勇者召喚の裏側 *神官?視点
はあ憂鬱だ。
今回どうして私にお鉢が回ってきたのかはわからないが、
勇者召喚に立ち会うことになった。
なんでも異世界から人を召喚できるんだと。
それって拉致じゃないと思ったが調べてみるとやっぱり拉致だった。
今の情勢的に勇者を召喚するのはありだと思うが人道的にはなしだと思う。
今人間の国家であるノーブルは魔族と戦争をしている。
「今人類は危機に反している。
我々の豊かな生活は魔族どもに脅かされあまつさえ奴らは我々の街を襲い男を殺 し女は犯し子供は食べ るというそんな魔族を許してもいいのか否断じて許すこ とはできない」
というのが正教会の公式発表だ。
だが私のような地位にいる者にはわかる。
それは嘘だと。
いや嘘ではないのだが本当ではない。
魔族の中には殺したものの肉体を一部でも食べることによって死者の魂を開放するという文化を持つ者がいる。
戦った相手ならともかく戦争に巻き込まれた子供が不憫だったのだろうか?
それに男を殺すのも戦争中なら当然のことだ。
わざわざ戦力を相手にくれてやることもない。
女を犯すというのも人間もしている。
魔族というのは異形をしている者が多い。
しかしたまにいる人間に近い容姿をしている者は皆優れた容姿をしている。
人間はそれを奴隷として扱う。
隷属の首輪というものがありその首輪に主となる者の魔力を登録しておき、
それを隷属したいものにはめる。
その後はめたものの心を折る。
大体暴力だったり、大事な者を殺したりする。
まあ相手が了承すればそんなことはしなくてもいいのだがそれはおいとく。
隷属させられた場合主の【命令】には強制力がある。
そうして魔族の女をもてあそぶらしい。
正教会は奴隷を禁止しているのだが魔族は人ではないとして黙認している。
ここまではどっちもどっちだが今回の戦争は人間側に責がある。
こんかいの戦争の原因は奴隷商人から始まった。
いくら魔族とはいえ戦争の前は人として扱われていたし、
向こうも国家である。
奴隷も向こうの承諾か借金などでしかならなかったが人さらいまがいの奴隷商人が増えたのだ。
それを魔族が抗議したが、奴隷は高価なため上層部の甘い汁を吸っている輩どもが握りつぶしたのだ。
それが何度も続き今の両国間の摩擦が大きくなり今の戦争になったのだ。
そして今人間は負けが続いているそれを何とかするために勇者を召喚したのだ。
勇者たちも哀れなことだ。
こちらの都合で呼び出したのに国の上層部は隷属の首輪、
いや確か指輪型のものを作ったのだったか。
それをつけて無理やり従わせるつもりらしい。
勇者といえどこちらの世界で経験を積まなければそこまで強くないらしい。
勇者とは才能なのだ。
「努力をすれば報われる」
一見正しいことに聞こえるかもしれないが、ちがう。
「努力をすればある程度報われる」というのがが一般的には正しい。
しかし勇者は違う。
努力をすれば必ず報われるのだ。
剣の練習をすれば剣聖と呼ばれるだろう。
魔法の練習をすれば魔法のを極めるだろう。
だから弱い時に隷属しておけば強力な駒が一丁上がりだ。
哀れ勇者
どうか神よ勇者に救いの手を
勇者召喚の神官視点をかこうと思っていたのですがなぜか勇者召喚の裏側になってしまいました。
なので本編が始まる前に私としては閑話的な扱いをしている~視点が入ることになってしまいました。