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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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フェンリル族の里57

しっかし、本当に気持ちよく眠っているな。

試しに頬をツンツンしたけど全く起きない。マジックで顔に落書きしても気付かないのでは?

ちょっとやってみたくなったけど、ここは我慢しよう。本当に落書きしてバレたら、間違いなく本気で殺されそうだ・・・

いや、間違いなく1回は確実に殺される!


シーツからフローリアの薄い金色の翼が出ている。本当にキレイな翼だ。鳥の翼に似ていて羽毛の様なものが生えている。

時々触らせてもらうが、触るとサラサラしてとても気持ちが良い。いつまでも触っていたくなるくらいの中毒性のある触り心地だよ。

思わず手が伸びて翼を撫でてしまった。う~ん、本当に気持ちが良い・・・、いつまでも撫でていたいよ。

フローリアがブルッと震えた。


「旦那様、くすぐったいです・・・」


薄く目を開けて俺を見ている。そしてニッコリと微笑んだ。とても可愛らしい笑顔だ。あの般若の面のような時とは正反対だよ。よくここまで極端な表情が出来るものだ・・・


「それに、さっきは私のおでこにキスをしてくれましたね。もう嬉しくて嬉しくて、寝たふりをするのがどれだけ大変だったか・・・、でも、落書きをしなくて良かったですよ。もし、してたら・・・、逆さ張り付けに打ち首獄門は確実でしたね。やっていい冗談と悪い冗談がありますからね。」


サ~ッと俺の体から血の気が引いた。また心を読んだな。フローリアはコレが怖い。


「旦那様、お返しです。」


そう言って、フローリアが抱きつきキスをしてきた。


お互いの唇が離れ見つめ合っている。とても嬉しそうな表情のフローリアだったが、急に淋しそうな表情になった。

一体、どうしたのだ?


「はぁ~、1週間の有給も昨日で終わりなんですよねぇ~。今日から真面目に仕事ですか・・・、あぁ~、働きたくない・・・、ずっと旦那様とこうやって一緒にいたいのに・・・」


「はい?」

思わず変な声が出てしまった。

有給だと?あの有給休暇の事か?神界の就業システムってそんなものなのか?


「旦那様、不思議そうな顔ですね。本来、私は先週で2ヵ月の産休明けになって働き始める予定でしたけど、追加で1週間の有休を取っていたんですよ。旦那様とこうやって2人っきりで楽しみたかったから・・・、ふふふ・・・」

「ガーネットとはしばらく会えませんでしたが、生まれてからずっと一緒にいましたし、お世話はママ達に任せれば大丈夫ですからね。2人っきりの甘~~~い日々・・・、本当に久しぶりでしたし、私もリフレッシュ出来ましたよ。」


「そ、そうか・・・、フローリア、神界にも有給休暇ってものはあるのか?初めて聞いたけど・・・」


「もちろんですよ。神殿には就業規則というものがちゃんとありますし、有給以外にも特別休暇や育児休暇もありますよ。終業時間もきちんと決まっていますし、残業も休日出勤もちゃんと出ますよ。夏子さんは計算が得意なので、給与計算の締日は事務方の応援で書類に埋もれながらヒイヒイ言って給与計算をしていますね。神界の神殿全ての人数ですからね。膨大な人数ですよ。夏子さんでないと処理しきれませんね。そして、育児休暇は本来は1年ですけど、さすがに私はずっと休む訳にはいきませんから、動けるようになれば仕事に復帰しますよ。幸い、ガーネットの世話はみなさんがしてくれますからね。休めない管理職は辛いです・・・」

「それでもパパの代になってからは福利厚生が充実するようになってきましたから、古参の人からはパパの方針にはとても喜んでますね。それまでは本当に大変だったと聞いてます。旦那様のかつての世界で言うブラックな職場でしたから・・・、何人もの優秀なスタッフが廃人いえ廃神になったか・・・、闇堕ちした神もいたみたいですね。」


うわぁ~、何か俺のサラリーマン時代を思い出してしまう。神界がまさかの日本のサラリーマン制度と同じだとは想像もしなかったよ。

そうなると管理職は辛いよな。管理職経験があった俺もその気持ちは良く分かる。俺のサラリーマン時代は社畜なんて言葉が当たり前だったし、会社の為なら個人なんて簡単に切り捨てられていた。孫の時代になってからはかなり良くなったと聞いているけど、それでも大変なのは変わらないだろうな。もしかして、今までのフローリアの暴走って、仕事のストレスも関係あったのかな?

