家族が増えた④
そんな訳でマリーが俺の妻となり家族が増えた。
夜も遅くなった事もあり、マリーが我が家でお泊りするようにとフローリアから提案があったので、素直に受け入れたのだったが・・・
玄関に入ると、マリーの目が点になる。
「な、な、何、コレ!外から見ても変な家だったけど、中も何!夜なのに、こんなに明るいし、キレイ!」
驚くのも無理はないだろうな。この世界の文明レベルと比べると、この家のレベルは数段上だからな。
リビングに連れていくと、みんなが待っていて出迎えてくれた。
「ひゃぁあああ!何なのコレ!豪華なテーブルにソファー!あんた!一体どれだけのお金持ちなの!」
いや、これは現代日本の標準的なリビングだ。多少は広いけどな。
少し落ち着いたのか、マリーがみんなに挨拶を始めた。
「マ、マリーです。初めまして・・・、新しく蒼太さんの妻となりました。みなさんよろしくお願いします。」
こんなガチガチなマリーなんて初めて見たぞ。新鮮だ。
マリーが千秋を見つけて驚いた。
「あ、あんたは!ギルドで散々私にダメ出ししてくれた女!」
千秋がニヤリと笑う。
「ほう・・・、私を覚えていたか。あの時のお前はひどい顔だったからな。今はイイ顔じゃないか。これなら私達の仲間になる資格がある。良かったな。あっ!私の名前は千秋だ。」
「あ、ありがとう・・・」
千秋がマリーの前に行き、軽くハグをした。
「だってさぁ、あの時のお前の顔は昔の私の顔にそっくりだったんだ。誰も信用出来ず世の中を恨んで、どこにも自分の居場所が無い。そんな思いが見事に表情に出ていたぞ。その苦しみはよく分かる。私もそうだった・・・」
「ち、千秋さん・・・」
「私は蒼太さんに救われた。そして、お前もな。これからは自由に幸せを求める事が出来るんだ。今までが不幸だった分、取り返そう・・・、私達と一緒にな。」
「は、はい・・・」
マリーが泣いている。千秋に認められて良かったな・・・
そして、みんなに自己紹介を兼ねてダイニングに移動し、軽く食事をと思ったが、キッチンを見たマリーがまたもや驚きまくって、みんなの笑いを誘っていたんだよな。
これなら、みんなとすぐに打ち解けるんじゃないかな。安心した。
マリーは夕食がまだだったと話したので、俺が軽く料理をしてあげた。
出来たのはハンバーガーとフライドポテトだ。みんなには昼間作ったフルーツタルトを出してあげる。
「な、何!美味しい・・・、サンドイッチに似ているけど、全然違う。そして、この芋のフライ。こんな料理なんて初めて食べる・・・、クセになって止まらない!ダメだ!太ると分かっていても止められない!」
どうだ!地球のファストフードの威力、思い知ったか!
「あんた、本当に神様なんだね。この家の中は別世界だ・・・」
「今更なんだけど、本当に私があんたのお嫁さんになって良かったのかな・・・、あまりにもすご過ぎて自信が無くなってしまうんだ・・・」
春菜がマリーの隣に座り、軽く抱きしめた。
「私は春菜です。マリーさん、心配しないで下さい。さっき、千秋さんも言っていたでしょう。みんなで幸せになりましょうって・・・、忘れたのですか?」
「で、でも・・・」
「マリーさんは、ここの世界の人間ですからね。あまりの文明レベルの差に戸惑うのは分かりますよ。あそこにいるララさんも、最初は同じ感じでしたからね。でも、彼女は受け入れて彼の妻になっていますよ。あなたが弱気でどうするんですか?ギルドで見ている強気のあなたは何処に行ったのですかね?」
「そ、そうだね。彼の為にも頑張らないと・・・」
「ふふふ、そうですよ。これからもよろしく頼みますよ。」
ナイス!春菜!やはり、我が家一番の常識人だ。頼りになるよ。
春菜に代わり、夏子が隣に座った
「よう、ギルドでは何度も会っているな。夏子だ。」
「あ、あんたは!ギルド第1級要注意人物の・・・」
夏子の髪の色が赤色に変わる。
「もしかして、私の事かな?軟弱な男どもを鍛えてあげているんだ。今度はギルドマスターにご褒美をあげないといけないなぁ・・・」
「な、渚!それは勘弁してくれ!俺達がギルドに出入り出来なくなるぞ。」
