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その39・スマホから飛び出すもの

▼その39・スマホから飛び出すもの


「……そりゃたしかに悪いことのほうが儲かるとは知ってましたけど、改めて数字に出されると腹立ちますね」

「いや、転生勇者がお金のことで腹立てたりうっかり銃撃ちそうになったりするのはいかがなものかと」

「だって年収……」

「まーまーまー」

「しかし、村燃やしたり人燃やしたりしてるのに、ヘラヘラ笑って年収一千万とか、ちとふざけてる気がします」

「その辺事情があるかも知れませんし、単に彼らが戦場バイアスで感覚が麻痺しているのかも知れませんよ? それは罪ではないかと思いますが」

「うー……ちと私怨が混じりました。すみません」

「気持ちはわかりますが、一応転生勇者ですから自制心お願いしますよ?」

「はい……」

「な……なんだあの小僧、ずっとブツブツ……」

「危ない奴だって判っただろ? さあ、本拠地にはどうやってあんたらはいくのさ?」

「す、スマホだ! スマホのナビシステムを起動すると、基地のほうが俺達の近くに来てくれるんだ!」

「は?」

「随分と斬新な職場ですねえ」

「理屈は知らない! だがスマホのアプリを起動すると、半径5キロ圏内に俺達の基地がやってくるんだ! あとはそこまでたどり着けば……」

「どう思います、ナビさん?」

「スマホを調べてみましょう。限定的に空間を引き寄せているのか、それともスマホの持ち主をアプリを使って召喚、あるいは送還状態にしているのか……」

『あーあーあーあ、Y田君にT中君』

「わ! スマホが勝手に喋った」

『企業秘密を勝手に喋って貰っては困るなあ、うん。君たちの通信が途絶えたから、救出隊を出そうと電波の範囲を拡大して、アプリ使って強制通信、とおもってやってみたら、最初に耳に入ってきたのが君たちの裏切りとは……うん、困る』

「や、Y崎課長!」

「課長、違います、俺達は……」

『えーとね、T中君、Y田君、君たちもう四つも我が社の規則に違反しているの、うん。判る? ひとつ、戦闘中の勝手な離脱、ふたつ・事後報告の怠慢、みっつ・敵に捕虜になることの禁止、よっつ・機密の漏洩……これだけ合わさるとねー、うん。私も上司としてねえ…うん。君たちをクビにせざるを得ないんだよー……うん』

「まままま待って下さい! 課長!」

「Y崎課長! 俺達はこれから脱走するつもりで」

『いやもー誤魔化さなくていいから、うん。君らったらさ、毎週土日には休むし公休日にも休むし、待機の時には書類業務だけやって5時帰りでしょ? サービス残業嫌がるし。正直、そろそろ切り時だとはおもってたんだよー私はねー。あと去年の忘年会と新年会の時、私の一人SMプレイショウを笑ったでしょー?』

「わわわわ笑ってません! あれをみて感動しないやつがいないでしょうか? いやいません!」

「そそそうです、あれは感動の涙を噛みしめたら変な具合に表情筋のスイッチが……」

「……ナビさん、なんか聞いてて可哀想になってきました」

「……同感です」

『だからね、君らには機密保持のために死んで貰います、うん。あとついでにソコにいる異世界人も損害与えたいしねえ、うん。では、退職届とか、離職票とか、後の書類とかはちゃんとこっちでやっておきますからね、うん』

「待って下さい課長ー」

「課長ーっ!」

「……死んで貰います、って今言いました? あの電話の向こうのY崎課長」

「言いました。あと今あの二台のスマホから変な波動を感知しています、この世界の魔法とはまた異質な物質変換&召喚系の魔法です」

「えーと……」

(ばきぐしゃががががぎぎい!)

(※二台のスマホひしゃげて火花が飛び散り空中に魔法陣、中から何かが躍り出る!)

「危ない!」

(※とっさにFとBに飛びかかって押し倒すAの上を何か巨大なものがよぎる)

「ぎゃー!」

「ぎゃあ!」

(※テントの壁に血飛沫。人の頭が二つぶつかって転がる)

(ガルルル……)

(※テントの壁に巨大な獣の影、ゆっくりと振り向く)

「さ……サーベルタイガー?」

「どうみてもそれですね。気をつけて下さい。あなたの世界にいた奴よりも体細胞密度が高くて、牙の硬さはタングステン鋼並み、筋力はちょっとした装甲車クラスです」

「つまり?」

「早いとこ、銃、撃ったほうが」

「そうでした!」

(※襲いかかるサーベルタイガーへ、引き抜いたセマーリンを連射するA)。

(※一点射撃を口の中に喰らいながら飛びかかるサーベルタイガー、そのままAを押し倒す)

「A!」

「A!」

(※FとB、Aに駆け寄る)

「し……死ぬかと思った……」

(※サーベルタイガーの延髄に射出口、事切れていて、Aは押し倒されただけ)

「よかった……」

「もう、このバカ!(ぎゅううう)」

「セマーリンってこんなに速射できるとは思わなかった」

「命がけの瞬間でしたからね、多分連射と一点射撃が組み合わさって発動したんでしょう。あと多分威力増大も」

「助かったぁ……」

課長の名前をS藤課長に変更、部下の名前もT中Y田にしました

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