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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第1章
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女の人に歳の話は禁句

翌朝


「旦那様、どうした?すごく眠そうだし、目の下に隈なんか作って。」夏子がニヤニヤした顔で俺に話しかけてくる。


「いや、お前の想像している事でないぞ。」真っ赤になる夏子であった。


「昨日の夜は酷かった・・・、寝ようとしても、両側からどっちが一番俺を愛しているかアピール合戦が続いて、うとうとすると、美冬の殺人ボディブローで叩き起こされるし・・・、その繰り返しだよ。おかげで全く眠れなかった・・・、どんな拷問だ・・・」


あれは真の拷問だと思う。

我ながら、よく自我を一晩中保てたと自画自賛したい。


「あの2人のパワーだとなぁ・・・、同情する。」

「普段は仲が良いのに、旦那様を取り合いするなんて思わなかったぞ。」


「あれはあれで、単なるじゃれ合いみたいなものだろう。本気で取り合うつもりはないと思うぞ。本気だったら引っ張り合って間違いなく物理的に真っ二つにされてる筈だ。」


「真っ二つか・・・、あり得るな・・・」

「私と渚はどっちが上か考えた事はないな。旦那様と一緒にいて、愛してもらえればそれで十分だしな。」

「私の方から結婚を迫ってきたから、受け入れてもらえただけでも十分だよ。」


「そう言ってもらえると助かる・・・」


「私もだ。」千秋が会話に参加した。


「私も蒼太さんに助けてもらった身だよ。クズな男どもしか周りにいなかったけど、蒼太さんだけは違った。私を幸せにしてくれると約束してくれた言葉で、私は救われたんだ。幸せにしてくれるなら、好きな順位なんて関係ない。」


「そ、そうか・・・、お前達に嫌われないように頑張る・・・」


「その言葉だけで、私は幸せになれるのさ。なぁ、春菜。」


「そ、そうですね・・・」

「私も、あなたと一緒にいるだけで幸せですよ。正妻ははフローリア様なんですから、私は別に妾でも構いませんよ。」


「そんなつもりはないよ。みんな平等に愛するつもりだしな。誰かを特定するつもりはないさ。」


「嬉しいです。」

春菜がニコッと微笑む。この笑顔は最高だよ。


春菜の髪の毛に違和感を感じ、よ~く見てみると・・・

「春菜・・・、お前、ここに黒い髪の毛が1本生えているぞ。白髪だったら分かるが、黒いってのは初めて見るな。」


「そ、そうですか!恥ずかしい・・・、抜きます。」春菜は慌てて抜いた。


「黒い髪の毛で思い出したが、昔、『嫉妬の女神』と言われた女神も黒い髪だったと聞いた事があったな。」


「夏子、それって一体どんな女神だ?」


「その女神というのは、文字通り嫉妬に狂った女神だったみたいだ。元々は慈愛の女神と言われていたが、自分の世界にいた1人の人間に恋して、その恋が重過ぎてて闇に堕ちたと聞いている。私や春菜が生まれる頃くらいに、創造神様とフローリア様に討伐されたと言われている。2人がかりでやっと倒せたくらいに強い女神だったみたいだ。」


恋が重過ぎるというのは、誰かを連想するが・・・

そう考えると、アイツも一歩手前か?ヤ、ヤバイぞ!


春菜が青い顔で俺を見ていた。

「春菜、その髪は偶然だろ。気にすんな。たった1本だけだし、髪の色が異常なものくらい出てくるよ。」


「そうですね・・・」


何か、春菜の様子が変だな。嫉妬の女神の事を知っているような感じがする。

まぁ、話したくない事かもしれないし、何かあったら話してくれるだろう。


「それで、夏子。この話っていつだったんだ?」

気になってしまったので、思わず聞いてしまったが、この選択は間違いだった事に後で気付くとは・・・


「私が生まれた頃だから、今から千年くらい前だな。」


「「あっ!」」「し、しまった!」


「せ、千年!そうすると・・・、お前と春菜の歳って・・・、見た目は俺より年下に見えるけど・・・」


空気が一気に凍りついた。い、息が出来ない!

2人の様子がおかしい・・・

そ、そうだ!千秋に助けを・・・

いない!逃げた?それだけ危険な話題か!


そうえば、フローリアが言っていた。

『ある程度の年齢に達するとほとんど成長しなくなります。』

『女はいつも乙女ですから、間違って聞いてしまってどんな目に遭っても知りませんからね!』


やってしまった・・・

俺が死ぬ未来しか見えない・・・


「あなた・・・」「旦那様・・・」

春菜と夏子がジリジリと迫ってくる。

「今まで絶対に年齢の話題に触れないよう、必死に努力していたのですが・・・」

「春菜、スマン・・・、うっかり言ってしまった・・・」

夏子が春菜に謝っている。

「とうとう、私達の歳を知ってしまったのですね。あなたが神族になって同じ体質になるまで黙っているつもりでしたが・・・、私が地球の常識ではとんでもないおばさんと思われるのは・・・」

「私もだ・・・、まだまだ若いつもりなんだが・・・」


大丈夫です。見た目はすごく若いし美人さんですから安心して下さい。

・・・

そう言っても聞き分けるような雰囲気ではないな・・・


「フローリア様と美冬さんは私達の10倍以上生きていますから、その方達と比べるとまだ若い方ですが、それでもあなたと比べてしまうと・・・」


おばさんというよりお婆さんでは?

