表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この世界が仮想世界なら

作者: 夜行

「もしもし」


 やぁ、元気かい?


「あぁ、元気だよ」


 今日は面白い仮説があるらしいね。


「どうやって知ったのか知らないけど、まぁそうだね」


 話してごらんよ。


「この世界が仮想世界の可能性」


 またとんでもなく大きな話だね。まぁ聞こうか。


「僕は今のこの世界が仮想世界じゃないかと思っている。そう考えた方が説明がつく事もある気がする」


 ある気がする?


「所詮、僕の頭の中の話だからね。根拠なんて何もない」


 それじゃ、説明をしてもらおう。


「まず、この世界が仮想世界なら、誰が創ったのかという話になる」


 なるねぇ。誰が創ったんだい?


「神さ」


 神ときたか。


「君が思っているような神じゃない。もっと現実的な、いや現実とまではいかないが、それでもまだ現実的だ」


「神とは所詮僕らが決めた名前にすぎない。それは誰に当てはまるものなか。僕が言っている神とは、この世界で言われている宇宙人の事だ」


 宇宙人。


「小さいグレイ型の宇宙人と言えばわかるかな」


 なんとなくは。


「あれがこの世界を作った神さ」


 詳しい説明を。


「なぜ、彼らが仮想世界を創ったのかというと、それは実験の為」


 実験。


「彼らは自分たちの進化の過程を知る為にこの仮想世界を創った。つまるところ、彼らは人間の進化した姿だ」


 面白い事を言う。


「何万年、何億年先かは知らないけど、あれは人間の未来の姿だと僕は思っている。そして先ほども言ったように、彼らは自分たちがどうしてこの姿かたちになったのかを知りたかった。化石などの過去の遺物である程度は知っているだろうが、途方もない年月が経っている中で空白の時間があってもおかしくはない」


 だからか。


「そう、だからそれを知る為に、この世界を創って自分たちの進化の過程を紐解こうとしている」


 根拠は?


「たとえば、宇宙。宇宙は未だに膨張している。空間が膨張しているというのに違和感はないか? 膨張している先は、本来何があったんだろうか。これだけ広いと言われている宇宙でこの地球よりも高度な文明があってもおかしくはない。ならなぜ、その文明は接触してこない? なぜ、未来から人がタイムスリップしてやってこない? そういった話はあるにはあるが、ほとんどが眉唾物だ」


 なるほどね。


「グレイ型の宇宙人、彼らはこの世界を創った神だ。彼らはこの世界にある程度干渉をしているだろう。手助けをする時もあるだろう。逆に取り返しがつかない事が起これば世界を一度リセットする事もあったかもしれない」


 実は世界が何度か滅んでいるという話かい。


「だからオーパーツのような物が存在するのかもしれない。現代では過去一番発展している可能性はどれほどある? もし、世界が滅ぶような事が自然的に起きそうになった時、今の世界が無くなるのが惜しいと思った時、彼らは介入してくるはずだ」


 どうだろうね。


「この時代に恐竜を蘇らせようと計画があったのは知っているかい?」


 映画にもなったような?


「よく知っているじゃないか。まぁあんな感じだったとして、一言で言うとしたら危険すぎるとは思わないか?」


 思うね。


「それに滅んだ生物は滅んだ理由がある。適用できないから滅んだはずだ。それを現代に蘇らせるのはリスクがありすぎる。今の世界にどう影響を与えるのかわかったもんじゃない。じゃ、仮想世界を創ってそこで恐竜を蘇らせるのはどうだろうか?」


 安全だね。


「そんなものは蘇ったうちに入らないという意見もあるだろうが、生態系を観察は出来るだろう。進化の過程を知ることはできるだろう」


 なるほど。それが繋がるのか。


「そうだ。僕らが恐竜を蘇らせる、イコール彼らは恐竜ではなく僕ら人間だったんだ。まぁ結果としてゼロから創るのに恐竜も蘇らせているけどね」


 揚げ足はとらなくていいんだよ。


「次に天国と地獄、はたまた身体と魂の話になるけど、輪廻転生って知っているか?」


 まぁ。


「魂には限りがある。無造作に作り出すのもある程度の時間がかかるかもしれない。この増えすぎている地球の生命たち。新しい魂を創る時間が間に合わない時もあるだろう」


 それでリサイクルかい?


「そういう事だ。それが輪廻転生の正体」


 なるほどねぇ。


「魂があるとするならば、の話だけどね。それに優秀な魂はあちらにいけるのかもしれない」


 あちらというのは。


「この世界の外側。彼らの世界。優秀な魂の確保、もしくはこの世界を脅かす魂の削除。それが彼らの仕事なんじゃないか」


 優秀な魂を外に連れ出してどうする?


「造られた身体に入れられて効率よく働かせるとか、この世界に貢献した褒美として自由に生きて良いとか」


 なるほど。それが天国の正体って訳か。


「働かされるのが天国かどうかはわからないけど、死というものは選ぶことが出来るんじゃないか。永遠に生きてもいいし、死んでもいい」


 じゃ地獄は?


「ないのかもしれない。ただの無。記憶の削除。魂の削除。意識の削除」


 世界を脅かす魂とは?


「この世界を悪い方向へ変える可能性があった者。もしくは――真実に気が付いた者」


 真実。


「この世界が仮想世界だと知られたら、彼らには都合は悪いだろう。過程が知れなくなるかもしれない。だから消す」


 だったら、君はまずいんじゃないかい?


「あぁ、そうだね。僕の仮説が当たっていたらそうかもしれないね。で? どっちなんだ?」


 何がだい?


「僕は優秀な魂か、それとも都合が悪い魂か」


 なぜそんなことを聞くんだい?


「だって君は――神だろう?」


 …………。


「僕は今、こうして電話をしているけど、これはフリであって電話なんて繋がってない。それに君の言葉は何を言っているのかわからないけど、頭では理解できて会話が成立している」


 …………。


「で? どっちなんだ?」


「君はやはり面白いね」


 頭ではなく耳で聞き取れた。僕の後ろから声がした。あぁ願わくば前者でありますように。












                                   終わり


いかがだったでしょうか。なるほどと思われた人がいらっしゃいましたら書いたかいがありました。

私はわりかしこの世界が仮想世界だと本気で思っている口です。だからと言って何が変わる訳ではないんですが。まぁそれも面白いかな、と。

では読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