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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
160/184

機械神族⑩

ジジジ・・・


エリーが俺達の前に姿を現した。さっきまでのボロボロの姿ではなく、戦う前の状態で傷一つ無い。

放心状態でペタンと座っている。


バカッ!


銀色の装甲が弾けメカニカルな鷲の姿に戻り、エリーの後ろに浮いていた。


「はっ!」

エリーが気が付いたみたいだ。俺を見てワナワナと震えている。立ち上がり勢いよく俺に飛びついた。


「ぐえっ!」


(ぐわぁあああああ!勢いがあり過ぎだぞ!危うく内蔵が飛び出そうになったよ・・・)


しかし、俺にしがみついてプルプル震えている。今のエリーの気持ちは分かるよ。そのまま、俺は優しく抱きしめてあげた。

程なくエリーが嗚咽を洩らし始めた。

「そ、蒼太ざまぁあ”あ”あ”~~~~~~、く、悔しいでずぅう”う”う”~~~~~~!」


(エリー、今は思いっきり泣きな。これだけ悔し思いをしているんだ、絶対にお前は強くなるよ。)


しばらく俺の胸の中で泣いていたが、静かになって顔を上げ俺を見ている。

「蒼太様、申し訳ありません。みっともない姿をお見せしました・・・」


「気にしなくていいさ、真剣に戦っての結果だろう?確かに負けは悔しいと思うけど、これは模擬戦だ、実戦とは違って次がある。次こそは勝てば良いだけだからな。」

エリーがコクンと頷いた。


雪がフワリと俺達の前に舞い降りた。ホント、天使みたいに見えるよ。どうやら、エリーが落ち着くまで待っていてくれたみたいだな。

「エリーさん・・・」


「雪さん・・・」


2人がジッと見つめ合っている。雪がエリーに右手を差し出してきた。

「これは?」

エリーが不思議そうに雪を見たが、雪はニッコリと微笑んだ。


「素晴らしい勝負でしたよ。今回はギリギリで私が勝ちましたけど、次は分かりませんね。最初、あなたを侮っていた事を謝罪しますし、友達になってくれれば嬉しいです。」


エリーもニコッと微笑んで雪の差し出した手を握った。

「雪さんには敵いませんね。戦いの技術だけでなく精神的にも私が遙かに未熟と痛感させられます。そんなあなたに私が勝てるはずが無いですよ。私があなたに勝とうと思っていたのは思い上がりでしたね。でも、私もいつまでも負けていられませんからね。次こそは必ず勝たせてもらいますよ。」


(おぉおおお~、さっき、こうなったら良いと思っていたが本当にそうなったよ。バトル漫画によくある、戦いの中で友情が芽生えた感じだな。青春だよな・・・)



「ふふふ、まさかこんな結果になるとはな・・・、嬉しい誤算だよ。」

デウスが嬉しそうに2人の前に立った。


「「デウス様!」」


「エリーよ、良い顔になったな。質問だ、なぜお前が負けたと思う?」


エリーが恭しく頭を下げた。

「はい、全ては私が未熟でした。火力も機動力もファルコンが上だったのに、結果は私の完敗でしたから・・・」


「私はデウス様と一緒に強化装甲の開発を行ってきました。それで、性能は全て分かっています。その性能だけで判断していたのでしょうね。道具はあくまでも道具、それを使いこなすか使いこなさないのは使う人次第というのを忘れていました。この慢心が私が負けた原因だと思います。ツインブラスターに高周波ブレードと遠近どちらも攻撃が可能な装備なのに、戦略すら立てず単に力任せの戦法と力に振り回されていました。冷静に考えれば本当に情けない戦い方でした。」


「そうだな・・・」


「雪さんは常に冷静でしたが、私は調子に乗って言わなくても良い事までペラペラと喋り、雪さんに情報を与えるような真似までしてましたからね。戦いとは常に冷静に状況を見極める、その事を忠実に守っている雪さんに敵うはずがありません。ここまでしっかりと教えている師匠も凄いですが、そこまで忠実に守るなんて、余程の信頼関係がないと出来ませんよ。そんな師匠との信頼関係も羨ましいと思います。」