それに、夏子も大変な目に遭っているんだ。計算は手計算なのか?それなら地獄だ・・・、たまには息抜きをさせてあげないといけないな。


「旦那様は個人事業主扱いですから就業規則なんて無いですけど、これからは我が家も必要になるかもしれませんね。メイドも増えてますし、今は春菜さんとララさんに管理してもらってますけど、きちんとした書類等を用意して管理しないとブラックな職場と呼ばれるのは勘弁ですからね。」


待て!ここは異世界だろう?何で現代の地球の考え方が入っているんだ・・・、本当に何でもありの世界だよ。

まぁ、我が家だけなら俺が考えるだけで済むけど、夏子の大変さも考えると義父さん達の職場環境も一緒に考えた方が良いな。

あまり会いたくないけど、デウスと協力すれば神殿のネットワークシステムも作れそうな気がする。アイツは未知な物にはどん欲だから喜んで協力しそうだ。しかしなぁ、面白がってやり過ぎない事を祈るが・・・

PCや計算ソフトなんかも必要だから、ついでに地球の神も巻き込んでやる。まぁ、あいつなら歌舞伎町の巨乳ネーチャンがたくさんいるキャバクラに連れて行けば、何でも言う事を聞いてくれるはずだ。あのおっぱい星人は巨乳に弱いからな。夏子のムチのご褒美なんて勿体ない!


よし!神界にイノベーションを起こしてやる!夏子よ!お前を計算地獄から解放してやるぞ!

フローリア!義父さん!義母さん!夏子!俺に感謝しろよ!

ふふふ・・・、ふはははははぁあああああああああああ!


「旦那様、旦那様・・・、元に戻って下さい・・・」


「はっ!俺は?」

フローリアが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。


「旦那様、大丈夫ですか?何か自分の世界に入ってニヤニヤしてましたけど・・・」


うおぉおおおおおおお!何たる不覚!自分の世界に入ってしまって、フローリアに心配されてしまうとは・・・・

マズイ!俺もフローリアに似てきたのか?嫌だ!それだけは勘弁してくれぇええええええええ!



「旦那様、それでは我が家に帰りましょうか?そろそろ朝食の準備も終わっている頃でしょう。」

そう言ってフローリアがベッドから降りた。

とても清々しい表情だ。


やっと帰れるんだ。みんなの顔が浮かんできたよ。

でもなぁ、また「な~んちゃって」て言われないだろうか?とても心配だ・・・


俺もベッドから降りようとしたらフローリアが飛びついてきて、押し倒されてしまった。

「旦那様~」と甘えた声を出しながらニヤニヤ笑っている。


ま、まさか?また1週間前の再来か?まだ満足してなかったのか?


「ふふふ・・・、ビックリしました?冗談ですよ。今度は本当に帰りますよ。まだまだ満足してませんけど、今から女神フローリアとして仕事をしなければいけませんからね。旦那様の心配している通りにはなりませんから安心して下さいね。」


だから、フローリア、心を読むな!


「ダメです!私は旦那様の全てが知りたいのです!心の中までも、1つ残さず知りたいのです!旦那様~、それが私の生きがいなんですからね。」


マジかい・・・、勘弁してくれ・・・

どんなに言っても聞かないだろうな。諦めるしかないか・・・


「旦那様、キャバクラくらいは許してあげますよ。ただし、接待の範囲内ならですが・・・、お触りなんかしたら分かってますよね?渚さんと一緒にお仕置きですよ。」


フローリアの圧がハンパない。さっきの事もやっぱり読まれていたか!俺の心のプライパシーは何処に行ったぁあああああ!


