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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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フェンリル族の里①

俺達は今、ドラゴン状態のミドリの背に乗ってフェンリルの里に向かっている。

ミレニアはアカに預けて、メイドとして教育してもらう事にした。

メンバーは昨日の通り、俺、凍牙、美冬、吹雪、アイリス、サクラだ。

しかし、今朝から約1名がずっと俺の傍を離れない。


「クローディア、いい加減に俺から離れないか?ミドリの負担を減らす為に例の空間にいてもらうはずだっただろう?」


クローディアがジッと俺を見つめてくる。

「大丈夫です。ミドリにはちゃんと了解をもらってます。」

「マスター、昨日は私の事を大事だと言ってくれましたよね?もう、この言葉で私がどれだけ歓喜したか・・・、せめて、今日1日だけでもずっと一緒にいさせて下さい。あの意地悪な言葉のお詫びにしてもらいますからね!それに、『何でもしてくれる』約束もありますし、ふふふ・・・、どんなお願いをしようかしら・・・」


はぁ・・・、あの時は勢いで言ってしまったからなぁ・・・

目茶苦茶なお願いを言ってこないように祈ろう。

しかし、どんなお願いを言ってくるか予想が出来る。確認してみよう。

「クローディア、その約束だけど、あくまでも常識的な範囲内だからな。お前、もしかして、婚約者から正式な妻にしてもらいたいと考えているのか?お前なら考えそうだからな。」


クローディアが硬直した。目が泳いでいる。

「ソ、ソンナ事アリマセン・・・イ、一体、何ノ事デショウネ・・・」


やっぱりか・・・


「クローディア、それは無理だぞ。アイリスの立場もあるからな。ミドリもアイリスが成人する時まで待っていると約束しているからな。抜け駆けは認めん。」


「クローディア・・・、ちょっとOHANASHIしません?」

アイリスがニコニコしながら俺の隣に来る。しかし、背中から黒いオーラが立ち上っていた。

「ア、アイリス!そ、それは、その・・・」

クローディアがかなり焦っている。

必死に目で俺に助けを訴えているが、助けるのは無理だ。俺も死にたくない。

「パパ、クローディアとお話してくるから、ちょっと借りるね。」

そう言った瞬間にアイリスの目の前の空間が割れ、神器の空間と繋がった。

「いやぁあああ!マスター!助けてぇえええ!」と、クローディアが絶叫していたが、アイリスがニコニコしながらクローディアの腕を掴みズルズル引っ張っていく。空間の中のアイリス達の姿が見えなくなると裂け目が閉じた。閉じる直前までクローディアの叫び声が聞こえていたが、聞かなかった事にしよう・・・


クローディア・・・、冥福を祈る・・・


しかし、アイリス・・・、お前、いつの間に神器の空間に自由に出入り出来るようになった?

女神に目覚めてからフローリア化し始めているんじゃないのか?

絶対に逃げられない妻が増えた気がする。


恐ろしい事を考えるのは止めて、気持ちを切り替えよう。


「ミドリ、スマンな。お前が一生懸命頑張っているのに、俺達が遊んでいるような感じで・・・」


「大丈夫ですよ、ご主人様。みなさんは賑やかでいる方が私も楽しいです。」

「それに、ご主人様が私の背に乗っているのですよ。こんな嬉しい事はありません。もう感激して気絶しそうです。」


「ミ、ミドリ!それだけは絶対に勘弁だぞ!こんな速度と高さで何かあったらシャレにならんからな。」


「ふふふ・・・、冗談ですよ。大好きなご主人様を危ない目に遭わす事は絶対にしませんからね。」


「ミドリ、お前、本当に変わったな。昨日の戦う前までとは全く違うよ。ちゃんと俺と話が出来るようになって良かったな。今までちゃんと話しが出来なかったけど、昨日の夜からこうやって普通に話してみると、お前がこんなに可愛いとは思わなかったよ。みんなが応援したくなるのも分かる。」


