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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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神器①

何でこうなった?


目の前には〇オウVerの義父さんが黄金に輝く刀の神器を構えている。

俺はフローリアの黄金の大剣の神器を構えて、義父さんと対峙していた。


離れたところに義母さんとアイリスが立っていて、アイリスは俺の事を一生懸命応援してくれている。


俺はフローリアとガーネットへ会いに創造神の神殿に行っただけだったのに・・・


どうして・・・???




話は遡る。


フローリアは今、親が住んでいる創造神の神殿に戻っている。

先月、子供が生まれたからだ。

落ち着くまではしばらく親と一緒にいる予定になっている。こんなところは地球と変わらんな。


俺は今、アイリスと一緒にフローリアのところにいた。

1人で行くつもりだったが、アイリスが「パパと一緒に行く~!」とせがんできたので連れてきた。

目の前にはベッドで子供と一緒に眠っているフローリアがいる。

俺が近づくと目を覚まして慌てて起きようとしたが、「フローリア、ゆっくり休んでな。」そう言って休ませてあげる。


「それにしても、可愛い赤ちゃんだな。お前にそっくりだよ。」


フローリアがニッコリ微笑む。

「確かに顔立ちは私に似ているかもしれませんが、瞳は旦那様と同じで黒色ですよ。旦那様と私の子供だと実感しますね。本当に可愛くてたまりません。」

フローリアがガーネットを見つめている。

「この子はどこにも出したくありませんよ。ずっと監禁していたい程です・・・、ふふふ・・・」


ヤバイ!フローリアの目が怪しくなっている!俺からガーネットに矛先を変えてきたか!


フローリアがハイライトの無い目で俺を見つめてきた。

「旦那様・・・、私とこの子と3人で、誰にも邪魔されないところでずっと一緒に暮らしません?」


もっとヤバイ!危険だ!フローリアの思考が危険領域に突入している!あの時のガーネットと同じセリフを言い出した!

彼女の肩を掴み、咄嗟に語りかける。


「フ、フローリア!正気に戻れ!このままでは闇堕ちするぞ!」


「はっ!わ、私は一体何を・・・」


良かった・・・、正気に戻ってくれた。

この数年は暴走する気配は無かったし、久しぶりの暴走で焦った。


アイリスが心配そうにフローリアの顔を覗き込んでいたけど、フローリアはニッコリとアイリスに微笑んでくれた。

「アイリス、大丈夫ですよ。ガーネットが可愛すぎたから、ちょっとね・・・、ふふふ・・・」


「え~、私よりもガーネットの方が可愛いの?」

アイリスがちょっとふくれっ面になってしまった。


「心配しないで、アイリスも可愛いからね。お母さん大好きよ。」


「ありがとう!フローリアママ!私も大好き!」

そう言って、満面の笑みでアイリスがフローリアの腕に抱きついた。


丁度、義父さんと義母さんが部屋に入ってきた。

義父さんが俺の隣に来て小声で話す。

「息子よ・・・、あの可愛い子が本当にあのガーネットなんだよな?ワシの知っていたガーネットは昔から気が強くて、闇堕ちしてからの事もあったし、今でもあの可愛らしい今の姿は信じられんよ・・・」


「義父さん、あれが本当の姿だと思いますよ。思い込みが激しすぎてああなってしまいましたけど・・・、フローリアが言ってました。本当の彼女は優しい天使だったと・・・」


「そうですよ、あなた。昔は昔、今は今。そんな事ばっかり言っていると、アイリスから嫌われても知りませんよ。」


「そ、それは勘弁してくれ・・・」

義父さんが義母さんの言葉に焦っている。

確かに、孫は可愛いよな。嫌われるなんて絶対に嫌だ。俺もそうだったから・・・

地球にいる孫達は元気にやっているだろうか・・・

今度、地球の神に聞いてみよう。


「あっ!おじいちゃん!おばあちゃん!」

アイリスが義父さん達に気が付いて駆け寄ってきた。


「おぉ、アイリスや!もっと顔をよく見せてくれ。」

義父さんが手を広げてアイリスを迎えている。

「おじいちゃん!大好き!」

アイリスが義父さんに抱きついて、ニコニコと微笑んでいた。

その後、義母さんにも抱きついていた。

義母さんはアイリスにとって祖母にあたるが、俺の目から見ても歳の近い姉妹が抱き合っているにしか見えない。

いまだに、この不思議な光景には慣れないな。


眠っているガーネットを抱いたフローリアが俺の隣に来て、アイリスを見ながら微笑んでいる。

「旦那様、この子の名前の元になった本人があんなに幸せそうな顔をしているんですね。生まれ変わって幸せになりたい気持ちが通じたのでしょう。旦那様のおかげです。」


「いや、今のアイリスはフローリア達みんなが頑張って育てた結果だと思うよ。自分から愛する事も大事だけど、自分がどれだけ周りから愛されている事が分かるのも大事だと思う。その気持ちが思いやりに繋がるんじゃないかな?お前達の愛情が1番大事なモノを今のアイリスに与えたと俺は思っている。そんなに俺は大した事はしてないよ。」


「ふふふ・・・、やっぱり私の旦那様です。好きになって良かった・・・」

フローリアが俺を見つめながら寄り添ってきた。


「フローリア・・・」


「おっほん!」

義父さんが咳払いをした。

「お前達、親や娘の前でそんなにいちゃつくな。アイリスの教育に悪いぞ。」

「あっ!パパ!すみません・・・」

フローリアの顔が真っ赤になって慌てた。俺も慌てる。

アイリスが拗ねた顔になって俺の足にしがみついてきた。

「パパ、抱っこして!」

「分かったよ、アイリス。」

そう言ってアイリスを抱きかかえたら、ギュッとしがみついて「幸せ・・・」と呟いていた。

アイリスの俺に対する愛はやっぱり重いかも?

