世界②
「では説明しますね。」
「この世界は基本的に地球とそんなに変わりません。空気も重力も地球に合わせてありますので、旦那様がいきなりここに来ても違和感はなかったでしょ?」
「時間も1日24時間、365日で1年です。暦も1~12月となっていますよ。」
「それに言語も日本語にしてありますから、生活するには全く問題ないはずですよ。」
確かに・・・
全く違和感なしでここで生活しているしなぁ・・・
言葉も普通に通じているし、町中の文字も確かにほとんどが日本語だ。
それにしても、女神って本当にスゴイ存在なんだな。世界を創造するなんてスケールが大き過ぎて、俺にはさっぱり分からん。
「最終的にはこの世界は旦那様に管理してもらうつもりでいますので、あまり変な事をしたらダメですよ。神格を得たら、旦那様は神の一員になるのですからね。」
そうなんだ。何か神ってどこかの公務員みたいだな。フローリアが中央官僚勤めで、俺が地方公務員みたな感じがする。
「さすがに1から世界を作るのは大変でしたので、元々あった世界を地球に合わせて少し改良しています。多少地球と違うのは勘弁して下さいね。」
「世界の大きさは地球の1/4くらいの広さです。そして、大きな大陸が一つだけあります。国も1つですね。その方が分かりやすいでしょ。国は1つだけですが、獣人などが独立した自治区みたいなものも多数存在してますから、今後は見に行くの面白いでしょうね。旦那様はエルフや獣人にかなり興味がありそうですし・・・」
確かに、人間以外の種族はとても気になる。異世界の定番だからな。
「ここまでは分かりました?」
「大体、理解出来たと思う。」
やはり、フローリアはすごい。絶対に夫婦喧嘩は出来ないな。そんな事したら間違いなく瞬殺だろう・・・
「この世界は出来てからそんなに経っていませんから複雑にはなっていませんよ。それでも、私の管理外の事も起きる可能性がありますので、注意して下さいね。」
「国の方ですが、国王を中心とした貴族社会になっています。各貴族が領主となって各地を治めていて、その領地にある街の1つがこの街になります。旦那様はかなり目立つ事をしていますので、今後、領主から呼び出しがかかる可能性は否定できないですが・・・」
「そういえば、今、思いついたのですが・・・」
「旦那様がこの国の国王に成り代わり、世界を治めるというのはどうです?旦那様に勝てる人間はいませんし、軍隊が相手でも1人で大量殲滅も可能ですからね。言うことを聞かない人間はどんどん粛正して、旦那様による旦那様だけの都合の良い国をつくるとか?そして、城も旦那様を讃える為に大きく作り直して、奴隷を駆使して豪華絢爛に・・・、毎日3回は旦那様を讃える祈りをして、国中の美女を周りに置き、数百人のハーレムを作って・・・、反乱は旦那様と私の魔法で殲滅・・・、そして、誰も私達に逆らえない・・・」
フローリアの目が据わってきているような・・・
「レッツ!虐殺!どうです!」
「旦那様の都合の良い国なんて・・・、私もお手伝いしますわ。あぁ・・・、何て素敵な国・・・」
ヤバイ!フローリアの目がイッてる!
「フローリア!目を覚ませ!」
「はっ!わ、私は一体・・・」
「大丈夫か?そのままお前の妄想が暴走すれば、危うく俺とお前が大量殺戮兵器としてこの世界に君臨するところだったぞ。」
「も、申し訳ありません・・・、あまりにも楽しい想像だったもので・・・」
「俺は別に国の頂点に立つつもりもないし、虐殺なんてもっての外だぞ。みんなでのんびり楽しいスローライフ希望だ。そうなるように努力しような。」
さっきまでフローリアの事はすごいと思っていたが・・・、前言撤回だ!
