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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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フェンリル族の里55

『お前らぁあああああ!No.2はこの私だぁあああ!これは誰にも譲らぁあああああっん!』


クローディアが腕を組んでふんぞり返っているが、その痛々しい姿は一体どうした?

服はボロボロだし、顔も半分が真っ赤に晴れ上がっている。神器のお前がここまでダメージを受けるとは・・・

そもそもここは俺の魂の世界だぞ。現実の肉体のダメージは関係ないはずだ。そうなると、クローディアの魂がここまでダメージを受けたって事になるんだろうな。

クローディアの事はご先祖様の知識で知った。かつてのご先祖様の妻で神器に魂を移して、再び俺に巡り合い一緒に戦う事を選んだと・・・、ただし、記憶を無くしてしまったと・・・


「クローディア、どうした?何でこんなにボロボロなんだ?」


クローディアがバツの悪そうな顔をしている。

『い、いやぁ~、フローリアに喝を入れたら逆襲されてねぇ~、思いっきり殴られて飛ばされて、今の私は月面に埋まっているから・・・、ははは・・・』


おいおい、お前、フローリアに何をやらかした?

フローリアの攻撃なら魂にダメージを与えるなんて朝飯前だろう・・・

それにしても月かい・・・、神器だから真空の空間でも大丈夫なんだろうか?

まぁ、生きているならそのうち元気に戻って来るだろう。お前もある意味フローリアと同類だよ。何が起きても不思議ではない存在だからな。

しかし、フローリアの為を思って行動した結果がコレか・・・、それで逆襲されてボロボロに・・・、さすがにちょっと可哀想だよなぁ。少しは労いをしないといけないな。

クローディアの前に行き右手を前に出した。

「美人のお前がこんな姿だと可哀想だし、ちょっと待ってろ。」

クローディアの全身が淡く光った。顔の腫れがみるみる引いていき、ボロボロだった服もすっかり元に戻った。

「これで良し。初めての時魔法だったけど上手くいったな。ダメージを受ける前の状態まで時を戻してみたよ。お前はいつまでもキレイなままでいて欲しいからな。」


んっ!クローディアが俯いてプルプル震えているぞ。魔法の加減を間違えたか?

クローディアが急に抱きついてきた。ウルウルした目で俺を見ている。

『旦那様ぁあああ!今の言葉、最高ですぅううう!ずっと、ずっとキレイでいるように頑張りますね!はぁ~、旦那様の温もり・・・、ずっとこのでままいたい・・・』


『『はいはい、サービスタイムは終わりよ。』』

春菜とアイリスが2人がかりでクローディアを俺から引き剥がし、助走をつけて思いっきり上に放り投げた。

『いやぁあああああああ!旦那様ぁあああああああああああ!』

クローディアが叫びながら星となった・・・

春菜がスッキリした表情でクローディアの消えた方を見ていた。

『ふぅ、これでお邪魔虫は消えましたね。』

アイリスがうんうん頷いていた。

お前ら惨いぞ・・・


俺の背筋に突然悪寒が走った。

何だ!

急に背中から誰かに抱きつかれた。腕を俺の首に回し、息を耳に吹きかけてくる。

『あなた・・・、私を忘れてもらっては困りますよ。私も2番目を狙ってますからね。さぁ、今夜も頑張りましょうね、あなたの子供が早く欲しいです。』


「そ、その声はミドリか!」

いつの間に現れたのだ?やはり元ストーカーだからか・・・、気配を全く感じなかった。今のミドリは妙に色っぽい感じだが、とても怖いし危険な感じがする。今の俺は意識だけのはずなにに、体内の危険感知アラームが最大の警報を放っている!


『あなたの体はフローリア様が預かっていますから、さすがに私でも奪う事は不可能・・・、だから、今のあなたの魂を私のところに連れていきます。私の世界で2人っきりで愛し合いましょうね。私があなたの2番目だという事をじっくりと教えてあげます。ふふふ、愛してますよ、あなた・・・』


ヤバイ!ヤバイぞ!ミドリのところに連れていかれていくものなら、自力では絶対に戻る事は不可能だ。今のミドリはそれくらい危ない存在になっていると確信している。嫌だ!勘弁してくれぇえええええええええ!


