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その51・空飛ぶ関東平野


▼その51・空飛ぶ関東平野


(※雲の中に突っ込むヘクトパスカル)

「うわ」

(※思わず片腕で顔の前を覆うAとB)

【見えてきたぞ!】

「く、雲と風圧で前が……」

【おお、すまなかったな】

(※AとBの前で魔法陣が展開、それまで激しく吹いていた風が不意に止む)

「ありがとうヘクトパスカル」

【窒息も考えればこの手の魔法で障壁を作るべきであったわ。いやスマヌ】

「で、どこ? 全然真っ白で見えない!」

【お主たちにはこれが雲に見えるか……なるほど人間であるのを忘れておったわ】

(※再び魔法陣)

「え……何こんなにクリアに……」

「ああ。この周辺事態が人間の視覚を曲げちゃうようになってるんですね。私も調整してみましょう……ちょっと引っ込みますね」

【見える様になったか……あそこだ】

「え……あれ……何処かで見たような……関東平野が浮かんでる? 何で_?」

「なにそれ? カントヘイ・ウヤー?」

「あ、そうか、この世界の言葉にないものは変換されないのか……えーと、どう説明すりゃいいんだろ?」

「じゃあ、あんたが変な風に創造の友だちに話しかけてたってのは魔王の影響なの?」

「わ、判らないよ!……うわ……東京タワーはさすがに見えないけれどスカイツリーがある……」

「あれ?なんでお台場に滑走路が……っていうか海がスッパリ東京湾の近海で途切れてるけど、水がちゃんと波打ってる? どういう仕掛けなんだろう?」

「おい、何かが飛んでくるぞ」

「え?」

(※お台場に作られた滑走路からとびったってくるF35が4機)

「え? F35 ? 真っ黒機体に日の丸?」

「凄い速さだな。もうこちらに追いつくぞ」

(※F35、空対空ミサイルを発射)

「何かが来る」

「ミサイル……えーと爆裂魔法の塊! 避けて!」

「なるほどあの細いのはマジックアイテムか」

(※翼を畳み、ローリングするヘクトパスカル、ミサイルとの追いかけっこ)

「なかなかしつこいな」

「ドラゴンの熱源ってあるの?」

「さっきから何言ってるの!しっかり捕まらないと振り落とされ……」

(※ミサイル爆発放り出されるB、Aが手首を捕まえる)

「捕まって!」

(※なんとかBをヘクトパスカルの首に巻いたロープに戻す)

「大丈夫、ヘクトパスカル?」

【どうやらかなりの破壊力で、魔法もかかっているようだ……この世界の理論(ことわり)ではないらしいが】

「わ、また撃ってきた」

【今度は荒れる、しっかり掴まれ!】

(※激しい空中機動を行うヘクトパスカル。尻尾で撃ち落としたりもする)

「後二発!」

「(※B、ぎゅうっとAにしがみつく)」

(※高高度に急上昇するヘクトパスカル。ミサイル推力が落ち、燃料切れで落ちるまで)

【ここいらでよかろう】

(※いきなり翼を畳み、落下を始めるヘクトパスカル)

「わあああああ!」

【しばし我慢せよ】

「そーいわれてもおおおおお!」

「A、うるさああい!」

(※仰向けのまま落下、ビルの屋上すれすれで翼を広げて停止するヘクトパスカル、そこから身をよじるようにして羽ばたく。起こされた突風で屋上のクーラーシステムやアンテナなどが吹っ飛ぶ)

【どうやらまだ来るぞ!】

(※F35、さらにミサイルを発射。今度はミサイルの行く手に光が展開してその中に消える)

「え……」

(※ヘクトパスカルの真正面から現れるミサイル)

「ほう?」

(※爆発、飛ばされるB。また手を伸ばして掴み引き戻そうとするA、再び爆発。ロープが千切れる)

「!」

(※空に舞う二人)

「B!」

「しっかり捕まって、A!」

(※叫んだB、Aを抱きしめながらホットパンツ風のポケットからミニスクロール)

浮遊(フライングハイ)!」

(※落下速度が遅くなるふたり……流されて明治神宮の上空へ)

「わ……なんだ、原宿が……あんなに寂れて……」

(※明治神宮の最初の鳥居を通過した瞬間に魔法が破れる)

「え?」

「え?」

(※林の中に落下していくふたり)

「わああああああああ!」


というわけで敵地に突入しました。

さてどうなりますか……

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