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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
146/184

フェンリル族の里59

ふぅ、やっとゆっくり出来る。

俺の隣にアイリスが座っているが、とても大人しい。

まぁ、あのララの殺気を見たからな。さすがに我が儘は言える状況でないのは理解しているみたいだ。


俺の膝の上には・・・


「ピャピャ!」

ニコニコ顔のルルが座っており、キャッキャッして嬉しそうにしている。

パパと呼んでいるんだろうな。もう少しすればちゃんと喋られるようになると思う。


う~ん、ルルに癒やされる。本当に可愛いよ。

隣のアイリスをチラッと見たが、当時のアイリスも似たような感じだったな。

それが今では・・・

ヤンデレ代表格の1人になってしまったか・・・、時の流れは残酷なものだ。


アイリスと目が合うとニコッと微笑んできた。


が!


「パパ・・・、今、何か失礼な事を考えてなかった?そんな感じがしたけど・・・」


ニコニコ顔からジト~~~と俺の顔を見ている。

す、鋭い・・・、この鋭さはフローリア並だ!もしかして、アイリスも心を読めるレベルに近づいているのか?

あっ!ミドリもそれに近かった。俺の心のプライバシーはどうなるんだろう?



「あなた、色々と大変でしたね。お疲れ様でした。」

ララがニコッと微笑みながら俺の隣に座った。ルルが俺の膝の上に座っているし、ララが隣に座るのが分かっているから、みんなが気を遣って俺の隣を空けてくれているんだよな。

嫁軍団はそんな気遣いが自然と出来るんだよな。本当にみんな仲が良くて、俺が余計な気遣いをしなくて済むから助かっている。

ルルが「ミャミャァ~」と言って飛び上がりララに抱きついた。

おぉぉぉ~、ママも言えるようになっているとは感動だ!思わず目が潤んでしまう。


「ルル、怖いお母さんになってゴメンね。ルルに怒っていた訳ではないからね。ルルもずっと淋しかったでしょうし、今日は大好きなお父さんと3人一緒にいましょうね。」

ルルがニコ~と笑って俺を見ていた。


うっ!この笑顔には敵わない。何でも言う事を聞いてあげるよ。

ルル、今日はずっと一緒にいような。


ララが嬉しそうに俺を見ている。

「あなた、私も淋しかったけど、ルルはもっと淋しかったみたいですよ。あなたが連れて行かれた日からルルが夜になるとぐずっていたんです。こんな小さいのにお父さんがいないって分かるのですね。それとも私達の態度がいつもと違っていたのを感じ取っていたのかもしれません。」

確かに、子供は敏感だから、ちょっとした違いでも感じてしまうかもしれないな。

「やはり、この1週間はあなたがいなかったからか、みなさん静かでしたし、こんな大騒ぎの朝は久しぶりですよ。やっぱりあなたがこの家の中心ですね。」


ララがそっと俺の手を握ってきた。

「普段はメイドとしてあなたに仕える形にしていますが、今日だけは妻として一緒にいさせて下さいね。この1週間は本当に淋しかった・・・」


「ララ・・・、本当にすまん・・・」


しかし、ララはゆっくり首を振った。でも目が少し潤んでいる。本当は嬉しくて泣きたいくらいなんだろな・・・

「いいえ、あなたが謝る事はありませんわ。1番悪いのはあの人ですからね。あなたを連れて逃避行するならちゃんと事前に申請してくれないと困りますよ。」


へっ!


「毎日の食材の購入もありますし、2人分の食費も1週間分だとバカになりませんよ。いくらお金に余裕があるとはいっても、毎日きちんとしておかないと一気に堕落してしまいますからね。それに、私達の心の準備もありますから、留守にするならちゃんと言ってもらわないと困りますよ。フローリア様にもちゃんと言ってあるんですけどねぇ~、みなさんには、あなたと外泊するときはちゃんと申請するように申請書も作ってあるのですよ。勝手に出し抜かないようにね。まぁ、それだけフローリア様もあなたの事で頭がいっぱいになっていたみたいですね。詳しい事は聞いていませんが、それだけ大変な事が起きたのでしょう・・・」


うそ?嫁軍団でそんな取り決めが出来ていたなんて、初めて聞いたぞ・・・


「ちなみに凍牙さん用もあります。冷華さんが暴走して凍牙さんを連れ回す事が多いもので・・・、さすがに不公平だとサクラさん達が文句を言い出しましたからね。」

そう言ってララが1枚の紙を取り出した。

本当だ、『外出・外泊申請書(凍牙用)』って書いてある・・・


お前ら、一体何を考えている・・・、まぁ、みんながバラバラに行動しないように一定の取り決めを行うのは良い事だと思う。でもなぁ~、何か違うと思うのは気のせいか?

