その34・エサには釣り針ワイヤーロープ
▼その34・エサには釣り針ワイヤーロープ
「あの……ヘーイミスターヤマーダエーンドミスター・タナーカ、ユーヘリコプターハズ・なんかウェポン?」
「武器がヘリにないかだって? あんなデカイのに通用する奴があるかよ!」
「そういやナビさん、さっきFさんもHさんもフツーにこの人たちと話してませんでした?」
「彼女たちは翻訳魔法を使ってるんです、Fさんは眼帯、Fさんは首から提げてる宝石がマジックアイテムですね。魔力消費もさほどかからないので、交易関係者は大抵身につけています」
「……僕もソレで良かったのでは?」
「知りませんよ、能力を選んだのはあなた自身ですから」
「あーもう、間が抜けてるなあ僕は」
「間が抜けてるのは今に始まったことじゃないでしょ、どうするのあれ? どう考えてもあと一分以内にこっちまで来るわよ!?」
「全長は大体57メートル、体重は2650トン、某超電磁ロボの大体3倍以上の質量ですな」
「つまり五階建てビルが迫ってきてるってこと?」
「おー、よく計算できましたねー」
「そう言ってください、何か手は無いんですか?」
「あるにはありますが……お薦めは出来かねます」
「どういうのです?」
「鯨の腹破りって知ってます?」
「いいえ」
「えーとですね、バイオレンスピノキオというか……ヨブ紀のヨブのハード版というか」
「あのまさか、一旦食われて中から腹を裂いて出てこいとか無茶言いませんよね?」
「いいな、それ乗った!」
「えー!」
「ふふふ……少年、あなたは勇気ある人……鮫の頭は三つ。私も参加しましょう」
「A! バカやらないで!」
「気にしないの、お嬢ちゃん……男には男の武器があるの! 夢とロマンと股間の御大事!」
「……どうしよう、残念だけじゃなくて下品だ」
「黙っていればミステリアスな美人なだけに残念度が5倍マシですね」
「でもどうやって口の中に……あれ? Fさん? なに僕の腰にワイヤーを?」
「決まってるだろ? 釣りだよ釣り。海の上でも砂漠の上でも、エサに紐つけないと危ないからな」
「え?」
「さっき『一旦食われて中から腹裂いて出てくる』って立案しただろ?」
「いやあのそれは」
「その剛胆さ、さすがオレが惚れた男だ」
「まってFさん!」
「大丈夫、コイツは死なない、なんとなく判る」
「いやあのそんなこといわれても」
「うわ、片手で持ち上げた……さすが戦エルフ」
「A……戦いに赴く少年の横顔は美しい、今夜のおかずにさせてもらうわ……私はH……罪深い女……」
「勝手に話を完結させるなー!」
「そーれ! いってこい大冒険!」
「ぎゃああああああああ!」