『パパ!動かないで!でも当たったらゴメンね。』

アイリスがファイティングポーズをとって、翼を広げ飛びながら俺に迫ってくる。一瞬で目の前に来たと思ったら左ストレートを俺の顔面に向けて放った。俺の右頬をかすめて後ろのミドリの顔面に吸い込まれる。


ブォオオオン!

空気の裂ける音が耳の傍で聞こえた。


『ちっ!逃がしたか・・・』

アイリスが残念そうな表情だ。

ミドリが離れたところで立ってニヤッと笑っている。

『危ない、危ない・・・、アイリス、腰の入った見事なストレートね。間一髪だったわ。』

おいっ!俺を挟んでインファイトなんかしないくれ!心臓に悪すぎる!もう少しで俺の顔面直撃のストレートだったぞ!

それにアイリス・・・

お前の顔が目の前だぞ・・・、近い、近すぎる!

アイリスが俺の目の前でフワフワと浮いている。

急にニタァ~と笑って抱きつき、俺にキスしようとしてきた。アイリスの唇があと数ミリのところで止まっている。

何だ、プルプルしているぞ。


『ミドリさんといい、アイリスも本当に油断も隙も無いんですからねぇ~、危ない、危ない・・・』


春菜がアイリスの首根っこを掴んでいた。

ギリギリと春菜がアイリスの後ろ首を掴んでいるので、振り払おうとアイリスが俺から手を離した。


よし!今のうちに脱出だ!巻き添えになって堪るもんか!


慌てて3人から離れた。

お前ら!一体、何をしているんだ!俺の魂の中で暴れないでくれぇえええええええええ!


3人が正三角形のような位置に離れて睨み合っていた。

春菜が殺気の混じった笑顔でニコニコ微笑んでいる。

『アイリス、ミドリさん・・・、今日こそ、私が蒼太さんの2番目に相応しいと思い知らせてあげますよ。慈愛の女神と呼ばれている私の本当の力をあなた達に見せてあげます。遠慮はしませんよ。ふふふ・・・』


アイリスはキッとした表情で2人を睨んでいる。

『春菜ママ・・・、私も遠慮はしないよ。それにミドリ!いくら親友でもこれは絶対に譲れない戦いだからね!』


ミドリは薄ら笑いを浮かべている。

『私はお2人のメイドですので、お2人に逆らうことは真に不敬・・・、ですが、これは女の意地を懸けた戦いです。今の私はメイドではありません!ただの恋する乙女です!ご主人様は私がもらいます!お覚悟を!』


お前らぁあああああああ!何を勝手に盛り上がっている!

ダメだ、あの3人を止める事は不可能だ・・・、下手に間に入るものなら、間違いなく俺が消される。


俺の魂よ・・・、頼むから壊れないでくれ・・・


『旦那様、大変ですね。』

その声はアヤか!

ガーネットを抱いたアヤが俺にニコッと微笑んで隣に立っている。

『それにしても、みなさん凄いですよねぇ~、ミツキ姉さんが負けたのも頷けます。私はクイーンに目覚めましたけど、今の私の力ではみなさんの足下にも及びません。まして、勝負する気もありませんよ。私はこうやって旦那様の隣に立っているだけで満足ですからね。ふふふ、愛してますよ。旦那様。』

アヤァ~、お前だけがまともだよ。アヤが天使に見える。

アヤが愛おしそうにガーネットを見ている。

『それに、かつての私が産んだ子を、こうやって再び抱けるのですからね。今は幸せ過ぎだと思っているくらいですよ。旦那様は私に幸せを届けてくれました。私にとっては十分過ぎるくらいの旦那様です。順番は関係ありませんよ。私は旦那様とずっと一緒に歩んでいく事が1番の希望で幸せなんですからね。』

