花火大会
芝生の染みをつけた
卸したての浴衣
ざわめきの中で暮れていく空
屋台のソースの
焦げてく香り
上気した頬
汗をかいたビールの缶
そして渦巻く熱熱熱
合図と静寂
光と歓声
そして仄かな感嘆のため息
指さす形になぞる形
みな花びらを愛おしむように
咲いては消え
咲いては消え
共有のなかの美しさと
諦めに似たその儚さ
今日は別れてしまう
見知らぬ人々
綺麗ですね、
綺麗でしたね
また来年も、
ええ、見たいわ
雑踏の中
ほどけていく熱熱熱
ぽっかり空いた
声の隙間に
風が一筋
通り抜けていく