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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
182/184

機械神族㉜

「デウス、やっと戻ってきたぞ。」


デウスはお姫様抱っこの状態だけど、嬉しそうな表情で俺の首に両腕を回して抱きついている。


(それにしても長いトンネルだったなぁ~、どんだけ地下深くに作られていたんだよ・・・)


グルッと周りを見渡してみると・・・


(はい?)


俺の目の前に巨大なロボットがボロボロの状態で横倒しになっていた。


(おいおい、何でこんなところで某シーンで見かけたラストシューティングの光景が目に入るのだ?まぁ、多分フローリア達の仕業だな。あの時の通信もかなり切羽詰まっていたしな。ホント、生身で巨大ロボット軍団も平気で倒すなんて、恐ろしい連中だよ。)


視界の先にフローリア達の姿が見えた。春菜達もいる。

「うわぁ~、アイツらがいれば納得だよ。逆に機械神族の方に同情するな。どれだけの損害が出たのやら、損害賠償請求されない事を祈る・・・」


(多分、正当防衛が成り立つと思うが、過剰防衛と言われても仕方ないかも・・・)


デウスの方に視線を戻すと、ニッコリと微笑んでくれている。もう、あの陰険眼鏡おじさんのイメージは俺の中から完全に無くなっている。

本当に可愛い。

「そんなにお姫様抱っこが嬉しいのか?」


「あぁ・・・、ずっとこうしていて欲しいくらいだ。今の私は女としての幸せを噛みしめている。」


ギュッと俺を抱きしめて頬にキスをしてきた。

「蒼太、愛しているぞ。この姿をアイツらに見せつけてやらんとな。ふふふ・・・」


(勘弁してくれ・・・、更なる修羅場はゴメンだぞ・・・)



一方、春菜達の方は・・・


(春)「はわわわぁぁぁぁぁ、フローリア様から映像で見せてもらいましたけど、あのデウス様が・・・、こうして直接見るまで信じられませんでしたが、本当に女の人になったのですね。」


(夏)「しかもだ!見た目はクローディアとソックリなのに、ヤツとは全く違う女の色気を感じるぞ!あの色気には正直勝てる気がしない・・・、さすがはデウス様だ。」


(千)「確かに・・・、ヤツと違いあの余裕な態度が更に色気を醸し出しているのかもしれん。あのデウス様の姿には私も惚れてしまいそうだ。さすが最強神の1人だ、我々も女として見習わないといけないな。まぁ、同じ見た目でもヤツは参考にもならないけどな。」


春菜達の後ろから圧倒的な殺気が溢れ出している。

「き、貴様等ぁぁぁぁぁ・・・、随分と言いたい事を言うな・・・、私はそんなに色気が無いのか?」


「えぇ・・・」「そうだ!」「当然だろうが。」

3人が同時に頷く。


クローディアは真っ白な灰になった。


「以外と豆腐メンタルでしたね。」

相変わらずのニコニコ春菜だった。


「こらぁああああああああああああ!」


クローディアが復活した。


「貴様等!今回は負けを認めてやる!次は私も淑女として恥ずかしくないようにしてやるからな!この美貌と胸は誰にも負けん!」


(春)「はいはい、でもクローディアさんには無理だと思いますよ。」


(夏)「確かにな・・・、お前は分かっていないのか?お前の立ち位置というものを・・・」


(千)「可哀想に・・・、『弄られキャラ』となっていた事に気が付いていなかったなんて・・・、恨むなら作者を恨む事だな。我々ではどうしようも出来ない・・・」


わざとらしく3人がおいおいと泣く真似をしていた。


クローディアは四つん這いでガックリと落ち込んでいた。

ゆっくりと顔を上げてアイリスの方へ視線を移す。

「アイリス、お前なら私の素晴らしさを分かってくれるよな?」


しかし、アイリスが微動だにせず1点を凝視している。


「何処を見ている?」


アイリスの視線を追うと蒼太達の姿が目に入った。


「アイリス・・・」


クローディアが何度もアイリスに呼びかけるが反応が無い。

不思議そうな表情でアイリスに近づいて気が付いた。

「アイリス、お前、目がハートになっているな・・・、本当にどうした?」


すると、アイリスの全身から真っ赤なオーラが噴き出してくる。


「本当に何が起きているのよ?」


突然、春菜達が身構えた。

「クローディア、これはアイリスであってアイリスでない!離れろ!」

夏子が叫んだ。


「うへへへぇぇぇ~~~~~」

ニタァ~とアイリスが笑う。口からは涎が垂れていた。


「このオーラは!まさか、甦ったのか?あの災厄の女神が!旦那様のあの姿を見て!」


アイリスが両手を広げた。何故か指先がワサワサと動いている。

「あぁあああああああああああああああああああああ!ブルー様ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

大きく翼を広げ一気に飛び上がり、蒼太へと猛スピードで飛んでいく。


春菜が額に手を当てガックリした表情になっていた。

「やっぱり甦りましたか・・・、世界を滅ぼすほどブルー様の事が好きでしたからねぇ・・・」



「ブルー様ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!愛してますぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!」


超高速でアイリスが俺目がけて飛んでくる。


(何だ!この迫力は!いつものアイリスと全く違うぞ!)