いかん!思わず心の中で突っ込んでしまったけど、そんな事は口が裂けても言えん!

しかも、フローリアと美冬はそれ以上だと!

どう見ても若いぞ!特に美冬!若過ぎる!


気が付くと、俺の後ろにフローリアと美冬が立っていた。ニコニコ顔が更に恐怖を掻き立てる。


「旦那様・・・、とうとう知ってしまったのですね。春菜さんもバラさないで下さい。」

「ソータお兄ちゃん、だから言ったでしょ。私は大人だって。」


「「「「女に歳の話は禁句!」」」」


4人に前後を挟まれている。絶対に俺を逃がさない気だ。

ヤバイ・・・、この状況は本当にヤバイ!


「春菜さん、アレを使いましょう。頭部に強烈な衝撃を与えれば記憶が飛ぶと言われてますからね。」

フローリアが今までにないくらいの笑顔で微笑む。


「フローリア様、了解しました。」

春菜が自分の異次元収納から何かを取り出す。

これは・・・、ゴーレムの腕だ。しかも、あの金属の光沢。間違いない!神鉄ゴーレムだ!

春菜!いつの間にあんなブツを回収してたんだ!


「これなら、丈夫な旦那様にもちゃんとダメージを与えられますね。万が一撲殺してしまっても、私がすぐに蘇生魔法をかけてあげますから、殺される心配はありませんよ。」

フローリア・・・、言っている事がメチャクチャだぞ!

死ぬのが確定しているのに死なないと言い張るのか!


「ソータお兄ちゃん、痛いのが嫌なら一発で忘れてね。」


これは確実に死ぬ!しかも、忘れるまで殴り続けられるだと・・・

今までの中で最大級の拷問ではないか!

お前達、そんなに嬉しそうな顔で近づいてくるんじゃない!


そこまで歳を気にしてたのか・・・

思わず聞いてしまった俺がバカだった・・・


「それじゃ、美冬さん、キツ~~~い一発お願いしますね。」

「は~い。いくよ、ソータお兄ちゃん。」

美冬がゴーレムの腕を春菜から受け取って、俺の頭にむかって振り上げる。


「み、美冬・・・、俺はお前のお兄ちゃんだろ?お前はそんな事しないよな?」


「ソータお兄ちゃん。それとこれは別だよ。女の歳はデリケートな問題だからね。それじゃ、覚悟してね。」

「いくよ~~~~~~!」


「や、や、止めてくれ~~~~~~~~~~~~~~!」


4人に囲まれた俺の撲殺死体が出来上がった・・・




ゾーダを倒して半年経った。あの惨状から何とか生還した俺は無事に生きている。

もう絶対に歳の話はしないと誓った。


「マグナム・ブレイク!」


グシャ!「ぐべぇ!」


「アタック・ビット!一斉射!」


ズドドドドドドドッ!「うぎゃぁぁぁ!」


「はあ、はあ・・・、貴様ら、この私を追い込むとは・・・」


「旦那様~!ヤツの持ち込んだモンスターは千秋と一緒に全て片付けたぞ。」


「ありがとう、夏子。」

「もう、これで貴様も終わりだな。」


そう、俺達は邪神と戦闘中であった。


「この野郎ぉぉぉ!私1人に寄ってたかって袋叩きにするとは・・・、恥ずかしくないのか!」


確かに言う通りだが・・・、しかし!


「それは言うな・・・、ヒーローや戦隊ものに憧れている子供達に聞かれてはマズイ事だ。大人の事情ってものを知らないとは、情けない・・・」


「無蒼流奥義!無塵斬!」


「ぐぎゃぁぁぁぁぁーーーーー!」


塵となり、クリスタルだけが残った。


「この半年でかなりの邪神を倒したから、神格は上がっているのかな?状態が全然分からん。」


【お答えします】


頭の中に声が響いた。


【お、フローリアか。】


【はい。旦那様はもう最上級クラスの天使まで神格が上がってますね。もう少しで人神になれますよ。あと少しです。頑張って下さい。】

【春菜さんは、おっ!女神クラスまで上がってますよ。女神に覚醒するのを楽しみにしてますね。】

【夏子さんと千秋さんは、最上級天使になってますよ。】

【美冬さんは・・・、元々が神獣で神ですからねぇ・・・、現状維持っという事で。】


「そうか・・・、あと少しか・・・、目標が分かると、もっと頑張れるな。」

「それにしても、みんなも頑張ってるな。特に春菜、すごいじゃないか。女神になれるなんて。」


「資格があるだけで、女神になるには覚醒しないといけませんからね。私は女神になるよりも、みなさんとずっと一緒にいたいです。」


「そうか・・・、そう言ってくれると嬉しいよ。」


評価、ブックマークありがとうございます。

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