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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
173/184

機械神族㉓

「おぉ~、これがかつての俺・・・」


ブルーの時の記憶がチグハグだからあんまり実感が湧かないな。

デウスの部屋でブルーの姿になった時とは段違いの力が俺の中から溢れ出てくる。


ゆっくりとユリー達の方へ向き直った。


「この体はまだ慣れていないから手加減は出来ないからな。何があっても苦情は受け付かないから、覚悟してかかってこい!」


ギリギリとユリーが歯軋りしている。

「こけおどしよ・・・」


テラノが口を開けて俺に照準を合わせた。

右腕を前に掲げる。


メキョ!


俺の周囲の床が陥没したが、俺の足元の周りの床だけは何とも無かった。


「無駄だよ。お前のソニックブームくらいでは俺の闘気を破る事は出来ない。」


前に突き出していた右腕を一度引き、ふんっ!と正拳突きの様にして上空のテラノの方へ突き出す。


ドパンッ!


GYUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA


テラノの右側の翼の1/3が消し飛び叫び声を上げている。


「あっ!初めてユリー以外の守護者の声を聞いたよ。言語機能はあるんだな。それに翼を破壊されても飛行能力は落ちていないか。という事は、飛行に関しては別の動力があって、翼は飛行時の姿勢制御みたいな役割かな?」


ユリーが青い顔でテラノの吹き飛ばされた翼を見ている。

「あ、あり得ないわ・・・、拳圧だけでこれだけ離れているテラノの翼を吹き飛ばすなんて・・・」

ジッと俺を見ていたが、突然冷や汗を流し始めた。

「う、嘘・・・、戦闘力測定不能・・・、一体、何者なのよ・・・」


シュルシュルシュル


テラノの吹き飛ばされた翼が巻き戻し再生のように元に戻っていく。


(ホント、あの自己再生機能は厄介だよな。どうする?)


テラノが叫び声を上げながら俺に向かって急降下をし始めた。


「テラノ!落ち着きなさい!ええい!もう構わないわ、そのまま噛み千切りなさい!死んでも死にたてホヤホヤなら生き返らせるのは可能だから、遠慮しなくてもいいわ。」


「それは勘弁してくれ。」


翼を広げ上空に飛び上ったが、テラノが俺に噛みつこうと迫ってくる。

しかし、今の俺のスピードでは100年かかっても追いつけないだろう。

時々、目からレーザーを出してくるが、それも余裕で躱してしまうけどね。


(さて、遊びは終わりにするか・・・)


【蒼太さん・・・】


(そ、その声はお義母さん!)

美冬の母親の声だった。


【嬉しいわぁ~、その『義母さん』って呼ばれるのは・・・】


(何だ?何かうっとりした感じだけど???)


(リ)【冬菜!ちょっとだらしない顔をしないでよ!自分の娘が結婚出来たからって浮れ過ぎよ!】


(冬)【あら、良いじゃないの。娘の旦那さんからお義母さんって呼ばれるのは嬉しいわよ。】


(リ)【う~、何か腹が立つわぁ~、蒼太さん!早くルナと結婚して私を『お義母さん』と呼びなさい!これは命令よ!】


(そんなご無体な・・・)


(ア)【まぁまぁ、リリスさん、そんなに興奮しなくても・・・】


(リ)【アヤノ!あんたとワタルの本体の魂は前世と同じ相手でちゃんと結婚出来ているし、今のあんたもワタルとイチャイチャしているから良いかもしれないけど、私は残されたルナの事が母親としてとても心配なのよ!】


(冬、ア)【【まぁまぁ、落ち着いてちょうだい。】】


(リ)【これが落ち着いていられるかぁああああああああ!】


(まぁまぁ、リリスお義母さん、落ち着いて下さい。)


(リ)【はっ!蒼太さん!私を『お義母さん』なんて・・・】


とても嬉しそうな波動が俺の脳内で発生している。そろそろ言い合いは止めて欲しかった。ずっと頭の中でやり合ってもらっても困るしなぁ・・・

でも、何だかんだいっても女性陣はみんな仲が良さそうな感じだよ。もう過去の柵が無くなって本音で話し合えるからだろうな。


(そうですよ。今は(仮)ですけど、その時が来ましたらちゃんと『リリスお義母さん』って呼ばせてもらいますからね。)


