その44・距離は伸びたか縮んだか
ここから第五章となります。
ので人物紹介
A:主人公。現世ではとっても恥ずかしい死に方をしたらしい、今は15歳(※お話の展開如何によっては変更&2019/09/28付で某方向の意見により初期設定を12歳から15歳に変更)の美少年。
褐色(※絶対条件ではない)で筋肉質(※腹筋浮いてるのは必須)の美人と未亡人が好き、戦闘の腕はヘタレ?
15歳までは一種のオートプレイモードで記憶はあるが実感はない。
泣きながらも古龍と交渉したりして色々頑張ってる。
脱童貞したが、いわゆる「ベッドヤクザ」ならぬ「ベッドドラゴン」でそのことに悩んだりする。
転生後の声は田村睦心さんに似ているらしい。
ナビさん:主人公に異世界転生の世話をした人。
主人公が無自覚に裏技を使い、通達を見なかったためにそれをうっかり通してしまったので後フォローに回ってナビゲーターとしてついてくる。お役所はつらい。
いわゆる「管理者」「超越存在」の下っ端。
結構毒舌。
今のところは主人公にしか見えない&声も聞こえない。
善良そうに見えつつも、多田野曜平さんが声を当てていそうな小悪党っぽい外見という矛盾もある人(A談)
B:異世界における主人公の幼なじみ。(※2019/09/28の設定変更により)ふたつ年上の17歳。
胸は薄いが情けは厚いらしい。褐色で腹筋が浮いているので主人公ストライクゾーン内。
主人公に冷たく接しているが実は…… 声は戸松遙さんに似ているらしい
C:暗殺者、ポニーテイル&マスク以外身に纏わない主義、タトゥがセクシーで巨乳なので主人公ドストライク。
ナビさんの誘導もあって、A暗殺に失敗
その後姿が見えなかったが、AがE王女たち&傭兵Fの部隊の連中をドラゴンの怒りから救うところを最初から最後まで目撃して戦慄、「お館様」へ報告しに行った。声は多分、渡辺明乃さんに似ている
Dおばさん:Aの異世界における父の自称元許婚で敵対勢力のボス・今の所出番なし。ホントはすぐ出す予定だったのに……
E王女:000王国の王女で当面の主人公の標的。切れ長の目を持つ日焼けした巨乳腹筋の美人。異様に強く「殺す」と言わず「処す」というぐらい上品だが、それ以上に年齢(20代後半)のことを言うとエセ関西弁で凄むヤンキーモードになる。
古龍、ヘクトパスカルから命を救ってくれたAに口づけして愛人になると宣言する。
主人公の愛人になるが、ベッドルームでは「さしつさされつ(意味深)」な関係を望む王家のしきたりに沿うヒト。声は多分、豊口めぐみさんに似ている
傭兵F:隻眼の戦エルフ。一人称「オレ」。魔王ショージ・ガ・イシャーの傭兵で、魔王から配付された米軍のボディアーアーマーにMINIMI機関銃の改良型であるMK46(ベルト弾倉付き)という武装に加え魔剣の類いも持ち歩く。
豪放磊落な所はE王女と同じ。
王剣と呼ばれる魔法を封じた剣を持っていたがE王女との戦いで破損、中に封印されていた古龍、ヘクトパスカルに仲間たちごと殺されそうになったところ、Aの活躍?で助けられ愛人宣言する。
腹筋はあるが残念ながら「ナビさん」によると貧乳らしい……とされていたが、もこもこのボディアーマーのせいで後に結構豊満と判明(95のF。Fだけに)。
声は多分、三瓶由布子さんに似ている
盗賊王G:盗賊都市の王のような存在(実権としては大統領をイメージ)。あらゆる盗賊の技に長け、智慧に優れ、しかもゴージャスな美人。元々は第二位だったが、夫だった先代盗賊王が不慮の死を遂げたので繰り上がって盗賊王になった。Bの憧れの人。
恐らく声は井上喜久子さんっぽいと思う。
未亡人H:褐色巨乳で未亡人の砂漠エルフ。夫とベッドイン前に死に別れたので処女だった。なんかどこかの鉄道に乗ってそうな美女風に時折話す。重度のショタコン。