ジッと俺を見つめる。

『だから、私は今のままで十分なんですよ。旦那様が私を好きでいてくれたら私は幸せ・・・、すぐにとは言いませんが、私も早く自分の子供が欲しいですけどね。』

アヤが再びガーネットを見つめた。

『こうやって赤ちゃんを抱いていると、私も母親になりたい気持ちが出てきますからね。赤ちゃんは本当に可愛いですし、癒やされますよ。ふふふ・・・』


うわぁ~、アヤが可愛い、可愛い過ぎる。修羅場と化している今の春菜達とは正反対だよ。アヤのお願いなら何でも聞いてあげたい気分だ。


ふと3人の方に視線を移すと・・・

3人が揃って涙を流しながら四つん這いでうなだれていた。

春菜が号泣している

『あの子が眩しい、眩し過ぎる・・・、私も最初は蒼太さんとフローリア様の中に入りたいと思っていた・・・、そして蒼太さんを好きになって結婚したの。みんなで仲良くね・・・、でも今の私は・・・、単なる嫉妬のおばさんと化していたわ。情けない・・・、最初の気持ちに戻りましょう。アイリス、ミドリさん、私達妻はみんなで蒼太さんを助けて行かなくてはならないのね。』


アイリスは・・・

『春菜ママ・・・、そうだったね。私もパパが好きすぎる気持ちで独占しようとしていたわ。でも間違いだった・・・、パパはみんなを大事にしてくれる。だからみんなは仲がいいんだよね。私は子供だからと思って甘えていたわ・・・、パパの妻になるならそんな甘えは捨てないとね。』

『ミドリ、ごめんね・・・』


ミドリもポロポロと涙を流している。

『アイリス・・・、私も間違っていたわ。ご主人様の素晴らしさは誰も束縛出来ない。私が1人で独占しようと思っていた事は思い上がりだったわ。それに私もみんなが大好き・・・、私1人だけ満足してみんなの事を考えなかった・・・、私はみんなのメイド、ちゃんと仕事をしないとね。』


う~ん、どうやらアヤの純粋さにみんなが心を打たれたようだ。

助かった・・・、これで修羅場は回避出来て、俺の魂の危機が去ったみたいだな。


でもなぁ~、しばらくすると忘れて、また同じ事を繰り返すんだろうな。この9年間、そうだったし・・・

本当にみんな飽きないよな。

まぁ、それだけみんな仲が良い証拠なんだろうけど・・・


特に春菜!お前だ!フローリア以外では、お前が真っ先に暴走を始めるから余計に混乱させているんだからな!


そして今はアイリス、ミドリ、クローディアの三巨頭が新しく増えたから、更なる修羅場が展開する気がする・・・



ドォオオオオオオオオオオーーーーーーーーン!!!


何だ!この音は!それにこの殺気・・・、こんな殺気は今まで経験した事が無い。こんな恐ろしい殺気は撒き散らすだけで大量虐殺が出来るぞ!誰が現われた?そういえば、後1人まだ見ていない。1番の大物が・・・、こんな存在となればばアイツしかいない!絶対にアイツだ!間違いない!

でも、アイツはこんな時は喜んで1番に来るはずだ。しかし、まだ来ていないという事は・・・

ミドリはアイツが俺の体を預っていると言っていたよな?俺の魂が帰ってくるのを待っていたんだ。

そうなると・・・、待ちきれずに乗り込んできたのか?

そういえば、ご先祖様が言っていたよな。

【あまり長いと彼女が痺れを切らして、お前の意識を無理矢理にでも連れて行くだろうな。】


ヤバイ!ヤバイ!ヤッバァアアアアアアイィイイイイイイイイイイ!


恐る恐る視線を音のした方に向けると・・・


いたぁあああああああああああああああああああああああああああ!



フローリアが最高の笑顔で微笑んで佇んでいた。



やっぱりお前かぁあああああ!

とても良い笑顔だけど殺気がダダ漏れだぞ!とてつもなく凶悪な殺気が・・・

春菜達を見ると腰を抜かしてガタガタしている。

はっ!アヤとガーネットは!こんな殺気を浴びると危険だ!

