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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
163/184

機械神族⑬

雪さん頑張ってます。

「蒼太さん、先手は貰いますよ!」

雪が叫ぶと右手を前に差し出す。


(何だ?アルテミスを使うのではないのか?一体・・・)


雪の前に小さな魔方陣がいくつも浮かび上がる。数は十数個あるぞ!


雪が再び叫んだ。

「レイ・ストーム!」


ズドドドドドドドドドドドドォオオオオオ!


全ての魔方陣から白色のビームがいくつも飛び出してきた。何十本ものビームが嵐のように俺に迫って来る。


「何じゃぁあああ!何で雪が攻撃魔法を使える!」


咄嗟に横に大きく跳躍しビームの嵐を躱した。


雪が嬉しそうにしている。

「やりました!ぶっつけ本番でしたけど、攻撃魔法も使えるようになるなんて嬉しいです!」


(おいおい、本番でこんな事をするか?それにしても雪のセンスは異常だぞ。このまま成長していけば、凍牙の嫁序列1位のサクラを抜くのではないか?それだけのポテンシャルを秘めていると思うぞ。)


デウスも予想外だったのだろう、あんぐりと口を開けて雪を見ていた。

「フローリアよ、あの雪って何者だ?魔法が使えないフェンリル族だよな?見た目がフェンリル族で中身がスキュラ族ではないのか?いくら装甲の補助があるとはいえ、あれだけの魔法を易々と使えるフェンリル族なんて考えられんぞ。」


「まぁ、あの子は元々が希少な魔力持ちのフェンリル族でしたけどねぇ~、潜在魔力は凍牙さんや美冬さん以上なのは分かっていましたけど、ここまで魔力を自由に操れるのは私も予想していませんでしたね。アルテミスは魔力を矢にして放つので魔力制御も重要ですよ。フェンリル族がアルテミスを使いこなせる事自体も前代未聞でしたけど、千秋さんの特訓で魔力制御も私達レベルまで向上したのではないですかね?」


「その可能性もあるな。しかし、本当にお前達は面白いよ。次から次と信じられないものを私に見せてくれる、びっくり箱のような集団だな。他にどんな面白い事をしてくれるのか、一緒に住むのが本当に楽しみだ。」

デウスが納得したように頷いている。


「それに、凍牙さんの奥さんの中に魔法が得意なサクラやミツキさんもいますからね、彼女達の魔法を見てイメージをしているみたいですよ。今のはサクラが得意な光魔法ですし、本当に将来が楽しみな子ですね。」

嬉しそうにフローリアが微笑んでいた。


おいおい、お前達は見ているだけだからほのぼのしているけど、俺にとっては予想外の事でテンパっているぞ!まさかの攻撃魔法とは・・・、てっきりアルテミスでの攻撃と思っていたから、完全に虚を突かれた状態だ。


雪の前にある魔方陣から絶え間なく白いビームが俺に襲いかかってくる。

「どわぁあああああああああああ!」

ジグザクに走り何とかビームを躱しているが、そろそろヤバいかも?


【旦那様】


(クローディア!)


【いい加減にハンデを無くしたらどう?彼女の成長は旦那様の想像以上みたいだったわね。これ以上みっともない姿を晒していると手本にもならないし、あの子の成長の為にもならないわよ。】


(そうだな、このままのハンデで戦うのは、頑張っていた雪に失礼だよな。クローディア!拘束重力を100倍から50倍に下げる。ちょっと雪を舐めていたけど、50倍なら丁度良いかもしれん。)


【そうね、旦那様頑張って。】


(おぅ!)


俺の体にかかっている重力を下げると体がすごく軽く感じられる。さすがに素のままで雪や冷華と戦うと俺が圧倒的過ぎるので、俺の体に重力魔法をかけてハンデをつけていたのだが・・・、雪相手にはちょっと甘かったかもしれん。冷華なら100倍でも問題は無いけどな。

雪から飛んでくるビームをサッと躱し続ける。


さっきとは違って雪の表情に焦りが出てきたな。

「何で?蒼太さんの動きが急に良くなって・・・、さっきまでの動きとは違うわ!」


「くっ!こうなったら!」

右手を上にかざした。


(何をする気だ?)


