黒い影と朝の霧:雨宿りのコントラクト
ただでさえ暗い街の角を、一人の少年が曲がって行った。
ビルとビルの間の狭い道は、パイプや、錆びた室外機が部屋の数だけ置いてある。
そこを通れるのは、子供の特権だった――。
少年は、雨の音で目を覚ました。眠くもないのに眠りにつく時点で、だいぶ暇なのだ。
そんな中少年は、一つの『思い出』を見つけた。その思い出は――
「オレの名前は深影(みかげ)。お前の名は――」
「――朝霧暁也(あさぎり あきや)。……高一です」
記憶喪失の、青年だった。
〖登場人物〗
1 深影(みかげ) 少年。子供とは思えないほど言葉がきつい。
2 朝霧暁也(あさぎり あきや) 青年。記憶喪失らしいが自分の名前と大切な物だけは覚えていた。
3 骸(ムクロ) 深影のペット。猫。
4 漆夜(しつや) 少年。深影と見た目が似ている。冷徹。
5 蒼焔(そうえん) 青年。見た目は寝取り男。チャラい。
6 沈月透(シヅキ とおる) 男装女子。暁也と因縁が……?
7 漆(シチ) 漆夜のペット。狐。
<1>深い影と朝の霧
2025/07/30 10:02