気にしないでおこう。深く考えたら負けの様な気がする。みんな仲良くやっているから、俺からあれこれと言わない方がいいだろうな。



「アイリス、今日はどうします?」

ララがアイリスに尋ねている。


「えっとね・・・、今日はパパとずっと一緒にいたい。ダメ?」


ララがニッコリとアイリスに微笑んだ。

「アイリス、大丈夫よ。でもね、今日はルルも一緒にいたいみたいだし、それでも良いかな?あっ!それなら、今夜は私達と一緒に4人で寝ましょうか?それまでにアイリスも蒼太さんに大人にしてもらいなさい。ルルはまだおむつだし、お世話をしてあなたの子供が生まれた時の予行練習よ。」


アイリスがとても嬉しそうだ。

「うん!分かった!パパ、ご飯が終わったら私をすぐに大人にして!ルルのお世話を頑張るから。」


「お、おぅ・・・」

気が早いぞ、アイリス・・・


「ルル、今日は私があなたのお母さんよ。だから、たくさん私に甘えても良いからね。」

アイリスがルルに話しかけると「ミャミャァ~」と言って、小さな翼をパタパタしながら飛び上がり、アイリスの膝の上に座った。

アイリスが嬉しそうにルルを抱いている。


「まぁ、ルルったら、本当に甘えん坊さんね。ふふふ・・・、アイリス、それじゃルルを頼むわよ。」


「うん!分かった!頑張るね。」


ララがそっと俺に耳打ちしてきた。

「あなた、これで今夜はゆっくり休めるでしょう?私達が一緒にいれば乱入する人もいないでしょうし、アイリスもルルがいれば変な気も起こさないと思いますよ。新婚のアヤさんやシズカさんには悪いですが、今夜くらいはゆっくりとあなたを休ませたかったから・・・」


「ララ、ありがとうな。色々と気を遣わせてしまってスマン・・・」


「夫の健康を気遣うのは妻として当然ですよ。肉体的にも精神的にもリフレッシュしてもらいませんとね。」

ニコッとララが微笑んでくれた。

ララは他の嫁軍団みたいにグイグイと来く事はなく、いつも一歩引いたところから俺を見ているけど、俺が求めている事を的確に察知して世話をしてくれる。

その気遣いは素晴らしい。周りからパーフェクト・メイドと言われるのも伊達ではないよな。俺には勿体ないくらいの妻だよ。本当に感謝の言葉しか思い浮かばない。



しばらくするとミドリが料理を運んできてくれた。

「ご主人様、私が心を込めて作りましたからね。とても美味しいですよ。」


ちょっと待て!どう見ても量がおかしいぞ。周りと比べても俺の分だけ倍以上はある。しかも、オムレツにはケチャップでハートマークまで書かれているし・・・、恥ずかしい・・・


「ふふふ、私の気持ちですよ。ご主人様の事を想って作っていたらこんなになってしまいました。たくさん食べるご主人様の姿を見ているのも大好きですからね。」


マジかい・・・、全部食べられるか?


シズカが料理を俺の前に置いた。ニコニコしながら俺を見ている。

なぜだ?既にミドリが置いているのに?

「旦那様、シズカは料理が得意なんですよ。旦那様の為に頑張りましたから食べて下さいね。全部食べてくれたら、シズカはとても嬉しいです。」


確かに美味しそうだが・・・、出来れば別の日に出して欲しかった・・・


シズカの後ろからマドカがスッと皿を差し出してきた。

何だ?皿の上に乗っている物体は?


真っ黒な石炭みたいな塊だ。硬くて食べれそうな気がしない・・・

いや!ちょっと待て!何かモゾモゾと動いている!どんな料理をすれば物体Xみたいなモノが出来上がるのだ?それによく見ると『キシャァアアアアア!』と、どこに口があるか分からないが小さく叫び声を上げている・・・

夏子達も昔は家事が下手だったけど、これは下手というレベルではない・・・、普通に戦うよりも毒殺に特化した暗殺者になった方がマドカには合っているのでは?これはある意味で才能だと思う。


しかしだ!マドカ!俺を殺す気か!

