闇に堕ちた女神⑤
「幸せです・・・」
「あぁ・・・、そうか・・・」
「こうやって旦那様と一緒に暮らせるなんて・・・」
「あの憎きクソ創造紳に旦那様が殺されてから、私の心はどれだけ悲しかったか・・・、旦那様とそっくりな男で満足しようとしてましたが、やはり、本物には敵いません。旦那様、許してください。一時の感情で他の男に惹かれてしまった私を・・・」
「そして、あの女狐には1つだけ感謝しないといけませんね。旦那様を蘇らせ、そして神格まで得させてくれましたからね。これで永遠に暮らせます。ずっと・・・」
俺とガーネットは裸でベッドに寝ている。俺の腕枕で満足そうにガーネットが抱きついていた。
くそっ!体に力が入らない!ヤツが満足するまで俺を抱き枕にするつもりだ。
「旦那様、心配しないで下さいね。この部屋にいる限りは水分も食料も採る必要はありませんの。この世界中の生命力を全て集めてありますから、この生命力が旦那様をずっと生かし続けますからね。」
それでか、この世界が死んでいたのは・・・
「そして、私が偽物相手に練習した数々の技・・・、必ずや旦那様を満足させ、私だけしか考えられないように虜にする事を約束しますよ。私の体がもう少し落ち着くまで待ってて下さいね。」
ガーネットが俺に濃厚なキスをしてくる。
止めてくれ!春菜の体でそんな事をしないでくれ!
フローリア、俺が何とか残せたメッセージに気付いてくれただろうか?
お前達を信じているぞ!
「ん!誰?」
「どうした・・・?」
「どうやらこの世界にネズミが入り込んだみたいね。こんなに早く私だと気付くなんて・・・、さすが女狐といったところかしら・・・、旦那様は渡しませんよ!」
フローリア達が来てくれた?
「や、止めるんだ・・・」
「あら、雌豚達の心配をするんですか?それはいけません。掃除が終わったら旦那様には少し教えてあげないといけませんね。旦那様の妻には私だけが相応しいと・・・」
「雌豚達の首を並べて、その前で旦那様と私が激しく愛し合う姿を見せつければ、旦那様も分かってくれるでしょう。あぁ・・・、旦那様と愛し合う・・・、そう思っただけでも体中がゾクゾクします。これが本当の恋なんですね。もう私は旦那様がいなければ生きていけません。そして、旦那様も私無しでは生きていけないくらいにしてあげますよ。全ての快楽を味わせてあげます。私が真心を込めて・・・、目が覚めても私しか見る事しか出来ない、眠っても夢の中で私だけしか出てこない。それくらい私の事しか考えられないようにして差し上げますよ。寝ても覚めても旦那様と快楽を貪る・・・、まさしく私の理想・・・、旦那様もそう思うでしょう?いえ、そう思う事しか出来ないようにするのが、私の使命。いや、私と旦那様の運命ですよ。運命・・・、神族は運命が分からないと言われていますが、私にははっきりと見えます。永遠に旦那様と一緒になる姿が・・・、このお腹の中の赤ちゃんの事も忘れて、激しく愛し合いたい・・・、私の愛の全てをぶつけられるのに・・・、必ず旦那様は私の事しか考えられなくなりますよ。あの雌豚どもよりも私と激しく濃厚に愛し合えるのは保障します。いえ、そうなりますよ。それだけの自信はありますからね。偽物も少しは役に立ったみたいですね。私と旦那様が激しく快楽を貪れるように愛し合う予行練習に・・・、でも、今はダメ・・・やはりお腹の中の赤ちゃんが可哀想・・・、私は旦那様の妻であり母でもありますからね。しばらくは自重しないと・・・、でも・・・、子供が女の子だったら、大きくなると旦那様を私とで取り合う事になるのかしら?そうなると私が色々と教えましょう。私と娘とで旦那様を・・・、でも、男の子だったら・・・、私を旦那様と子供で取り合う事になるのかしら?それも面白いかもね。ふふふ・・・、私達だけの世界・・・、なんて楽しい素晴らしい光景でしょう。ねぇ・・・、旦那様もそう思うでしょう?」
ヤバイ・・・、本当に病んでいる・・・、フローリアの比ではない!
コイツから春菜を救い出さないと・・・
体が動かない・・・、頼む!動いてくれ!
