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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第1章
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ダンジョンでの戦い③

「シナリオ通りに動くとは、やはりゴミ虫。全ては私の掌の上で踊らされる運命だ。神に楯突く愚か者め。」そう言いながら、張り付けにされた春菜と一緒に岩山の上から浮遊魔法を使い、降りてきて俺の前に立った。


「き、貴様!」


「五月蠅い・・・」


全く動けない俺の腕に氷の槍が刺さった。


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「黙れ、ゴミ虫が。」


更に何本もの槍が刺さる。あまりの痛みで声が出ない。


「蒼太様ぁぁぁ!!!」春菜が叫ぶ。


「くくく、どうだ?這いつくばった虫の気分は?もちろん、すぐには殺さん。急所を外しながら槍を打ち込んでやるし、一体何本まで耐えられるかな?死ぬ前に気が狂うかもな?」

「いくら私の力が上でも女神の加護は侮れん。この鎖は加護を封じる。今のお前は普通の人間だ。どう足掻いても絶望の未来しかないよ。分不相応のゴミ虫を断罪する神罰だ。」


く、くそっ!体が動かん!


「それでは神罰の始まりだ。」


1本づつ俺の体に槍が刺さる。そのまま気を失った方が楽になれるのに、気を失いそうになると新たに槍が刺さり、激痛が俺を襲う。


「蒼太様ぁぁぁぁぁ!止めてぇぇぇぇぇ!」春菜が絶叫している。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


「思ったよりもしぶといな。まだまだ楽ませてくれよ。」


「デスブリンガー様!どうかお止め下さい!私が何でも言うことを聞きますから、蒼太様を助けて下さい!」

「お願いしますから・・・、お願いです・・・」泣きながら春菜がデスブリンガーに懇願している。


「ふ~ん・・・」

「そうだな、よく見ればお前もフローリアに匹敵する程の美しさだな。フローリアの次の第2夫人になるなら考えでもないか・・・」


「それでは・・・、蒼太様は・・・」


「バカか!それでこのゴミ虫が助かる訳がないだろう。なぶり殺しにされるのを見てるが良い。まぁ、妻に迎えるのは悪くないな。お前からゴミ虫の記憶を無くし、私だけを愛するように心を変えてやろう。」


「や、止めろ・・・」


デスブリンガーが春菜の頭の上に手を広げると、黒いもやの様なものが春菜の頭の周りにまとわりつく。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!な、何か私の心の中にぃぃぃ~~~!」

「やだ!やだ!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~!」


「ふふふ・・・」


「あぁぁぁぁぁぁ!」「いやぁぁぁぁぁぁ!」


「意外としぶといな。さすがフローリアの愛弟子。頑張ってレジストしてるが何処まで耐えられるやら?ふふふ・・・」


「蒼太様ぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~!」


「無駄だ。」


バキンッ!


「何だ?ゴミ虫の方から音がしたが・・」


デスブリンガーが蒼太の方を見ると、蒼太に巻き付いていた鎖が全て弾け飛んでいた。そして、体中に槍を刺されながらの姿でゆっくりと立ち上がり、鬼のような形相でデスブリンガーを見つめていた。


「し、信じられん!な、何があった!」「そ、蒼太様・・・」


蒼太の体から信じられないようなプレッシャーが発せられる。


「ふんっ!」


蒼太が全身に力を入れると、全ての槍が抜け吹き飛んだ。そして、全身から信じられないくらいの量の青いオーラが立ち上り、全身の傷が一瞬のうちに回復する。


「貴様ぁぁぁ!よくもうちの子を泣かしたなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「な、何故だ!この鎖は女神の力をも封印するものだぞ!何でただの人間がそこまで・・・」


