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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第1章
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闇に堕ちた女神④

やはりガーネット!

しかも!春菜の体を乗っ取っただと!

確かに髪も瞳も色が黒くなっている。


「くっ!まだ抵抗するか!もう、お前の出番はないのよ!お前もブルー様と一緒に暮らしたいのだろ?私がその願いを叶えてあげるの、何を嫌がる!」


まだ春菜も戦っている!どうすれば・・・


「お前の心のよりどころであるこの家と仲間を殺せば、さすがのお前も心が折れるでしょう。ふふふ・・・」

「滅べ!ドラゴニア・プロミネ・・・」


ガーネットがこの場で魔法を放とうとした。この魔力はヤバイ!フェニックス・プロミネンス並だぞ!

こんな魔法を放たれたら、この一帯どころか、この街全体が焼け野原に・・・


「待て!ガーネット!」


「何でしょうか?ブルー様。」

春菜の顔をしたガーネットが、俺に向けて妖艶な笑みを浮かべて微笑む。

ヤツがフローリアの負の感情と似たようなものなら・・・


「分かった。お前の希望通り、お前の世界で一緒に暮らそう。それなら問題ないだろう?」

「お前の目的は俺だろう?だったら、それ以外は関係ない筈だ。元々、お前は俺を眠らせるから何かで、こっそり俺を運び出すつりだったのだろう?」

俺は、ガーネットの前で両手を広げ、ガーネットに話し続ける。

「ほら、ガーネット。俺は何もしないし、お前の好きなように出来るんだ。」


ガーネットが俺の胸に飛び込んできた。

そして抱きしめてあげた。


「あぁ・・・、間違いないです・・・、肉体は変わりましたが、魂は間違いなくブルー様・・・」

「あの娘のおかげで、私はずっと魂の世界から見る事だけしか出来なかった。やっと、この身で抱ける。こんな嬉しい事はないです。まるで夢のよう・・・」

「私の世界にずっと一緒にいてくれるんですよね?もう、誰にも渡しませんから・・・」


「あぁ・・・」


よし!時間が稼げたぞ!

