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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
162/184

機械神族⑫

フローリアとデウスが剣を構えて対峙している。


フローリアは神器を正眼に構え、デウスは左手に盾を装着しているので右手に剣を握り下段に構えて立っていた。

2人共ピクリとも動かずジッと睨み合っている状態だ。しかし、見ている俺でも2人の間にとてつもない殺気が漂っているのが分かる。

実際に剣を切り結ばなくても、お互いの視線で実際に切り結んでいる事を想像しているのだろう。相手がこう動けば自分はこう動くと、一瞬の中で数百通りの戦いをイメージしているに違いない。お互いの実力が同じくらいのレベルでないと出来ない戦いだぞ。

本気のデウスはそれだけの存在なのか?


ジジジ・・・


エリーが雪の隣に現れ雪が気づいた。

「エリーさん!」


エリーは力なくへたり込んでしまっていた。慌てて雪が駆け寄り抱きしめた。

「雪さん、ありがとうございます。それにしても、フローリア様の強さは桁違いでした。少しは反応出来るかと思っていましたが・・・」

力なくエリーが俯いていた。


「エリーさん、フローリア様は私達とは別次元ですよ。この1年間私達は一緒に暮らしていましたが、勝てる要素は全く見当たらないですね。しかも主婦力も凄いですし、まさに完璧超人ですよ。比べる事自体が失礼だと思いますね。」


「そうですか・・・」


(俺もそう思う。ただし、ヤンデレな点を除けばの話だけどな。)


冷華は?

デウスの機能停止の制約が解けたのか、エリーと同じ様にペタンと座っていた。

そして俺と目が合うと・・・


マッハの速さで俺に土下座をしてきた。


「蒼太さん!申し訳ありませんでしたぁああああああああああああああああああ!」


地面にグリグリとおでこを擦り付けている姿を見るとなぁ・・・

ちょっと可哀想な気がしてきたよ。デウスが余程怖かったのだろうな。

「冷華、そこまで謝らなくてもいいからな。俺はデウスと違ってそんなに思っていないし、普段のお前で良いと思うぞ。下手に畏まったお前は逆に不気味だよ。」


『ガーン!』といった感じで冷華がのけぞっていた。

「不気味って・・・、わ、私ってどういう風に見られているんですか?」


「う~ん、お前はギャグ担当なんだから、今更変わることは無理だろうな。いや、作者が変わることを認めない気がする・・・」


「そ、そんな、私の立ち位置って・・・」

冷華ががっくりとうなだれてしまっていた。


「冷華、そんなに落ち込まなくても良いと思うぞ。お前は不動のギャグ担当になっているから、ちょくちょくと出てくると思うし、春菜達みたいな古参キャラのようにほとんど出番が無くなってしまうのも嫌だろう?濃いキャラがどんどんと増えてくるし、ミレニアみたいな特徴の無いキャラなんて今では誰も覚えていないだろう・・・、出してもらえるだけでも喜ばないとな。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その頃のミレニアは・・・


「へっくしょん!」


盛大にくしゃみをしていた。


「おいおい、大丈夫か?最近は忙しかったからお前も疲れているのかもしれんな。」

創造神レオが心配そうにミレニアを見ている。


真っ赤な顔でミレニアが恥ずかしがっているが、フレイヤが不思議そうに見ていた。

「ミレニアさん、今のくしゃみは多分だけど、蒼太さん達があなたの噂をしていたかもしれないわね。何かそんな気がするのよ。」


「は、はぁ・・・、そうですか?でも良かったです。私が忘れ去られていないみたいで少し安心しました。」


「ミレニアよ・・・、それで喜んでいるなんて不憫な・・・、まぁ、チョイ役でも出してもらえるだけマシかもしれんな。」


レオがミレニアを見ながら頷いていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



冷華が少し納得しない感じだけど頷いている。

「そ、そうね・・・」


お!ちょっとだけ元気になった感じだ。

しかしだ!お前は分かっていないと思うけど、ギャグ担当にされているという事は、これからも作者から酷い目に遭わされるのは確実だぞ。

今後の冷華の事は考えないようにしておこう。デウスと一緒に暮らすようになったら、デウスから色々とお仕置きされそうな未来が想像出来るよ。ご愁傷様・・・


さて、フローリアの方はどうなったかな?