雪の周りに黒い光の玉がいくつも浮かび上がり浮いている。

「ダーク・ボール!行きなさい!自動追尾の魔法なら避けられないはずよ!」

全ての黒い球が俺に向かって飛んでくる。かなりのスピードだ。これはミツキの得意な闇魔法だな。これは避けても俺を追尾して確実に当てに来る厄介な魔法だよ。


しかし・・・


神器を横に構えて迫って来る黒い球を見つめた。

「雪ぃいいい!甘いぞぉおおお!」

神器を横に一薙ぎすると衝撃波が発生し、全ての黒い球がかき消えてしまう。黒い球を砕いた衝撃波が後ろにいた雪に襲いかかった。


「きゃぁあああああああああああああ!」


衝撃波をまともに喰らって雪が吹き飛ばされてしまう。

ヨロヨロと立ち上がったが、大したダメージを受けてはいないだろう。頑丈にも程がある。デウスめ!ホント、とっても面倒なものを作ってくれたものだよ。

俺からアドバイスだ。

「雪!魔法を使えるようになって嬉しいのは分かるが、攻撃が単調になってきたぞ!それに魔法だと狙いが甘い!お前は千秋に教えてもらった色々な事を忘れたのか?」


『はっ!』とした表情で雪が驚いている。

「そうでした・・・、蒼太さん、すみません・・・、私も冷華の事は言えませんでしたね。」

キッとした表情に戻り俺の方をジッと見つめている。


(やっといい顔になったな。)


雪がアルテミスを構えているが、いきなり姿が消えた。左側に雪の気配を感じる。


(横か!千秋得意の動きを読ませない体術か!それにしても予備動作無しで動きに気付かなかったぞ。いきなり横に回り込まれるとは・・・、成長したな。)

左に振り向くと目の前に光の矢が迫って来る。


「おっと!」


左手を矢の方に向けて撫でるように動かすと指の間に3本の矢を握っていた。


「エグいな・・・、確実に俺を仕留める気満々だぞ。まさか矢で急所狙いの3点バーストをするとは思わなかったよ。」


雪がニコッと微笑む。

「まさか、蒼太さん相手にこれくらいで終わるとは思っていませんよ。それにしても、凍牙さんの得意な魔力を手に纏わせて魔力の矢を掴む方法とは予想していませんでした。右手に神器を握っていますから、左側からだと打ち落とす暇もない攻撃ですし、てっきり避けると読んでいたのですが・・・、おかげで追撃の隙を狙えなかったです。」


「まぁ、避けると体勢が崩れるからな。お前ならそこを必ず狙ってくると思っていたよ。この戦法は千秋から散々痛い目に遭わされたからな。」


「やっぱり蒼太さん相手では一筋縄ではいきませんね。折角、この装備を身に着けましたから、最大限活用させて貰いますよ!」

そう言った瞬間に矢を放ってきた。


(上手い!)


矢の真後ろを同じ速度で俺に迫って来る。あの装備で身体能力も相当に向上しているみたいだ。矢を避けたり弾いてもすぐ雪に攻撃されてしまう。こうなれば・・・

剣を横に薙いで矢を両断する。リーチが異常に長いクローディアの神器ならではの対処法だ。雪はまだ自分の間合まで俺に近づけていない。

(さぁ、どうする?)


雪が屈んで地面すれすれの高さで飛んで近づいてくる。さすがだ、飛行能力を身につけた事を利用した上手い懐の入り方だ。

アルテミスが輝き弓の形状から双剣の姿に変化し、両手に握って俺に迫って来た。


「いくら蒼太さんでも、これだけリーチが長すぎる神器だと懐に入り込まれると手が出せないでしょう!」


甘いな。

すぐに神器を逆手に持ち替えて手首をクルッと回し足下に神器を振り下ろした。


ガキィイイイイイイイイイッン!


