだ、でも噛み付きだけは有った!


 

 これに慣れてたらオタ達も洞窟付近のゴブに苦戦するはずだ、全くの別物と言っていい。



 これがコボルトなら、この間のあのコボルト達は何だったのかと……思わず睨み付けるとコボルトが後ずさった。


 確かに今まで目つきが悪い、眼が怖い、危ない目付き、いろんな悪口、陰口を言われてきた。自覚もある。


 だがしかし、魔物が怯えんなよ! 俺の目つき魔物並みなの? 魔物が怯えるレベルの眼って何? 俺人族だよね? 流石に傷付くんだけど? 何で尻尾を巻き込んじゃってるの?


 コボルト撲殺、カッとなってやった。反省はお前がしろ。


 


 今まで洞窟の側で平和に暮らしているつもりだったがあそこは結構な危険地帯だったらしい。


 

 後はオークか、何とかなるかな? ゴブより強くて頑丈で棍術が使えるというこの辺りで最強の魔物。


 でもこの辺りのゴブやコボより強くてスキルがある、それっていつものゴブだよねー?


 

 Lv16のオタっちが苦戦するはずだ、これでは実戦訓練にはならない。俺が無双できるLvだ。 


  ・

  ・

  ・


 千里眼で同級生たちの拠点らしきものを発見したが柵やテントもボロボロだ、オタ達がいなくなって補修する人が居なくなったんだろうか? それでもあれじゃあ危険だしそもそも人気が無い。


 移動したのか? いや、それは無いな。


 オタ情報で聞いた限り集団行動出来る状態じゃないだろう、分裂したとしても誰も残って居ないのはおかしいだろう。


 警戒を続けながら拠点に近付く、やはり誰も居ない、何処に行ったのか? 何があったのか?

 

 拠点や周りの森を視る、何かの痕跡か手がかりを探しながら探りながら視る。


 

 瞬間、よろめく。


 今何かが急に視えた、そしてその情報がいきなり頭に飛び込んできたような衝撃を受けた、ぶっちゃけ痛い!


 新しいスキルか? それは後だ。


 改めて見詰める、拠点を、森を、河原を……拠点には2つの傷跡がある、一つは拠点の奥で一箇所に集中したもの、きっとこれがオタ達が襲われた場所だろう、魔力の痕跡ももう一つより古い。


 そして後の一つは拠点から河原へ、そして森に繋がっている。魔力の跡も新しい……「魔法」つまり人と戦った痕だ。


 何のスキルか分からないが今はこの眼が頼りだ、痕跡を辿りながら森に入る。


 小一時間ほど走り続ると、漸く気配が見つかる。


 どうやらぐるっと廻って逃げている先頭集団がこっちへ走って来ている。


 隠れて様子見か? それとも手助けするか?


 視る。追っ手から逃げている集団は血を流している、未だ人影も見えない、眼に見えないが視える。


 逃げてる方が悪者なら、通せんぼ?


 追っ手の方が悪者なら、通せんぼ?


結論、どっちも悪者でした。


 ……よし、帰ろう。


 今日は晩御飯何にしよ~かな? 茸かな~? って言うか茸かなな~? そ・れ・と・も・茸?


 あ~、もうちょおとおさ~? 何て言うか……「ちょっとー! あんた‼ 待ちなさいよっ‼」……あ~喧しい。


 「え~、ごきげんよう? びっちさん? それじゃ~。」


 じゃ~、帰りに木の実でも……「待てって言ってんでしょう‼」「って「それじゃ~」じゃ無いわよ‼!」「誰がビッチよ!」「ぎゃ~すぎゃ~す!」取りに行って……?

 

 ぎゃ~す? 何処かでギャースが鳴いている? ギャースは置いて帰りましょ~♪

 

 「「「行くなって言ってんでしょおぉぉ~‼‼‼‼」」」


 は~っ。選りに選ってビッチ~ズですよ、ピチピチJKなら待つんだけど、ビッチビチJKとか待ちたく無いです。


 「ってか、アンタ何でこんな所に「まさか、あいつ等の仲間!?「ちょとアンタ「どういう事よ?」早く何とかしなさいよ‼」何黙ってんの?」

 

 ウザイウザイウザイ、何なのこいつ等! 喧しい、何言っての?


 「あのさ~「どういう事よ?」ってどういう事よ? そんで「こんな所に」ってお前等がこっち来たんだよ! で「あいつ等の仲間?」ってどいつ等よ? って言うか仲間いないよ! ぼっちだよ! 言わせんなよ‼」


 誰に追われてるか知らんがこいつ等助けるとか有り得ない、行き成り現れて「何とかしなさいよ!!」って何?


 もー良い、早く帰ろう。


 「「「だから!待ってよ!」」…………お願い。」


 あれ? 幻聴が聞こた。ビッチ共がでかい声で騒ぐから耳壊れたじゃん!?


 「お願いだから聞いて。お願いします」


 やばい! 異常状態を喰らった! 何のスキルだ? 「お願いします。」とか聞こえたぞ。


 「あんたがどうしてこの世界に居るのか解んないけど、あんた小田達と仲良かったよね?探しているの、知ってたら教えて。お願いします。」


 ビッチリーダーに見える、幻術か?ビッチの中のビッチ、ビッチクイーン、我侭と文句と罵詈造語の製造機、そしてそのプライドの高さからクラスの集団を分裂させた張本人。こいつの辞書にお願いしますなんて文字が有る筈が無い。


 「おまえ、だれだ?」


 「何でよ! 同じクラスなのに! 知らないのよ!」


 あ、キレた。あれ? このキレ方はビッチリーダーのキレ方だ。


 「本物?」


 「本物って何よ! 何なのよ!」


 あれ、これビッチリーダーだ。


 「あ~、悪い悪い、何か「お願いします。」とか幻聴が聞こえて、偽ビッチリーダーかと思ったよ」


 「誰がビッチリーダーよっ!あと……幻聴じゃないわよ……お願い、知っていたら教えて下さい」


 「貴様何者だ!?」


 「本物よ!」


 「えっ? 本当に本物のビッチリーダー?」


 「そ-よ! って違うわよ‼ 本物だけど、ビッチリ-ダーじゃ無いって言ってるでしょー‼」


 「?、どっちだよ?」


 「もうビッチリーダーでいいわよっ! ぜーっぜーっぜーっ」

 

 まー本物だろう。この「!」の使い方は真似出来まい。



 「で、小田って誰?」


 「何で知らないのよーーっ! あんた、たまに喋ってたじゃない!」



 「小田? おだ?小田達? あ~オタの事かっ! ちゃんとオタって言えよ、小田とか渾名まで知らんがな。」


 「小田が名前よーーー! ぜーっぜーっぜーっ」


 えっ? オタじゃ無かったの? 驚きの真実が解き明かされた! まあオタで良いや。



 「で、何でオタ達探してんの? パシらせんの? それとも狩るの?」


 そう言いながら、ビッチ達の目を見る。いや?目が合った位でビクッとかしないで、もう、コボルトの一件で充分傷付いてるんですけど?