「それに怖い!怖すぎるよぉおおおおおおお!」

思わず抱いているデウスをギュッと抱きしめてしまった。


デウスがちょっと不機嫌な表情で俺を見ている。

「蒼太よ、ちょっと痛いぞ。まぁ、アレは確かに怖いし気持ち悪いから、お前の気持ちも分からなくない。」

チラッと迫って来るアイリスを一瞥してため息をついた。

「馬鹿者め・・・、私と蒼太の楽しい時間を邪魔するとは・・・、身の程を思い知らせてやる。」


「ブルー様ぁああああああああああああああ!この私の熱いパトスを受け止めて下さぁあああああああああああああああああああああああああああああああっい!!!!!!!」


目をハートにし口をタコのように尖らせながらアイリスが突っ込んでくるが、デウスは「はぁ~」とため息をしてから右手を前に突き出した。


ガシィイイイイイイ!


「あがっ!」


「これはぁあああ!」

思わず叫んでしまった。


デウスが見事なアイアンクローをアイリスの額に極めていた。

じたばたと悶えているが、デウスの右腕はビクともしない。


「痛い!痛い!痛いです!ギブ!ギブ!ギブゥウウウウウウ!」

アイリスがじたばたしながら悲鳴を上げている。


「黙れ、アイリス。いや、今はガーネットかな?」

デウスがニヤニヤ笑いながらアイリスの頭をギリギリと締め上げている。


「ガーネットだと!」


「あ、頭がぁぁぁぁぁ~、脳みそが爆発するぅぅぅ~~~~~」

デウスにアイアンクローを極められじたばたしていたアイリスだったが、しばらくすると動きが止まりぐったりした感じで手足をだらんとして大人しくなった。


まだアイアンクローを極めたままのデウスが俺の方を向きニコッと微笑んだ。

「そうだ、今はガーネットの意識が出ている。アイリスのサブの人格になってしまっても、いきなり主人格を押しのけて出てくるとは、本当にお前の事が好きなんだな。」


まだギリギリと締め上げているので、アイリスがピクピクしているぞ。そろそろ本格的にヤバいかもしれん・・・


「蒼太よ、心配するな。こいつはこれくらいで壊れるほどやわでないわ。まぁ、これで少しは大人しくなったかな?名残惜しいが、私は寛大だ。お前に抱かれる役はガーネットに譲るとしよう。」


デウスがふわりと浮き俺の腕から離れた。背中から大きな白い翼が現れ俺の前で浮いている。

「私のナノマシンボディはこれくらい芸当は簡単に出来るよ。」

ドヤ顔のデウスがピクピクと痙攣を起しているアイリスを俺に向けて放り投げた。


「おっと!」


慌ててアイリスを両手で受け止める。

(えらい扱いが雑だよ・・・、もしかしてちょっと怒っているのかもな?)

ピクピクしているアイリスを見ると・・・


白目を剥いて口から泡を吹いて気絶していた。


(うわぁ~、色々と残念な状態だよ。あのアイリスを軽く瞬殺するなんて、やっぱりデウスだけあるわ。怒らせないようにしよう・・・)


「さて、アイリス、いやガーネットを起こすか。」


回復魔法をかけると、白目を剥いて残念だった表情が、いつもの可愛い表情に戻り気持ち良さそうに眠っている。


「アイリス・・・」


しかし起きない。


「困ったなぁ・・・、なら、ガーネット、大丈夫か?」


パチッとアイリス(ガーネット)が目を開いた。


次の瞬間


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


言葉にならない声を上げて、俺の腕の中でじたばたと暴れている。


「頼む、静かにしてくれないと落ちるぞ。」

そう話すと落ち着いたのか、やっと静かになった。

しかし、アイリスの顔が今にも火が出そうなくらいに真っ赤になっているし、目がウルウルしている。


「アイリ・・・、今はガーネットって呼んだ方がいいのかな?」


相変わらず真っ赤な顔だけど、ウンウンと高速で首を上下に振っている。どうやら今のアイリスはガーネットの意識が表に出ているのに間違いないようだ。

ガーネットの記憶は闇に堕ちて化け物となった姿が鮮明だから、素の表情はほとんど知らないんだよなぁ~、最後の最後で見たあの安らかな表情が照れまくっていれば、今のような表情になるかもしれない。

素直に可愛いと思う。


「どうだ、落ち着いたか?」


ガーネットがコクンと頷いた。


(良かった・・・、これでちゃんと話せるよ。)


ガーネットがジッと俺を見ていたが、おもむろに口を開いた。

「あぁ、ブルー様、こうして直接お会いするのは初めてです。いつも遠くから見ているだけでしたし、ずっとお会いしたかった。しかも、こうして私を抱いてくれるなんて・・・」