「は!早い!」

雪が驚きの表情になっている。

俺の足首を両断しようとしていたが、目の前に巨大な剣が振り下ろされてしまったので、神器を切りつけただけになってしまった。

慌てて上昇し俺の上空で浮かんでいる。


「雪、本当にエグい戦い方だな。真っ先に躊躇せず俺の足首を切り落とそうなんて普通は考えないぞ。夏子が見たら『正々堂々と戦え!』って良いそうだよな。でも無理に正面から堂々と戦う必要はないし、この方法が正解だ。相手の苦手だと思うところを徹底的に突いてくるなんて、まるで千秋と戦っていると錯覚しそうだよ。」


「さすが、千秋が唯一認めた弟子だけあるぞ。」


(あ!しまった!これは内緒だった!)


雪を見てみると・・・

とても嬉しそうにしているよ。

「千秋様がそんな事を・・・、あの地獄すら生ぬるい訓練をひたすら頑張ってきた甲斐があったのですね。あの訓練を思い出すだけで・・・」


いかん!雪が訓練の事を思い出しているのか、目に光が無くなってきている!確かにあいつらの訓練は肉体的にも精神的にも極限まで追い込むからなぁ・・・、みんな逃げ出さないで頑張っている事自体が奇跡だと思う。


「雪ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!しっかりしなさい!」

冷華が雪に叫んでいる。


雪の目に元気が戻って来た。少し余裕が出来たのか冷華に微笑んでいる。

「冷華、ありがとう。おかげで正気に戻れたわ。」

そしてキッと俺を見た。

「里にいた時は周りから弱いって言い続けられていたけど、千秋様達からはそんな事は言われなかったわ。みんな私の可能性を信じて鍛えてくれた!私はそれに応えたい!」


ゴゴゴォオオオオオ!と効果音が聞こえるくらいの感じで、雪から大量の魔力が湧き出ている。

(どうやら本気になったようだな。)

4枚の背中の翼を大きく広げて・・・、おっと!それ以上は言ったらマズイ!

しっかし・・・、どこをどう見てもアレだぞ・・・、作者の趣味全開だな。

左手に握っているアルテミスから両手に例のブツを握らせると完璧だ。

雪の姿は読者の想像に任せる。俺の口からは言えないよ・・・

イラストにしたら絶対に版権に引っ掛かる!


冷華は冷華で赤の装甲だし、右手にキング・クラッシャーを装備したらアレだな。

『突貫!』とか言って突撃しそうな雰囲気だよ。性格もそんな感じだしな。


デウスよ!別の意味でとても危ないモノを作ってしまったぞ!


「蒼太さん、遠慮しませんよ。私の全力を受け止めてもらいます。」

おぉおおお!雪が真剣な表情だ。俺も真面目に相手をしないと雪に失礼だな。


シュババババババ!


雪が高速でジグザクに飛行しながら、アルテミスから大量の矢を放ち俺に迫ってくる。

「ちっ!」

今までの矢の速さが段違いだ!しかも全て俺の急所狙いで寸分の狂いも無い。

しかし、上空からの弓の狙い撃ちは正直キツい。色んな角度から高速の矢が飛んでくる事は普通は無いから、魔法よりも厄介な攻撃だよ。この攻撃がアルテミスの真骨頂なんだろう。

だけど狙いが正直過ぎる。これは撒き餌かも?


「どりゃぁあああああああああ!」


神器で全てを叩き落としたが、雪はまだ余裕の表情を崩していない。

「これで私の準備が整いました。少し時間がかかるのでちょっと時間稼ぎをしてもらいましたよ。」

そう言って再度アルテミスを構え矢を放った。

「玄武!複合結界よ!」

雪の前に半円形のドーム状の結界が出来上がった。

「朱雀!青龍!白虎!」

すかさず3本の矢を放つと、大きな火の鳥、真っ白な巨大な虎、青い細長い東洋の竜に変化し目の前の結界に吸い込まれた。


(何だ?)


雪が大きな声で叫ぶ。

「四獣合神!出でよ!麒麟!」


(で、でかい!)