 まあ、でも睨むよなー、オタ達のあの話し聞いちゃったら。まして、追いかけるって言うのなら、……「……謝りたいの……」えっ?


 

 「いや、だから捕まえてパシらせるのか?なんちゃって不良達に差し出すのか?それとも……「だからっ、謝りたいのよっ」……マジ?」


 「ただ謝りたいの、ちゃんと。べ、別に許して貰えるとか、助けて貰えるとか思ってないわよ…・…自分達のした事の意味は判ってる。違うか、やっと判った……だから許して貰おう何て考えてないし謝ってもどうしようも無くても、もう謝るしか出来ないから、せめて……あいつ等に位、ちゃんと謝らないと……」


 「私達、本当ならもうとっくに……何も出来ず死んじゃってる、こんなとこで生きて行くとか無理。今まで死ななかったのは、あいつ等が助けてくれてたからって分かってる分かったの……だから……ただ、、最後にちゃんと謝りたいの……、お願いします、どうか知っていたら教えて下さいっ」

 「「「お願いします。」」」

 

 まさか、こいつらが頭を下げて頼むなんてな~、あ~、改心したと言うか、生きるのを諦めたのか。だから、最後に一週間生き延びた……オタ達だけが助けてくれた。もう皆に見放されて、諦めて、最後に思いついたのがオタ達への感謝と謝罪、今までの愚かさへの精算。これは遺書だ。


 「どっちに行ったかは知ってるが、何処にいるかは知らん。それにお前らじゃ追いつけないだろう?森突き抜けて行くんだぞ、戦えんの?無理だろ?」


 オタ達がこいつらに謝られて喜ぶのか怒るのかは俺には判らない。普通ならふざけんなと切れるだろう。あいつ等、お人好しだからなー? でもそれならそれで見捨てられずに共倒れも有りえる、が、心配する必要も無い。


「どっちみち追いかける事も追いつく事も出来ない。今更追いかけてももう意味は無いよ。」


 下を向き震えるビッチ達、最後の覚悟だったんだろう。死ぬ前にしなければならない、自分達のけじめ。遅過ぎたな。


 「それでも良いから教えて。諦めるんじゃなく、せめて謝りに……辿り着けなくても、お願い。お願いします」


 これはもう宗教だな。自分達は死ぬ、だから最後に助けてくれた人に感謝を。それが苛め、酷使し、見捨てた良心の呵責。罪滅ぼしの行脚の旅……辿り着けないならそこで果てる。


 本来なら縋るべきだろう神に、今までの生活全てを奪われて全てを失った一週間、そして見捨てられて自らの最期を知ったこの数日は人格を変える程の流転だったのだろう。


 「何があったか、って言うかお前等が何したかはオタ達に大体聞いてる。オタ達の前に、委員長達には謝ったのか?」


 「うん。でも皆バラバラになってて男子達が襲い掛かって来て、もう皆グシャグシャで……委員長は「言葉は受け取ったけど、私達が謝るべきなのは小田達だ」って……他の子たちには……ただ謝ってきた、後は小田達に……」


 あー、もう行き着くとこまで行ったかー。学校で威張ってたなんちゃってが居なくなり、異世界で急に強くなったのオタ達も居なくなり、委員長が指揮する事も無くなった。結果、変わりに纏めるでも無く、魔物と戦うでもなく、自暴自棄で欲望のまま女子を襲い、委員長グループ辺りに撃退されて暴走。


 ビッチ達は男子から逃げ、委員長達にも見捨てられ、何処にも行くところが無くなり、やっと自分達のやった事を理解した。死ぬ前に唯一自分達を助けてくれたオタ達に謝罪を……そして感謝を伝える事にしたのだろう。


 「え~と、まず第一な、お前らは追いかけられてる。たぶん男子のどれかのグループ? だから逃げ切れないしオタ達の所には行けない。第二にさっきも言った通り進んでも魔物に食われる、当然オタ達の所には行けない。最後に第三が色ボケサル化発情男子をブッ飛ばして魔物共も潰して薙ぎ払ってオタ達の所に謝りに行く。どれが良い?」


 「そんな!「無理だから……「もうどうしようも……「もういいから「そんなことは……」教えて欲しいだけなの」お願い!」」」


 ちょーっとだけ、ホントほんのちょっとだけ頭に来たので睨む。


 何か超涙目で尻持ち着いて真っ青な顔しながらブルブル震えてる。もう知るか。


 「反省とか改心とか懺悔とか後悔とか謝罪とか罪滅ぼしとか感謝とか? そもそもお前達の覚悟とか知らん! 興味ない! お前等が性悪ビッチでも改心ビッチでも更正ビッチでもどーでも良いよ‼オタ達に謝りに行くのか! あれこれ言い訳した諦めんのか聞いてんの! どっち!?」


 「そんな事、「どっちかって聞いてんだよ!」……!」


 良し、今のはビッチ並みの「!」だった、この学習能力は器用貧乏のおかげだろうか?


 よし、「!」を極めてやるぜっ!。


 「いいか! 苛めて馬鹿にしてとお前達をオタ達はずっと助けてたよなー! 助けて貰ったんだよな~‼ ここで生きる方法を! 死なない方法を! お前達に教えようとしてたんだよな~‼ お前達が無視しても! 罵っても! ここに居られなくなるその時まで‼ 苛めて馬鹿にして罵ってたお前達にだ‼‼」


 よし、「16!」だ。極めたって言うにはビッチリーダー並みの「20!」位は行きたいところだ。


 「助けられたのに死ぬの! 助け続けたのに死ぬの! オタ達が助けて意味は無かったって事でいいの‼ 命まで掛けて助けたけど無意味だったでいいの‼ あいつ等が教えたかったことも知らないで死ぬの! 生きられる様に! 死なないように! オタ達の思い無視して死ぬの‼ それがお前らの謝罪なの! 何も伝えず勝手に心で満足するの‼‼‼‼」


 超えた、限界をだ! ビッチリーダーのナチュラルスキル「20!」を、究極を越えたのだ! 遣り切ったよ、真っ白に燃え……ってあれ? ヤバイ、爺の喰らった謎の熱血スキルがまさか俺に?そー言えば最近キャラ変わってるような?


「うわ~~~ん、死にたくなんてないわよ! 死にたいわけ無いじゃん‼ 生きたかったよ! ずっと生きたいよ! 助けて貰ったんだもん、生きてお礼が言いたいわよっ‼ ちゃんと会って謝りたいよ! でも私等は何も聞かなかった、何もしなかった、何にも教わらずに、出来ないからいいって、しょうがないって! あいつ等が死にそうになっても殺されかけても馬鹿だから人ばっかり馬鹿にして、何にも出来なくて、怖いって言えなくて、助けてって言えなくて、、、ごめんなさいも、、、ありがとうも……たったの一度も言ってない! 死にたくなんか無い! このまま死んじゃうなんてぜったい嫌だよー‼‼‼‼‼」


 くっ、なんて「!」だっ、「21!」だとっ‼ 所詮俺の「!」付け焼刃という事かっ「器用貧乏」では所詮は物真似、真髄は極められない。木偶の坊如きに超えられる物では無い、何と言う……あれっ?