【フローリア!】


「時間稼ぎは無駄です・・・、この部屋は私が結界を張りましたからね・・・、念話も出来ませんよ。」

「そして、やっとあの娘も静かになりましたよ。これで、この体は私のもの・・・」


何だと!先手を打たれた・・・


「女狐の指輪なんて、見ているだけでも腹立だしい・・・」


一睨みで俺と春菜の指輪が砕け散り消え去った。


「私が新しい指輪を作ってあげますよ。たった2人だけの指輪を・・・」


「さぁ、ブルー様・・・、いえ、私の旦那様。今すぐ、誰にも気づかれないうちに、私の世界に行きましょうね。私達2人と、そして生まれてくる子供と一緒に、永遠に・・・」



目の前の景色が変わった。転移したか。

そこは荒涼とした世界だった・・・

草木は1本も生えていない。人の気配も全く無い。サーチの魔法を使ってみたが、生命反応は全く無かった。

目の前には荒れ果てて崩れた神殿が1つだけあった。


「これが私達の愛の巣ですよ。今はこんな状態ですが・・・」


ガーネットが手を空にかざした。神殿が光り輝く。

すると、すっかり荒れ果てていた神殿が、今、建てられたように真新しくなった。


ガーネットがニコッと微笑む。

「さぁ、これで大丈夫です。中に入りましょうね。」

「これからの旦那様との2人っきりの生活を思うと・・・」


俺はガーネットに手を引かれ中に入っていった。




一方、フローリアの方は・・・


「だ、旦那様ぁあああ!」


「フローリア様、どうかしたのですか?急に大声を上げて・・・」

「何か顔色がすぐれませんが・・」

フローリアと接見中の神々が、突然のフローリアの態度に驚いている。


「み、皆さま申し訳ありません・・・、急に用事が出来ましたので、本日の接見は終了します!それでは・・・・」


【フローリアお姉ちゃん!た、大変だぁああ!今、みんなリビングにいるからすぐに来て!】


【美冬さん!どうしました?分かりました。今すぐ行きます!】


リビングに全員が揃っていた。そして、転移でフローリアが現れる。

全員が青ざめていた。美冬がフローリアの顔を見た瞬間に泣きだし、フローリアにしがみつく。


「み、美冬さん!」


「お兄ちゃんが、春菜が急にいなくなったぁああ!気配も匂いも全く感じない・・・、こんなの初めてで・・・、ブルー様や凍牙お兄ちゃんみたいになるの・・・?」


「美冬さん・・・、心配しないで・・・、私達が何とかしましょう。」


「お、お姉ちゃん・・・」


「夏子さん、状況は?」


「フローリア様・・・、我々は全員1階にいました。私と千秋が突然2階から邪悪な気配を感じ、慌てて上がったのですが・・・、気配は何と春菜の部屋からでした。2人がかりでドアを開けようとしましたが、ビクともしません。剣で無理やりドアを切って開けようともしましたが、傷一つ付けられませんでした。余程の結界が張られていたのでしょう・・・」

「気配が消えた瞬間にドアを開ける事が出来ましたが、中に入っても誰もいませんでした。全員で家中をくまなく探したのですが、旦那様と春菜の姿はどこにもなく・・・」


「分かりました。春菜さんの部屋に行ってみましょう。何か手がかりがあるかもしれません。」


全員が春菜の部屋の前に立っている。

「まずは、私と美冬さんで部屋の中を調べてみます。みなさん、少し待ってて下さいね。」

「それでは美冬さん。」


「うん・・・」


フローリアと美冬が部屋の中を調べる。

「本当に手がかりがありませんねぇ・・・、分かっているのは、神族すら一瞬で眠らせる事が出来る強力睡眠薬入りのコーヒーだけですか・・・、一体誰が・・・」


「お姉ちゃん、ここ!」

美冬が床の一点を指差す。

床には1本の短い毛と金属片が転がっていた。


「これは旦那様と春菜さんの指輪の欠片・・・、急に旦那様との繋がりが切れたと思ったら、やはり指輪を壊されていましたか・・・、そして、この毛は髪の毛ですね。そして黒い・・・、旦那様が必死に手がかりを残してくれていたのかも?」

「邪悪な気配・・・、黒い髪の毛・・・、はっ!ま、まさか!美冬さん!」


「うん、フローリアお姉ちゃんの予想通りだよ・・・、この髪の毛から、春菜とあの嫌な呪いの臭いがする。」


フローリアが膝から崩れた。

「う、嘘・・・、確かに滅ぼしたのに・・・、呪いに姿を変えて春菜さんの体に潜んでいたの?あの時は簡単に浄化出来たし、何も疑問にしてなかったけど、魂の欠片を隠す為のカモフラージュだった・・・」

「それなら辻褄が合う・・・」


「そして、春菜さんの体を奪って蘇った・・・」


「あの、闇に堕ちた嫉妬の女神・・・、ガーネットが・・・」




どれくらい私は放心していたのだろう・・・

まさか、ガーネットが蘇るだなんて・・・


「フローリアお姉ちゃん・・・」

気が付くと、美冬さんが心配そうに私を覗き込んでいた。

そして、みんなが私を取り囲んで微笑んでくれている。


「フローリア様、旦那様と春菜を取り返しに行くんでしょ。美冬からガーネットの話を聞きましたよ。私と渚が孤独にされたのも、あの女神のせいならお返しをしないといけませんね。」

【そうだ!もう、誰一人欠けるなんて認めない!】


「私の人間の時の悲惨な人生はアイツに決定付けられていたとはな・・・、私も許せない。2度と蘇らないように、念入りに滅ぼさなくてはな。」


「そうよ!私も気持ちは一緒!あんた達に訓練で散々にされた分、アイツに鬱憤を晴らしてやるわ!」


「すみません。私は何も出来ませんが・・・、みなさんがお2人を無事に連れて帰って来るのを、楽しみに待ってますね。」


「みなさん・・・」

私の目から涙が溢れる。

私1人が落ち込んでいるなんて、みっともないですね。

あなた達の笑顔が私に力をくれます。


「ごめんなさい・・・、弱気になってましたね。」

「みなさん!これから旦那様と春菜さんを助けに行きます!相手がガーネットだと分かったのなら、あの場所しかありません。かつて、1人の男を延々と監禁し慰み者にしていた、あの世界、あの神殿に間違いありません!」


「行きますわよ。みなさん!」


「「「「はいっ!」」」」


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