「むぅ・・・、旦那様が言うなら仕方ない・・・」
髪の色が青色に戻る。
「マリー、今のが渚だ。私と彼女はこの体を共有しているんだ。変わった体質だけど、お互い天使同士頑張っていこうな。」
「は、はい・・・」
今度はララが隣に座る。
「マリーさん、初めまして。ララです。同じ世界の出身として頑張っていきましょうね。」
「あんた・・・、よくこのメンバーの中で平然としてるなぁ・・・」
「大丈夫ですよ。確かに最初は戸惑いましたけど、人間であるわたしにも本当に良くしてもらっています。ここの温かさを覚えてしまったら、もう何処にも行けませんよ。マリーさんもすぐに分かります。」
「そ、そうか・・・」
美冬がマリーの隣にきた。
「マリーだね。私、美冬、よろしくね。」
「こちらこそ。美冬さん、よろしくお願いします。」
「このメンバーだと、どうしても戦闘というものがあるから、マリーも天使になったから修行が必要になるね。私とフローリア様が修行に付き合ってあげるから覚悟してよ。」
「あんたみたいな子供に負けないよ。」
「へへへ、言ったな・・・、その言葉良く覚えておいてね。」
美冬がニヤリと笑った。
美冬・・・、あまり怖い修業はさせないでおくれ・・・、マリーよ・・・、せめて心が折れないように祈ってるぞ。
「一通り紹介も終わったようだし、みんな、デザートだぞ!俺が腕によりをかけて作ったケーキだ。さぁ、食べような。」
「「「「「「「は~い!」」」」」」」
俺がケーキを切り分け、ララが配膳してくれる。
「「「「「「「美味し~~~~~~!」」」」」」」
マリーもみんなに受け入れてもらったようだし良かった。
その夜、マリーは俺の個室に一緒にいる。
「ねぇ・・・、本当に私で良かったの?みんな若くてキレイな人ばかりで、ちょっとね・・・」
「そうか?、マリーも若いだろ?22、3歳くらいに見えるけど・・・、それに、今のマリーは本当にキレイだと思う。千秋のセリフじゃないけど、ギルドで会った時の様な嫌な感じがないからな。」
「そう言ってくれると嬉しいな。やっぱり、あの時は相当焦っていたんだね。」
マリーが抱きついてきた。
「本当はもう少しで30なんだ。だから、みんなの若さにちょっと引け目を感じてね・・・」
「マリーはもう天使になったのだから、多分だけど、この状態でずっと生き続ける事になると思うよ。若くてキレイなままでな。」
「そうなの?女の永遠の夢が叶うのね・・・」
「それにな、ココだけの話だけど、みんな見た目は凄く若く見え・・・」
「旦那様・・・」
フローリア!一体どこから声が・・・
念話でない!直に声が聞こえる!何処にいるんだ!
部屋の中を見渡しても、マリー以外見当たらない・・・、一体・・・
「私の場所が分かりませんか?」
何処だ!上から声が聞こえるような・・・
恐る恐る天井に目をやると・・・
いたぁあああああああ!
不敵に笑うフローリアがいた!
フローリアが天井にへばり付いている!しかも、美冬も一緒だと!
お前ら、どこの忍者だ!
『シュタッ!』と、効果音が聞こえて、2人が俺の前に降り立った。
「旦那様の国の資料に面白い部族の説明があったので真似てみました。意外と面白いですね。」
「うん、クセになりそうだよ。」
お前らは楽しいかもしれないけど、俺にとっては心臓に悪いぞ・・・
そもそも、いつから天井にいたんだ?
「旦那様、我々の歳の話は禁句ですよ。また、ゴーレム撲殺の刑になりたいのですか?私には内緒話も無駄ですので・・・」
そうだった・・・
最近は大人しかったから忘れていたが、こいつはハイパーストーカーだった。そして、この指輪の前では、どんな内緒な事も出来ない。全て筒抜けだった・・・
「旦那様、マリーさんと2人で一緒に部屋にいるとは・・・、私達も混ぜてくれないと寂しいですよ。」
「お前ら!何を考えている。そんな気持ちでマリーと一緒にいた訳でないからな。」
「問答無用です。美冬さん、準備は?」
「OK!」
俺をフローリアが、マリーを美冬がガッチリとホールドした。う、動けない・・・、何て力だ!
「それでは行きます。」
目の前の光景が寝室の巨大なベッドに変わった。そんな無駄な転移をするな!