 なぜかビッチたちが泣き喚いている? 何が起こったのだろう? 何事?


 うわあぁぁぁ、すっぴんで髪ぼさでガキっぽくなっていたのがもう顔をグシャグシャにして、しかも顔中涙と鼻水ですごい事になっている。うん。阿鼻叫喚。チビッ子ビッチ地獄絵図。どうしてこうなった?


 訳が分からないときは順を追って考えればこの状況とその意味を理解できるはずだ。


 ビッチリーダーと極限の「‼」バトルを繰り広げていた。以上。 Q・E・D,


 あれっ、何かが抜け落ちている? 途中から某テニスプレーヤーに乗り移られていたようで「!」バトル以外の記憶が無い。


 うん、駄目だ。状況が掴めない。素直に尋ねよう。


「えっと、まあその~? いわゆるどうなったの?」


 ビッチ達が一斉にぐしゃぐしゃの顔でこっちを向く、目には鬼気迫る凄みがある。やべぇっ、怖い!


 「「「「「私達は馬鹿で、生きて行く術を何も学びませんでした。このまま死ねない!絶対に死んじゃいけないのっ!お願いします、教えて下さい!助けて下さい!みんなに、小田君たちに謝るまで生き残る技を、知識を!お願いします、私達に罪を償う力を、恩を返せる力を! お願いします!」」」」」」

 

 「……はい⁉」


 ヤバ、思わず返事してしまった。

 

   ・

   ・


 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


 な… 何を言っているのか わからねーと思うが 


 おれも 何をされたのか わからなかった…


 頭がどうにかなりそうだった… 傀儡だとか魅了だとか


 そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ


 もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…



 「使役 Lv1」です。


 どうしてこうなった!?


 ステータスの下に


 「使役」ビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチD


 なにこれ?使役 Lv1は持っていた、おそらく魔物をテイムするスキルだと思う。今まで、まもの、みんな、みなごろし。あー、一度も試していなかった。


 いきなりビッチを5匹もテイム?ビッチマスターに俺は成る?成らねーよ!


 ビッチリーダーは進化系なのだろうか?


 

 傀儡で女子を思い道理にしよとした外道がいた。


 魅了で女子を侍らせようとした下種がいた。


 そして、女子を使役した俺がいた!?


 うわあぁ~! ぼっちでひきこもりなにーとが女子高生を5人使役した。


 犯罪臭しかしない! そんな奴がいたら「おまわりさ-ん、こいつです」とおまわりさんを異世界召喚するだろう。


 な… 何を言っているのか わからねーと思うが俺も分からない! あきらメロン、ゲームはここで終了だ。


 唸りながら森の中を歩く、ビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチDが付いて来る。


 悩みながら森の中を歩く、ビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチDが付いて来る。

 

 悔やみながら森の中を歩く、ビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチDが付いて来る。


 カルガモかよ!

 

 出てきたゴブはオタ魔導師がやってた「アース・ランス」で串刺しにして進む。

 

 出てきたコボはファイアーボール改め「ファイアー・バレット」で狙撃して進む。

 

 めっちゃ見てる、目がマジだ。あれは戦い方を学ぼうとしているのだろう。学ばれても俺Lv5の無職なんだけど?


 後ろを振り返るのが怖いので前だけを見て進む。

 

 俺は何処に行こうとしてるのだろう? わからない。だが進む、俺には止まることも振り向く事も許されない。ビッチの目怖いんだもん! 何か狂信者ってこんな目をしてるんだろーなーて言う目でじっとこっちを見てます、怖いんです。


 まるで目的地があるかの様に真っ直ぐ突き進む、さっきからどんどんコボが出てくるが気にせず薙ぎ払いながら進む、先に行くほど気配も濃くなるがもう後戻りは出来ない、なぜなら後からビッチ達が付いて来るからだ!


 逃げるように進む、というか逃げてます。もうさっきからコボだらけです、前門のコボ集団、後門のビッチ達。コボ一択です「御逝きなさい」


 黙々とビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチDが付いて来る。


 淡々とビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチDが付いて来る。


 どうしよう?


 この先コボの巣だ、気配が半端ない。だが引き返す事は許されない、後ろの方が怖いんです!


 さっきから見て覚えたのか俺が倒した魔物の魔石を抜き取っては俺に渡してくる、未だ下手っぴで抉り抜いてるわ返り血浴びて血塗れだわ眼が更に逝ってるは……怖いです。何かやばい軍隊の様に血塗れビッチが行進している、ひたすら後を付いて来る、何これ? マジ怖いです。泣いてる俺が居るんですよ?


 使役の効果「経験値分配」でビッチ達のLvは上がっていた、コボを適度に間引きながら何匹か弱らせて後ろに流すとビッチ達が無言でコボに群がり剣を突き立て槍を突き刺していく。あんなに可哀想な顔をしたコボを見た事が無い、あんなに怯えきったコボの顔を始めて見た。きっと俺もあんな顔をしているんだろう。恐いもの!


 いつの間にか後ろから追っていたエロ猿男子高校生たちは居なくなっている。コボに追われたか殺られたかは知らない、知ったこっちゃ無い! あのエロ猿達のせいで俺はこんな怖い思いをしているのだ、あのエロ猿達のせいでコボはあんな怖い思いをしているのだ! 殺るが良いコボよ、敵味方に分かれても志は一つ! あれ、俺の仲間ってコボなんだろうか?


 まあ、今のビッチーズを見て襲おうとか考える奴は居ないだろう。異世界に迄来て最も恐ろしかった物は同級生だった。その前は爺に乗り移った熱い人だった、どうも異世界の危険な魔物より元の世界の方が凶悪らしい。


 次々にコボが現れる、数も多いが範囲も広い。ファイアーバレットに威力を込めず、ひたすら数を作る、次々に現れるコボに次々にファイアーバレットを浴びせる。


 10匹でれば30発、20匹出れば60発、作っては撃ち、作っては撃つ。次々に造られては出来た先から浴びせ撃つ、威力は無いが制止力でコボルトの突進を止め数の制圧力で圧倒していく。


 突進力のみで打たれ弱い低Lvのコボ達は横殴りの雨の様なファイアーバレット浴び続け、みるみる速度を無くして穿かれて弱り倒れて行く。死に体で辿り着いたコボはビッチ達の餌食となり死に絶える。


 30匹になろうと40匹になろうとそれ以上の赤い光の雨が降り注ぎ叩き穿ち続けている、後ろではビッチ達が血の雨を降らせているだろう。そして最期の1匹がファイアーバレットの雨を1身に浴