本当に逃げられないというのは、このような事なんだろなぁ・・・

ヤンデレフローリア恐るべし・・・



お互いに着替えを済ませ、フローリアが俺の腕に寄り添って抱きついている。

「さぁ、帰りましょう。私達の家に・・・」




目の前の景色が自宅のリビングに変わった。


やっと戻って来れた・・・、何て感慨深いんだ!我が家に帰れる幸せ、こんなに嬉しく思った事はない。

やっぱり我が家は落ち着く。

というか、あの部屋で落ち着ける訳がない!フローリアにとっては楽園のような場所かもしれないけど、俺にはいればいる程に精神値が削られるからな。変な圧からの解放感!こんなに清々しい気分は久しぶりだ。


みんながリビングに集まっていて、ビックリした目で俺達を見ている。

凍牙がサクラ達に「ほら、俺の予想通りだっただろう。」とドヤ顔で話をしていた。サクラとガーベラが大人の姿だ。そうか・・・、お前達は決心したんだな。俺からは何も言わない。だが、一言言わせてくれ。


おめでとう・・・、俺の娘達よ・・・



「パパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


アイリスがロケットのように飛んできて抱きついた。


「ぐえっ!」


な、なんちゅう衝撃だ!受け止めきれん!ぬあぁああああああああああ!


アイリスを抱いたまますっ飛んでしまい、玄関扉をぶち破って外に飛び出してしまった。

ゴロゴロと転がりやっと止まったが、体中が痛い・・・

アイリスは・・・、良かった、無事だ。咄嗟の事で抱きしめたけど、ちゃんと俺の受け身は取れていたみたいだな。


それにしてもなぁ~、アイリス、俺を殺す気か?

「アイリス、淋しいのは分かるけ・・・」


俺の胸の中にいるアイリスを見たら、胸に顔を埋めて思いっきり号泣していた。

「パパ、パパ・・・、淋しかったよぉぉぉ~、お願い・・・、もう私を置いて行かないでぇぇぇ~~~~」


「アイリス・・・、ゴメンな・・・」

思わずアイリスに謝ったけど、俺は悪くないぞ。今回の苦情はフローリアに言ってくれ。

まぁ、そんな事は言える訳ないか。

アイリスの頭を優しく撫でてあげると泣き止み、嬉しそうに俺に頬擦りしてくる。

フローリアのヤンデレも大概だけど、アイリスのファザコンも病み過ぎだと思う・・・、俺と血が繋がっていないのを知っているから、余計に遠慮しないでアプローチをかけてくるんだろうな。

1年前ルルが生まれた時に、アイリスが何でこんなにたくさん母親がいるのを不思議がっていたから、フローリアが説明していたからな。さすがにガーネットの事は伏せていて、アイリスの両親はフローリアの恩人の子供だと説明していた。

両親は亡くなったと嘘を言ったけど、「大丈夫、今のパパとママ達が大好きだから寂しくないよ。むしろパパと一緒にいれる今が1番幸せだからね。」と言われた時はジ~ンときたな。

それからだよな、アイリスが一段と更に俺にベッタリしてきたんだよななぁ・・・

婚約して結婚して、今じゃ全く遠慮しなくなったな。

こら!アイリス!鼻水を俺の服で拭くな!あ~あ、胸の辺りが涙と鼻水でベチャベチャだぞ・・・


壊れた玄関のところからみんなが覗いていた。みんな生温かい目で俺を見ている。

サクラが「久々にアイリスミサイルを見たわね。相変わらずの破壊力だわ。」と言ってニヤニヤ見ているし・・・、さすがにちょっと恥ずかしいよ。

「ほら、アイリス、戻るぞ。」

しかし、アイリスが俺の背中にしがみ付いて離れない。お前は子泣きじじいか!

「やだ!パパから離れない!今日はずっとパパから離れないの!」

う~ん、アイリスが頑固モードに入ったか・・・、こうなったら当分は離れない。

まぁ、俺の胸の方はベチャベチャだから背中にしがみ付くのは分かるが、一体誰がこんな事したんだ?

仕方ない・・・、1週間淋しい思いをさせたんだ。今日はアイリスの好きにさせよう。

「えへへ、パパの背中・・・、大きくて温かくて大好き!」


壊れた玄関を通ったが、さすがにこのままはマズイので、時魔法を使って壊れる間の状態に戻しておいた。

いやぁ~、この魔法は便利だ。俺もとうとうチート能力者の1人になったと思うと嬉しい。

みんな!俺を褒めてくれぇえええ!


はっ!いかん!この1週間の監禁生活で俺の精神が変になっている。落ち着くんだ!