デウスがエリーをソッと抱いた。

「エリー、よく理解出来たな。ここまで自分で考えて理解出来たお前は素晴らしいよ。お前が機械神族の新しい希望だ。さすが私自慢の娘だな。」


エリーがデウスをジッと見ていた。

「わ、私がデウス様の娘ですか?そんな恐れ多い・・・」


しかし、デウスがニコッと微笑んだ。

「そうか?私はずっとお前の事を娘だと思っていたぞ。だから、こうやって感情というものを与え、自我を持つ事を促したのだ。お前は自我を得てからまだ日が浅い、お前の成長を見るのが私の楽しみの1つでもあったのだよ。こうやって考える事が出来るようになったお前はもう一人前だな。そして、私と同じ人を好きになった・・・、これからは1人の女として私と蒼太と一緒に暮らしていこうな。」


「は、はい・・・、母様・・・、そう呼ばせてもらいます。」

エリーがデウスをしっかりと抱きしめて泣いていた。


(う~ん、良い話だ・・・、俺までもらい泣きしそうだよ。)


チラッと雪を見ると、雪が大粒の涙を流しながら泣いていた。


(もう、雪とエリーは大丈夫だな。お互いに切磋琢磨して良い意味でのライバルになりそうだよ。)


デウスがエリーから離れ雪のところに行った。

エリーはというと・・・

絶賛、俺に寄り添って腕を組んでいる。とても幸せそうにな。


「エリー、どうした?いつものお前らしくないな。」


エリーが俺に微笑みかけた。

「蒼太様、茶化さないで下さいよ・・・、今、私は幸せの絶頂期にいます・・・、蒼太様が旦那様になってくれて、デウス様が私の事を娘と言ってくれました。そして、雪さんが私の初めての友達になってくれました。こんな嬉しい事ばかり続いて・・・」


「お願いです。もうしばらくこのままで・・・」


「分かったよ。俺の番まで一緒にいてもいいからな。」


クローディアも嬉しそうにエリーを見ている。

「これで私がちょっかいを出したら、完全に私が悪者になるな。仕方ない、今はエリーの好きにさせるか・・・」


デウスが雪の前に立っている。

「雪よ、エリーの友になってくれて礼を言う。本当にありがとう。あの性格だから友達が出来るのか心配だったが、私の杞憂だったな。お前のおかげでエリーの心は成長できた。これからもよろしくな。」


「い、いえ!こちらこそ勝手な真似をしてすみません。だけど、エリーさんはよく似ているのですよ。」

そう言って雪がチラっと冷華を見た。

「考えも無しで突っ込んだり、思い込みが激しいのも似ていますし、何だか放っておけなくて・・・」


デウスもクスッと笑った。

「確かに似ているな。お前も大変だな。頑張ってくれ。」


「ありがとうございます。でも、彼女も根は良い子なのですよ。単に不器用なだけで、曲がった事は大っ嫌いですし、私が小さい時はこんなおどおどした性格なもので、よく周りの子供から虐められていたのですが、冷華と実冬だけが私を守ってくれました。今は手の掛かる妹みたいなものですね。ふふふ・・・」


冷華が雪の視線に気が付いたみたいだ。

「雪、どうしたの、私を見て?ははぁあああん、私のレッド・ソウルが羨ましいのかな?」


(冷華、それは絶対に無いぞ!)


「でも、これは本当に凄いわね。私の能力を数倍に高めてくれるし、瞬間的だと10倍以上だからね。もうこれで美冬にリベンジ出来るわ。いつも訓練でボコボコにされているけど、やっと美冬をギャフンと言わせられるのね。見てなさいよ!美冬!」


冷華が拳を握りしめて叫んでいるよ。雪もちょっと引いているし・・・

そして、ビシッと俺を指差した。


「蒼太さん、美冬に挑戦する前にあなたを倒すわ!私が最強だと見せつけてあげる!」


(ははは・・・、頑張ってくれ・・・)



俺と冷華が対峙している。


冷華はレッド・ソウルを装備し、神器も右手に構えいつでも動き出せる体勢だ。

(さすが美冬に鍛えられている成果だな。立ち振る舞いに隙が無い。どんな状況にも咄嗟に対処出来るようになっている。)


一方の俺は普段の格好で手ぶらだったりする。

そして、隣にはいつもの青い髪のクローディアが立っていた。

「旦那様、私も準備OKよ!」

クローディアが輝き、俺の手に巨大な黄金の剣が握られる。


(クローディア、冷華をギャフンと言わせないとな。合図でアレを使うぞ。)