びボロボロになりながら喰い付こうと口を開き牙を剥きながら俺の目の前まで辿り着き口を開ききったまま……倒れた。


 コボ達の屍累々の中、ビッチ達は延々と止めを刺し魔石を抜き取り続ける。



 その先にはコボルトの大集団に囲まれながら戦い続けた集団がじっとこっちを見ている。


 傷だらけで血に塗みれているが大きな怪我は無いようだ。


 「HPポーションだ、飲めば回復する……茸味だけど?」


 そう声を掛けるが誰も動かない。やっぱり茸味じゃ駄目? 女子向けでは無かったらしい、まあ、男子でも嫌だろう。まあ俺も嫌だ、青汁だって飲めるがこれは飲んだ瞬間に噴出した。体力茸と傷薬草が此処まで絶妙な味のハーモニーとえぐさのシンフォニーを醸し出すなんて思いもしなかった。


 「遥……君……?」


 「いや確かに茸味は無いよねー? 飲めば不味いし、体に掛けると茸臭いし?」


 後ろではビッチ達が血塗れで魔石を抉り抜き続けている、数日前まで誰の言う事も聞かず、戦いを嫌がり、魔物なんて近寄ろうともしなかった。血なんて見たら大騒ぎで喚くビッチ達が無言で、一糸乱れぬ様子で走りながら、魔物に止めを刺し、血に塗れ、汚れるのも構わず魔石を抉り抜き続けている。


 確かに驚くべき光景だろう、見ても信じられない方が当たり前だ。別人にしか見えないだろう、眼も逝っちゃてるし?


 その異様な様子のビッチ達が魔石が集まると俺の元に駆けよると無言で魔石を差し出し、また駆け戻って一心不乱に作業を始める。怪しすぎるだろう、つい先日「魅了」だ「傀儡」だと大騒ぎしたばかりだ。まして女子はそれを使われたら自分がどんな目に会ったか想像し恐怖しただろう、今のこの光景を見れば恐怖するのが当たり前だ。何故なら俺ですら恐怖しているからだ! いや、マジ怖いんです。


 数日前まで最悪の我侭ビッチ達が心を入れ替えたと言っても誰も信じないだろう、自分の目で見ても信じられないだろう。しかも変わり方が異常すぎる、別人所か真逆になってる、これを見れば改心とは思わないだろう、洗脳か支配だ。


 そんな異常な状態のビッチたちを引き連れた男に飲み物を差し出され誰が飲むのか? しかも茸味だ! 誰が見たって孔明の罠だ、飲むかそんなもん! やば過ぎる、飲物もその男もやば過ぎる。しかも茸っていう飛んじゃいそうな怪しい素材だ、何? 最悪じゃんその男! 絶対ヤバイ奴だよ、目付きもヤバイよ! ……そこはホットケ。


 うん、信用が超マイナスの状態で味も不味いし匂いだけでもう駄目だろう、やはり甘い木の実で味付けするべきだったのか? 見た目の色もなんて言うかもう少しさ~? 何て言うの、これは無いよね~って感じじゃん? JK的にも? いやそもそもさー……って言うか~……


 「おぉーーーーーーい、遥くーん。戻ってきてーーーっ」

 

 うおおぉぉおぉーっ、吃驚した! 委員長のアップだ、心臓に悪い。近すぎてドキがムネムネだ! 大きさ的に。


 「え~っと、取り合えずそのポーション貰ってもいい?」


 「えええぇ~! 飲むのっ!?」



 「えっ、飲めって言ったよねっ? 何で驚くの?」


 「いや普通、知らない人に怪しい飲物を勧められて普通に飲んじゃうってJK的にそれってどうよ的な? 何て言うかさ知らない人に対して……「同級生だよね! 何で知らないのっ!?」……おうぅ?」


 委員長の中の委員長のツッコミだ、美形顔がアップなので破壊力が凄い。


 「え~っと、委員長様?」


 「それ名前じゃないしっ! あと、何で様付けなの?」


 まず、後ろのビッチ達の説明をすべきなんだろうか? 怪しさ満点だよな~、只し説明と言っても俺も何が何だか分からない、寧ろ説明を求めたい。何て言えば良いのだろう? なんか使役しました~って最悪じゃん! 誤解を解くどころか犯人確定だった。


 「遥君。えっと、後ろにいる島崎さん達もどうしたのかな~? あれ? 何で一緒に?」


 「え~話せば長くも為らない事も無い位にとっても長い話になるんだけど……え~、使役した?」


 「何してんおおおぉぉぉーっ! あと短いっ!」


 委員長絶叫、やばいタイトルだ。思わず注文しそーになったぜ。あわや飛脚召喚が始まる所だった、ワンクリックだったら押してたな。未成年ですけど大丈夫でしょうか?


 「なんで使役しちゃってるの!って言うか、それって魔物に使うスキルでしょ、何で同級生の女の子使役しちゃってるわけ!?」


 しちゃってる訳は俺が知りたい、出来れば、元居た所に返してくる方法も知りたい。森にお帰り。とか言ったら帰っていくのだろうか?委員長が壊れ掛かっている、説明


責任を果たすべきだろうか?取り合えず、確認して置かないといけないな、


 「島崎って誰?夜明け前的なロマンな主義の人?」


 「何で使役してて知らないのよっ!それに普通若菜集からでしょう、どうして行き成り夜明け前迄行っちゃうの!」


 続委員長絶叫だ、続き物だった、三部作だろうか?勿論購入します。ボックスで買うと特典とか付くのだろうか? 良し、今こそ召喚の時……


 「一緒に助けに来てくれたんだよね?何故か使役しちゃってるんだよね?何で名前知らないの?って言うか同級生でしょっおぉ!?」


 三部作だった。


 「いや、だってステータスにはビッチリーダー、ビッチA、ビッチB、ビッチC、ビッチDとしか書いてないよ?」

 

 「同級生の女の子に何て名前付けてるのっ!それって、魔物の扱いでしょう‼ 何考えてるの!」


 まだ、続刊するようだ。絶叫伝の定期購入も考えねば!


 うわー、委員長の後ろの女子達の目が冷たい。おそらく氷魔法の使い手がいるだろうって言うくらい程の冷たさだ。「温度」魔法で暖めた方が良いだろうか、って眼球を!?


 「島崎さん達も助けに来てくれて有難う、助かりました」


 委員長がビッチリーダーに頭を下げる。


 「わ、私達は付いて来ただけだから……」


 「それでも、ありがとう。助かったよ」


 「……うん」



 「あーっ、島崎ってビッチリーダーの事か! 藤村見たいな名前付けるから分んなかったよ、紛らわしいよな~?」


 「「島崎は苗字よ! 付けてないわよっ‼ って言うか、ビッチリーダーって何よ!」」


 何故か俺が怒られる? ステータス名がビッチリーダーなのだから間違いないだろう。


 「あのね、普通は魔物を使役したら名前を付けるの。使役者がその名前で呼ぶからステータス名になるの。それが……名前知らないで使役して、なんて名前付けてるのー!