よし!俺は正常だ、問題ない・・・、多分・・・


俺におんぶされているアイリスが感心したような感じで話しかけてきた。

「パパ、凄いね、サクラのタイムリープと違って発動まであっという間だね。私も早く大人の姿にしてね。サクラもガーベラも大人になったし、私1人だけ置いて行かれるのは耐えられない・・・、だからお願いね。」


「分かったよ。でも、本当に後悔しないんだな?嫌になって子供に戻るのは認めないからな。」


「もちろんよ。絶対に後悔しない。むしろウエルカム!だから今夜はねっ!私と2人っきりでね、ふふふ・・・」

おいおい、何を言っている。子供がそんな事を言うもんじゃない。それに今のアイリスの台詞はヤバイ・・・、フローリアとララ以外の俺の妻全員の目つきが変わったぞ。

うわっ!念話が怒涛のように押し寄せて来る!

【あなた、私も寂しかったのよ。今夜は私と一緒にいましょうね。拒否権はありませんよ。】

【旦那様、出番の少ない渚が拗ねてるわよ。私だけでなく渚も一緒に愛してね。】

【蒼太さん、今夜は逃がさないわ!私を選ばなかったら首を切り落とすわよ。分かった?】

【ソータ、分かってるよね。私の〇ス〇が燃え上がっているから、今夜は徹底的に頑張るからね!寝させないからね!】

【あなた、今夜はあなただけをご奉仕しますからね。あなただけのメイドとして頑張りますよ、ふふふ・・・】

【旦那様、フローリアばかり美味しい思いをさせる訳にはいかないわ。もちろん、私も愛してくれるでしょうね?フローリアと同じくらいに・・・】

【旦那様、淋しかったです・・・、ガーネットちゃんのお世話を頑張りましたから、ご褒美を下さいね。楽しみにしてますよ。】

【旦那様、結婚したのにすぐにボッチにされましたから、シズカは淋しかったです・・・、、でも、ちゃんと戻って来てくれて嬉しいです。今夜は淋しかった私を慰めて下さい・・・】


うわぁあああ!頭の中が混乱して割れるように痛い!一気に話しかけてくれないでくれぇえええええ!


「はぁ、はぁ・・・、死ぬかと思った・・・」


マドカが新しい上着を持ってスッと俺の前に立った。

「ご主人様、服がベチャベチャじゃないですか。はい、新しい上着です。食事前に着替えて下さいね。」


「おぅ、ありがとう、マドカ。気が利くな。このメイド服姿も似合っているよ。可愛いらしいお前も悪くないぞ。」

マドカが赤くなってモジモジしている。あの戦いの時の勇ましさとは正反対でとても可愛いな。


「ご主人様、マドカは待ってますから、早くお嫁さんにして下さいね。」


「分かってるよ。そんなに待たせないからな。もう少しだけ待っててくれな。」


マドカがとても嬉しそうだ。感極まってなのか目がウルウルしている。

「ご主人様ぁあああああああ!愛してますぅうううううっ!」

そう叫んで俺に抱きつこうとしてきたが、俺の後ろから拳が飛び出してきた。


「げふぅううううううう!」


マドカの顔面に拳がめり込んでいる。

俺の後ろにおんぶされていたアイリスが放った拳だった。


アイリス・・・、完璧過ぎるタイミングのカウンターだ。見事だけど、マドカが可哀想だぞ。


マドカが鼻血を噴き出しながらゆっくり倒れた。アイリスが呟く。

「常在戦場・・・、強くなりたいから隙あれば攻撃して良いと、マドカお姉ちゃんが言い出した事だけど、まだまだ修行が足りないわよ。私の目の黒いうちは気安くパパには触らせないからね。」


「は、はひぃ・・・」

マドカが気絶してしまった。シスターズがマドカをズルズルと引っ張って行く。

「姉さん、だから言ったでしょう・・・、こんなアホな修行はダメだって・・・、この1週間で何回アイリスお嬢様にボコられているんですか、いい加減に気付いてよ。バトルジャンキーにも程があるわ。」

シスターズも呆れていた。

お前ら、俺のいない間にどんな取り決めをしていたんだ?頼むから、我が家の中は平和にしてくれ!


「アイリス、もう止めような。絶対に無駄な修行だと思う。」


「うん、私もそう思っていた。」

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