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遁走  *ゆうき視点

その後侍女や魔法使いにクラスメイト達が何をしたのかとしつこく聞いてくるので私はとりあえず、

「美鈴を部屋で休ませたいので運んでもいいですか?」と行ってとりあえず時間を稼いだ。

運ぶのは新島先生にしてもらった。

私の体は魔術で改造してあるから美鈴一人くらい簡単に運べるんだけど、

自分より大きな美鈴を軽々と運ぶのはおかしいと思うから。

まあさっきのことからいまさらと思うけど。


侍女たちからの質問は避けられたけどいっしょに美鈴を運んでる先生からの質問はやっぱり避けられなかった。

「ゆうきさん美鈴さんには何をしたのですか?」

適当にごまかしておこう。

「体内の魔力が減ってたから補充しただけ。」

こういう時無口っ子キャラは楽でいい。

あんまり話さないでいいし。

「補充ですか?それなら魔法使いの方に任せておいたほうがよかったんじゃないですか?

 軽率ですよ。もしあなたの見立てが違ってたら美鈴さんはもっとひどくなっていたかもしれませんし。

 そういうことは専門家に任せるのが一番なんですから。」

いや無理だったし。

魔力じゃなくて生命力だから。

「心配だった。気を付ける。」

こういっておけばこれ以上お説教もできないでしょう。

予想通り

「心配だったなら仕方がないですね。

 でもこれからは気を付けてくださいね。」

ほら何も言ってこなくなった。

そこからは先生が適当な話を振って私が適当に相手をした。



ゆうきを部屋に寝かせた。

どこも悪いところはないみたい。

それに安堵してから私は先生に話しかけた。

「先生大事な話がある。聞いて。」

「何か悩み事ですか?いいですよ。

 何の力にもなれないかもしれませんが話すだけでも楽になるでしょう。」

「ここでは話せない。」

「美鈴さんには聞かせられないことですか?」

私はうなずく。

「では広間にでも移動しましょうか。」

「先生の部屋。誰にも聞かれたくない。」

「それは・・・・まあいいでしょう。ではいきますか。」

「んっ」

そう美鈴にはできるなら聞かせたくない話。

だけどこの城からゆうきを連れだすには言わなければいけない話。

だけどまだ言わなくてもいい話。



「で、その悩み事はなんですか。

 美鈴さんに聞かせたくないということは美鈴さんについてでしょうか?」

「ちがう。

 これからの話。」

「ああ、今の先行きに不安を感じているんですか。

 それなら大丈夫ですよ。国にとって私たちは大切な存在でしょうから。」


「ちがう。

 私はしばらく旅に出る。それを先生には言っておこうと。」

「旅ですか。それは無理じゃないですか?

 先ほど言ったように私たちは国にとって大切な存在ですから出してくれるとは思えませんし。

 それに出たとしても路銀とかがないでしょう。」

「冒険者ギルドというものがある。

 そこでお金は稼げる。私たち異世界人はすぐに強くなる。問題ない。」

「いいえ危険です。そのギルドというものもメイドの方から聞きましたが戦闘が主といいます。

 もし出るにしてもしばらく戦闘訓練を積んでからのほうがいいでしょう。」

「時間がそんなにない。」

「時間?何を言っているのですか?」


「それであなたには頼みごとがある。」

「頼み?いえその前にちゃんと説明しなさい。」

「この手紙を美鈴が起きたら渡してほしい。」

「ですから説明を」

「あなたへの手紙もここにある。

 説明も書いてある。ただし私が旅に出てから読んで。」

「何を言っても聞きませんか。」

「聞かない。」

「わかりました。その頼み聞き入れましょう。」

「助かる。それと美鈴に手紙読んだらこの魔道具で燃やすように言っといて。」

「その魔道具はどこから・・・・って言ってもこたえてくれないんですよね。

 わかりました。

 話はこれで終わりですか?」

うん、その魔道具は侍女たちの休憩室からとってきたものだし。

「んっ、おわり。」


「それでは旅にはいつ出るんですか?

 いろいろ用意もあるでしょう。今日の夜ぐらいですか?」

「今から。先生じゃあね。

 生きてたらまた会いましょう。」

先生は私の物騒なあいさつにぎょっとしていた。






私は私の制服を部屋から回収し王宮からいろいろ盗ってから旅に出た。

もちろん証拠は残してないよ。


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