振り返る
プールの中に居るような浮遊感。
気持ち良く居心地が良い。
でも体は動かない。
目を開けようとしても開かない、手を動かすようにしても動かない。
そもそも目はあるのか?
手は?足は?体はあるのか?
意識だけがある世界。
恐怖でもあり楽でもある。
(俺は死んだのか?それなら嬉しいなぁ)
俺は死にたいと思って居た。いや!違うな、逃げたかったんだ。仕事、友達、家族、全ての事から逃げたかった。
小さい頃の思いでは楽しい事だけだ!
友達と遊び、やりたい事をやっていた。
勉強は苦手で基本アホだ。
高校は通える所で定員割れしてる所を選ばざるを得なかった。
予想通りヤンキーとギャルが大半だ。
中には俺のように勉強が出来ない普通の人も居る事に安堵した。
基本ビビりだからな!アハハ…
ギャルは可愛い子が多くエロい。
香水を身に纏わせ短いスカートにシャツのボタンを少し開け挑発的な服装だ。
ヤンキーは喧嘩腰だ。
「なにガンたれてるだよ!」
「やんのか?」
「やっちまうぞ!」
正直恐い…
人見知りだから絡みませんよ…
夏休みに入る頃には2割り位は減ってる
まぁ上級生は少ないからここでは当たり前の風景なんだろう。
中学では野球部に入って居たが高校ではサッカー部を選んだ。
理由は簡単だ。サッカー部位はしか運動部が活動していないからだ。
上級生が5人に対し俺たち1年は8人だった。
初心者は俺だけのようだが…
蹴り方に種類が在ることも知らなかった……
夏休みには合宿が有り楽しかった。
自然とサッカー部のヤツらと遊ぶようになり
心にも余裕が出来たのかクラスの人とも話すようになった。
ヤンキーとは皆無だがな!アハハ…
楽しい高校生活で友人も出来恋人も出来た。
高校では真面目に授業を受けて先生方にも受けが良かった俺は就職したくなかったので、推薦で入れる大学に進んだ。
大学ではパチンコ店のバイトをやり、友達と遊びまくっていた。
バイト代は20万位、その金は遊びとバイトで馴染んだパチンコに消えていった。
もちろん健全な男なもんだから風俗にも行ったりしてた。
恋人も居たけど…
そんなこんなで大学4年。
皆は就活に勤しんで内定を貰う者もチラホラ。
そんな中、俺は就活はしないで遊んで居た。
卒業論文もコピペで済まし後はテストだけだ。
だけど、寝坊して留年決定…
親と口論となり死にたくなった。
雪山に行って死のうとしたけど、怖くて出来なかった…
誰かに助けて欲しい…俺は悪くないって言って欲しくて、情けなくなって泣いた…
その時の恋人に電話して慰めて貰った。
その後はバイトをやり少しは貯金をしていき、
友人の紹介で営業職に就いた。
初めは契約を取れる事に喜びを感じ成績が上がる事に満足をしていた。
でも営業は契約を取る決まった時間に出社以外は縛りが殆ど無い。
不意に暫くやってなかったパチンコに手を出してしまった。
ギャンブルって基本負けるモノ。
じゃなきゃ成り立たないからね…
分かって居るけどやめられない…
負けを取り戻そうと通いまた負ける、そんな事をしてたら金は直ぐに無くなる、少ない貯金も無くなりデート代も彼女に出して貰ってた。
彼女には給与も少なく大学の時の奨学金の払いが有ってと言って居たが実際は親に払って貰っていた。
金が無くなった者が次に取る行動は借金だ。
今の世の中消費者金融で簡単に金が借りられる。
ギャンブルで金を無くし消費者金融で借金を増やす生活を送っていれば限界が直ぐに来る。
彼女とは同棲を初めるが借金は内緒にして暮らしていた…
同棲を初めて1年が過ぎた頃に彼女と結婚をした。
借金も根拠も無くなんとかなると考えていた。
彼女も働いて居たので生活は困らなかった。
更に2年後には子供も産まれた。
妊娠してからは奥さんは実家に戻った。
そして…小さくて子猿のような可愛い男の子だ。
元気に産んでくれた奥さんには感謝しかない。
産んでからも奥さんは子供と一緒に実家に居た。
俺からは戻って来いとは言わなかった。
自信が無く怖かったからだ家族を守り養うことが…
でも奥さんから戻って来ると思って居たけど戻って来ない…
奥さんの親から「なんで会いに来ない?」
と言われたがなぜ俺の子供に俺から会いに行かなければならい?そっちから戻って来るのが当たり前だろ?っと考えていた。
次第に家族を守ると言う意識は薄れ金も無いのにまたギャンブルに手を出した。
借金も出来なくなり会社の金に手を出した…
次の給与で戻せば良いと考えたからだ。
それも直ぐに限界。
徐々に横領の金額も増えて会社にバレた…
逃げた。大学の時のように死のうとした。
でも出来ない…恐い…恐い…首にかけたロープが食い込み意識が飛びそうになってビビった。
恐かった…何が恐いかは分からないが恐かった…
逃げてる時に会社から実家に実家から奥さんに奥さんから友達に連絡が行き俺が逃げた事が全ての人にバレた…
奥さんに離婚を言われ奥さんの両親からは俺は勿論の事俺の両親も責めの言葉言われ泣いていた。
それからは携帯に入ってる元奥さんだけを残し全ての連絡先を消した。
もう誰からも責められたくなかったからだ…
親は自営業だったので俺はその手伝いをして過ごしていた。
そこからはつまらない生活だ…
遊びにも行かず家からも出ない生活だ…
先に父親が亡くなり時を置かずに母親も亡くなった。
自営業は継がず閉めた…
続ける自信が無かったからだ。
バイト面接も給与が良い所は受からず、安く人気の無い所に受かった。
バイトをしながら社員になれる所に暇を見つけては面接に行っていた。
まぁ受かった所は給与も休みも少ない…
つまらない…
孤独だ…
死にたい…死にたい…
そんな事を毎日思っていた。