 怒られました。だってビッチリーダーなんだよ? なんで? まるで俺が悪い見たいじゃん?


    ・

    ・

    ・ 


 うわああ女子15名がこっちを見てる、後ろからビッチ達5人が俺を見てる。


 視線恐怖症の人の気持ちが解る。これは精神が削られる。


 俺が何か言うのを待っているのだろうか? 俺が何か言わなきゃいけないの? え~っと、締めの言葉とか?


 「じゃっ、御疲れでしたー。それじゃっ」


 よし、言い切ったぜ、ふ~疲れた疲れたお家に帰ろう。


 「「「「「何で帰っちゃうのよ!!」」」」


 大合唱で怒られました。えっ、何で? 俺、お家に帰れないの? ひきこもりなんだけど?


 「えーと、取り合えずポーションありがとう、もう皆大丈夫みたい。あと、さっきも言ったけど助けに来てくれてありがとう」


 委員長がお礼を言って来る。ってかあれ飲んだの? 勇者だ、勇者の称号持ちだ間違いない!


 「良く、ここがわかったね? 私達も逃げ回っててここがどの辺か分からないのに」


 「あ~っ、通りかかっただけだから」


 「何でこんな所を通りかかるの?」


 「通りかかるって言うか、逃げてきたらここだった?」


 「遥君が逃げるって、何から!」


 「いやあ、何かビッチ達が付いてくるから?」


 「あなたが! 使役したんでしょう! 何で使役者が逃げてるの!?」


 「えっ、怖いから?」


 「……。」


 委員長絶叫シリーズは完結したようだ、滅茶無言で見てる、こっちを。こ、これはジト目だ! 委員長様のジト目だー! よもやリアルジト目がこの目で見れるとは、況しては美少女ジト目をアップで頂けるとは恐悦至極、異世界に来てこんなに良かった事は無いだろう。


 「えーと、遥君。遥君とお話しすると何も進まないみたいだから、ちょっと島崎さん達と情報の刷り合わせをしてくるね。そこでじっとしててね。帰っちゃ駄目だよ」


 そう言って、女子20人の女子会が始まった。俺はじっとしてる。


 何故か何人かの女子がビッチ達に抱きついた。俺はじっとしてる。


 委員長が何か言って、みんなで笑っている。俺はじっとしてる。


 あれ、いじめ! 俺苛められてるの! そうかオタ達が逃げたせいで標的が俺に廻ってきたのか~。


 まあ、ぼっちは何時もの事だ。只じっとしてるのが暇だ。ここは定番でのの字でも書いてみよう。鉄板、故にこれこそが正解だろう。


 地面にのの字を書く、余り面白くない。力を入れて書く、地面硬いんで跡も残らない。指を「魔力纏」で強化して書く、あっ! うっすらとのの字の跡が……行ける!


 指先に集中し魔力を流し込みのの字を書く、指先が地面に埋まっていく。更にのの字を大きくしながら魔力を指先に集中し流し込む。土魔法も発動しているのだろうか? ののじに地面が抉れて行く。指で書いたのの字から魔力の線が螺旋状に広がり地面が陥没する様に沈んでいく、これ竪穴が掘れるよ! マイホームが拡張できる! 魔力を集中し更に研ぎ澄ませる、螺旋の魔力をイメージしのの字を書き続ける、魔力線はどんどん強くなり遂にはその魔力の渦は……



 「遥くーーーん! 何で埋まってるの! じっとしててって言ったよねっ、何で埋まっちゃうの!?」


 委員長が上から目線で話しかけてくる、と言うか上からジト目でこっちを見てる。ありがとうございます?


 「いやぁ、暇だったから?」


 「暇だからって埋まらないでぇーっ! 突然魔力が螺旋状に輝き始めて何が起こったかと思ったよっ!?」



 「退屈なんでのの字を書いてたら、熱中しちゃったみたいな?」


 「そんな理由で! って、ごめんなさい。」



 何時の間にか、5メートル程の穴になっていて吃驚した。うん、上がるのに苦労した。


 「え~島崎さんたちから大体聞いたよ。小田君達も島崎さんも、そして私達も助けに来てくれたんだねっ、本当にありがとう。本当なら私達が独りぼっちの遥君を助けに行かなきゃ行けなかったのに……ごめんねっ。そして、ありがとう」


 「え~と、小田って誰だっけ?」


 「何で小田君知らないのよ! 学校でも話してたし、助けてあげてたよねっ! 逃げてる時にも会ったんだよねっ! 何で名前知らないのよーっ!」


 委員長絶叫シリーズ、再び。カミング スーンって言うかもう来ている様だ。購入予約は何時からだろう? 予約特典は何だろう?


 「あっ、オタ達だろ? 会った会った、なんかビッチリーダーまで小田小田言うから誰かと思ったよ、元気だったぞ」


 「小田君が本名よーーーっ! オタ君の訳ないじゃないっ! あと、もう島崎さんの名前忘れてるでしょおぉぉぉーーーっ! ぜぇーっ、ぜぇーっ、ぜぇーっ」


 委員長がつかれている様だ、オタは小田と言うそーだ? まだ、ぜーぜー言ってるし疲れが溜まってたんだろう、無理も無い。


 「良いんだよ委員長。こんな世界に行き成り飛ばされて、それでもクラスメイトを一生懸命纏めてもう一週間以上だ、もういいんだよ。疲れてるんだ、苦労したんだね」


 「遥君のせいで疲れてるのよ! この世界に来て遥君との会話で一番苦労してるよっ!」


 俺のせいらしい。理不尽だ。


    ・

    ・

    ・ 


 「で、さっき帰ろうとしてたけど島崎さん達をどうする心算なの?」


 副委員長Aが睨みながら聞いてくる。説明しよう、副委員長とは委員長の仲間A~Cの名前である、本当の副委員長は誰か知らん。


 「どうするって? 拾った所に帰す? みたいな? 感じ?」


 「帰すって何それ! 捨て猫じゃないんだから! 大体、あんたが使役してるんでしょっ?」


 「え? 使役してるから「森にお帰り」とか言ったら帰って行くんじゃないの?」


 「島崎さん達を何だと思っているのーーーっ! 何で島崎さん達が森に住んでるのよ!?」


 何故か副委員長Aが絶叫を始めた。委員長絶叫のスピンオフ何だろうか? 副委員長AはAだけに胸部装甲がやや控えめだが委員長に負けない美人さんで背も高い事からクールビューティーと呼ばれ、胸部装甲派には今一だが脚部推進派には絶大な人気がある。やはり此処はシリーズ的にスピンオフ作品も抑えねばならないのだろうか? 特典商品が楽しみだ。