Fとは古い付き合い。Aの色香に迷ったとはっきり言える人第一号。
色々あったあと、族長として砂漠に残る。
砂漠エルフは日射病や体内水分の蒸発を防ぐ為に香油をたっぷり肌に塗っているので士郎正宗先生が描くスケベな女の人状態。このために薄着で全然問題がないので肌露出もおおく、ヴェール状の衣装という無敵仕様。
声は植田香菜さんがメーテルごっこをしてるような感じだと思う。
Y崎課長:音声のみで登場した「魔王軍」のそれなりにえらい地位の人……らしい。
部下だったT中とY田をスマホに仕込んだ魔法陣から召喚したサーベルタイガーにあっという間に殺す非情さを持つ。サービス残業をしない部下は嫌い。
声は悪役モードの花輪英司さんが脱力したような感じ。
古龍・ヘクトパスカル:正式な名前はヘクトパスカル・ミリバール。
「嵐すら喰らう」と畏れられた古龍(普通の竜=ドラゴンよりも阿呆みたいに強い)だが、千年前にとある事情で傭兵Fの先祖に剣の中に封印されて魔剣としての動力源になった(むろん不本意)。
E王女との一騎打ちによって剣が破壊されたために解放。
その場にいた全員へと、封印されていた怒りをぶっつけて全滅させようとするが、主人公Aの機転と頭の中に封じられていた現代世界の記憶、特に娯楽の記憶と主人公Aの前世での死因の記憶にドはまりして爆笑。上機嫌になって何処かに去った。
一応主人公のマブダチ宣言もしている。
今の所「ナビさん」の存在を察知したこの世界における唯一の存在。さすが古龍。
今後の出番は不明。声は多分、関俊彦さんにそっくりな気がする。
▼その44・距離は伸びたか縮んだか
(※朝。オアシスの水風呂)
「……どーしよう」
(※膝を抱えてずーんと落ち込んでいるA)
「Bも含めて三人と……関係をもってしまった……はあ」
「おや、3日ぶりに来てみたら賢者モード発動中って感じですな」
「あ、ナビさん、どうしましょう?」
「どうしましょうもこうしましょうもないですな。私はあくまでも転生勇者としてのあなたの戦いとか生命危機に関するナビゲートが専門で、あなたの下半身問題は範囲外ですよ」
「そこを何とか……」
「まあ、話聞くだけなら聞きますよ。でも脱童貞出来て嬉しいんじゃないんですか?」
「それはそうなんですけれどもこういう行為には必ず結果が伴うじゃないですか」
「ああ、なるほど。パパになっちゃったらどうしようと? 大丈夫ですよ、この世界の避妊魔法は下手なピルよりも確実です」
「いえ、それはもうそのFさんから聞いたんですけれど……でも……あー、うー、何ていえばいいのか」
「下手に童貞拗らせてたら、夢見ていたハーレム状態で現実に喪失しちゃったモンだから、色々考えて辛い、って感じですな」
「その、現実のことだったんだなー、自分でもいいんだなあ、って感動が最初はあったんですけれど、その……ドラゴンというかケモノーというか。これもペナルティの一種でしょうか?」
「そこは半々です」
「はあ」
「性的な強さを転生前のあなたは恐らく能力として選びました。ただ、それが加速されるようなペナルティも選んでます」
「うう……自業自得なのか」
「ただ、性的快楽ってのは強烈です。だからそれで身を持ち崩す人間は結構多いんです。何しろ人間の三大欲求の残りふたつ、睡眠と食事を押しのけることさえあるわけですからね」
「……こんなに自分がそういうものに飢えてた、っていうか、貪欲っていうか……」
「で、もっと素敵なもので自分はもっといい存在だと思ってたのにショックを受けた?」
「はい……」
「そこはあなた次第ですね。英雄色を好む、で開き直るか、円卓の騎士のギャラハッドみたいに欲求を抑えてストイックに生きていくか、あるいは……自分なりに受け入れていくか」
「……」
「どっちにせよ、あなた好みの女性からは好かれるわけで」