(リ)【ふふふ、娘を託せる人がいると思うと、こんなに嬉しいなんてね。蒼太さん!ルナの事は頼んだわよ!そこのアヤノや冬菜のような安心を私にも頂戴ね!】


(ははは・・・、頑張ります。)


(リ)【とても気分が良いわ。蒼太さん、あなたの手助けをしてあげる。ダークエルフは魔法が得意なだけでなく、種族特性として強化ブーストをして打ち出す事も出来るのよ。その力を授けるわ。あなたの魔法がどれだけ強化されるか確かめてみて。あんなチンケな魔法吸収装甲には負けないわよ!】


(分かりました。)


クルッと振り返ってテラノを見据えた。

「さて、魔法がどれだけ強化されるのかな?」


スッと右手を前に突き出した。

「試しにファイヤー・ボール!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオオオオオ!


「ちょ!ちょっと待て!」


俺の目の前には直径が10mを超える炎の玉が出来上がっている。こんなのはファイヤー・ボールじゃないぞ!

しかも高密度に圧縮されていて青白く輝いているから、既に最上級の『メギド・フレイム』を超えているのではないのか?


まだまだ大きくなっていく・・・


「これ以上はヤバい!」


思いっ切り放り投げると、投げた方向にたまたまテラノがいてぶち当たった。


「ありゃ!」


チュドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッン!


GYAHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA


テラノが炎に包まれて叫びながら墜落してしまった。


ズズ~~~ン


床に落ちてピクピクしている。合掌・・・


「さすがにあれだけの魔法は吸収出来なかったみたいだな。」


ユリーが冷や汗ダラダラの状態でテラノの惨状を見ている。

「し、信じられない・・・、魔法を吸収しきれないなんて、どれだけの魔力が込めてあったの?」


【あらら、最弱のファイヤー・ボールがあそこまで強化されるなんて想像以上だわ。規格外っていうレベルじゃないわよ。やっぱりワタルの生まれ変わりね。化け物っぷりは変わらないわ。さすがルナの婚約者だけあるから、安心してルナを任せられるわ。】


(はぁ・・・、自分でもビックリです。)



GYARURURUUUUUUU!


雄たけびを上げながらテラノが再び急上昇して俺の前で宙に浮いていた。

しかし、魔法のダメージが大きかったのか装甲があちこちと剥がれ再生が追いついていないみたいだ。


「ちっ!思った以上にタフだ!」


【蒼太さん、私も手伝うわよ。】


(冬菜義母さん!)


【さっき言おうとしたけどリリスに横槍を入れられてしまったからね。話が途中になってしまったわ。凍牙はもう家庭を持っているし蒼太さんと一緒に戦う機会は少ないから、私があなたの剣になってあげるわよ。あなたは剣が得意そうだからね。】


(えっ!いいのですか?)


【いいのよ、だってあなたは可愛い美冬の旦那様なんですからね。母親として力になってあげるのは当たり前でしょう?】


【冬菜、本音は?】


(ヒビキ義父さんの声だ。)


【おほほほ・・・、私も出番が欲しいのよ。あ、あなた!何て事を言わすのよ!】


【やっぱりか・・・、まぁ、冬菜の力なら問題ないだろう。蒼太よ、美冬と同じでちょっとじゃじゃ馬だけど、上手く使いこなしてくれ。頼んだぞ。】


【あなた、じゃじゃ馬って何よ!失礼ね。まぁ、少しは自覚があるから何も言えないわ。それでは少し表に出ていきますね。】


【あぁ・・・、お前がいなくて少し淋しいが、蒼太の手助けを頼むぞ。】


【淋しいなんて・・・、あなた、戻ってきたらたくさん愛してあげますよ、ちゅっ!】


【俺もだよ。愛してる、冬菜・・・】


おいおい、頼むから頭の中でラブコメは止めてくれ。あまりの甘さで脳が溶けそうだよ。

確かに美冬の言った通りだよな。とてもラブラブな夫婦だって・・・

聞いている俺の方が恥ずかしいよ。


気を取り直して、右手に意識を集中する。


(分かる。義母さんの力が俺の右手に集まって来るのが・・・、そして顕現のキーワードも。)


