7 赤色カラスの受難(アーロン視点) (2)
「アーロン少しいいか?」
ジョエル様に王子然として呼び出され、廊下に向かう。
「どどどどどどうしよう!!
アイラ嬢が……アイラ嬢が……昼を共にと!!!!
だから昼食は生徒会室でふっふたりきり!!」
あぁなるほど。
と思いながら昨日の夜公爵夫人に呼び出され、言われた言葉を思い出した。
『アイラちゃんってば情報収集はピカイチなのに誘導尋問がいまだに下手で直球なのよね。
だからアーロン君フォローお願いね』
「……なるほど。
では食堂にテイクアウトの依頼をしておきますね」
俺はジョエル様に笑顔で答えておいた。
やはりその日の放課後、ジョエル様に呼び出しをされた。
そして顔を真っ赤にし、今日も『アイラがかわいい講演会』を始めたジョエル様のお話を……。
なんとか冷静に拝聴した……。
まぁ俺も昼食を持って、いらぬおせっかいと思いながらも、隠れて二人の昼食会を見学したからわかっている。
しかしジョエル様視点だと
「アイラ嬢が入れてくれたお茶はこの世のものとは思えないほどおいしかった」
「アイラ嬢が僕を覗き込むようにみてくれた。上目遣いで!!!」
「アイラ嬢の手作りをいつか食べてみたい」
らしい……。
「そのままをおっしゃってはいかがですか?」
もう何度も言った言葉を、冷静に言う。
やはりというべきか……いつもの返事がかえってくる。
「そんなことを言うと赤くなる!!
王子がそれではアイラ嬢に引かれる!!」
「どうすればいいんだ!!」
頭を抱えるジョエル様を白い目で見ながら、今日も平和だなと思う。