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~TAKETORI~千三百年の時を越えて  作者: 秋実 怜土
11/17

11:そして五人がやってくる

それから、毎日のように訪ねてくる男たち―――――を完全に無視して、毎日のように届く和歌―――――を読まないで過ごしているうちに、五人のあきらめの悪い男性が残った。

五人か…………っていうとやっぱりあの五人か…………。竹取物語の物語の心髄とも言える所に入ったというわけだ。五人ともかなり悲惨な事になってたけどやっぱりそうなるのかしら。ていうか私がそうさせるのか。

確か品は火鼠の皮衣、御仏の鉢、竜の五色の玉、燕の子安貝、蓬莱の枝、で合ってるはず。でも、それじゃ面白くない。さて、どうしましょう……………どうせだったら………。よし、これでいこう。持ってこられないようなもの5つ、思いつきましたぁ。



ひとまず、全員中に呼んでもらうことにした。既に、いう内容はお爺様に伝えてある。私は扉の後ろから盗み聞きだ。

「えー皆様、お集まりいただき誠にありがとうございます。皆様ともにかぐや姫に求婚なさっているということで宜しいですね?」

五人がうなずく。

「では、かぐや姫の意向をお伝えします。皆様とても素晴らしい方ばかりなので私には選べない、だから一番最初に私が頼んだものを持ってきた人と結婚する、と申しておりました。」

「………注文とはなんだ?金か?」

誰かがそうお爺様に聞いた。

「それを今から申します。一番左の方―――――――あなたは、「オトタチバナの櫛」を持ってきてください。二番目の方―――――あなたは「四肩の阿修羅の刀」を持ってきてください。真ん中の方―――――あなたは「潮みつ珠、潮ふる珠」を持ってきてください。右から二番目の方―――――あなたは「氷雪山の頂上に咲く雪の花」をとってきてください。最後に、一番右の方―――――あなたは「天の沼矛」を持ってきてください。」

五人は皆そろってポカーンとしている。そりゃそうだ、絶対持ってこられないようなものにしたんだから。三つ日本神話に二つオリジナル。持ってきたらひとまず偽物を疑おう。

誰かが翁に聞く。

「…………翁、ちょっといいか。今あげたものは幻と呼ばれるものか、そもそも聞いたことのないものばかりだ。流石に正気とは思えないのだが。」

「全てはかぐや姫自身が決めたことにございます。」

「それでも、もうすこしもってきやすいものには…………。」

「なりません。全てはかぐや姫が決めたことですから、私は口を出せる立場にございません。」

ここまで、私がいったとおり。

「…………分かりました。」

五人が我先にと扉を抜けて外に出て行く。急いだって無意味なのに。

「かぐや、もう五人はいったよ。」

「ありがとうございますお爺様。これで一安心です。」

「わしとしては一人ぐらい選んでも良かったんじゃないかのうと思うんじゃが。」

「あの男達は、何も見ていませんから。」

「ふむ?いまいち意味を分かりかねるがまぁ、いいか。」

奥から博定さんも出てくる。

「なんだかとんでもないもの注文したねー……………。」

「持ってこられたら困るから。」

「ああ………まぁ流石というか。」

「相手に希望を持たせてから落とす、うん、自分ながら外道ね。」

「―――――――もし。」

「何?」

「私が六人目になる、といったら何を注文する?」

「そうね――――――私を満足させるもの、かしらね。」

この質問はもし、じゃないことぐらいすぐわかった。つまり、これは彼なりの告白。そのことに驚きはしない。それが竹取物語だから。私も、彼なら別に嫌じゃない。ただ、この告白は歪んでいる。流れにそって、たまたま聞いた、というような上っ面だけの告白。

だから、私は私が本当に持ってきてほしいものを頼んだ。それが何であるかは分からない。だからこそ見つけてほしい。私を理解してほしい。

博定さんの返答は、

「そうか………。」



それだけだった。

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