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この花咲くや  作者: 如月海人
9/17

五月 試験勉強

お待たせしました。

第8話の投稿になります。

予約掲載というものがありながら、

それを使わずに投稿を忘れるという残念な作者です。

今日から3日間、予約掲載を使って1話ずつ投稿します。

上手くいくようだったら、ストックしている分を全て予約しようと思います。

ゴールデンウィークが終わり、いつもの日常に戻っていた私たちだけど、先生から衝撃の一言が告げられる。


「再来週はあなたたちが入学して初めての中間試験があります。日々の復習が出来ている人なら心配ないと思いますが、しっかりと勉強しておくように。」


 先生がそう言い終えると、クラスからは苦情の声が上がっていた。私も口には出さなかったが、みんなと同じ気持ちだった。


「はいはい、静かに。日頃から勉強していたらそんなに難しくないテストだから。ちなみに、この学校ではテストの点数の順位が廊下に張り出されることになってるから、恥ずかしい思いをしたくない人は今日からでも勉強しましょう。」


 先生からの衝撃的な発言が終わると同時に、ホームルーム終了のチャイムが鳴った。


「えっ、詩織ちゃん。私の聞き間違いじゃなければ、順位が張り出されるって先生言ってたよね。」


「そうですね。中学まではそんなことなかったから少しびっくりしました。」


 どうやら私の聞き間違いではなかったようだ。廊下に順位が張り出されるなんてとんでもない。下の方の順位だったら楓や詩織ちゃんに笑われてしまう。こうなったら、試験に向けて勉強するしかない。


「詩織ちゃん、中間試験も近いし三人で一緒に勉強しよう!」


「試験勉強ですね。いいですよ。私も少し不安なところがあるので、そこを重点的に勉強しようと思います。」


 詩織ちゃんは快く引き受けてくれた。ちょうどその頃に、帰り支度を終えた楓も近づいてくる。


「試験勉強を一緒に? いいよ。その方がわからないところをお互いに教えあったり出来るもんね。」


「そうだよ! 教えあうことで、自分もその範囲の理解をより深めることが出来るのです! だからすごくいい考えだと思うんだよね!」


 私がそう言うと、楓がまた信用していない目でこっちを見てくる。何か言いたげな顔だ。


「私と詩織は教えあうことが出来ると思うけど、雅から教えてもらうことなんてあるのかな?」


「わっ、私だって得意教科の一つや二つあるんだから!」


 中間試験でその教科のテストが無いことは二人には秘密です。


「雅が得意な教科は今回のテストでは無いだろ?」


 思っているそばから楓にはバレてしまっていた。中学から得意教科は変わっていないので当然ではあるんだけれど。


「あ、でも一緒に勉強するってことは場所が必要ですよね。どこか当てがあるんですか?」


「私は中学の時みたいに楓の家で勉強させてもらえないかなって思ってたんだけど、どうかな?」


「あー、やっぱりそのつもりだったか。ごめん。今親戚が泊まりに来てるから私の家は使えないんだ。」


「そっかそっか。それは仕方ないね。あ、じゃあ詩織ちゃんの家は? 確か一人暮らしだったよね。」


 私が詩織ちゃんの方に視線を向けると、思いっきり首を横に振られてしまった。


「私の住んでる部屋は狭いですし、三人で勉強できるようなスペースは無いですよ!」


「それに、そんな急に言ったってダメだろ。部屋の片付けだってしなくちゃいけないだろうし。」


「そっかあ。うーん、どうしようかなあ。」


 私がどこで勉強しようか悩んでいたところで、詩織ちゃんから図書館で勉強しないかと提案してくれた。確かにあそこなら静かに勉強は出来そうだ。あまりうるさくは出来ないけど、小声で教えあうくらいなら大丈夫だろう。場所が決まったところで、私たちは一旦家に帰って試験勉強の準備をしてから、図書館のエントランスのところで待ち合わせをすることにした。



 私は家に着いたらすぐに出る支度を済ませて、図書館へ向かった。私が到着するのとほぼ同時くらいに、楓も現れた。


「お待たせ。詩織はまだ来てないのかな?」


「私も今来たところだから、わかんないよ。詩織ちゃんの家の方が近いだろうし、もしかしたらエントランスでもう待ってるんじゃないかな。」


 私たちは駐輪場に自転車を止めてからエントランスに入ると、思っていた通り詩織ちゃんはもう既に到着していた。


「ごめんね、詩織ちゃん。待った?」


「いいえ、私もついさっき着いたところなのでそれほど待っていませんよ。」


 詩織ちゃんと合流した私たちは、図書館の中へ入っていった。奥の方に机が並んでいるスペースがあるので、そこで勉強することにした。


「早速で申し訳ないんだけど、お二人に教えて欲しいところがあります。」


「いきなり雅に教えるところからかよ。私たちだって自分で勉強したいところもあるんだけど。」


「まあまあ、いいじゃないですか。まずは雅ちゃんのわからないところを見てあげましょう。」


 わからないところだらけなので、いつ終わるか想像も出来ないけどそれは黙っておく。楓になんて言われるかわからないからね。まずは一番苦手な数学を見てもらうことにした。


「ああ、そこ私もわからなかったんだよね。詩織はわかる?」


「大丈夫ですよ。この問題はここの公式を使うんですよ。それから、出てきた数値をここに代入してあとは単純計算をするだけで答えが出ますよ。」


「なるほど、そういうことか。ありがとう、すっきりしたよ。」


 楓は今の説明でわかったみたいだけど、私には全然理解出来なかった。


「ちょ、ちょっと待って。こんな公式授業で習ったっけ? 使い方わかんないんだけど……。」


「初めの方の授業で習いましたよ。じゃあ、最初から順番に説明していきますね。」


 私はものすごく申し訳ない気持ちになりながら、最初から説明してもらった。詩織ちゃんの教え方はすごく丁寧で、私でもすぐに理解できるようになった。


「なるほど、この公式はこうやって使うんだね。詩織ちゃん、教え方上手いからわかりやすかったよ。ありがとう。」


 どういたしまして。そう言って詩織ちゃんは自分の勉強へと戻っていった。

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