機械神族㉝
すみません。色々と忙しくて間が空いてしまいました。
スタッ!
フローリアと美冬の前に降り立った。
2人は真剣な眼差しでジッと俺を見つめている。
「旦那様・・・」
「ソータ・・・」
美冬が1人で前に出てくる。ギュッと俺に抱きついた。
「お帰り、ブルー様・・・」
(美冬・・・)
「凍牙お兄ちゃんと一緒に里から出ていって、やっと帰ってきてくれたんだね。お兄ちゃんは10年前に帰ってきたから『お帰り』って言えたけど、ブルー様にはずっと言えていなかった。」
よく見ると美冬が泣いていた。
「やっと、やっと、『お帰り』って言えた・・・、ブルー様、大好きだったよ。でもね、ブルー様よりも素敵な人を見つけちゃった。ゴメンね・・・、私はその人に幸せにしてもらっているの。可愛い子供も出来たし、たくさんの仲間にも出会えて、今は里から出て一緒に暮らしているの。毎日が騒がしいけど、とても楽しいよ。だから、ブルー様も安心して、私はもう大丈夫だから・・・」
「美冬・・・」
優しく美冬の頭を撫でると、ゆっくりと顔を上げてジッと見つめている。
「ありがとう、ブルー様・・・、私はもう子供じゃないからね。」
「そして、さようなら・・・、私の初恋の人・・・」
美冬が優しくキスをしてくれた。ゆっくりと俺から離れる。
そしてニコッと微笑んだ。
「ソータ、ありがとう。ずっと言えなかった言葉が言えたよ。これで、私の心の整理は付いたわ。」
「そうか・・・、お前も辛かったんだな。」
しかし、首を横に振る。
「ううん、違うよ。ブルー様の事が好きな私と、ソータの事が大~~~~~~~~~好きな私が1つになれたのよ。だからね、ソータ、大大大大大~~~~~~~~~~~~~~~~~~好きだからね。もう、これからは遠慮しないから、今夜は早速、えへへへぇぇぇ・・・」
目がギラギラと輝き、ペロッと舌舐めずりをしている。
ヤバイ!美冬が捕食者モードに入っている!いや!コレは『超』捕食者モードなのか!さっきまでの湿っぽい空気は一体何だったんだ!
それに、今までの美冬は遠慮していたって!夜のお前はフローリアの次に激しいんだぞ!
そんなお前がリミッターを外したらどうなる?
俺がカラカラに干からびる姿しか思い浮かばない・・・
アイリスのさっきの言葉はフラグだったのか?
今の美冬からは、かつて1週間監禁生活された時のフローリアよりも凶悪なオーラが出ているのが見える!
(頼む!誰でもいいから助けてくれぇえええええ!)
「こら、落ち着きなさい、美冬さん。」
ベシッ!
「キャンッ!」
フローリアが美冬にチョップを喰らわし、喰らった美冬は痛そうに頭を押さえていた。
(た、助かったぁぁぁ~~~)
「あいたたたぁぁぁ・・・、フローリア、もう少しで頭が真っ二つに割れるところだったわよ。少しは手加減してよ。」
しかし、フローリアは優雅に微笑んでいる。
「美冬さん、私がお話をしないうちに暴走しないで下さいね。私も色々と言いたい事があるんですからね。」
(マジかい・・・、コイツには何を言われるんだ?)
フローリアが微笑みながら俺の前に立った。
「ブルー様・・・」
パアァアアアアアアアアアッン!
「うっ!」
フローリアに思いっきり頬を叩かれた。
(一体何を!)
しかし、フローリアの目には涙が溜まっていて、ポロポロと泣き始めた。
「フローリア・・・」
いきなりフローリアが抱きつき、顔を上げ泣きながらジッと俺を見つめている。
ずっと泣いていたが、我慢出来なくなったのか俺の胸に顔を埋めた。
「ブルー様、あなたに助けていただいてから、ずっとあなたの事を想わない日はありませんでした。最初は恋だとは思わずモヤモヤした日々を過ごしていましたが、再びお会いした時にハッキリと自覚したのです。」
顔を上げ俺にキスをしてきた。ゆっくりと離れ再び見つめ合った。
「あなたの事を好きになっていたと・・・、そして、それは私の初恋でした・・・」
フローリアが黙ってしまった。沈黙が流れたが、フローリアが口を開いた。
「何で!何で、勝手に死んでしまったの!私を置いて!あの時のあなたはわざと負けて死んだのね・・・、私には分かるわ。そうしないと、いつまでも戦乱が続くと分かっていたのね。あなたは優しい天使だったわ。だけど、その優しさが私をずっと悲しみの底に沈めていたのよ・・・、今のビンタは私をずっと悲しませたお返しよ。」
「すまん・・・、そこまでお前は俺の事を・・・」
しかし、フローロアがニコッと微笑んでくれた。
「大丈夫よ。このビンタで帳消しにしてあげますからね。だって・・・」
ゾクッ!
(何だ!この悪寒は!)
「今の私は旦那様一筋ですからねぇええええええええええええええ!このビンタは美冬さんと同じ、過去の私との決別のけじめですよ!これでもう旦那様だけの事を考えられます!」
フローリアの目からハイライトが消えた。にたぁ~と笑っている。
(怖い!怖い!怖過ぎるよ!)
