ゆうきがいない *新島先生視点
美鈴さんが一人になってから結構な時間が経ちました。
部屋の中からは美鈴さんのすすり泣く声が聞こえます。
これのケアも私の仕事でしょうか?
いや先生ですからケアする必要があるんでしょうが。
これは結構な重荷ですねえ。私はこういうことはそんなに得意じゃないんですが。
ゆうきさんもあとのケアも考えておいてくださいよ。
犬は部屋の中にいるのですが勝手にケアしてくれませんかねえ。
「あっ先生美鈴さんの体の調子はどうですか?」
クラスの委員長をしているすみれさんが話しかけてきました。
「ええ、大丈夫でしたよ。
けど寝ていますので今は部屋に入れませんよ。」
「わかりました。ところでなんで先生は外に?
看病なら中に入ってたらいいのに。」
「いえ、さすがに年頃の女の子とおんなじ密室でふたりきりというのは美鈴さんの名誉的に悪いですし。」
「じゃあ私も入りますよ」
いえ美鈴さんの名誉的に泣いているところをほかの人に見せないようにというものなんですけど。
「いえ大丈夫ですよ。
音を出して起こすわけにもいきませんし、一応私は何かあった時のために私がここにいますので中に入るのは 遠慮してもらえますか?」
「わかりました
それともうすぐ昼食なんですが美鈴さんと先生はどうしますか?
とりあえず先生の分だけ持ってきますか?」
「では私の分だけお願いしますか?
美鈴さんはいつ起きるかわかりませんし。」
「わかりました。」
委員長のすみれさんが二つご飯を持ってきてくれました。
そのまますみれさんは適当に言って部屋に入らせずに帰らせました。
さてできるだけはやいうちに密偵のメイドに接触したいのですが、
このまま美鈴さんをほっておくという選択肢もないですしねえ。
「美鈴さん、少し話をしませんか?」
・・・返事がない。
「美鈴さん?」
「一人にしてっ!」
あー思ってたより重症みたいですね。
これはちょっと時間を置いた方がいいですね。
「では御飯だけは食べてください。
それだけしてもらえば私は話しかけもしませんから。」
「わかったから、ドアの前においといてっ!」
「わかりました。他の人には体調不良で寝てるから話しかけないようにに言っておきます。
それと鍵は返したいのですがこれはドアの前においておくわけにはいかないので一回ドアを開けてもら えますか?」
美鈴さんはしばらく動いてる様子はなかったのですが少ししてドアを開けてくれました。
その目元は泣いていて目をこすったのか目元が赤くなってました。
鍵を渡すとすぐに引っ込んでしまいました。
ああ仕方がない。
私も時間がないので少しの間放っておくとしましょう。
さて私の分がなくなってしまったのでちょっと時間がたってから私もごはんを食べに行きますか。