「か、可愛いだなんて・・・」


何だ!急に高度が下がってきたぞ!もしかして・・・

「ミ、ミドリ!目を覚ませ!このままじゃ、全員死んでしまうぞ!頼む!起きてくれぇえええええええ!」


『可愛い』という言葉がNGワードだったとは・・・、失敗だ!ミドリ相手にはもっと言葉を選ばなくてはならなかった。

地面がどんどん迫ってくる。みんなもパニックになり始めた。

「ミドリィイイイイイ!」


「はっ!ご主人様・・・、私は・・・」


「ミドリ!急上昇だぁあああああああ!ぶつかるぞぉおおおおおおお!」


「は、はいぃいいいいい!」


地面スレスレでミドリが急上昇を行い、地面に激突するのをを無事に避ける事が出来たが、本当にヤバかった・・・


「ご、ご主人様!申し訳ありません!」


「ミドリ、気にするな。今のは俺が悪かった。後でちゃんと謝らせてくれ。」

「それと、大丈夫か?本来2日かけて行くつもりだったけど、お前が頑張って何とか1日で着くと言っているが、あまり無理するなよ。」


「いえ、大丈夫です。任せて下さい。」



夕方・・・


ミドリは倒れている。


微かに息をしている。


どうやら生きているようだ。


「ミドリ・・・、大丈夫か?」

ミドリは今、人化し俺の膝枕で横になっている。


「ご主人様・・・、1日では無理でした・・・、でも、こうしてご主人様の膝枕で休ませてもらうなんて、もう幸せで胸が一杯です。」

優しく頭を撫でてあげると、ミドリはとても幸せそうな顔をしている。

本当に俺の事が大好きなんだな。


いつの間にか戻っていたアイリスとクローディアが、設置したログハウスの影から血の涙を流して見ているのには気付いているが、その辺は気が付かない事にしておこう・・・

まぁ、アイリスも後で膝枕をしてあげれば機嫌は戻るだろうな。

クローディアは無視だ。


ミドリの体力が戻ったみたいだ。体を起こし、俺に寄りかかっている。

「ミドリ、さっきの言葉は済まなかった。まさか気絶するとは思わなかったしな。もっとお前の気持ちを分かるように努力するよ。」

「これからはもっと俺と話をしような。そうすれば慣れて気絶しないようになると思うぞ。」

ミドリが可愛く頷く。

ダメだ!こんな可愛い顔のミドリを見てしまうと、俺の方が気絶しそうだ。

「それと、フローリアからプレゼントだ。」


異次元収納から指輪を取り出しミドリに見せる。みんなと同じデザインだ。

「こ、これは・・・、ご主人様、もしかして・・・」


「そうだ、ミドリ。結婚指輪だよ。でもな、まだ結婚してないから婚約指輪だな。アイリスもクローディアも婚約の証として着けているのに、お前だけが着けていないのは可哀想だしな。」


指輪をミドリにはめてあげる。

ミドリがポロポロと涙を流し始めた。

「ご主人様・・・、こんなに嬉しい事はありません・・・、永遠に大切にします。」

そして、俺の顔を見てから目を閉じ、唇を近づけてきた。


「待て!ミドリ!周りをよく見ろ!みんなコッソリと覗いているぞ!」

木陰には凍牙とサクラが、ログハウスの屋根の上には美冬と吹雪が、ログハウスの影にはアイリスとクローディアが隠れてジッと見ている。

こいつらぁ・・・


「構いません・・・」

ミドリが抱きつき唇を重ねてきた。

しばらくしてから、ミドリの顔が離れていく。


「私の初めてのキス・・・、ご主人様に捧げる事が出来ました。これからもずっとご主人様を愛し続けます。私のキスを捧げましたから、もう絶対に逃げられませんよ。ふふふ・・・」

ミドリの表情がいつもと違う。とても熱っぽい感じで今にも俺に飛びかかりそうな目つきだ。

急に背筋に冷や汗が出てきた。

ミドリの表情にフローリアのイメージが何故か重なって見える。

もしかして、ミドリはフローリアと同類かもしれない。あの模擬戦の時の発言は、かつてのフローリアの発言に似ているし・・・

あのキレた時の事もあるからなぁ・・・

予期せぬ事で暴走すると危ないかもしれん。気を付けよう・・・


アイリスにミドリ・・・、第2、第3のフローリアになるのか?


