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その22:その門が開くまで

その22:その門が開くまで


「うーむ。そういうわけで帰ってきました盗賊都市111」

「えーと総面積約210.45キロ平方メートル。人口約190万人、盗賊関係というか盗賊がやりそうな裏取引から密輸、盗品売買、裏取引、なんでもござれの犯罪都市……であると同時に自由経済であり、『盗賊王』は世襲制ではなく合議制、ギルドがそのまま都市運営までしているという希有な例の都市国家……という風に資料にはありますな。周囲には掘り割り、水路も碁盤目状に張り巡らされて交通の便もよろし。大陸中から色々なものも集まるのでお食事も豊富、お金さえあればとりあえず快適に過ごせるという意味じゃ、現在この世界じゃ屈指の大都市ともいえます」

「15年間の記憶はあるけど、そう改めて言われると凄い都市国家ですよねえ」

「でもまあ、王女様ご一行を引きつれて、ってのは意外なことになっちゃいましたねえAさん」

「そうなんですけれどもねナビさん。出入り口の大門が閉じちゃって入れません」

「完全に都の門番、こっちに武器向けてますよ」

「この辺じゃ貴重品の火縄銃からボルトアクション式ライフルまで持ち出してきて……」

「まあ、これまで『悪の枢軸』とかいって攻め滅ぼそうとしていた国の筆頭がいきなりやってきて『さあ話し合おうか友よ』って言やぁ、普通は警戒しますわな」

「問題なのは僕らにも『この裏切り者め!』みたいな視線が痛い、ってことで」

「それはまあ、仕方ないでしょうねえ」

「確かに、任務は正確には遂行できなかったわけで」

「そういうことですね」

(※ちょいちょい、とAの肩を突く指)

「のうAよ。主殿」

「はいはい、なんでしょうE王女」

「Eでよい、もう妾はそなたの愛人ぞ」

「まあ、でもとりあえず年上……」

「なんかいうたか、オラ?」

「いや、ヤンキー目つきで凄まないで下さい……E……さん」

「……その辺りが妥協点であるかな? それでよい」

「ほっ……」

「それはさておき、お主、ホントに四六時中そうやって誰かいるかのように喋っておるのか?」

「え、いやまあその……」

「子供の頃は空想の友だちというものが必要な者もおると聞いているが……どうせなら妾と話せ。愛人じゃぞ?」

「無理ですよ、王女様、こいつずーっとこの調子なんですから!」

(※B、Aの脇腹を肘で突く)

「B、なんかずーっと昨日から不機嫌だけど、なにかあったの?」

「何もないわよ、このバカ!」

「すっげー不機嫌……ナビさん、何か知りません?」

「さー。私にはナーンニもワカリマセーン」

「目が泳いでますよ」

「A! 主殿! まったく!」

(ぎゅー)

「おほうほおおおおう!」

「あらあら、巨乳に埋もれるとは男子の本懐ですな」

「妾を見よ、妾を! 上手く往けば今夜は晴れて愛人としてのアレをナニする関係ぞ?」

「み、みてるというか視界いっぱいおっぱいというか! ちちちょっとお助けっ、い、息が……息……きゅう」

「あら、失神しちゃいましたね。まあ前世でも童貞でしたから、美人巨乳でオマケに腹筋浮いてる王女様(20代後半)に抱きしめられて胸に埋もれば、これはもう仕方がないですな」

「ゴゥラ! 誰か年齢の話をしたか! 処すぞ! オラァ!」

「あら、鋭い…………よっぽど気になさってらっしゃるんですねえ」

「しまった、主殿、A! こら起きよ!(ぺしぺしぺし)」

「……ンぅ……お婆ちゃん……なんで僕を追い返すの? そっちはとっても……はっ!」

「三途の川を幸せに渡りかけたのにお疲れ様です」

「すまんな、主殿。男は良くなれておらんのだ。組み敷いたり(※削除)するのはともかく」

「わー! わー! だめです! 王女様がそんなこと言っちゃ駄目ですぅっ!」

「構うことはあるまい。以前も言ったであろうが。我が王家の伝統とは『挿しつ挿されつ』であると!」

「む、胸張って昼間っから言わないでください!」

「(※Aの耳元に唇を寄せて小声で)夜ならば良いのか、あ・る・じ・ど・の?」

「!(※真っ赤)」

「A!(※蹴り)」


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