「旦那様・・・、無駄ですよ。私の許可無しでは力が戻りませんから・・・」
「それでは、私はネズミ駆除に行ってきますね。雌豚達の首をお土産にして持ってきますので、楽しみにしていて下さい・・・、ふふふ・・・」
妖艶だが邪悪な笑みを浮かべながら、ガーネットはベッドから降りた。
すると、体全体が光り始め、光が収まるとフローリアと同じドレスアーマーを纏ったガーネットの姿があった。
鎧のデザインはフローリアと同じだが、フローリアが金色に対してガーネットは漆黒の鎧姿だ。
「それでは旦那様、行ってきます。」
ガーネットがニヤリと笑って、俺の前から消えた。
俺1人がベッドの取り残されている。
体が痺れているように力が入らないし、声もやっと出せる状態だ。しかも、念話も使えない。
でも、諦めてたまるか!
動け!俺の体!頼む!動いてくれぇええええええ!
【君も頑張るねぇ・・・、そろそろ諦めたら?】
何だ!声が聞こえる・・・、誰だ・・・
【ビックリしたかい?】
【あぁ・・・、お前は?】
どうやら、念話で会話が可能みたいだ。それにしても、本当に誰だ?
【僕はここで最後を迎えた、君の代わりをさせられた人間だよ。】
何だと!
【彼女は神でも女神でもない、邪神の成れの果てが行き着く真の邪神だよ。人間の僕は何も出来なかった。永遠に続くかと思うような快楽の嵐の中で、僕の自我は無くなった。それでも彼女は僕を貪り続け、ひたすら快楽を追い求めていた・・・】
【この世界の生き物全ては彼女に殺され、単なる生命力のみにされ、この部屋に無理やり引き留められているんだよ。僕と彼女が永遠に生き続ける為だけに・・・、僕はこの現実に耐えきれなくなった。そして、何度も自殺したけど、彼女は許してくれなかった。】
【彼女に逆らうのは諦めた・・・、どうやっても逃げられなかった・・・、そのうちに、彼女は僕を神にしようとしたけど、僕の体も心も耐えらえなかった。実は、僕が彼女から逃げたい一心でそう願ったからなんだ。今の僕はほとんど力を持たない意志だけのような存在だよ。おかげで、彼女には気付かれていないけど、代わりに君達が標的になってしまうとは思わなかった・・・】
【気に病む事はないさ。悪いのは全てガーネットだからな。お前は犠牲者だよ。】
【それにしても、あの狂気はすごいなぁ・・・】
【今の彼女に勝てる存在はいないよ。あの時よりも更に狂気が増しているし・・・、だから、諦めなよ。僕みたいに・・・、何も考えなければ、彼女はひたすら尽くしてくれるし、この世のありとあらゆる快楽を与え続けてくれるからね。下手に抵抗するだけ無駄だよ。】
【嫌だ!俺はそんな事は望まない。俺には必ず助けなければならない大事な妻がいるからな。】
【ありがとう。あんたのおかげで元気が出たよ。】
【でも無駄だよ。彼女にこんな事をされて、何も出来ない状態なのに?】
【あぁ、俺は捻くれ者でな。無理と言われると余計に無理をしたくなるのさ。まぁ、見てな。】
俺は意識を集中した。体中を縛り付けている光の輪が見えた。
「うぉおおおおおおおお!こんな呪縛なんか!消し飛べぇええええ!」
光の輪が全て粉々になって消え去った。
【どうだ、ビックリしたか?】
【す、凄い・・・、気合だけで彼女の呪縛を吹き飛ばすとは・・・、君なら出来るかもしれない。彼女を滅ぼす事が・・・】
【それならお願いがあるんだ。僕を輪廻の輪に戻して欲しい。】
【分かった。この戦いが終わったら女神に頼んでおくよ。何たって、俺の妻にはNo.1の女神がいるからな。安心してくれ。】
【お願いします・・・】
「よし、体も動くようになったし、フローリア達の加勢に行かないとな。見た目は春菜だから戦いにくいだろうし・・・」
俺はベッドから降りて駆け出そうとすると・・・
【ちょっと待ったぁああああああ!】
【どうした?】
【君はこの格好で行くのかい?】
えっ!この格好・・・?
し、しまったぁあああああ!俺は今、真っ裸だった!
危うく真っ裸の姿で彼女達の前に出るところだった・・・
ガーネットを含めた彼女達全員が歓喜して戦いどころでは済まない気がする・・・
想像出来るのが怖いぞ!
【あの扉の向こうの部屋に君の服が置いてあるからね。】
【彼女に勝つ事を期待して待っているよ。】
【ありがとうな。必ず勝つさ。俺の妻達の為にもな。】
待ってろよ、ガーネット!
もう、お前の好きにはさせない・・・
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