ガーネットはキャッキャしながら微笑んでいるし、アヤも呆然といているが無事だ。どうやら、アヤ達には殺気を向けていないみたいだ。

良かった・・・


フローリアが微笑みながらゆっくり俺の方へ歩いてくる。そして俺の前に立った。

『旦那様、遅いです。待ちくたびれました。もう待てませんので迎えに来ましたよ。ふふふ・・・』

やっぱりかぁあああ!ご先祖様の言った通りだった。

そして3人を見てニコニコ微笑んでいる。

でもなぁ、フローリア、お前の体からドス黒いオーラがチラチラ出ているぞ。

かなりご立腹のようだ・・・

『みなさん、何をコソコソしていたのですかねぇ~?』


『まさか、私を出し抜いて旦那様を連れて行くつもりでしたか?今は旦那様のご先祖様のお力で魂が繋がっていて、旦那様がみなさんの魂に触れ合う機会を利用しました?旦那様を1人占めする為に?』


突然、フローリアから大量のドス黒いオーラが湧き上がった。

3人が思いっきり首をブンブン横に振っている。


『ふふふ、私の目は誤魔化されませんよ。』

ニコニコ顔のフローリアの表情が突然険しくなった。まるで般若の面のような顔だ。怖い!怖過ぎる!

『旦那様は私のもの!誰にも渡しませぇええええええええーーーん!』

ドス黒いオーラが爆発的に大量に噴き上がった。


「うわぁあああああああああああ!」

衝撃で俺は吹き飛ばされてしまう。


ん?地面に落ちていない・・・、何で宙に浮いているんだ?

落ち着いて自分の体を見てみると、フローリアのオーラが触手のように俺の体に巻き付いている。フローリアの体から更に大量のオーラの触手が湧き出し俺に巻き付いてグルグル巻きにされてしまった。


お前・・・、また新しい技を編み出したのか・・・


そのままゆっくりとフローリアの目の前に降ろされて、俺を簀巻きにしていたオーラが消えた。

フローリアの表情が般若からとても優しい笑顔に戻っている。

嬉しそうに俺に抱きついた。

『旦那様、すみません・・・、少し感情的になってしまいましたね。旦那様を危ない目に遭わせるつもりは無かったのですよ。いけない、いけない、私とした事が・・・、お詫びに私を苛めても構いませんよ。旦那様が望むなら私はいつでもMになれますからね。Sな旦那様・・・、ウエルカム!です。』

そう言って、抱きついたまま体をクネクネさせている。


フローリア、頭の中は大丈夫か?とても心配だよ。ご先祖様が恐れる程の存在になった時に、ついでに頭のネジも数本飛んだか?

フローリアがジッと俺を見つめている。

『旦那様、今、失礼な事を考えていませんでした?』


ドキッ!す、鋭い・・・


『私は至って普通ですよ。頭のネジは飛んでいませんからね。全ては旦那様の為、旦那様が喜んでくれるなら私は何でもしますからね。』


お前なぁ~、人の心を読むな!


『ワタシハ読ンデマセンヨ・・・』


やっぱり読んでいるじゃないか!この白々しい棒読みの台詞、やっぱりいつものフローリアだわ。


『ふふふ、旦那様、冗談はこのくらいにして戻りましょう。今の魂の状態でなく、生身の旦那様を早く抱きしめたい・・・、そして旦那様、もう2度と離しませんよ。旦那様は私のもの、永遠に私から離れる事は出来ませんからね。ふふふ、あはははははぁああああああああああああああ!さぁ!戻りましょう!私達の愛の巣へ!』


ダ、ダメだ!フローリアにガッチリとホールドされて逃げられない!全くビクともしないなんて、何て力なんだ!今までで最高に極められてる!

うわっ!フローリアの目がイってるし、涎が垂れてる!


か、勘弁してくれぇええええええええ!


・・・





『行っちゃいましたね・・・』

春菜がホッとした表情でペタンと座り込んでいた。アイリスもミドリも同じように力無く座っている。

『あの状態のフローリア様には誰も敵いませんし、嵐が過ぎ去るまで私達は静かに待ちましょう。』

潤んだ目で空を見上げていた。

『あなた・・・、私は心から祈ってます。無事に帰って来る事を・・・』


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