「あ……それがその一番キツイっていうか……僕自身の魅力ではないわけで。その行為の最中、僕の何にこの人たちは、と思うとその……でも身体は停まらないっていうか」
「ま、開き直りなさい。選んだ以上、受け入れるほかはありません。チート能力なんてものは家柄とか財産みたいなもんで、道具です。好かれることにはなってもそれ以後関係が続くかどうかはあなた次第ですよ」
「……前の人生では選ぶ事なんて、コンビニとスーパーの総菜ぐらいで……選べる人生って憧れてましたけど……まさか、こんなに難しいなんて」
(※A、風呂から上がって着替える)
(※Aに与えられた部屋、ベッドのシーツは整えられている)
「……まだ、Bの匂いがする」
「よ、よく分かったわね」
「わ! なんで背後に居るの?」
「E王女の行方が掴めたわ。やっぱりご無事みたいね。捜索隊と連絡を今、Fさんが取ってるところ」
「そ、そう……」
「……」
「……」
「あの……さ」
「な……なに……よ」
「この……3日間のことなんだけど」
「……うん」
「正直、君と……その……初体験出来た事は凄く、凄く、凄く凄く嬉しい。あの、えーと、自分でも驚くぐらい嬉しかった。でも……その……あの流れだったから、君がいやだったら、謝る」
「……」
「ごめん」
「謝るな、ばか! 後悔はしてないんだから!」
「そうなの?」
「ど、どーせその、い、いつかはなくすもんだし、それならあんたでも……いいって……思ってたし、だから、その……そういうことになったわけで……こ、後悔するならもうしてるし、あんたと別れてどっかに行けばいいだけだし……それに……」
「それに?」
「まあ、その気持ち……良かったし」
「よかった……」
「でも、あんたやっぱり変態! あの時『綺麗だ、綺麗だ』ってねちっこくお腹舐めたり、嫌らしいことイッパイ言うし、最後はあたしやられっぱなしで……ズルイ」
「あ……いや、ごめん」
「でも、後悔だけはしてない。これはホント」
「……うん」
「あと……キスぐらい、しなさいよ」
「え?」
「なんでもない!」
「キス……しなかったの?」
「なんでこういうときだけ耳いいかな? そこはさらっと流すとこっしょ?」
「……ごめん」
「なんかさ、あの場の流れでずっと手を握ったり、嫌らしいほうのキスはしたけど、普通のキスってしなかったでしょ?」
「……そ、そうだったね、うん……なんか、手を握ってるほうがホッとしたし」
「ちゃ、ちゃんとしたキスもあんたでいい」
「え……あの、いいの?」
「いいの! それ以外も全部あげたでしょ!」
「……はい、はい……」
「じゃ……す、するわよ、キス」
「は、はいっ!」
「……」
「……」
(※ベッドに落ちた二人の影が重なる)
「……ふう」
「……お、終わったわよ」
「うん……なんか、すっごく緊張した」
「あと、断っておくことがあるんだけどいい?」
「あ、うん」
「あたしはこれからも盗賊王を目指すし、あんたもそうでしょ? だからなれ合いはしない」
「よ、ようするに恋人同士になったとか、じゃないってことだよね?」
「そ、そう。お互いにその盗賊として必要なことを手近で済ませた、っていうか……その……まあ、お互いにその利益が共通したから何とかなった、って感じで」
「うん。つまりその……これからも普通に幼なじみ同士で相棒、ってことでいい、ってことだよね?」
「そ……そうよ、うん、そう」
「よかったぁ」
「え?」
「僕、Bが僕に愛想を尽かしていなくなっちゃうかもって思ってたから」
「なんであたしがいなくなるのよ!」
「お、女の子はその色々と複雑……でしょ?」
「それはそうだけど、魔王の軍隊とのドチャガチャの最中にそんなことするわけないでしょ! あたしはお芝居に出てくるような、国を色恋で傾ける馬鹿女じゃないんだから!」