【了解!とうとう使うのね。でも、さすがに威力は最小に絞るわ。それでも空間が歪むかもしれないけど・・・】


(まぁ、その時は俺が直すさ。さすがにアレはお前とのシンクロが鍵だから頼んだぞ。)


【旦那様、誰に言っているのよ。私はやるときはちゃんとやるからね。】


(クローディア、こんな時は本当に頼もしいな。)

そして、冷華の方を見つめた。

「そいういう事だ。冷華、悪いがお前の見せ場は無いからな。」


冷華は余裕の表情で俺を見ている。

「蒼太さん、あなたこそ私を舐めすぎていないのかな?生身でしかも武器は神器1本だけで、このレッド・ソウルを装備した私に勝てるつもりなの?せめてブルー様の姿にパワーアップすれば良い勝負になるかもしれないわね。さっきの言葉通りに、あなたを真っ赤に染め上げてあげるわ!」

冷華がニタニタ笑っていた。


(あっ!エリーと一緒だな。なまじスキルのおかげで自分の装備の事が分かっているから、自分がどれだけ強くなってしまったか分かっているんだよな。だけどな、自分を基準にしたらダメだぞ。それで、あの時にもお前は美冬にボロボロにされたのだろうが。ホント、お前は雪と違ってお調子者だよな。凍牙の苦労が分かるよ。)


「それじゃ!行っくぜぇええええええええええええええ!」

神器を振り上げて闘気を込める。


バチバチィイイ!


刀身が黄金の放電を始めた。


「行っけぇええええええええええええええええ!ファイナルゥウウウウウ!ブレイクゥウウウウウウウウウッッッ!」


神器から放たれた黄金の闘気の刃が、地面を抉りながら冷華へ目がけて真っ直ぐ飛んでいく。


「くっ!プラズマ・シールド!」

冷華の左腕に光輝く盾が形成された。盾を構え闘気の刃を受け止めた。


ドオォオオオオオオオオオン!


「きゃぁあああああああああああああ!」


冷華が派手に吹っ飛ばされ、頭から地面に落ちる。

しかし、そんなに大したダメージが入っていないみたいだな。ヨロヨロしながらも立ち上がった姿は装甲に少し傷が付いているだけだ。

冷華がワナワナと震えている。

「な、何てデタラメなパワーなの!雪みたいに私は魔法が使えないけど、この内蔵装備のシールドはイージスの盾よりも強固なのよ!それを軽々と破壊するなんて・・・、このレッド・ソウルを纏っていなかったら、今頃は私も一緒にバラバラにされていたわ。いきなり最強技なんて何を考えているのよ!普通は小技で様子見でしょう!」


礼儀正しく礼をしてあげた。

「お褒めにあずかり恐縮だよ。だけどな、上には上がいるって教えてあげるんだよ。」

俺がキッと睨むと冷華がブルッと震えた。

「俺はもう小技で様子見なんてしないからな。もう勝負は決まっている。冷華、お前は少し調子に乗る癖があるよな。だから、今回は俺も少し厳しくいくぞ。まぁ、俺は美冬ほど厳しくないから安心しな。」


「うるさい!私はこの装備で最強になったのよ!これでやっと凍牙の隣に立てるの!それを・・・」


「だから、それは借り物の力だって。おまえ自身がもっと強くならないといけないぞ。」


「きー!こうなったら私も本気でいくわよ!レッド・ソウル!オーバー・ドライブ!」


冷華に装着されている背面装備の折り畳まれていた翼が展開した。翼が赤く発光し、光の粒子が溢れ始めた。

(うわ~、見たまんま〇ンダ〇ワールドのコスプレだよ。ファンには堪らないだろうな。そういう俺も感動している。こんな装備を作ったデウスに感謝だよ。出来れば、アヤにも着せたいな。インフィニティを装備した姿は凄く似合いそうだよ。)


【蒼太、分かったよ。スキュラ族用にも1体作ってあげるぞ。お前が喜ぶなら私は何でもするからな。】


(デウス・・・、サンキューな。というか、心を読むな!こんな事を思っているって知られると恥ずかしいぞ!)