結界が輝くと、そこから巨大な生き物?が現われ俺に向かって飛んできた。

見た目は鹿に似ているが、顔は竜に似ていて2本の角が生えている。尻尾は先がふさふさしており全身が黄色く輝く鱗に覆われていた。

本当に麒麟のイメージ通りだぞ。だけどデカ過ぎる!冗談じゃない!

全長は30メートルを軽く超えているだろう。超大型トレーラーが上空から俺に迫って来るようなものだ。しかも全身に雷を纏っていて、こんなのに突撃されたらいくら俺でも無事では済まない。


「くっ!ファイナルゥウウウウウ!ブレイクゥウウウウウウウウウッッッ!」


神器を頭上に掲げ闘気を纏わせた巨大な斬撃を飛ばした。


ドォオオオオオオオオオオオーーーッン!


巨大な麒麟と黄金の斬撃がぶつかり大爆発を起こす。あまりの爆風に俺も吹き飛ばされてしまい地面をゴロゴロと転がってしまう。


「痛ててて・・・」


ムクッと起きて周りを見たけど、目の前の巨大なクレーターを見て驚いた。

「とんでもないな・・・、俺のファイナル・ブレイクは凍牙の最大技である真・破邪の剣と同等の破壊力だぞ。雪の麒麟も同じくらいの破壊力とは・・・」


チラッとフローリア達の方を見てみると、フローリアがシールドを展開して爆風からの衝撃を防いでいた。

(冷華にエリー、良かったな。今度は吹き飛ばされなくて・・・)

冷華が青い顔をして脂汗を流しながらクレーターを見ている。


「雪・・・、あんたどこまで突き進むの・・・、私、もうあんたに置いて行かれているかも?」


だけど、冷華がキッとした表情に戻り、自分の頬を両手でバシバシと叩いていた。

「弱気になったらダメよ!冷華!雪がここまで出来るのはちゃんと真面目に頑張った証なのよ!私は美冬とは昔からの友達、その甘えの気持ちがあったと今は思うわ。修行を頑張っていけたけど、雪には遠く及ばなかった・・・、私と雪の修行に対する気持ちは違ったのね。その気持ちが今のこの差・・・」

ギュッと拳を握り締め腕を上に突き出した。

「美冬!修行の時は、もうアンタは友達だと思わないわ!私の師匠!その気持ちで私は美冬に教えてもらうわ。いつまでも置いておかれる私じゃないのよぉおおおおおおおおおおおお!」


(冷華、お前も単なるお調子者ではなかったな。雪との実力差にふて腐れる事無く、自分を見つめ直して上を目指すのは良い事だよ。さすが凍牙が選んだ妻の1人だけあると思う。)


頑張れよ。


デウスが感心した表情で雪を見ている。

「素晴らしいな・・・、まさか四聖獣合体の麒麟まで使役出来るとはな。あのアルテミスにはワタルと一緒に戦っていた朱雀、白虎、青龍、玄武の四聖獣の魂を封印してある。ワタルが死んだ後はもう仕える者がいないと言って自ら神器に封印され眠りについたが、雪を新たな主人として認めたみたいだな。」


フローリアが嬉しそうにデウスを見ていた。

「そうですね。雪さんも含めて凍牙さんの奥さんはみんな頑張り屋さんですからね。私達も応援したくなってしまうくらいですよ。ちょっと応援し過ぎの時もありますけどね。」


「フローリアよ、お前達のやり過ぎは想像するだけでも恐ろしいぞ。だけど、そんなお前達にしっかりと付いていく連中も規格外に間違いないぞ。本当にとんでもない連中ばかりが集まったものだ。それに振り回される蒼太も可哀想に思う。まぁ、そんな蒼太を私が癒やしてやるのも良いかもしれんな。」


「デウス様、その役目は私ですよ。譲れません!」


フローリアとデウスの視線がバチバチと火花を上げている。


(お~い・・・、こんなところで場外乱闘を起こすなよ・・・)


「ここまで私の力が通用しないとは・・・」

雪が残念そうに俺を見ている。しかし、目はまだ諦めてはいないな。


(さぁ、次はどんな手を使ってくるのだ?千秋から受け継いだ力はそんなものじゃないだろう?)


評価、ブックマークありがとうございます。

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