「それでは旦那様、お2人で楽しんで下さいね。私達は自分の部屋に戻ります。」
「お、お前なぁ・・・、どうしてこんなややこしい事を・・・」
「だって、旦那様とマリーさんはお互い気を遣っていますし、これ以上先に進まないじゃないですか。だから、私達が背中を押してあげたのですよ。さぁ、遠慮しないで頑張って下さいね。」
フローリアと美冬が消えた、自分の部屋に転移したのだろう。
「あいつら・・・、絶対に楽しんでるな。」
マリーの方に目を向けると、真っ赤になってモジモジしていた。
「マリー、あいつらの事は気にすんな。悪戯が趣味のような奴らだからな。新しく出来たお前の部屋に送っていくよ。」
突然、マリーが抱きついてきた。
「マ、マリー・・・」
「わ、私を抱いて・・・、元娼婦で沢山の男に抱かれて汚れてしまっている私だけど・・・、やっぱり、あんたに抱かれたい・・・、怖かったんだ、色んな男に抱かれて汚れきっているから、嫌われるんじゃないかと思って・・・」
「マリー・・・、そんな寂しい事言うなよ・・・、お前が汚れていようが、俺には関係ないさ。汚れているというのはお前がそう思っているだけだよ。俺はそう思ってないし、心は汚れていなんだろ?だから、お前は過去を気にするんじゃないかな?俺はお前を受け入れると決めたんだ。過去は一切関係ないよ。」
「ありがとう・・・、こんな私を受け入れてくれて・・・」
「みんながあんたを好きになる気持ちが分かった気がする・・・」
【マリーさん、1つ言い忘れてました。】
【えっ!何?】【フリーリアか!】
【マリーさんは天使に転生しましたので、体も新しく真っさらな状態ですよ。2度目の初めても・・・、これ以上は言わなくても分かりますね。それでは頑張って下さい。】
マリーが泣いていた。
「フ、フローリア様・・・、汚れていた体まで新しく・・・、あ、ありがとうございます・・・」
「良かったな、マリー・・・」
「うん・・・、これであんたに初めてを捧げられる・・・、そして、ずっとあんたを愛し続けられるんだ・・・」
「マリー・・・、愛してる・・・」
「蒼太さん・・・、私も愛してます・・・」
そして、俺はマリーと一つになり愛し合った。
翌朝
目が覚めたら、目の前にマリーの顔があった。
そして唇が塞がれていた。
「おはよう・・・、キスでの目覚めはどうだった?1回はやってみたかったんだ。へへへ・・・」
マリーがすごく照れている。こんなに可愛かったっけ?
「あぁ・・・、おはよう。マリーの可愛い顔がすぐ目の前だし、最高に良かったよ。」
「もう!そんな恥ずかしい事言わないでよ!」
マリーが抱きついて、俺の耳元で囁く。
「それとね、好きな人に抱かれるとすごく気持ちが良いんだ。あんたに抱かれる度に幸せを感じた。」
「初めてだ・・・、男に抱かれてこんな嬉しい気持ちになるなんて・・・」
「もう、あんた以外に抱かれたくない・・・」
「お、お前!そんな恥ずかしい事言う・・・」
突然、マリーに唇を塞がれて、抱き締める力が強くなる。
「どうしたんだ?急に・・・」
「だってさ・・・、あんたの後ろにいる連中にも、あんたと私のラブラブなところを見せつけないとね。」
「えっ!後ろ・・・」
恐る恐る振り返る・・・
全員がベッドの中にいた!いつの間に・・・
しかも裸だと!それにララまでも・・・
「ソータお兄ちゃん、見せつけてくれるね。私も負けないよ。」
「美冬さん、順番でしょ。ララさんが先日成人を迎え、早く結ばれたいと私に相談に来ましたからね。1人だと勇気がないから、一緒に手伝って下さいとね。」
「分かりました?旦那様。」
「いや、お前ら何か違うぞ。ララ、お前、本当にこれで良いのか?」
「はい・・・、私は決心しました。ご主人様と結ばれるのを・・・、でも、恥ずかしくて、なかなか言えなかったので・・・」
いや、こっちの方がもっと恥ずかしい気がするぞ・・・
「お前らもなぁ・・・、これで良いのか?」
「あなた・・・、もちろんですよ。ララさんの為にみんな頑張ってくれるのですよ。」
「で、本音は?」
「「「「「私達も愛して下さぁあああああっい!」」」」」
やっぱりか・・・
「旦那様、食事の用意は心配しないで下さい、私達で夕飯まで用意しましたので、エンドレスで頑張れますよ。」
そんな用意はいらんぞ・・・
「マリーさん、もちろん参加ですね。ギルドには今日は休むと連絡しています。どうですか?」
「喜んで!」
フローリアの目がヤバくなってきている。ダメだ!既にトリップモードだ!
そして、みんなは・・・
ダメだ!あっちも全員が肉食獣モードだ!ララまでもか!大人しそうなララが奴らの雰囲気に吞まれている・・・
「さぁあああ!愛し合いましょぉおおおおおおおおっ!」
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