ちょっと鑑定してみよう。


【アンウンノン(未知の生物)】

【詳しくは分かりませんが、食べればとても美味しいと思います。ですが、確実に絶対に死にます。間違いないでしょう。蘇生魔法も効きませんので、間違って食べると危ないですから、早急に焼却処分をお勧めします。】

【暗殺には最適ですが、間違っても味見をしてはいけません。暗殺者が自分の毒で死ぬなんて恥ずかしいですよ。】


やっぱり危険物か・・・、それも最上級にヤバイ・・・、頭痛がしてきた。

絶対に食べれないぞ!いや、それ以前にコレを食べる気になれるか?万が一間違えて食べてしまったら確実に死ぬ・・・


マドカよ!何というモノを作ったのだぁああああああああ!


不安そうな表情でマドカが俺を見ている。

「ご主人様、私は材料を切るのは得意ですけど、ちゃんと調理をするのは今までした事が無かったのです。いつもシズカ姉さん達が作ってくれましたし、私がフライパンを持つとみんなが慌てて取り上げられましたからね。なぜか全員が青い顔をしているんですよ。不思議ですよね。今日はみんなの目を盗んでオムレツを頑張って作ってみました。見た目は悪いですが、味見をしてみましたけど、とっても美味しいですよ。」


マジかい・・・、あの正体不明の猛毒生物を味見しただと?マドカは何ともないのか?

いや!それ以前にオムレツを作ったと言っていたよな?オムレツの材料がどうしてあんな危険なモノに変化するのだ?

それに、マドカの料理の腕が壊滅的なのは昔からなのか?みんながマドカの事を分かって料理をさせていなかったみたいだし、俺も絶対に調理させるのは禁止すると思う。

そうなると・・・、過去に誰かが犠牲になったんだろうな。可哀想に・・・


ニコニコしているマドカだが、シズカがスパァアアアン!とマドカの頭を叩いた。

「マドカ!こんな正体不明の食べ物を旦那様に食べさせたらダメじゃないの!旦那様に出すのは、もっと料理を勉強してからにしなさい。分かった?」


マドカが頭を押さえている。少し涙目だ。

「あいたたたたぁぁぁ~、姉さん、本当に容赦しないわね。確かに見た目は悪いけど味は悪くないのに・・・」

そう言って皿の上にある黒い何かをひょいと摘まんで口に入れた。

ボリボリと破壊音を出しながら美味しそうに食べている。気のせいか、微かに悲鳴のようなものも聞こえた気が・・・


「こんなに美味しいのにねぇ~、勿体ない・・・」


不気味な物体を美味しそうに食べているマドカの姿は一種のホラーだよ。あの猛毒を意に介さないとは凄い。もしかして、神界一の毒耐性の持ち主かもしれん。

おっ!シズカから念話だ。

【旦那様、本当にすみません。注意していたのですが、隙を突かれてマドカが料理を作ってしまって・・・、あの子は包丁捌き『だけ』は一級品の腕前なんですが、それ以外の事は全くダメなんです。昔、あの子が少し料理をしただけでも炊事場が腐海と化しましたし、出てきた料理はそれはもう・・・、トラウマになるくらいの味で・・・、少し舐めただけで私を含む全員が1週間意識不明になってしまいました。それ以来、あの子にはカットだけさせて、それ以外の事はさせていないんですよ。】


やっぱりそうか・・・、シズカも犠牲になったのか。ご愁傷様だよ。

でもなぁ~、マドカがこんな運命の元で一生こんなのだと可哀想だよな。頑張りが報われないなんて、何とかならないか・・・


運命・・・、もしかして何とかなるかも?

