フェロモンで充分なのに行き過ぎて犯罪に走っちゃってる。
４０日目 朝 宿屋 白い変人
朝、部屋から出ると他の部屋のドアがわずかに開いててその隙間からジト目が見える？ 廊下中がジト目って何事なの？ まさかモーニングジト目サービスとか？ それって月御幾らでしょうか、年間契約でも３年縛りでも良いんだけど？ 取り敢えず挨拶？
「おはよう？ みたいな？ って、なに？」
「「「「おはよう、昨晩はお楽しみでしたね（バタン！）」」」」
一斉に扉が閉まった。うん、バレてるみたいだ？ あれ？ 甲冑委員長さんは未だ声が上手に出せない、とても微かな声だ、あの声もだ。なんで？ まさか女子全員が気配察知で覗いてたの？ 見えないし聞こえないが気配だけなら読めるだろう、ってプライバシーの侵害だよ！ マナー違反だ、俺だって「羅神眼」が有るのにお風呂なんか見てないよ？ 今の所我慢してるよ？ ずっと我慢してたのに。
まあ一緒の部屋から出て来るのだからどっちにしてもバレバレなんだけどさー？ 別に隠そうとか思ってないし？ ただとても説明に困るんだよ、今の状態って。
取り敢えず甲冑委員長さんの意見は、使役は解かないらしい、絶対嫌なのだそうだ。そして、あくまで従者だから彼女とかじゃないらしいorz……でも従者だからって言う訳でも無いらしい？ 「好き」って小さな声で言われた、言われたよ？ 身分とか立場が違うみたいな事を言ってるんだけど身分も何も無職のにーとでひきこもりのぼっちなんだけどあっちは元でも迷宮皇さんなんだけど？ どう考えても使役されてる立場じゃ無いんだよ、普通？ でもなんかお妾さん的なポジションを主張している、一度も彼女が出来た事も無いのに何で先にお妾さんになっちゃうの！ でもずっと一生一緒にいるらしい？ って言うか仕えるのだそうだ、にーとに？ どうやら忠臣でありたいのかもしれない。
会話が難しいんで話し合いも難航したまま、なし崩しのままだったりする。説明とかしようが無いじゃん？ まあ一生一緒いるのなら何でも良い気もするんだけど、俺の世間の好感度的には大問題だろう、特に異性の好感度さんは致命傷を負ったに違いない！ だって俺も聞いた時は心に致命傷を負ったのだから。
まあ、お楽しんだので異存は無い。かなり異存は欠片も残ら無いくらい徹底的にお楽しみました！ 最後は怒られました。
みんながジト目で見るので甲冑委員長さんも困ってもじもじしている、これは苛め問題勃発だろうか？ 果たしてどうやったら元迷宮皇さんを苛める事が可能なんだろう？ あまり相手をみんなボコボコにするいじめられっ子って聞かないんだけど異世界のいじめられっ子は剣を持って無双しちゃってるんだろうか？ オタ達もそうなりそうだ、苛めるけど。
空気が重い、だが朝ごはんだ。ジト目対策に朝から焼き魚定食を振舞うとジト目している余裕は無くなった様だ。だって焼き魚さんにお醤油をかけて白ご飯だよ、日本人の米離れとか言われながら異世界でもがつがつ食べてます、離れられそうにありません。汁物的にもお味噌が欲しい所だ。
実際迷宮で稼ぐ同級生たちの懐は温かく、ご飯代で大儲けだったりする。何せ食料品は買い集めてるから手持ちで作れば原価は格安だ、そして「掌握」魔法で料理すれば大人数分でも迅速簡単手間いらずなのだ。
「迷宮に行ってみようと思うんだけど一緒に行く？ 残ってても良いよ？ あまりいい思い出も無いだろうし？」
言ってみたけどやっぱり付いて来るみたいだ、もうあの闇は出ないとは思うんだけど確かめておきたくも有る。やばそうだったら帰らせよう。
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迷宮に入ると甲冑委員長さんが入口のエントランスをジト目で見詰めている？ 気に入ったのだろうか？
「いや、せっかく階段からのアクセスなんだからやっぱり奥行って言うか、空間につながる感じ？ ステアエントランスな入り口とか良くない？」
あれ、良くないみたいだ？ 返答はジト目でした。勝手に改装したのが拙かったかも知れない？ え～でも１Fくらい良いじゃん？ 持ち場１００Fなんだし。
魔物のいない３０階層まで降りて、下層の気配を探知してみる。いない？
「３０階層から下は４６F迄魔物が残ってるって話だったんだけどいないねー？」
気配探知で下層を探っても気配が無い。誰かが倒しちゃったんだろうか？ まあ、冒険者だって稼ぎに来るだろうし目当ては宝箱だから魔物がいなくても問題ないと言えばないだろう。３０Fにも隠し部屋は有ったが宝箱の中身は「プロフェッション・メダル ジョブ特性アップ」って、2人とも無職なんだよ！ 無職のジョブ特性アップって無職のジョブ特性は何なの？ ぐーたらしちゃうのだろうか？ 下に降りよう。