 「……取り合えず、連れて帰って何かしようって気は無いんだね?」


 「全く無い!」


 「何で全く無いのよー! 連れて行き無さいよ! 強くしてって言ったよね! 何で即答なのよ! どうして其処だけ疑問系じゃ無いのよーーっ!」


 うおおぉ、終始無言だったビッチリーダーが絶叫している、狂信者状態を脱したらしい。合流したお蔭なのか心に余裕が出来たんだろう。復活するとやはり喧しい。


 「だって、めんど……いや、ちゃんと和解できたんだろう? それにステータス見てみ、もう普通に戦えるから、最後に会った時のオタ達より強いぞ?」


 うん、ビッチ達は使役スキルの効果、経験値分配でLvアップし今ではオタ達のLv16を超えLv19だ、そしてコボたちを嬲り殺し捲くったあの修羅モードが有れば敵は無いだろう。俺なら逃げる。


 「もうLvも高いしスキルポイントも溜まってるから、チートスキルをアクチベーションすれば充分強いだろう。其れが5人も居れば魔物だろうと猿男子だろうと狩れるだろう、オタ達ですら狩れるかも知れないぞ?」


 「何で謝って、今迄助けてくれてありがとうって言いに行くのに狩っちゃうのよーーーっ!」


 「えー、勢いで?」


「「「…………。」」」


 無言の視線が痛い。


 そしてその後ろで、委員長達が疲れた顔で会議している。


 「まあ~まあー~落ち着いて~遥君のあの様子だと島崎さん達に変な事する気は全く無いみたいだし~。ねっ?」


 副委員長Bがフォローしてくれているらしい、流石にいい人だ。良い人ランキング一位というのも頷ける。但し騙されるな、そのBと言う名前に! 胸部装甲では委員長を超え胸部装甲信者達に神と呼ばれる凄い人だ。自分で自分の台詞にウンウンと頷いている。一緒にウンウンと揺れている。おっ、恐ろしい子っ‼


 「無いみたいって言うか、あれは無いでしょー、人気読モの島崎ちゃんにあの扱いって……」


 副委員長Aよ、変な事をする気は無いのかとイチャモン付けて無かったら無かったで文句があるとか何なの、両面待ちのイチャモンなの?どんだけイチャモン大好きっ娘なの?イチャモンはいらん‼ って言うかイチャイチャモンモンとかだったらお願いします!


 「扱いって言うか、遥君のクラスメートの扱いが魔物と同じ扱いに聞こえるんだけど?」


 副委員長Cも何か文句が有るらしい。ちっちゃい癖に。副委員長Cが魔物扱いされる事は無いだろう、どう見てもちっちゃい小動物だ。胸部装甲もちっちゃ……うおおぉおっ、凄い目で睨まれた! 小動物だけに危機察知スキルが有るのだろうか?

 「私、小1からずーっと11年間連続で同じクラスなんだけど、そう言えば委員長としか……呼ばれた事が……無いっ!?」


 何を話しているんだろう? 委員長がorzみたいになってんだけど? やっぱり疲れているんだろう、苦労したのだろう。


    ・

    ・

    ・ 

 

 暇だ、女子会はまだ続いてる、やはり女子の話は長い、20人も居るとお昼に何を食べるか決めるだけで一週間は掛かりそうだ。餓死者が出るな。 

  

 「そろそろ暗くなるし、後は若い人たちに任せてお暇を、、「同級生なんだから遥君もワカイヨネ!」……そだね」


 まだ帰れないらしい。退屈なんで近付いてくるコボやゴブを狙撃してみる、さっきちら見したらLvが上がっていた、20~30メートル迄探知距離が伸びたが攻撃手段が無い。また怒られるかもしれないので、こっそりと風魔法を使っているがエアバレットは途中で拡散してしまい駄目だった、エアカッターは飛ばない5メートル位で只の風に成る、Lvアップの所為か飛距離は伸びてるが届かない。


 土魔法を遠くに出せないんだろうか? 地面に手を置き魔力を伸ばす、そしてゴブの真下からの……アースニードル! よしっ。上手くいった、串刺しだ。でもこれ俺は動けないな~、戦闘中は無理だろう。探知にも魔法にも集中しないと無理だろうし距離が延びると思いの他魔力効率も悪い。でも暇だな~?


 「委員長、マジで夜になるから帰っても良いですか?」


 手を上げて聞いてみる。


 「みんな帰る所が無いから相談しているんだけど……そー言えば遥君ってどこに帰ろうとしてるの?」


 あー、委員長達の拠点はボロボロだった。テントは何個かは無事だったが恐らく近くで猿男子が狙っているだろう。でも相談してもどーしよも無くない、それ?


 「えっ、家に帰るんだけど?」


 「何で異世界に家があるの? 異世界出身なの!」


 「えっ、暇だから作った?」


 女子会、再び。


    ・

    ・

    ・

  

 「ちなみに、何人位入れるのかなー?」 

 

 「さあー? 1人暮らしだし、オタ達しか入った事ないし?」


 住まいのアンケートだろうか? これは答えると委員長にマンションとか売り付けられるのだろうか? 異世界もなかなか侮れないようだ。


 「えっとねー、テント何かだと鮨詰で1人で半畳くらい? 3人で2畳有ったら余裕で1人1畳有ったら広々って感じなんだけど?」


 「ん~、どの位だろう?」


 ずっと1人で居るからそんなに洞窟の中で詰めた事がない。今現在家具の無い部分は? おおよそ40畳ちょっとは有るのか?


 「え~と、最悪立膝で詰めて眠れば1畳に5~6人位はいけるかなー?」


 一畳6人、計算が簡単だ。


 「一畳6人だったら240人? 5人なら200人位? 家具のけたらもうちょっとかな~300くらいなのかな? あとはキッチンにお風呂とトイレと……あとは造り掛けの物置だから~……」


 「200……240人って……どんだけ1人で豪邸に住んでるの! 何で一人暮らしで40畳も有るの! キッチンにお風呂とトイレが別って異世界で何してたの!?」


 「何って生活? ちょいちょい手を入れて広げてたらつい?」


 「何で異世界で豊かに優雅に生活してるの? サバイバル状態だよ? 何でちょいちょいで豪邸造っちゃうの?」


 委員長達は異世界の住宅事情にご立腹らしい。うん、全く異世界の奴は気の利かない困ったやつだ。


 「遥君、お願いします」

  

 「「「「お願いします」」」」


 うおおぉお、何事だ? 委員長達が一斉に頭を下げている。ま、まさか俺に異世界の住宅情報誌を発行しろとか? マンション経営で左団扇な男子高校生的な建築需要が建設的に建造計画なあれを……


 「小田君達の事が有って私達がこんな事をお願いしたらいけないんだけど……今日だけでもみんなを泊めてくれないかな?」


 はぁあああっ? 1人暮らしの男子高校生のお部屋に女子校生が泊まりに来るだと! 全く最近の若い娘はけしからん、ふしだらな乱れた風紀が不埒な悪行三昧でお泊りって……


 「もちろん、夜警も食料の調達採集も全部します。食事も掃除も焚き火の番もちゃんとします。小田君達の時見たいな事は絶対させません! ……私達がこんな事言っても信じられないと思う、でも……今晩だけでもお願いします」


