とある兵器開発部の日記・魔導ゴーレム
春 4日 晴れ
ゴーレムを兵器化した魔導ゴーレムの研究。
やっと研究資金が頭の固い上層部から下りたので、今日から思う存分遊んでみたいと思う。
最初の第一歩として、質の良いゴーレムを手に入れる為に傭兵を雇い入れて送り出す、注文通りの大きさの奴を見つけられるかが肝心だ。
研究の基本としてのメモ
ゴーレムは魔法生物類・妖精族・ゴーレム種に分類されている。
妖精族は魔力が基礎だが肉体(具体的に言えば肉ではなく石や木、水など)のある魔法生物全般を指す。
春 5日 雨
良いニュースと悪いニュースがある。
悪いニュースは、雨が降っていた所為なのかカエルがうるさい。
良いニュースは、雷の魔術を練習するアホのお陰でそこまで気にならない。
こっちが本当の良いニュース。
小ぶりゴーレムが捕獲されたので実験をする事が出来た。
注文通り、大きすぎても扱いが難しいからこのサイズが一番だ。
春 6日 晴れ
魔道ゴーレム。
それは魔導士たちが目指す究極の果ての一つ。
錬金術師が不死の薬を求めたように長い道のりになるだろう。
つまり研究資金がもっと欲しい。
↑
頭の固い貴方の上司より
それなりの成果を出したら良いでしょう。
春 7日 晴天
本日から真面目に努めますよう、この場を借りて宣言します。
明日行う実験の準備、ゴーレムの使役
第一、ゴーレムの体を器具に固定した。
第二、ゴーレムの魔術石の種類を判別した。
第三、魔術石の種類と同じ魔石を用意し、使役の魔術を書き込んで、魔術石と入れ替えた。(この際に、ゴーレムが死なないよう魔術石と同じ種類の魔力を送り込り続けること。)
今日のメモ
ゴーレムをそのまま使役するだけでも十分な脅威はある。
しかし、近年では飛竜の使役が本格化し始め、それに対応した武装がゴーレムにも求められる時代となった。
春 8日 曇り
ウッシャァ!ヒャッハー!
この日誌の良い隠し場所を見つけたぜぇい。
あの糞上司も思いつかない最低最悪の安全地帯だ!
↑
貴方の糞上司より
通路の壁に穴を開けて隠すのはやめてください。
春 9日 雨
始末書という概念をこの世に生み出した者が憎い。
春 10日 晴れ
遠距離武器をどうにかしてゴーレムに固定出来ないか会議をした。
ゴーレムは人のように固体差が激しい生き物だ。
感情が希薄なのが大半だが妙に暴れる個体もいるし、体格がまったく違うので、いちいち武装を発注しなければならないだろう。
先日のを書き忘れていたのだが。
ゴーレムがどこまで私の指示を守れるか実験をした。
結果は悪くない、だが一番の問題点を挙げるとすれば、関節部の可動域が思ったよりも小さかったことだ。
春 11日 晴れ
今日は一年ほど前に帰って来た使節団をここに向かい入れた。
彼らの話した内容はもちろん魔導ゴーレムについて、他国ではもう国防を担う重要な兵器として運用されているそうだ。
ただ構造については教えてくれなかったそうだが、それでも見た目の話だけで想像が盛り上がる。
春 12日 たぶん曇り
ゴーレムの生態系を勉強しなおす必要性が出て来た。
私の推測によると、他国では魔導ゴーレムの殆どが人工の体に置き換えられているのだ。
ではどこの部分が元のゴーレムの物なのだろうか、それが分からない、だからこそこうやって調べていくしかない。
今日のメモ
使役したゴーレムを強力に武装させて戦わせる。
それが魔導ゴーレムの概要である。
ここから先は焼け焦げていて、文字を読む事が出来ない...。