３６階層にも隠し部屋だ、どうも隠し部屋は殆ど発見されて無い様だ。下層にも隠し部屋以外の宝箱も有ったけどポーションとか金貨とかの消耗品ばかりでレアな物は一回も出なかった、やはり狙い目は隠し部屋だろう。３６Fの隠し部屋、相変わらず罠も鍵も無い、開けてみると其処には「デモン・リング 悪魔を使役する（3体）」ってもう殺しちゃったよ！ この指輪をしてソードマスターさんを使役して戦うお話だったのか！ これは伏線なのか？ ってフラグだよ！ 手遅れだよ、もう先にフラグ折れてるよ、いやなら落とすなよ。使うかどうか分からないから複合は止めておこうか？ でも、窮魂の指輪は出番が全くない「トラップリング 罠を自動的に解除する」しか入ってない、まだ７個も空きがあるし要らなかったら外せばいいんだし、何より仕舞うと忘れちゃいそうだ。取り敢えず複合しておこう。
さて、今の所は強欲の使徒甲冑委員長さんの欲しがるようなものは出ない様だ、何も出なかったら帰りに街で何か買ってあげよう。
４１Fではこれまた微妙な「ブレイド・シールド 攻撃補正（小）防御補正（小）魔法防御（小）シールドバッシュ＋ATT」だった、効果は良いけど（小）ばっかり、シールドバッシュ＋ATTはシールドバッシュで斬ったり突いたり出来るんだろう、盾の表面と縁に刃が付いている、守りたいんだか攻めたいんだか？ よし、売ろう。
そして最後の４５Fは「テンプテーション・シャツ 誘惑効果（大）」……惜しいのかもしれないがこれは駄目な奴だよ。犯罪的なあれだよ、どう考えても魅了とかの仲間だ、フェロモンで充分なのに行き過ぎて犯罪に走っちゃってる。好感度が上がるだけで充分なのに、これって寧ろ好感度が下がってるよね？ モテるのかも知れないけど封印だろう、売ってもヤバそうだ。
「結局魔物もいなかったねー？ どうする１００層見に行ってみる？ お久な感じで？」
別に用は無いみたいだ。まあ、あんな所懐かしくも無いのだろう。これなら大浴場にしても怒られないかも知れない。
ここで感じる分には闇どころか迷宮は完全に死んだようだ、気配と言うか、息づかいみたいな物が全く無くなっている。あの闇が消えているならそれで良い。
まあ、良い物は無かったけど売れば大金になるのだろう、「テンプテーション・シャツ」は売れないが、メダルと盾は良いものだろう。無職の剣神と木の棒専門のコンビでなければ大収穫だったんだろう、きっと。
甲冑委員長さんの収穫が無いから街でお買い物でもしよう、まだ昼を少し過ぎたくらい？ なのかな？ みんなどうやって時間を知っているんだろう？
街でぶらぶらと二人で時間を潰す、甲冑委員長さんは雑貨や日用品を買ったみたいだ、ギルドに寄ると昨日今日で冒険者と兵隊さん達で迷宮の掃討とか死亡の確認を行なったんだそうだ。どーりで隠し部屋以外何もないと思ったよ、楽できたから良いけど。
近くにある他のダンジョンの情報も教えて貰う、冒険者しか入れないのだけど教えて貰えた。賄賂のフルーツケーキが効いたのだろう、口の堅い受付委員長では無く口が良く滑る鑑定係に聞いたのが勝因だろう。きっと後でバレて怒られるのだろう。
宿に戻るとみんないるみたいなので「プロフェッション・メダル ジョブ特性アップ」と「ブレイド・シールド 攻撃補正（小）防御補正（小）魔法防御（小）シールドバッシュ＋ATT」を出して買いたい人がいないか聞いてみる、思いのほか大人気だ。特にメダルが人気で「ジョブ特性アップ」は激レアなのだそうだ、だって無職に言われても無職特性をアップしたくないんだよ、下げて欲しいくらいだよ。
「じゃ～、オークションで販売しまーす、最低価格は１，０００エレからスタート。みたいな？」
「３千！「５千「６千。「９千！「１万「１万２千「１万……５千「に、二万。」……」
みんなオークションに騙されて楯使わない娘まで手を上げている？いや、だって両手剣だよね？ あっちの娘も双刀使いさんだったよね？
「１０万と５千「１１万！「１２万！「１２万５千……「１４万だ！「１５万……５千「に、２０万。」」
おかしい。オタ達がおとなしい、あの武器マニアたちが参加して来ない。守護者がぐぬぬぬって顔してるけど周りが何か話しかけている。
「２５万！「２６万。「２８万っ。「うう、２９万！「２９万……５千「さ、３０万。」ぐっ」
そして結果はバレー部っ娘のツイン電柱さん達が落札しました。ああこの娘盾振り回す子だ、適任だ。３２万エレだよ大儲けだ、二人で有るだけのお金を出し合ったみたいだ。オマケも付けといてあげよう。
そしてメダルはオタ達が本気を出して落札した。１，０００エレから始めたのにいきなりの１００万エレだ。もう誰も入札出来ないまま落札された、４人全員で有り金はたいたようだ、その目的は守護者か結界師に持たせて頭を防御する気に違いない。また、新たな技を考えないといけない様だ。