確実に大丈夫だと言えないが、ダメ元でもやってみる価値はあると思う。


【シズカ、マドカの事は何とかなるかもしれん。保証は出来ないが試してみたい事がある。】


【分かりました。それではマドカを呼びますね。】


シズカに呼ばれてマドカがやって来た。さっきの事があるからビクビクしている。別に怒る訳ではないから安心してもらいたいのだが・・・

「マドカ、悪いけど、少し調べさせてもらうけど大丈夫か?別に変な事をしないから安心してくれ。」


マドカが真っ赤になっている。

「大丈夫です!私はご主人様には何をされても大丈夫です。むしろウエルカム!です。でも、優しくして下さいね。」


おいおい、何を勘違いしている。本当に変な事はしないぞ。


マドカのアカシック・レコードを脳内に展開してみた。

やっぱりそうか・・・、マドカには毒精製のスキルが隠されている。何で料理スキルと連結しているんだ?それでポイズンメニューが出来る訳だ。納得だよ。

毒スキルは物騒だから消しておくか?いや、これだけ強力な毒を精製出来るのなら、魔法スキルに繋げれば強力な毒魔法を生み出せるな。

書き換えは可能か?


良し!出来た!良かったな、マドカ・・・、これで普通に料理が出来るようになるぞ。

それにしてもアカシック・レコードめ!何ちゅう恐ろしい事をしたんだ?運命とはいえ残酷だぞ。


【ゴメンね。でも、変えてくれてありがとう。】


微かに声が聞こえた。アカシック・レコードにも意思があるのか?

まぁ、感謝しているみたいだし、良しとしよう。


「マドカ、これで料理は大丈夫なはずだ。それに、お前の魔法に毒魔法が追加されたはずだから、今度試してみな。かなり強力だから十分に注意してくれよ。」


マドカの目から涙がポロポロ零れてきた。

「ご主人様、本当ですか?実は薄々分かっていたのです。私の料理は壊滅的にダメだって・・・、私が料理をしようとするとみんなが慌てて止めていましたし、見た目も変なのも分かっていました。でも諦めきれなくて・・・」

「こんな私でもちゃんと料理が出来るようになったのですか?もう変な目で見られる事は無いのですか?」


「う~ん、多分な・・・、試しにさっき失敗したオムレツでも作ってくれないか?ちゃんと出来るか試してみような。」


「はい!」

マドカが慌てて厨房まで走って行き、せわしなくオムレツを作り始めた。


シズカが心配そうな表情で俺の前にくる。

「旦那様、大丈夫でしょうか?今までの事があったので心配で・・・」


「まぁ、大丈夫だろう。食べる前に鑑定するから毒の有り無しは分かるからな。それに、あのままだと可哀想過ぎるから、何とかして手助けしたかったのもあるし、お前達もずっと毒メニューに怯える訳にもいかんだろう。」

「さて、どんな仕上がりになるかな?」


しばらくすると、マドカがオムレツを皿に乗せて戻って来た。

見た目はちゃんとしたオムレツだ。さっきみたいな石炭のようなモノではない。どうやら書き換えは成功したみたいだな。

鑑定してみると・・・


【オムレツ】

【とっても美味しいです。一度食べればやみつきになる事間違いなしですよ。今までのオムレツの常識が覆るほどに美味しいです。】


何と!ここまでの評価が出たか!食べてみよう。


う、うまぁああああああああああああああああああああああああっい!

何という美味しさだ!表面はフワフワに焼上げているにもかかわらず、中はトロッとして絶妙な半熟具合だ!しかも!味付けは塩と砂糖のみか?絶妙なバランスで、卵本来の味を最大限に引き出している!

こんな美味しいオムレツは初めてだ!


シズカも恐る恐る口に入れると・・・

「嘘?これをマドカが?信じられない・・・」


ガバッとシズカがマドカに抱きついた。

「マドカ、おめでとう・・・」

2人が抱き合い泣いていた。美女2人、絵になるなぁ~


ララが嬉しそうに俺を見ていた。

「どうした?」


「さすがあなたですね。困った人を放っておけない、必ず助けてくれますね。私もそのようにして助けてもらった1人でしたし、今は幸せにさせてもらっています。」


「あなたに出会えた事が、私の1番の幸せです・・・」


改めて言われると恥ずかしいな。


しかし・・・、今の俺は目の前の状況をどう打破するか思案している。

ミドリとシズカが持って来てくれた大量の料理が俺の前に並んでいる。しかも、シスターズの2人も「私達も頑張って作りました!是非食べて下さいね。」と、和やかに追加の料理を並べてくれていた。


朝からこんなに食べられるかい!


でも、みんなの期待を裏切る訳にはいかない。


覚悟を決めるか・・・


フード・ファイター!蒼太!逝きまぁあああああっす!


決死の覚悟で料理に立ち向かう俺だった。

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになりますm(__)m

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