 何だそう言う事か、拠点もテントも無くなり帰る所も今日寝る所も無い。只それだけの事だ。


 只それだけの事だが、言えなかった。


 オタ達の事だ。オタ達が拠点を作り、防御柵を造り、テントを張り、焚き火を用意し、食料の調達も採集も、食事を用意するのも、掃除するのも、警護も、夜警も、防衛も全部やらせて、自分達はそこに住んでいた。ただそこで守られていた。そのお蔭で生き延びられていたのに、そこからオタ達を追い出した。


 実際はオタ達は逃げ出した。だが、確かに追い出しのと何ら変わりはしない。


 そうして今度は俺に家を提供しろと言えなかったのだろう。言う資格がないと、その信用が無いと、自分達が口にしてはいけないと。だから今度こそ自分達で何とかしないといけないと。


 「小田君たちに話しを聞いてて怒っていると思う。うん、当たり前だよね……その私達が……こんな事言うのも……怒って当たり前だと思う……怒ってるよね?、、……でも……「委員長?」……はい?」


 当たり前の話だ、ある日女子高生の集団を森の中に放り込み自分達だけで生きて行けと、全部自分達で生活しろと? 異世界じゃなくたって無理に決まっている。


 ましてや魔物が出る、異世界で食べ物も違う、無理で当り前だ。無理過ぎだ。


 それをしなきゃいけない、頼ってはいけない、自分達だけでしなくちゃいけない、何故ならそれを全部オタ達に押し付けてやらせて来たから。そうして全部が駄目になったから、何も出来なかったから……だから今度こそ、って……


 「出来るわけないよ?」


 一瞬、振るえて……そして俯き……無理矢理笑おうとする委員長。見ていられないくらいに痛々しい悲しい作り笑顔だ。


 「う、うん。そ、そーだよね。うん、ごめんね? 変な事頼んで、遥君が……遥君1人で造ったんだもんね。ごめん、忘れて」


 「だから出来るわけないよね? 何でも全部出来る訳が無いくない? 知らない世界で自分達だけでやっていける訳が無いよね? 高校生が集まったくらいで森の中で生きて行ける訳が無いから、無理に決まってるじゃん。全部出来る方がおかしいよ、何で全部自分達でしなきゃいけないの? それ無理だから。うん、不可能」


 「だって、しないと! ちゃんとできる様にならないと! 小田君達も……遥君だって、だから私達だって……自分でできる様にならないと……ならなきゃいけないの!」


 「だから無理だって」


 「そんな事無いよ! 出来るから……だって、しなくちゃいけないの! 私達は……今度こそちゃんと……「む り だっ!」っ!」


 「普通に無理に決まってるよね? 何処の世界に森の中でサバイバルして生きていける高校生が居るの? 居たとしても、そいつを普通って言わなくない? 出来る事が出来ればいいんだよ、出来ない事まで全部やろうとするから無理なんだよ。オタ達のことで怒ってるかって? 怒ってるよ。全部なんて出来ないのにやろうとするオタ達にも、全員を救うなんて出来もしないのにやろうとする委員長にも、出来る事すらしなかった馬鹿達にも怒ってるよ、呆れるのを一周廻って怒ってるよ、出来ない物は出来ないに決まってんだろ!」


 委員長は泣いた。今迄どんなに責任を押し付けられても、無理難題を押し付けられても、無理だと自分で分っていても諦められない委員長が泣いた。大泣きだ……どうしよう?


    ・

    ・

    ・

 

 委員長と先導しながら進む、警戒と迎撃の為だそうだ? もう何にも居ないんだけどな~。

 

 「遥君、どうして辺り一面魔物が串刺しなの?」


 「それはね、暇だったからだよ?」



 「何処の世界に! 暇だと! 辺り一面! 魔物を串刺しにする人が居るのーっ!?」


 「いやー、どこの世界にって異世界なんだから串刺し公爵さんとか居るかも?」



 「その人は来てないから! 同級生に串刺し公さん居なかったから!」


 「流石は委員長、同級生の名前全員覚えてるの?」



 「普通、日本の学校にドラキュリアさんとか居たら気付くでしょう!」

 

 「いや、名前がドラAとかだったらわからないかも?」



 「そんな名前の人居ないから! ドラAってドラキュリアさん何人居るの! それ、えもんだったどうするの!?」


 うん、会話が弾んでいる。ぼっちだが頑張ったなー、俺。何故か委員長は疲れている様だ? 泣き疲れたんだろうか?


 ビッチ達と副委員長達は殿しんがりだ。


 「あっ、そこの角左ね」


 「どこの角よっ? 何で森の中に角が在るの? まさか交差点まで造っちゃったの! 角にコンビニでもあるの?」


 軽いジョークが激しいツッコミで粉砕される、オコなの? オコなのだろうか?


 まあ着いた。


 「おいでませ~。遠い所を~「遥くん、一緒に来たでしょう!」……えっと、お迎え的な?」


 

 全員を中に招く。まさか20名もお客が来るとは吃驚だよ、ぼっち的に。拡張工事しっといてよかったよ。

「「「「「何なの? ここは!」」」」


 「家だけど? いらっしゃいませ?」


 う~ん、やっぱり洞窟がいけなかったのか? インテリアの棍棒もあれだったかも?其れより、ナチュラル志向の現代にミッドセンチュリーは認められないのか!?


 「え~とっ、遥君?このフランクリンロイドに地中海風リゾート造って貰いました~みたいなこの隠れ家風の地下邸宅は何?」


 「、、、だから家?ぼんじゅ~るぅ?」


 「異世界で!一体!今迄!何してたのーっ!フランクリンロイドはアメリカ人だから!ウェルカムだから!!」


 う~ん、遂に我が家で委員長絶叫が見れるとは、感慨深い、俺は遂に此処まで来たかっ。


 「いや~、一人だと暇でさ~、つい?やっちゃったみたいな?」


 「「「「「、、、、。」」」」


 ジト目、無言20名分。しかもJK!!いや、すいません。


 いや、だってちょっと拡張してみよっかな~って、いじってたら水晶の鉱脈とかあってさ土魔法と梱包で弄ってたらガラスっぽくなったんで天窓とかガラステーブルとか出来ちゃったり?石灰岩とかも有ってちょっと弄ってたら内装が白壁風みたいな~、あれって感じになっちゃってさー、しょうがなくない?しょうがないよね。


 無言のジト目が怖いので、木魔法で円形の大型ベッドを4個作る、回転はしません、これで20人位は転がれるだろう。


逃げるようにキッチンに行き、今迄に極めに極めた茸尽くしの料理を大量に作ってテーブルに並べ、新たに増設されたジャグジーにお湯を張る。


 「それじゃー、男が居たら落ち着かないだろうし、此処自由にしていいから。それじゃあ~」


 「ちょっと何処行くの?遥君の家から遥君追い出したら私達何にも進歩してないよ、それにご飯からお風呂からベッドまで用意して貰って、、。」


 「いや、俺ん家だから、俺がやるの普通じゃん?」


 「だって、、、」


 「だから出来ない事までしようとしなくて良い。それに男子に襲われた直後だろ?あと、ここ魔物入って来れないから見張りいらないから、んじゃ、皆疲れてると思うからお休み~」