やはり、ポンコツ駄女神だ・・・
「それと、神界はどんなところなんだ?」
「そうですね。大雑把に言えば、この世界と大差はありませんよ。神界を中心として枝分かれして数多くの世界が存在します。分かりやすくいえば、パラレルワールドみたいな世界構成ですね。その世界の中の1つが地球であり、この世界でもあります。」
「そして私のような女神や上位神が管理を行っています。管理と言っても直接手を下すような事は極力しません。人々にさり気なく加護を与えたり、魂の輪廻の管理が主です。中には、直接手を下し、人々に災いをもたらすバカ神もいますが・・・」
「あまりにも酷い神は邪神扱いとなり、粛清の対象になります。」
「私に未だに求婚をしている神のほとんどが、このようなバカ神ですよ。頭のまともな神は断るとすぐに諦めてくれたのですが・・・、バカ神共は、私には心に決めた人がいると言っても聞かないし、旦那様の存在を知っても、旦那様を殺してでも私を妻に迎えたいと思っていますし・・・、私もあんな宣言をした事を限りなく後悔しています。」
「フローリア、気にすんな。俺が負けなければ良いだけだ。それに、そんなバカ神だったら俺も遠慮なく戦えるよ。その為にも、俺はもっと強くならないとな。」
「旦那様・・・」
「湿っぽい話は終わりだ。次の説明を頼む。」
「はい」
「神族は旦那様の日本の神話にある『八百万神』の様に、とても多くの種族があります。私達みたいな姿もありますし、動物や植物など、機械みたいな姿の神族もいますね。その神族を束ねるのが創造神様になります。ほとんどが、各地で種族ごとに部族を形成して住んでいますよ。農村みたいな所もありますし、近未来的な都市で住んでいる神族もいますね。」
「神族はかなり閉鎖的な面もありますので、部族の交流は少なく、神界に住むとなると神格と言った特別な魂が必要となるのですよ。春菜さん達天使は神族に仕える一族ですね。天使も神格が上がれば神族として認められ、自分の世界や権限を与えられます。私もかつてはただの天使でしたから・・・」
「そんな天使からここまでになるなんて、フローリアはすごい天使だったんだ。」
「そう大した事はしてませんよ。私が天使だったこ頃は神界は戦争みたいな状態でしたし、敵を全て殲滅していたらいつの間にか女神になってしまっていましたからね。」
「神の国でも戦争はあるんだ?」
「そうです。その頃は新しい創造神様を決める戦いでかなり激しかったですし・・・、今ではもう平和ですから安心して下さい。ただ、今でも部族での対立は残ってますから、完全に安全とは言えませんが・・・」
「そんなに気にする程でもないんだろ?神とはいえ、それならどこの世界でも一緒だな。」
「そうです。」
「身体的にも人間とそう変わりません。種族によっては人間離れした者もいますが、寿命、身体能力、翼、魔法が使える事などを除けば、体の構造も似ています。」
「ですから、神族も天使族も男女が番いになって子を為し、子孫を残していくのも人間と同じです。ただ、神族も天使も寿命が永遠と呼べるくらい長いので、子孫を残す考えはあまりないです。寿命は長いのですが、子供の時期は人間の成長速度よりちょっと遅い感じで、ある程度の年齢に達するとほとんど成長しなくなります。」
「個人差はありますが、人間で言えば15歳から20歳くらいですね。ですから、私達に歳を聞くのは絶対に止めて下さい。女はいつも乙女ですから、間違って聞いてしまってどんな目に遭っても知りませんからね!」
「わ、分かった・・・」
「子孫を残すことに執着しないと言っていたけど、美冬以外のお前達はみんな子供を欲しがっているよな?」
「それはですね・・・」フローリアの顔に影が差した。
ヤバイ・・・、地雷を踏んだか・・・
「いいよ。話したくない事情みたいだったし、聞いた俺が悪かった。」
「いいえ、気にしなくても良いです。春菜さんや千秋さんの子供の頃の事情はお聞きになっているでしょうが、私も実は孤児で親を知りません。ですから、親というものにすごく憧れがあります。そして、旦那様の地球での生涯の時に、沢山の子供達に囲まれている光景がとても羨ましいのです。」
「だから、みんな子供達の世話を喜んでやっているのか・・・」
「そうです。だから、旦那様、頑張って下さいね。」
「善処します・・・」子供の質問は地雷でなく藪蛇だった・・・
「旦那様、今夜は頑張りましょうね。夏子さんと渚さんも一緒に。さっき、約束しましたし・・・」
逃げる作戦を考える暇も無かった・・・
フローリアの笑顔が怖い・・・
頑張るか・・・
しかし、本当に不思議だよな。
地球にいた頃なんて全くモテた事なんてなかったのに、転生させられてからというもの、一気にモテ期が来ている。
フローリアは暫定といっても確定と同じだし、その他にも3人(渚を入れると4人かな?)の妻があっという間に出来てしまっているんだよな。
それも、交際期間というのは無しで、相手からプロポーズされて結婚している。
交際期間は無かったけど、旅を始めてから一緒に暮らしているから同棲みたいなものからの結婚か。
それにしても短い期間だよな。
何故なんだろう・・・
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