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その41・寝息と朝と


▼その41・寝息と朝と


(※朝の陽射しがテントの隙間から入ってくる)

「ん……あ……なんか凄くいい夢見たような……あれ? なんで裸?」

(※首を捻るA、起き上がってシーツをめくる)

「あれ…… あ……後でお風呂入らなきゃいけない状態だ……昨日変な夢みちゃったからだな、これ……」

「すぅ……すぅ……」

(※A、一瞬固まる)

「え? 今聞こえてくるこの寝息誰? ナビさん……じゃないよね?」

「すぅ……すぅ……」

(※A、ガチゴチと音を立てるような動きで寝息のほうを見る)

(※全裸のA、シーツにくるまって側に寝ている)

「!」

(※A、固まる)

「あ、あの……な、な、なナビさン?」

「はいはい、お早うございます。どうしたんですか、小池一夫先生風に呼び出して?」

「あ、あの……こ、この状況が把握出来ないんですが、昨日、僕、どうなったんでしょう? スマホから飛びだしてきたサーベルタイガーに捕虜ふたりを殺されて、こっちも殺されかけて、落ち込んでたらFさんとBが来たのは憶えてるんですが……」

「いや、その後があったでしょ?」

「あ、あのふたりがふたりがおっぱい、おおおおっぱいおっぱい、おっぱい! おっぱいおっぱい! おぱいオパーイ!」

「はいはい、言語喪失状態で身振り手振りでやっててもわかりますよ。はい、そうです、あなたは昨日人生で初めて女の子に許可を得てというか、求められて胸を触りました」

「おっぱいおっぱ、おっぱいおっぱいおっぱい! おーっぱいおっぱいおっぱいおっぱい」

「初めて触った母親以外の胸の感触の記憶再生で言語野が完全にオーバーフローしてますねえ。落ち着いて下さい、Aさん、深呼吸して……はい、すーはーすーはー」

「すーはーすーはー、すーはーすーはー…………」

「どうですか? 喋れます?」

「はい……なんとか……あーよかった。おっぱい以外もう喋れなくなるかと」

「とりあえず言語が人類側に復帰しておめでとうございます。私もここから先ずっとおっぱいしか言わない人をナビゲートするかと思うとちょっと気が重かったので」

「…………ああそうだ! な、なんでBがここにいるんですか? し、しかも全裸で!」

「んん……」

「わあ!寝返り打った! 前も見える! 幼なじみの全裸ヌード! どどどどどどーしましょう! ああ、それにしても綺麗な腹筋、ささやかおぱーい!」

「とりあえずシーツを掛けておくというのは如何でしょう?」

「そ、そそそうですね」

(ばさばさ)

「あー、驚いた……でも生えてなかった……」

「この世界ではアンダーヘアは男女共に剃るか、魔法で毛根を除去するのが普通です。主に衛生上の問題ですね。あ、ちなみにあなたにないのはペナルティによる体質です」

「そ、そうなんですか」

「暗殺者Cさんみたいに元から生えない人もいます」

「ナビさんの無駄知識のお陰で少し落ち着いてきました、ふぅ……」

次回はスケベ回になります

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