フローリアみたいに暴走するような事はないと思うが・・・、アイリスにはあまりやきもちを焼かせないようにしよう・・・


「あなた、ここに来たのは孫に会うだけじゃないでしょ。」


「おぉ、そうじゃった。ガーネットとアイリスに会ったらすっかり忘れてたわ。」

苦笑いしていた義父さんが急に真面目な顔になって、俺の方に向かって話し始めた。

「息子よ。お願いがあるのだが聞いてくれるか?お願いというより任務と言った方が正しいだろう。」

「フローリアはこんな状態だから。今は仕事どころではないし、ワシと母さんでフローリアの仕事を手分けしている状態だ。本当はワシが行きたかったが、手を離せんでな・・・、代わりにお前にやってもらいたい。」


「パパ・・・、本当はガーネットと離れたくないんじゃないの?私の仕事のほとんどをママにしてもらっているんだけど・・・」

フローリアがジト目で義父さんを睨んでいたが・・・


義父さんがダラダラと冷や汗を流しているぞ。どうもフローリアの言っている事が当たっているみたいだ。

「フ、フローリア!そ、そんな事はないぞ!」


「本当に・・・」

フローリアの目つきが更に険しくなる。


「ほ、本当だ!」

義父さんの冷や汗が滝のようになっているぞ。どこまでシラを切れるのかな?ちょっと面白い。


義母さんが義父さんとフローリアの間に入って、フローリアを止めてくれた。

「まあまあ、フローリア。あんまりお父さんを苛めたらダメですよ。今回の話は蒼太さんに行ってもらった方が良いと私も思ってますからね。」


「確かにママに言う通りですね。旦那様、パパから詳しい話を聞いてもらえます?」

「私はベッドに戻りますので、アイリス、私のところにいらっしゃい。」


「は~い。」


「分かったよ、フローリア。義父さん、それで話とは?」


フローリアの追及が無くなってホッとしたのか、義父さんが真面目な顔に戻って俺に話しを始めた。

「それで、話というのは、フェンリルの里についてだ。かなりマズイ状況になっていてな・・・」


「フェンリルの里ですか!」


「あぁ、あの里の長老とはワシと旧知の仲でな。お前も知っておろう。」


「ええ・・・、知識として残ってますよ。」


「その里が周辺の魔獣の森の魔獣から攻められている。今までこんな事はなかったのに・・・、フェンリル族に手を出す愚か者はいないと思っていたが、誰かが手引きをして魔獣達に攻めさせているみたいでな。今のところは彼らの圧倒的な力で撃退してはいるが、やはり多勢に無勢・・・、いつかは数に押し切られる可能性が高い。」


義父さんが一呼吸間を置いてから再び話し出す。


「一応、手引きしている者の目星は付いたが、お前達で確認を行いフェンリル族を救ってもらいたい。お前達の力なら負けるはずがないからな。」


「分かりました、義父さん。それで目星が付いている者は?」


「その者はスキュラ族なんだが、どうも事情がかなり複雑かもしれん。」


スキュラ族か・・・、大昔に魔獣の森の覇者を争っていた伝説もあったし、フェンリル族とは確かに仲が悪いな。それでも、なぜ今になってこんな事になるんだ?

義父さんが言う複雑な事情が原因か?


「義父さん、その事情とは?」


「フェンリル族の男がスキュラ族と恋仲になってな、それに反対した長老がその男を里に閉じ込めてしまって、それに怒ったスキュラ族が男を奪いに里を襲っているみたいなんだが・・・、今のスキュラ族は森の魔獣のほとんどを傘下にして里を攻めている。あの一族に今までそんな力は無かった。それが急に森を把握できる程の力を付けたのだ。伝説のクイーン・スキュラが現れたのではないかとワシは睨んでおるのだ。」


「お互いに強力な力を持っている事になりましたね。このままだと、どちらかが滅ぶまで争いが終わらないと義父さんは考えていると?」


「息子よ、その通りだ。だからこそ、お前に頼みたいのだ。お前の周りには自然と人が集まる。偏見が無いからだろう。そして、敵であっても救おうとする気持ち。お前ならフェンリル族とスキュラ族の橋渡しになると思っている。だから、頼めないだろうか?」


「義父さん、そんなに俺を褒めても何も出ませんよ。でも、期待に応えるよう頑張ります。」


「おぉ、引き受けてくれるか!頼んだぞ!」


しかし・・・あの頭の固すぎる長老を説得するのは無理ゲーに近いな・・・

それに、フェンリル族の里となると・・・


「義父さん、フェンリル族の里だと凍牙と吹雪を連れて行くのは無理ですね。始祖のフェンリルが蘇ったと長老にバレてしまうと大変な事になりますし・・・」

「そうなると、大幅な戦力ダウンになるし・・・、弱りましたね・・・」


「あら!それなら私がお手伝いしますわよ。フローリアの次に2人目として認めたマスターの為ならね。」


誰だ!初めて聞く声だぞ!


評価、ブックマークありがとうございます。

励みになります。m(_ _)m

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