う~ん・・・、まだ睨み合いが続いているよ。


突然、デウスがニヤッと笑った。

「フローリアよ、そろそろイメージでの戦いは終わったかな?しかし、お前は本当に凄いな、この私でも勝つイメージが全く湧かないよ。だけどなぁ、今夜の景品である蒼太を手に入れる為にも私は負けられない!」


(おい!とうとう俺を景品と言い切ったな!勘弁してくれよ。)


フローリアはいつもの優しい微笑みでデウスを見ていた。

「ふふふ・・・、ここまで必死なデウス様には申し訳ありませんが、この勝負は私がもらいますよ。思う存分かかって来てください。」


「舐めるなぁあああああああああああああああ!」


デウスが叫びながら動いた。

下段に構えていた剣を振り上げフローリアに切りかかった。


「甘いですよ!」


ガキィイイイイイイイイイイイイイイン!


フローリアがデウスの剣を受け止めた。とんでもない衝撃波が発生し、2人から1番近くにいる俺はその衝撃波で危うく吹き飛ばされそうになる。

「うおっ!なんじゃあ!これはぁあああ!」

2人の衝撃波の余波で地面があちこちとひび割れてしまっている。


(どんな怪物の激突だよ?これが神界最上位神同士の戦いなんだな。冷華よ、デウスとまともに戦わなくて良かったな。お前のレベルだと一瞬でミンチにされていたぞ。)


冷華達を見てみると・・・

3人揃って青い顔になって2人の戦いを見ていた。


(自分達とのレベルの差を感じ取ったみたいだな。まぁ、差が分かるくらいにはアイツらも強くなったって事かな?)


ガガガガガガッ!


2人が激しく剣を切り結んでいる。しかし、なんて剣速なんだ、俺の目でもほとんど見えないぞ。デウスも頑張ってはいるけど、フローリアの方がデウスよりも剣の技術は数段上手だな。まだ余裕が感じられる。


フローリアが剣を下からすくい上げるようにデウスに斬りかかった。

「くっ!」

デウスが堪らず剣を受け止めたが、勢いまで止める事が出来ずにそのまま上空に吹き飛ばされてしまう。体勢を整えて空中に浮かんでいた。


「はぁはぁ・・・、お前は本当にとんでもないな。さすがは邪神王を瞬殺しただけの事はあるぞ。あの人類最強のヒビキよりもお前の方が確実に強いと実感するよ。お前がいればルナの方もあっさりとカタが付くのではないか?」


冷や汗ダラダラのデウスに対してフローリアの方はニコニコと微笑んでいる。

「デウス様、それとこれは別の話ですよ。彼女は単に腕っ節だけで勝てるほど甘くはないと聞かされていいますからね。ママの封印が解けるまでには出来るだけロイヤルガード含め私達は強くなると決めています。いかなる状況でも戦えるようにね。だから、私ももっと強くなるように頑張っているのですよ。」


(フローリアや、それ以上強くなってどうする?それこそ暴走したお前を止められる者が誰もいないのも大変だぞ。)


俺の心を読んだのか、フローリアが俺の方を向いて微笑んだ。

「旦那様、心配しないで下さいね。私が力を解放するときは旦那様に対してだけですよ。」


「はぁいっ!」

(何を言っているのだ?)


「旦那様に危害を加えようとする者、旦那様にちょっかいを出すお邪魔虫なんかにしか私は本気になりませんからね。全ては旦那様の為に・・・、それが私の存在意義ですよ。」


(そうだった・・・、コイツはそんなヤツだった。重い!重過ぎるぞ、フローリア!)


そしてデウスへニコッと微笑む。

「デウス様、私がどれだけのものか見極めてもらいますよ。私が苦労して会得した旦那様の必殺技をお見せしますね。少しアレンジしていますけど・・・、私がどれだけ旦那様の事が好きなのかを分からせてあげます。」


剣を目の高さに構え、デウスに剣の切っ先を向けた。

(何だ?突きでもするのか?)