両手を広げギュッと俺に抱きついてくる。

「これがブルー様の温もり・・・、夢ではないのですね。」


しばらくするとガーネットの腕の力が弱くなり、俺の顔をジッと見てきた。

「私は幸せです。1度は闇に堕ちて、もう2度と幸せを掴む事は出来ないと思っていました。でも、あなた様方が私を救ってくれました。」


「ガーネット・・・」


「分かっています。このブルー様の姿は仮初めだと・・・、でも、私にとっては関係ありません。今の私も仮初めのようなものですからね。ずっとこのままではいられませんし、もうしばらくすればアイリスの人格に戻るでしょう。だから、お願いです・・・、もうしばらくこのままで・・・」


「分かったよ。まぁ、俺もずっとこの姿になっていられないからお互い様だな。」


「そうですね。」

ガーネットがクスッと笑う。

これが本当のガーネットなんだな。とても可愛らしいよ。アイリスはまだ子供っぽさがあるけど、ガーネットは大人の余裕っていうものを感じる。


「それと・・・」


「何だ?」

またもやガーネットが真っ赤になっている。とてもモジモジしているけど・・・

「何か言いにくそうだな。遠慮しないで言ってくれないか。」


「でも・・・、恥ずかしい・・・」


うわぁ~、可愛すぎる。こんなのアイリスでは見れないよ。アイツはフローリアと同じでいつもグイグイ来るからなぁ~


「えっとですね・・・、アイリスを抱いてくれる時ですけど、本当に時々でいいのですが、アイリスでなく、私、ガーネットの意識の時にも抱いて欲しいのです。私もあなたと身も心も一つになりたい・・・、もう心残りは無いと思ってアイリスの意識の底で眠り、抱かれている幸せの波動を感じ私も幸せを実感していました。でも、こうやって直に温もりを感じると、やはり私自身も女としてあなたに抱かれる幸せを感じたい・・・」


おいおい、ちょっとこんなところで言わないでよ。聞いていると恥ずかしい・・・

だけど、ガーネットにとっては今しか言えないのだろうな。

まぁ、アイリスが許してくれればの話だけどな。


「分かったよ。だけど、これはアイリスと要相談だな。」


ガーネットがとても嬉しそうに微笑んだ。

「嬉しいです。」

しかし、急に淋しそうな表情に変わった。

「でも、1度滅んだ私がこうして幸せを求めるのは・・・」


「ガーネット・・・」

ハッとした表情で俺を見つめている。

「もう自分を責めるな。かつての邪神ガーネットは滅んだ。そして、今、俺の前にいるのは心優しい女神ガーネットだよ。それにな、俺は欲張りなんだ。俺はみんなを幸せにしたい。その中にはガーネット、お前も入っているからな。だから遠慮はするな。いくらでも受け止めてあげるよ。」


ガーネットの瞳から涙が溢れている。

「あぁぁぁ、こんな言葉をかけていただけるなんて・・・、もう幸せで胸がいっぱいです。」

再びギュッと抱きついた。

「アイリスに変わるまで、もう少しこのままで・・・、ブルー様、いえ、蒼太様、愛してます。誰よりも・・・」



デウスが腕を組んで蒼太達を嬉しそうに見ていた。

「さすが蒼太だな。真の意味でガーネットの心を救ったか・・・、この女たらしめ・・・」



しばらくするとガーネットの腕の力が弱くなる。


「あれ?私、どうしてパパにお姫様抱っこされているの?」


キョトンとした表情で俺の顔を覗き込んできた。

この表情はいつものアイリスだな。大人の姿に成長しても子供っぽいのは変わらないよ。


「そうか・・・、ガーネットが目覚めたんだね。パパの姿が変わっているし、ガーネットはブルー様の事が大好きだったからね。」


「アイリス・・・、お前、知っていたのか?」


アイリスがニコッと微笑んだ。

「もちろんだよ。だって私の事なんだからね。知らない事はないよ。」

自分の胸に手を当てる。

「それにね、私の胸の奥がすごく温かく感じるの。ガーネットもとても幸せなんだろうね。だから・・・」


ギュッと抱きついて頬にスリスリしてくる。

「へへへ、パパ成分補給だよ。ちゃんとガーネットにもお裾分けするからね。パパのお嫁さんになれて本当に幸せだよ~」


アイリス・・・、時魔法で体は大人になったけど、精神はまだ子供だと思っていた。でも、お前はちゃんと大人になっていたんだな。


まだスリスリしてくる・・・

「えへへへぇぇぇ~、パパ最高・・・、ずっとこうしていたいよ。」


(前言撤回!やっぱりまだ子供だわ。)



満足したのかフワッと浮かび上がり、俺の横で浮いている。

「パパ、私は満足したからもう大丈夫だけど、あの2人はどうなのかな?」


アイリスが地面に視線を落とした。

その視線の先にはフローリアと美冬が並んで立って、俺をジッと見つめている。


(あの2人も前世からの繋がりがあるからな。今の俺の姿を見て思う事があるだろう。)


「アイリス、それじゃ行ってくるわ。」


ニコッとアイリスが微笑んでくれた。

「パパ、頑張ってね。でも、あの時みたいに1週間帰ってこないって事にならないでね。今のパパの姿だったら1ヵ月は帰ってこないかも?」


「おいおい、縁起でもない事は言わないでくれよ。穏便に済む事を祈るけどな。」

評価、ブックマークありがとうございます。

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