ヤバイ・・・



翌日


ミドリは俺達を乗せて高速で飛んでいる。

それにしてもすごい速さだ。確実にマッハを越えているな。

「ミドリ、昨日も思っていたけど、お前が張ってくれたシールドは本当に凄いな。風圧も全く感じないし、中の温度も最適だ。」

言葉を慎重に選ばないとな。昨日みたいに墜落されては困る・・・


「進化したら使えるようになりましたよ。ご主人様を乗せて快適に運べるようにと願っていたからですかね?私がご主人様を想う愛の力です!間違いないですよ。」

昨日、ミドリとキスをしてから、ミドリが俺に対して堂々と、いや、大胆に接してくる様になった。腕を組んできたり抱きついてきたりと、行動が今までと明らかに違っていた。

みんなの前でのキスだったからなぁ・・・、しかも、ミドリの方からだし・・・、度胸がついたというか、開き直ったというか、遠慮しなくなったな。

おかげで、夕食後はアイリスとミドリが俺の隣をずっと独占しているし、それを見ていたクローディアが淋しそうにしていて美冬に慰められていたな。

クローディアは今度、ちゃんとデートしてあげよう。さすがに、昨日は可哀想だったからな。



ミドリが昨日頑張ってくれたおかげで予定よりも早く里に着きそうだ。

森の魔獣が里を攻めていると義父さんが言っていたよな。

気を引き締めていくか!

「ミドリ、速度を落としてゆっくり飛んでくれ。周りの状況を確認しながら飛ぶからな。」


森の上空でマップの魔法を展開すると早速反応があった。

何だ・・・

赤いマーカーが20近く点滅しているから、敵の反応だろうが、何故か1つだけ青いマーカーが出ている。

その青いマーカーが赤いマーカーに追いかけられている動きだ。

襲われている?


「ミドリ、マップの魔法に反応があった。あっちの方に向かってくれ。どうも、フェンリル族が襲われているみたいだ。急いでくれ!」


「ご主人様、分かりました!」


近くまで来ると詳細な表示が出てきた。間違いない、フェンリル族が追いかけられている。相手はオークの集団だ。

「凍牙!フェンリル族が襲われている!相手はオークだ!行くぞ!」


「おう!」



「はぁ、はぁ、はぁ、オークの群れに見つかるなんて・・・」

「みんなの為に薬草を取りに来たのに、このままでは追い付かれてしまう。」


「私の力じゃあれだけの数のオークに勝てない・・・、誰か助けて・・・」



「凍牙、ヤバイ!フェンリル族の向かっている先に10匹のオークが待ち構えているぞ。誘われている!俺は後ろの集団を片付けるから、お前は待ち伏せしている奴等の殲滅を頼む!」


「飛び降りるぞ!」「分かった!」


俺は追いかけているオークの群れの前に飛び降りた。

「ここは通行止めだ。大人しく帰るんだな。」

ふっ・・・、決まった。1度でもいいから、このセリフを言ってみたかった。俺は今、猛烈に感動している。

しばらくこの余韻に浸りたかったが、今は戦闘中だ。気持ちを切り替えよう。

凍牙は・・・、待ち伏せ組の方に走っていったか。あいつなら10匹程度のオークなら瞬殺だろう。


いきなり現れた俺にオークは警戒していたが、俺が1人だという事で安心したのかいきなり襲いかかってきた。

「問答無用かよ!クローディア!頼む!」【はい!マスター!】

目の前に神器が現われ、神器を握る。

「神器!横一文字切りぃいいいいいい!」

剣の一振りで目の前の20匹近いオーク全てが真っ二つになった。さすが神器、威力が違う。


視線の先にはフェンリル族が驚いた顔で座り込んでいた。

20歳くらいの感じで灰色の髪の女性だが、すぐに警戒の表情に変わる。

「あなた何者?」


さすがに警戒してるよな。

さて、どうやって事情を説明するか・・・


「ソータ、大丈夫だった?まぁ、ソータなら問題がある方がおかしいね。」

美冬がみんなを連れてやってきた。ミドリもドラゴンの姿だとさすがにマズイので人化して、美冬達と一緒にいる。


「あぁあああああ!美冬!」

女が叫んだ。

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