【良いではないか。さっきも言ったが、私は『お前の全てを知りたい』ってな。お前が考えている事も含めてだよ。いい加減に観念しろ。】


(お、俺の心のプライパシーがぁぁぁ・・・)


冷華がニヤッと笑っている。

「あら!蒼太さん、どうしたの?急に元気が無くなったみたいね。私の迫力にビビったの?行くわよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!血祭りにしてあげるわぁあああ!」


「それは勘弁。」

俺の左手から光の玉が飛び出し、冷華に向かって真っ直ぐ飛んでいく。


「シャイン・ボール!」


「何よ!こんなこけおどしの魔法なんて!」

冷華が急上昇して光の玉を躱した。


(すげぇ機動力だな。美冬の動きに負けない。まぁ、あれだけの力を手に入れたら増長するのも分かるよ。)


が!コレはそんなに甘くないぞ。


「な、何なのよ、コレはぁああああああああああ!何で私の移動先に先回りされているのぉおおお!」


急上昇し、その後ジグザグに飛行して俺に迫ってきた冷華だが、その先にプカプカと光の玉がいつの間にか浮いていた。

そのまま、冷華が光の玉に頭から突っ込んでしまった。

全身が光りに包まれ身動きが取れない。


「あ!言うのを忘れていたわ。これはな、アカシック・レコードとリンクされていてな、絶対に当たる運命になっているからな。どんな手を使っても無理だぞ。」


「そ、そんな・・・」

冷華が青ざめた表情で俺を見ている。


「しかも、しばらくの時間だけど、行動する未来も消すから動く事も無理だからな。我ながら恐ろしい必殺技を作ったものだよ。凍牙の好きなヒーローや特撮ものではお約束だろ?最後の必殺技を出す前に、主人公がよくする事だよ。」


思わずニヤッと笑ってしまった。

「これで絶対に必殺技を当てられるからな・・・」

冷華は逆に冷や汗ダラダラの状態だけどな。


神器を高々と掲げる。

「クローディア!最終セーフティ解除!12ある神器中最強の真の姿を現せぇええええええええええええ!」


【了解!】


「真!神器解放ぉおおお!アルティメット・モード!」


神器が俺の手から離れ宙に浮いている。

激しく輝き形状が変化した。変化した姿を見て思わず言葉が漏れてしまう。


「ホント、何でもありの世界だな。ここは・・・」


只でさえ巨大な剣であった神器だが、姿が変わった今は全長10mぐらいはありそうな黄金の巨大なバスターランチャーに変化していた。

手に取り、腰だめに構える。


「だけど、コレは男のロマンだよな。見ているだけでも心が躍るよ。こうして構えると夢ではないんだな。特に俺みたいにロボットものが大好きな者には堪らん武器だ。俺の好みを分かってくれている。デウス、ありがとう。」


デウスを見るとドヤ顔でサムズアップしていた。


(ま、こうしてご褒美みたいな事があるんだ。心を読まれる事は全部悪い事でもないかな?)


「クローディア!俺との精神のバイパスを繋ぐぞ!初めての事だけど問題無いか?」


【大丈夫よ!あぁぁぁ・・・、旦那様の力が流れ込んで来るわ・・・、まるで旦那様に抱かれているみたい・・・】


(おいおい、大丈夫か?無理なら接続を切るけど?)


【い、嫌っ!絶対に切らないで!これが旦那様と1つになるって事なのね。これは私だけの特権よ、癖になりそうだわ・・・】


(う~ん、本当に大丈夫なんだろうか?とっても心配だけど・・・)


【問題無いわ!私もそこまで痴女じゃないからね。ちゃんとわきまえる事は出来るのよ!】


(痴女って・・・、今のクローディアの状態はどんなのだ?痴女になりそうなくらいに気持ちが良いのか?確実なのは、このモードはあまり多用出来ない事だな。人の姿に戻った時が怖い・・・)


俺からクローディアに力が流れて行くのが分かる。

この力というのは、俺が邪神王に身体を乗っ取られていた時に邪神王が使っていた力だ。邪神王の魂はフローリアが滅ぼしたけど、なぜか力だけが俺に残っているんだよな。デウスに神殿ネットワークを構築してもらっていたのと平行して調べてもらっていたけど、理由も原理も全く分からないときたものだ。

だけど、その力をそのままにしておくのも怖いので、デウスに念入りに検査された結果、『ま、問題無しだな。だけど、そのまま眠らせておくのも勿体ない。』との事で、神器とリンクして何か出来ないかと試行錯誤した結果、クローディアの魂を経由すると神器にも力を供給出来る事が分かった。


今思えば、その時からデウスの俺に対する態度が変化していた気がする。

まさか、あの時点で俺に惹かれていたのか?男の姿で迫られていたら絶対にトラウマになるぞ!いかにも研究者っぽい、あの陰険メガネの姿なら尚更だ!今の姿で本当に良かったと思う。


(クローディア大丈夫か?)