「さぁあああああ!これでもう私の心残りはありませんよ!ずっと旦那様の事を想い、ずっと旦那様を愛し、ずっと旦那様と一緒にいられる!うへへへぇぇぇ~~~~~~、旦那様、もう私から逃げられませんよ。まぁ、私から逃げるなんて絶対に不可能ですけど!」
「美冬さん!」
「フローリア!準備OKよ!」
「さすが美冬さんね。これで遠慮せずに旦那様と愛し合えるのね・・・ずっと永遠に・・・」
ヤバイ!このままではアイリスの言った通りになってしまう!
いや!もっとヤバイ状況に陥るかもしれん!
(フローリアに悪いが緊急脱出だ!このブルーの身体能力なら逃げれるはずだ!)
ガシッ!
フローリアがガッチリと俺を抱きしめている。
「何だ!動けない!」
(マズイ!フローリアの馬鹿力がここまで凄まじいとは!このブルーの体でもこいつのヤンデレパワーの足元にも及ばないのか?いかん!このままでは2人がかりで襲われてしまう!)
「ふふふ、旦那様、無駄ですよ。今の私はハイパー・フローリアとなっていますからね。もう誰にも私を止められませんよ。」
フローリアが美冬に視線を移した。
「さぁ!美冬さん!2人で愛の逃避行よ!徹底的に旦那様を味わうのよぉおおおおおおおおおおお!骨の髄だけでなく、魂までも!」
「分かったわ。ソータ、覚悟してね。本気の私を見せてあげるからね。ふふふ・・・」
お前等!いい加減に目を覚ましてくれ!
この状況を打開出来る存在といえば・・・
「デウス、頼む!お前だけが頼りだ!」
デウスがニコッと微笑んでくれた。
(良かった、どうやらデウスが動いてくれるようだ。いくらフローリアでもデウスなら少しは話を聞いてくれるはずだ。)
「フローリア、今夜は程々にな。明日は私と蒼太の番だから、それを忘れるなよ。我慢してお前達に蒼太を譲るのだ、約束を破ったらどうなるか分かっているだろうな?」
オー!マイ!ガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
神よ!俺に味方はいないのかあぁああああああああああああああああああああああ!
フローリアがとても良い笑顔でデウスに微笑んでいる。
「デウス様、ちゃんと約束は守りますよ。だから、明日は楽しみにしていて下さいね。」
デウスがニヤッと笑う。
「ふふふ、楽しみにしておくよ。私も明日はとうとう女の悦びを覚える事が出来るのだな。女の体になってこんなに楽しみな事はないよ。」
「エリー!」
「はい、母様・・・」
エリーがデウスの横に立った。
「エリーよ、お前も明日は私と一緒に蒼太に愛してもらうぞ。楽しみにしておれ。」
「母様、ありがとうございます。私も蒼太様に愛してもらえるのですね。とても楽しみです。」
ニヤッと肉食獣のような鋭い視線を俺に送って、ペロッと舌なめずりをしている。
「デウス様、これをどうぞ。本当は私の番の時に使う予定だったけど、この様子だと私の番はしばらく来そうにないからね。」
アイリスがデウスに何か小瓶のようなものを渡している。
「何だ?ほほぉ~、アイリス、気が利くな。『超絶ウルトラスーパーデラックスハイパー精力剤』か・・・、確かに明日の蒼太の様子はちょっと怪しいからな。これを明日の夜に飲ませれば完璧だ。蒼太よ、明日の夜は覚悟しておれ・・・」
小瓶を見つめながらデウスがにたぁ~と笑っていた。
終わったぁぁぁ・・・
「さぁ、旦那様、私達のエデンへ・・・」
「ソータ、愛してるよ。」
フローリアの転移魔法で連れて行かれてしまった。
「行ったか・・・」
デウスがボソッと呟いた。
「あの様子だと、明日の蒼太は大丈夫かな?まぁ、あいつなら何とかなるだろう。あの2人相手だ、ちょっと同情するがな。」
そして、後ろに振り向く。
「サリーよ、回復したか?」
「はい、おかげ様で無事に機能は回復しました。敵であった私に対して慈悲をいただけるとは・・・、感謝します。」
サリーが片膝を着きデウスに頭を下げていた。
「まぁ、今回は相手が悪過ぎただけだ。このメンバーだと1人でもこの都市そのものを焦土にするのも可能な力の持ち主ばかりだから、手加減されて良かったな。それに、すぐに帰ってゼウスのボディを作らないとな。ゼウスの人格はちゃんとあるから、ボディだけの製作だ、そんなに時間はかからないだろう。」
「な、何と仰いましたか?」
サリーが驚愕の表情でデウスを見ている。
「うん、良く聞こえなかったか?お前達の真のマスターの体を作ると言ったのだぞ。」
「ほ、本当に・・・」
「ふっ、私を誰だと思っている。私は出来ない約束はしない。」
「あ、ありがとうございます。」
サリーが涙を流しながら頭を下げていた。
「感謝するなら蒼太に感謝してくれ。私も蒼太から幸せをもらった。その幸せのお裾分けをお前達にしてあげるだけの事だ。私と蒼太の願いは、この都市を笑いの溢れる都市にする事だ。もちろん、お前達にも手伝ってもらうからな。」
「はい、この事はマスターである蒼一郎様の悲願でもあります。この身はその為にありましたので、如何様にでも私をお使い下さい。」
デウスがニコッと微笑んだ。
「ふふふ、期待しているぞ。」
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