 よし、脱出した、やっとぼっちだ。いや、無理だから、女子高生20人と一緒とか。あの居心地の悪さと空気の重さ、無理です。


 出て行く時のプレッシャー、後ろからの20人の40アイズが突き刺さっていた、絶対無理。


 大体さ~、俺、男子高校生じゃん?無理です、男子高校生的に。



 いそいそと外にテントを張り、中に転がり込む。ぼっちだ~、この開放感、孤独感、この幸せはぼっちにしか解るまい、もう、ぼっちでいいよ。ひきこもるお家からは逃げてきてしまったが、、、。


    ・

    ・

    ・

 

 村人Aさんは謎だ、有った事がないから謎で当たり前と言えば当たり前だが、持ち物が謎過ぎる、このテントも開くときに大きさが変わる、普通のテントから大人数様のエアードーム見たいにもなる、しておけば良かった。


 狭いテントに委員長が居る、近い、

 

 「遥君、ありがとう、皆、やっと落ち着けたみたいだよ。って言うか、豪華な部屋と料理とジャグジーで元気出たみたい、本当にありがとう。」


 「え~、どういたしまして」


 「それに部屋を占領しちゃって、ごめんなさい。遥くんお風呂は入れなかったよねー、もう皆下着姿で寝ちゃってて、そのー、あのー、ごめんなさい。」


 どうやら、俺の憩いの部屋はパラダイスになっているらしい、女子高生パラダイスと言うと妖しいお店みたいだ、入場料は幾らだろう?思わず払ってしまいそうだ、自分の部屋なのに。


 「いいよ、水浴びしたし。それに女子20人の中に男一人で混ざるとか、そっちの方が疲れそうだし」


 「そうだね、ごめんね、ありがとう。」


 「委員長、オウム見たいになってんぞ、台詞がさっきからごめんとありがとうばっかだ」

 

 「だって、本当にそうだから。結局、何も出来ずにまた助けて貰って、私は何にも出来てない。小田君達の時と同じことしてる」


 あ~、やっぱり勘違いしてるなー、これは、基準がおかしいんだ。


 「出来てるぞ。前からちゃんと出来てたぞ。今日でも14人の女子纏めて守ってたろう。此処に来る時もちゃんと纏めて先導してたろう。来てからずっと纏めてたんだろう、あっちこっちに声を掛けて、話聞いてやって、状況を調べて、其れをまた伝えて、全員がバラバラにならなかったのも、誰も死なずに済んだのも、ちゃんと出来てるじゃん、こんな状況で普通自分の事しかできないのに、纏めて来たんじゃん、纏め切れないのはしょうがないんだよ、委員長に着いてきた奴がいて、そいつら纏めて守ってたんだから、充分出来てるじゃん。」


 「ううぅぅっ、でも小田くん達みたいには、、、、」


 「其れは出来なくて良い事だ、オタ達がおかしいんだ、頭的に。普通、異世界に召喚された時の為にサバイバルの練習するか?知ってるか?あいつ等召喚された時の為に普段から十得ナイフ持ち歩いてたんだぞ、LED付だぞ?どんな世界に行っても良い様に普段からミーティングしてたんだぞ、あれと同じ事が出来たらおかしいんだ、頭おかしいんだから。同じだった時点でそいつも頭がおかしい。出来なくていいし、出来たら問題だ。」


 「それは小田君達に酷くないかなー?がんばってたんだよ?」 


 「そのオタ達を基準にしようとするからおかしくなるんだ、出来なくて悩むんだ、あいつらが学校であんなに頑張ってたか?あいつ等は異世界に来たから本気出してんだよ、異世界に来た時の為に頑張ってたんだよ。もうあれは来るべくして来たんだよ、普通出来ない、出来なくていい。あれがおかしい。まったく酷くない。」


 あれはもう、宝くじが当った時のために準備してる様な物だ。普通じゃない。其れが本当に当ったから、凄く見えてるだけだ、基準にして良いもんじゃない。あれを基準にしてしまうと、全国の学校で異世界召喚時の為の防災訓練が必要になるだろう。


 「遥君、ありがとうねっ、少し気持ちが楽になったよ、、、いつも、ずっと、ずっと、ありがとう。やっぱり遥君はすごいねっ」


 「俺は出来る事をしてただけだし、何にもしてないぞ、独り身で自由気ままだったし」


 集団は利点も大きいが問題も多い、其の為に縛りが必要だ、個人は出来る事は少ないが縛りが無い。今回は集団の縛り、つまりルールが出来なかった、其の為に集団行動がとれず、役割分担も出来なかった、悪い面だけが出たのだ。そして、実はオタ達は最初から自分達の良い様に動いていただけだ、実はルールに沿っていない、自分達で判断して勝手にやっていたのだ。端から話し合いにすら参加していない。


 空気を読むと何も出来なくなる、長い物に巻かれようとする、そして何も出来なくなる、負の集団行動だ。オタ達は最初から集団行動をとっていない、そもそも空気を読めない。だから、オタ達だけが行動し、委員長は其れが出来ずに悩んだんだろうが、あれは集団を無視する才能が必要だ、持ってて良い物でもない。


 「だってご飯も沢山有って、立派な家まで造って、魔物の大群も倒せて、全部出来てるじゃない、あれっ?小田君達よりもおかしくない?」


 そう良いながら、指を一本だけほっぺの横に当てたまま首を傾げる、くぅ、あざとい、その仕草は可愛過ぎる。だが、言ってる内容は酷い、誰がオタ達よりおかしいんだ?

 

 「ご飯って山程有るが全部茸だ、家も暇だからこー為っただけだし、魔物もあの辺りの魔物が弱いから倒せただけだぞ?そして俺は普通だから、オタ達と一緒にするんじゃありません。普通です。」


 うーん、汚れて血塗れだった委員長は、今では綺麗さっぱりホカホカの湯上りです、近いって、いやテントが狭いんだけど。


 「これが普通だったら、、、皆幸せに暮せそうだねぇ」


 「生活の基本だろ?楽しく、普通に暮らすのは」


 結局、委員長は何度も何度もお礼を言って帰っていった、テントの直ぐ後ろが洞窟なんだからお見送りはいいだろう、深夜だけど。


 あ~、洞窟に地下室作りたかったな~、、。のの字で。


           11日目終了


  

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― 新着の感想 ―
読み進めていけばこのキツいノリは緩和されていくのだろうか…
寄生虫が文句ばかり言いまくってゴネ得状態が許せない。なんか偉そうに。
[一言] 3話分読んだかと思ったらまだ1話分だった まぁ「健康」があるから魅了も傀儡も即死も効かないでしょう。 副委員長たちはノクターンが本番かな?(ダブルミーニング)
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