「うん……ごめん。でも、判ると思うけど、僕はその……女の子っていままで母さんと君のおばさん以外は……その……付き合ったこともないし、ろくに話をしたこともないから、怖いんだ、君がいなくなるの」
「……」
「自分でもおかしいと思うんだけど、やっぱり……その……冒険にでるのに、誰も知り合いがいないのは怖いし嫌だ」
「……まったくもう! これで盗賊王目指してるんだから厄介よね!」
(※ぎゅうう)
「!」
「いい、相棒? あたしたちは頂点目指すんだからね。もっと冷淡に、物事割り切りなさいよ。たかがそのか、身体の関係……じゃない?」
「……(※真っ赤になって聞こえてない)」
「戦地で追い詰められたら同性同士でも関係するって、授業で習ったでしょ? それと同じ。恋愛なんかじゃなくて……恥ずかしいから二度と言わないわよ……ずっと友情、それでいいでしょ?」
「う、うん……」
「たまにこれからも状況や必要に応じてはそういうことになるかもしれないけど、ずっとあたしとあんたは友だち、生涯の友だち。盗賊王の試練で戦う時まで、そして戦いが終わったらまた同じ様にずっと友だち」
「うん……ありがとう」
「ばーか。そういうお人好しのトコロがあんたの欠点なのよ!」
「うん……気をつける」
「ほら、そろそろ行くわよ、あの変な武器とか、荷物、ちゃんとまとめた?」
「あ、う、うん今やる! 先にいってて!」
「早く来てよ」
「うん」
「……さて、まずは良かったですね、とお祝いを言うべきですかね?」
「ま、まあ良かったです、ええ。なんか全部元通りってことで」
「とりあえず、そういうことで」
「ええ、はい、まあそういうことで!」
「嬉しそうですなあ」
「嬉しいですよ、ええ!」
(※大テント内大広間)
(※設定補足:砂漠エルフのテントは砂の下で通路で繋がっている、革で出来た迷路のような場所である)
「遅れました!」
「こちらも今来たところだ。A殿」
「わ……E王女の側近の騎士団長さんだ。あとフード被った宮廷魔術師さんもいる……美人だなあ」
「どちらも赤坂嘉彦先生風クール美人ですな」
「というわけで、近衛騎士団長さまと宮廷魔術師様自らのおいでで、オレたちはE王女様のトコロまでご帰還というわけだ」
「少年……私はH…………部族長だから、残らざるを得ない女……寂しい」
「あ、いえ……色々とありがとうございます」
「少年……ぎゅーっとしていい?」
「え? あ、はい……」
(ぎゅううう)
「ふにゃあああ」
「(※小声で囁き)忘れないで、少年。私の匂い、私の感触、私の声……きっとまた、遠く時の輪の接する所で会いましょう……その時はあなたの子が欲しい」
「は、はいっ!?(真っ赤)」
「それではいきなさい、少年……F、B、無事な旅路と戦の勝利を祈ります」
「さて、じゃあ戻るぞ、どーも向こうは今でもかなりキナ臭いらしいしな」
「まさか戦争でも仕掛けるつもりじゃ……」
「だとしたら何処かの国が後ろ盾してるか、それこそ地獄の底から魔界への門が開いたか、だな」
「激戦が待ってる、ってことですか?」
「可能性はある、頼みにしてるぜ盗賊王候補!(ばん!)
「あたた……」
「(※宮廷魔術師)……では、そろそろ陣を発動させます」
「B」
「なに?」
「手を握って」
「……ばーか」
(※B、Aの手を握る)
「あ、じゃあオレの手も握ってくれよ」
「あ……はい」
「この辺は公平にいかないとな」
「…………(※B、複雑な表情)」
「(※近衛騎士団長)では、帰還します!」
(※床に描かれる魔法陣が光り、閃光と共に次の瞬間Aたちはいなくなる)
「……行ってしまった……少年……愛しい人」
……ちょっと生々しい関係になってしまいましたが、これから先もあまり変わらず、物語は続きます。あと現代的な言葉や単語に関しては主人公の耳にはそう聞こえると言うことで、今回からルビで現すようにしました。時間があれば遡って他の部分でも修正するつもりです。