「寒桜」


そう呟いた瞬間、俺の右手が輝き剣が握られた。

形状は凍牙と同じ日本刀だ。しかし、刀身は凍牙のように真っ白でなく薄紅色になっていた。


(凄い・・・、凍牙と同じくらいに力を感じる。)


寒桜を下段に構えテラノと対峙する。

テラノの目は無機質のレンズのはずだけど、怒りの炎がレンズの奥から見える気がする。


「悪いがさっさと終わらせてもらう。」


テラノに突撃し、そのまますれ違った。


ザシュ!


クルッと振り返ると、テラノの両腕の翼が根元から断ち切られていた。


GYAAAAAAAAAAAAAAAA


悲鳴を上げながら再び墜落し床に激突した。


(どうやら両側の翼で飛行能力を確保していたみたいだな。それに今までのダメージが大き過ぎて、さっきみたいな自己修復も追いついてない感じだよ、)


寒桜を構え直し、俺はテラノに向けて急降下を始めた。

「トドメだぁあああ!」


【蒼太よ。】


再びヒビキ義父さんの声が聞こえた。


【お前に俺の奥義を授ける。お前ほどの使い手なら完全に使いこなせるだろうな。】


【私からも餞別だ。】


(ルシフェルさん)


【私の固有能力である虚無の力を自由に使えるようにしておくよ。神器に頼らず普通に使えるようにな。お前なら私のように力に飲み込まれ我を無くす事はないと確信している。】


ゾクリ!


(な、何だこの力は!恐ろしいまでの暴力的な力だぞ!)


急降下を始めていたけどピタッと止まってしまう。

体の奥底から次々湧き出してくるあまりの力の奔流に、体が弾けそうになってしまう感覚だ。


「くっ!負けてたまるかぁぁぁ・・・」


その隙を突いてテラノが巨大な炎を吐き出した。吸収はしきれなかったが最大まで俺の魔力をため込んだのだろう。さっきよりも遙かに大きな火の玉だ。


そのまま火の玉に飲み込まれてしまった。


しかし・・・


「熱くない・・・」


俺の周りには炎が一切無かった。まるで俺の周りだけ炎が避けているみたいだ。


「そういう事か・・・」


【分かったみたいだな。虚無の力の使い方を・・・、それにしてもとんでもないセンスだよ。一瞬で力の使い方を理解するとは恐れ入った。】


(ありがとうございます。本当に反則的な力ですね。『どんな理も無かった事にする』なんて・・・)


腕を振るうと俺を包んでいた炎の玉が弾けた。

再びテラノを見ると、今度は恐れの感情が出ていると感じる。


「さぁ、今度こそ終わりにする。」


寒桜を正眼に構えると刀身から黒い炎が噴き出してくる。


「みんなの力の合体技だぁあああ!どんな敵もこの力で叩き潰す!」


思いっ切り上段に寒桜を構え、テラノ目がけて急降下する。

「いっけぇえええええええええええええ!」


斬!


一気に頭頂部から股下までを袈裟蹴りにして地面に降り立った。

クルっとテラノに背を向ける。


「虚空閃・・・、すべてを無に帰す・・・」


ピシ!


テラノの頭頂部から黒い線が一気に縦に走る。


ピシ、ピシ、ピシ!


次第に黒い線が太くなり全身を黒く染め始めた。

テラノの体の中心に黒い球が浮かび上がり、黒くなった部分から崩壊が始まった。崩壊部分が黒い球に吸い込まれる。


サァァァ・・・


あれだけの巨体が全て黒い球に吸い込まれ影も形も無くなり、後を追うように黒い球も消滅してしまった。


寒桜を下段に構え、キッと上空に視線を移した。


「次はお前の番だ。さっき殴られたお返しをしないとな。」

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになります。m(__)m

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