「はぁあああああああああああああああ!」

気合いと共に背中の黄金の翼を大きく広げ、デウスへ目がけて一直線に飛び上がった。


剣を構えたフローリアが高速でデウスに突進していく。

「くっ!そんな突きなんぞ、この盾で防ぎ切ってやるわぁあああああああああああ!この神界最強の盾を舐めるなぁあああああああああああああああ!」

デウスが左手の盾を構えてフローリアの突撃を受け止めようとしている。


「百花乱舞ぅうううううううううううううううううううううううう!」

フローリアが高速の突きを何百も突き出している。いや!一瞬のうちに何千もの数だ!


ガガガガガガガガガガガガガガガガッ!


「ぬぅ!」

デウスが盾でフローリアの突きを受け止めた。


ガシャァアアアアアアッンンン!


「な、何いぃいいい!」

受け止めた瞬間に盾が粉々に砕け散ってしまい、デウスが驚愕の声を上げた。


「血の花を咲かせないさい!」

一瞬の間に何百もの袈裟切りと切り上げをデウスに叩き込んだ。


「ぐあぁあああああああああああああああああああああああ!」

デウスが悲鳴を上げるとフローリアの動きが止まる。デウスは空中で棒立ちになって立ち尽くしていた。


そしてフローリアがクルッとデウスに背を向ける。

「終わりよ。真っ赤な花に囲まれて静かに眠りなさい・・・」


その瞬間にデウスの全身が真っ赤に染まり、勢いよく体のあちこちから血が噴き出し、そのまま墜落してしまう。


ドサッ!


デウスが地面に横たわってピクリとも動かない。デウスが血の海に沈んでいた。フローリアの言葉通りにまるで真っ赤な花に包まれるように・・・


そして姿がブレて消えてしまう。


フローリアがスッと俺達の前に舞い降りた。相変わらずニコニコしているが、冷華達はフローリアを化け物のような目で見て冷や汗をダラダラと流していた。

冷華がボソッと呟いた。

「正真正銘の化け物よ・・・」


フローリアが一瞬だけ冷華を睨むと、「はうっ!」と冷華が叫んで倒れてしまう。

倒れてしまった冷華の姿がブレて消えてしまった。


(おいおい、視線だけで冷華を倒してしまったのかよ・・・、どこまで規格外なんだ?)


嬉しそうな表情でフローリアが俺に抱きついてきた。

「旦那様、どうでした?」


べしっ!


「痛っ!」

フローリアがおでこを押さえて悶えている。軽くデコピンをしてあげたからだ。


「フローリア、いくらヴァーチャル・フィールドの中だから現実に死なないとはいってもやり過ぎだぞ。もう少しでスプラッタな場面を見る羽目になるところだったじゃないか。」


「だってぇぇぇ~」

涙目で俺を見ている。う~ん、その仕草がとても可愛いよ。

「デウス様のあの装備の防御力は尋常ではなかったですし、普通に攻撃してもほとんど弾かれるのが分かっていましたからね。それにしても、あの百花乱舞で原型を保っていられるなんて想像以上でしたよ。」


「まぁ、デウスの実力はかなりのものだからな。お前でも手加減は出来なかったみたいだな。それにしても、多少のアレンジがあったけど、俺の乱れ雪月花をよく完コピしたな。苦労しただろ?驚いたぞ。元々は凍牙の剣で編み出した技だからな、クローディアの神器だといくら重さを感じなくても間合いも重心も全く違うから、相当に練習しないと、俺だったら情けない技になりそうだよ。」


フローリアがドヤ顔で俺を見ている。

「そうですよ、本当にあの技は苦労しましたよ。旦那様、よくあの技を閃きましたね。私も身に着けようと思って実際に試しに使ってみたら酷いのなんのって・・・、無茶苦茶な体の動きですから全身の筋肉が断裂してしまいましたよ。あまりにも体のダメージが大きくて、ヒールをかけるまではまさか芋虫のようになってしまうとは思いませんでしたね。鍛えた今でも体中が痛いです・・・」


(そりゃそうだ、俺もモノにするまでは相当に苦労したんだ。そう簡単に真似をされても困る。)


「これでデウスも大人しくなるだろう。ありがとうな、助かったよ。」


(うん?フローリアが上目遣いで頭を俺の方にジワジワと寄せて来ているぞ。)


「分かったよ。」

フローリアの頭をなでなでと撫でてあげると、トロ~ンとした目でとても嬉しそうにしていた。


「ふふふ・・・、旦那様のご褒美・・・、堪りませんよ・・・」


嬉しそうな表情のフローリアだったが、急に真面目な表情に戻りジッと俺を見つめてきた。


【旦那様、春菜さんからの伝言です。】


(どうした?急に真面目になって?しかも念話で?)