【えぇ、大丈夫よ。さっきの快感は魂が繋がった時だけみたいね。今は普通よ。それにしてもとんでもない力ね。これを倒したフローリアってホント、バケモノの中のバケモノよ。あの時、月まで吹っ飛ばされてしまったけど、敵でなくて良かったと心から思うわ。】


(無駄話はこれくらいにしよう。そろそろ冷華の行動停止の効果が切れそうだからな。あの装備の冷華相手にまともに付き合っても骨が折れるから、さっさと終わらそう。)


【そうね、システム・オールグリーン!いつでも撃てるわ。】


「分かった。それじゃ冷華、良いところ無しですまんな。」

砲身を冷華に向けると、黒い光が徐々に集まり始めた。

冷華が真っ青な顔でガタガタ震えている。


「そ、蒼太さん、私を虐めたって事を凍牙に言いつけるわよ。」


「冷華、凍牙から伝言だ。

『俺もジジイも冷華には甘々でなかなか怒る事が出来ないから、冷華が調子に乗っているようなら代わりに怒ってくれ。アイツは真っ直ぐで良いヤツだけど、時々自分の力を過信する時があるからなぁ、その時はお前がビシッと怒って欲しいんだ。本当は俺がしなければならないけど、こんな事を頼めるのはお前しかいない、嫌な役を押しつけて本当にスマン!』

ってな。」


冷華がポッ頬を赤くする。

「凍牙のバカ・・・、優しいにも程があるわ。余計に好きになってしまうじゃない。私は凍牙ならどんなに怒られても気分を悪くする事は無いのに。凍牙に直接私を怒るようにってちゃんと言わないとね・・・」

しかし、クワッと目を見開き俺を見た。

「蒼太さん!でもね、あなたの今の武器はこの話とは別よ!エネルギーが尋常じゃないわ!あの時の邪神王が放った『虚無』と同じくらいに危険よ!本気で私を殺す気なのぉおおおおおおお!」


「冷華、安心しろ。最小限のパワーまで落としてあるから、ヴァーチャル・フィールドの効果内で収まる。現実の肉体には影響は無いはずだ。デウスの計算だから多分だけど・・・」


冷華が更に焦っている。

「な、何よ!多分って!まさか!私を実験台にしてるつもりなの!」


デウスがサッと冷華から目を逸らした。

「や、やっぱりぃいいいいいいいいいいい!」


「冷華、お前の方がデウスとの付き合いは長いんだ。信じてやれよ。」


「い、いや!デウス様だから怖いのよ!絶対に私で遊んでいるに違いないわ!」


「まっ!諦めろ・・・、対ショック・フィールド展開!重力アンカー固定!ターゲット・ロック!」


発射のトリガーを引いた。

「発射ぁああああああああああああああああああああああ!」



「ブラックホール!バスター・キャノン!全てを滅ぼせぇえええええええええええええええええ!」



真っ黒な光の塊がバチバチと放電を放ちながら冷華目がけて真っ直ぐ飛んでいく。冷華の悲鳴が響き渡った。


「いやぁあああああああああああああああああああああああああ!」


黒い光球が冷華を飲み込み、すぐにみるみると小さくなり消え去った。そう思った瞬間、再び光球が一気に膨張し、とてつもなく巨大な真っ黒な光の玉になり大爆発を起こした。


チュドォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


砲身を下げ余韻に浸る。冷華は空中で飲み込まれたが、それにも関わらずその下の地面は巨大なクレーターが出来ている。爆発のクレータではなく、この一帯の空間が切り取られたような感じで、クレーターの跡もキレイに球状に抉られている状態だった。


「ふっ!消滅確認・・・」


(いやぁ~、決まったな。)

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになります。m(_ _)m

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