「だからぁぁぁ!うちの子を泣かしたなって言ってんだろ!もう完全に怒ったぜ・・・」


「貴様のようなゲスはもう絶対!に許さん!」


デスブリンガーがいくつもの魔法を放つが、蒼太が纏う青いオーラに当たると全て消滅してしまった。


「い、一体何が・・・、ま、待て!・・・、このオーラの波動は覚えがある・・・」

「ま、まさか!それこそあり得ん!このオーラはあの神界大戦の英雄の1人ブルー・・・」

「確かあのお方は無くなったはず・・・し、信じられん!!!」


「凍牙!」蒼太がそう叫ぶと、右手に刀が現れ、鞘から抜く。


「無蒼流秘奥義、終の型・・・」

「乱れ!」横なぐりの吹雪のような無数の突きがデスブリンガーを襲う。

「雪!」一筋の横の斬撃が走る。

「月!」三日月の弧の様な美しい袈裟切りが走る。

「花!」下から放射線状に上る無数の切り上げがデスブリンガーに止めを差す。


「ば、バカなぁぁぁぁぁ!」


そう言い残してデスブリンガーは塵となり、足下に青いクリスタルだけが残った。


クリスタルを手に取ると輝き、俺の中に吸収されていった。


「春菜?」


春菜は近くにぐったりと横たわっていた。慌てて近寄り抱き起す。


「春菜!、春菜・・・」


春菜がゆっくり目を覚まし、その目から涙が溢れ出てきた。


「そ、蒼太様・・・、ご無事で・・・」そう言って、春菜が蒼太に抱き付く。


「あぁ、大丈夫だ。春菜、怖い思いをさせて悪かった・・・」


春菜はしばらく蒼太に抱き付いていたが、落ち着いたのか静かに離れた。そして蒼太を見つめ、再び抱き付きキスをした。


お互いの唇が離れ、見つめ合い長い沈黙が続いたが、春菜が口を開く。



「蒼太様・・・、好きです・・・」



「うっ!」長い沈黙が続く。


「春菜・・・、お前の気持ちは分かった・・・」

「しかし・・・、お前の気持ちには応えられない・・・。俺にはフローリアがいる・・・。フローリアを差し置いてお前と一緒になるなんて出来ない・・・」

「そしてな・・・、お前の事は確かに好きだが、俺の子供か孫みたいな感じの好きなんだ・・・。お前を女として見ての感情は・・・、すまん・・・」


「そうですね・・・、さっきも私の事を『うちの子』と言ってましたし・・・」

「蒼太様、私をあなたの子供としての扱いでも構わないので、一緒に居させて下さい。よろしくお願いします。」

ニコニコ笑いながら春菜がそう言ってきた。


「そのぉ~、ホントにすまん・・・」


「大丈夫ですよ。」


「じゃ、みんなのところに戻ろう!」「はい!」




扉の前に来たが開かない。


「弱ったなぁ・・・、どうしよう・・・」


どうやって開けるか蒼太が悩んでいたが、右手に握られた刀が淡く発光した。


「凍牙、何とかしてくれるのか?それじゃ・・・」


刀を構え扉に対して切り込んだところ、扉はあっさり両断された。


「スゲー切れ味だな。凍牙、これからもよろしく。」


前の部屋に戻ると美冬が寝そべっていた。


「美冬!」「う~、お腹イッパイ。もう食べられない・・・」


「間際らしいなぁ~、心配したぞ。」


「大丈夫。さの時も言ったが問題ない。ソータ、その手に持っているのは?」

美冬が手に持っている刀を見た時、一瞬、耳と尻尾がピクンと反応した。


「あぁ、凍牙か。これは俺の大事な相棒だという事だけしか分からない。全く知らないはずなのに、良く知っている気がするんだ。何故か名前まで知っている。」

「今は顕現しているが、こうやって消す事も出来るんだな。」そう言うと凍牙が淡く光り、蒼太の右腕の中に消えていった。


「ふ~ん・・・」美冬の反応が何か変だ。


その瞬間、前方の扉が爆発し、夏子と千秋が現れた。


「いやぁ~、敵はそこそこだったけど、扉を壊すのが一番大変だったよ。」みんなの安全を確認して安心したのか、夏子が嬉しそうに言った。


「それにしても・・・、2人ともボロボロだな。特に蒼太殿。」


「まぁ、死にかけたけど何とかなった。春菜のおかげだよ。」


「いえ、私は大した事してませんよ。デスブリンガーを圧倒した最後の剣技は見事でしたね。」


「ちょっと待て!デスブリンガーだと!」夏子が驚愕した顔になった。

「本当に勝てたのか・・・、蒼太殿は何処まで規格外なんだ・・・」


「本当にすごかったです。」春菜がニコニコした顔で言う。


夏子、千秋、美冬がお互いの顔を見合わせ、春菜を見る。「「「春菜・・・」」」


「いえいえ、何もありませんよ。」


「そうか・・・」千秋が少し不安そうに言った。


「まあまあ、こうやって無事にみんな合流出来たからさ。みんな、帰ろう!」


「「「「は~い!」」」」




俺はみんなと無事に合流出来た事で少し浮かれていいた。それで春菜のつぶやきが俺の耳に入る事が無かった。





さよなら・・・



蒼太様・・・



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