【はい、あまり他の人には聞かれたくない話なもので・・・、機械神族の都で旦那様とデウス様の身に危険が迫るとの未来を感じた言っていました。どのような危険かのイメージは見えていませんでしたが、とても不安な気持ちになったという事でしたよ。春菜さんの予知はほぼ当たりますからねぇ・・・、だから旦那様、今からは注意して下さい。何が起こるか分かりませんからね。】


(分かった、帰るまでは気を抜かないようにしておくよ。)


しかし危険だって?こんな平和な場所で何が起きるのだ?見当も付かないけど、注意しておく事に越したことはないな。


とは言ってもなぁ~、俺はデウスに迫られたし、デウスはフローリアに滅多切りにされたから、十分に危険を味わった気もするが?

ま、冗談はそのくらいにしておこう。



ジジジジジ・・・


デウスと冷華が再び俺達の前に姿を現した。フローリアがニコッと2人に微笑んだが、デウスは苦虫を潰したような表情だし、冷華に至っては冷や汗だらだらでフローリアを見ている。


(冷華、お前は自身の不用意な一言でフローリアに視線だけで倒されてしまったからな、少しは『口は災いの元』って言うのを覚えておけよな。)


「デウス様、気分はどうですか?」


しかし、デウスの表情はニコニコ顔のフローリアと正反対でとても不機嫌だ。

「フローリアよ、いくら何でもやり過ぎだろうが・・・、さすがの私でも一瞬本気で死を覚悟したぞ。まぁ、それだけお前と私の差があるという事の証明だろうな。どんな手を使ってもお前に追いつける気がしないよ。」


「おかげで気持ちは切り替えられた。今夜は大人しくみんなと一緒に過ごす事にしよう。分かったか、エリー!」


「はい、母様。」

エリーが頷いていた。


そして俺の方に視線を移した。

「さて蒼太よ、雪との模擬戦はどうする?私とフローリアでエキサイトし過ぎたから、雪がちょっとビビッているみたいだが・・・」


「俺は問題無いけど・・・、雪はどうだ?」

雪の方を見ると、小さくガッツポーズをして頷いていた。


「蒼太さん、やらせて下さい。私なりに頑張って戦います!でも・・・、冷華みたいに酷い目には遭わせないで下さいね。」


「分かった、分かった。冷華の時はお仕置きもあったからな、ちょっとやり過ぎた。シャイン・ボールやブラックホール・キャノンみたいな反則技は使わないよ。お互い正々堂々と頑張ろうな。」


「はい!」

雪が勢い良く返事をしてくれる。


(ホント、雪は冷華と違っていい子だよな。千秋が気に入る訳だ。)



俺と雪が対峙している。フローリアは春菜の予知が気になっているので、立会人としてそのまま残っていた。

雪は静かに立って俺を見ている。


(美冬の冷華への指導も凄いと思ったけど、千秋の指導はもっと凄いな、立ち姿に隙が無いぞ。冷華以上に咄嗟の状況でも即座に動けるようになっている。油断をすれば即蜂の巣にされそうだよ。1年でここまで強くなったのには驚きだ。それだけ千秋と雪の間に強い信頼関係があるのだろう。俺も追い越されないように頑張らないとな。)


「クローディア!」


「了解!」


クローディアが輝き剣の姿になって俺の手に握られる。


「それでは私も・・・」

雪の左手のブレスレットが輝くと黄金の弓が握られていた。


「私も準備OKです。」


さて、千秋の訓練の成果を見せて貰うぞ。

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになります。m(_ _)m

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